【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響からの持ち直しの動きが見られ、経済・社会活動の正常化が進み、景気は持ち直しの兆しが見られました。その一方で、世界的な金融引き締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスク、ウクライナ情勢の長期化に伴うエネルギーや資材価格の高騰、急激な為替変動、供給面での制約、金融資本市場の変動等への注意が必要であり、依然として不透明な状況が続いております。
このような経済環境のもと、新型コロナウイルス感染症拡大が落ち着いたことに伴い、温度測定を主目的とした非接触型AI温度測定機能付顔認証デバイス「FACE FOUR」(以下、「FACE FOUR」とする)の特需の落ち込みがあったものの、当社グループにおいては、誰もが安心・安全・便利に暮らせる未来の街「Safe City」の実現に向けて、大手事務機器メーカーや大手警備会社との連携を強化し、全国に防犯カメラ設置を推し進めてまいりました。
また、通園バス等における園児置き去りや飲食店における迷惑行為等の社会課題に対して、当社グループとしては、迅速な課題解決を行うことを目指し、新製品開発投資を積極的に実施いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の当社グループの経営成績は、売上高4,818百万円(前期比0.6%増)、営業利益394百万円(前期比35.6%減)、経常利益370百万円(前期比39.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益242百万円(前期比38.4%減)となりました。
a.セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(セキュリティ事業)
セキュリティ事業においては、前連結会計年度の「FACE FOUR」特需の影響を除いた場合、国内における設備投資の需要拡大にあわせて、防犯需要の高まりや大手事務機器メーカー・大手警備会社との連携強化により、防犯カメラ売上が大きく増加しました。
一方、通園バス等における園児置き去りや飲食店における迷惑行為等の社会課題への迅速的な解決を目指し、いち早く企画・開発に着手した結果、売上原価および販売費及び一般管理費が増加いたしました。
以上の結果、当連結会計年度のセキュリティ事業の経営成績は、売上高2,622百万円(前年比2.8%減)、セグメント利益419百万円(前年比33.2%減)となりました。なお、前連結会計年度に含まれる「FACE FOUR」特需の金額は、売上高に515百万円、セグメント利益に149百万円含まれており、当該特需を除いた売上高の前期比は20.1%増、セグメント利益の前期比は12.2%減となりました。
(モバイル事業)
モバイル事業においては、新型端末の発売と共にお客様のニーズに応えた様々な料金プランが登場しており、お客様のご利用状況に合わせた料金プランをご提案するとともに、光回線、映像・音楽コンテンツ配信、キャッシュレス決済、マイナンバーの申請を含むお客様へのサポート等、収益の多様化に取り組んで参りました。また、イオンなどの大型商業施設でのイベント強化を図った結果、他社からの乗り換えを含む新規契約数が増加しました。
以上の結果、当連結会計年度のモバイル事業の経営成績は、売上高2,182百万円(前期比5.0%増)、セグメント利益214百万円(前期比0.6%増)となりました。
b.当連結会計年度の財政状態は次のとおりであります。
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末比406百万円増の3,750百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加367百万円、売掛金の増加256百万円、建設仮勘定の増加269百万円に対して、商品及び製品の減少127百万円、未収還付法人税等の減少269百万円、未収還付消費税等を含むその他流動資産の減少81百万円などによるものです。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末比163百万円増の1,323百万円となりました。これは主に、未払法人税等の増加104百万円、未払消費税等を含むその他流動負債の増加116百万円などによるものです。
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末比242百万円増の2,427百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加242百万円によるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は764百万円となり、前連結会計年度末に比べて367百万円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は810百万円(前連結会計年度は498百万円の支出)となりました。これは主に、
税金等調整前当期純利益375百万円、減価償却費60百万円、棚卸資産の減少額129百万円、仕入債務の増加額137百
万円、未収消費税等の減少額86百万円、未払消費税等の増加額39百万円、法人税等の還付額208百万円等の収入に
対し、売上債権の増加額252百万円等の支出があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は256百万円(前連結会計年度は288百万円の支出)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出276百万円等に対し、固定資産の売却による収入20百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は186百万円(前連結会計年度は102百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入れによる収入40百万円等の収入に対し、短期借入金の純減額85百万円、長期借入金の返済による支出119百万円等の支出があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っていないため、記載すべき事項はありません。
b.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自2022年4月1日
至2023年3月31日)
前年同期比(%)
セキュリティ事業(千円)
1,042,344
76.6
モバイル事業(千円)
1,632,920
107.8
合計(千円)
2,675,264
93.1
(注)金額は、仕入価格によっております。
c.受注実績
当社グループは、主にパッケージされた商品の販売を行っており、個別受注に基づく商品の生産を行っておりませんので、記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自2022年4月1日
至2023年3月31日)
前年同期比(%)
セキュリティ事業(千円)
2,622,212
97.2
モバイル事業(千円)
2,182,177
105.0
報告セグメント計(千円)
4,804,390
100.6
その他(千円)
14,150
97.1
合計(千円)
4,818,541
100.6
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額
(千円)
割合
(%)
金額
(千円)
割合
(%)
ソフトバンク株式会社
762,210
15.9
806,244
16.7
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社グループは、経営理念である「心のこもった接客・一流のサービス・最適な情報を提供し」という考え方の下、「未来の街を創造する」というビジョンの実現に向けて、セキュリティ事業を探求し、新世代の通信規格や最先端のデジタルテクノロジーを活用した商品やサービスの提供により、誰もが安心・安全・便利に暮らせる未来の街「Safe City」の実現に取り組んでおります。
このことから当社グループでは、売上高成長率及び営業利益成長率を経営上の目標とし、その客観的指標を用いて、経営上の目標の達成状況を判断しております。
当連結会計年度においては、売上高4,818百万円(前年同期比100.6%)となっております。これは主に、前連結会計年度における特需(※)剥落の影響によるものの、国内における設備投資の需要拡大にあわせて、防犯需要の高まりや大手事務機器メーカー・大手警備会社との連携強化により、防犯カメラ売上が大きく増加しました。
また営業利益においては、394百万円(前年同期比64.4%)となっております。このことも売上高同様に前連結会計年度における特需剥落が大きく影響したものと考えております。また、通園バス等における園児置き去りや飲食店における迷惑行為等の社会課題への迅速的な解決を目指し、いち早く企画・開発に着手した結果、売上原価および販売費及び一般管理費が増加いたしました。なお、当該特需を除いた売上高の前年同期比は112.7%、営業利益の前年同期比は85.3%となっております。
(※)特需とは、セキュリティ事業における新型コロナウイルス感染症の感染予防を目的として、特に第1波及び第2波の期間に集中的に販売した特定製商品の売上高並びに当社グループのAI温度測定機能付顔認証デバイス「FACE FOUR」を新型コロナウイルス感染症防止対策に係る補助金・助成金の活用を背景に販売した売上高を、特需と定義しております。
(特定製商品:温度測定を目的とした需要に対応)
・DG-T104S及びDG-T104(商品シリーズ:FACE FOUR)
・DG-T108S及びDG-T108(商品シリーズ:FACE FOUR)
・DS-PT8 等
(売上高)
特需に係る売上高の算出は、特需に区分する特定製商品(関連する各種部材及び据付工事等も含む)を伝票ごとに集計し、それぞれ特需に係る売上高としております。
(営業利益)
特需に係る営業利益の算出は、特需に区分する特定製商品の売上総利益を伝票ごとに集計し、そこから売上高の構成比率を用いて按分した販売費及び一般管理費を差し引いて算出しております。
(前連結会計年度)
・特需に係る売上高 515百万円(セキュリティ事業における売上高構成比率19.1%)
・特需に係る売上総利益 250百万円
・特需に係る販売費及び一般管理費 100百万円
・特需に係る営業利益 149百万円
② キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況分析
キャッシュ・フローの状況の詳細は「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び流動性に係る内容
当社グループの主な資金需要は運転資金と設備投資資金になります。運転資金は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び銀行借入金にて賄う方針であります。具体的には、手許流動性資金、国内金融機関10行と締結している特殊当座貸越枠のフレキシブルな資金調達手段を確保し、流動性リスクを適切にコントロールしてまいります。また、設備投資資金に関しては、内部留保及び資金計画に基づき、長期借入による調達を行い、財務の安定性を確保してまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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