【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大と収束を繰り返す中、水際対策や行動制限は緩和され、経済活動は徐々に正常化への動きがみられました。しかし、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や急激な円安の進行等により、原材料価格の高騰によるインフレ圧力など、我が国の経済を取り巻く状況は引き続き厳しく、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
こうした状況の中、当連結会計年度では、矯正歯科技工物の価値向上や品質などを強化するとともに、歯科医療機関に対して、高品質かつ用途や目的にあった適切な歯科矯正技工物を提供できる当社グループの強みを活かして継続的な営業活動に注力し、引き続き顧客満足度の向上に取り組みました。また、当社グループに与える新型コロナウイルス感染症の影響は、蔓延初期段階においては歯科医療機関による一時休診等により、矯正歯科技工物の受注が大きく減少する影響はあったものの、その後は回復し、現在は軽微な影響にとどまっております。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高3,190,044千円(前年同期比2.4%増)、営業利益460,250千円(同10.1%減)、経常利益433,892千円(同16.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益338,159千円(同3.9%減)となりました。
当社グループの事業は、歯科矯正事業の単一のセグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して633,196千円増加し、2,826,293千円となりました。これは主に、新規上場時の公募増資等により現金及び預金が435,814千円、事業拡大により原材料が31,323千円、保険契約の見直し等により保険積立金が54,877千円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末と比較して279,451千円減少し、360,714千円となりました。これは主に、財務体質の強化のための借入金の返済により短期借入金が200,000千円、長期借入金が100,000千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比較して912,647千円増加し、2,465,578千円となりました。これは主に、当社株式の東京証券取引所スタンダード市場への上場に伴う公募増資による資本金の増加340,170千円及び資本剰余金の増加340,170千円、親会社株主に帰属する当期純利益338,159千円を計上した一方で、剰余金の配当105,000千円の支払により、利益剰余金が233,159千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は87.2%(前連結会計年度末は70.8%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、主に新規上場時の公募増資等により435,814千円増加し、1,727,892千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動におけるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は245,716千円(前年同期比0.4%減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上482,852千円、売上債権の増加58,842千円、棚卸資産の増加54,643千円及び法人税等の支払額140,403千円等を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は90,612千円(同33.8%増)となりました。これは主に事業拡大に伴う有形固定資産の取得による支出73,478千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は276,624千円(前年同期は104,668千円の使用)となりました。これは短期借入金の返済による支出200,000千円、長期借入金の返済による支出100,065千円、新規上場時の株式の発行による収入680,340千円、配当金の支払額105,000千円等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは、歯科矯正事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
生産高(千円)
前年比(%)
歯科矯正事業
1,427,833
99.5
合計
1,427,833
99.5
(注) 金額は製造原価によっております。
b.受注実績
当社グループが行う事業は、受注から売上計上までの期間が短いため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績を売上区分ごとに示すと、次のとおりであります。なお、当社グループは、歯科矯正事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
売上区分
当連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
金額(千円)
前年比(%)
矯正歯科技工物売上
アナログ
2,167,414
99.0
デジタル
620,029
110.5
商品売上
378,316
109.2
その他
24,284
131.3
合計
3,190,044
102.4
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10
以上となる取引先が存在しないため、記載を省略しております。
2.売上区分の「矯正歯科技工物売上」のうち「アナログ」とは、矯正歯科技工物を製造する際に、患者の口
腔内情報について印象模型を利用したものを言い、「デジタル」とは、矯正歯科技工物を製造する際に、
患者の口腔内情報について、3Dスキャナー等で採取したデータを利用したものを言います。
3.売上区分の「商品売上」は、矯正関連材料の販売に係る売上になります。
4.売上区分の「その他」は、主としてセットアップ用ソフトウエアのライセンス料が含まれております。
5.セットアップとは、患者の歯列を並び替えることをいいます。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されて
おります。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費
用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りに関して、過去の
実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異
なる可能性があります。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況
1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載し
ておりますが、連結財務諸表の作成に当たり会計上の見積りに用いた仮定のうち重要なものはないため、重要な会
計上の見積りを要する項目はないと判断しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループにおける主な資金需要は、大きく分けて材料費、外注加工費、人件費等の運転資金及び製造で使用
する設備投資資金となります。基本的には営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの短期借入金によ
り運転資金を賄い、設備投資資金につきましては、長期借入金により調達を行う方針であります。なお、当社は、
取引銀行の3行と当座貸越契約を締結しており、資金の流動性が逼迫した状況下においても、当該当座貸越契約に
基づき十分な流動性を確保することができると考えております。
③ 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に含めて記載しておりま
す。
b.経営成績の分析
(売上高、売上原価、売上総利益)
既存の歯科医療機関からの追加受注及び新規の歯科医療機関の獲得もあり、矯正歯科技工物の受注が順調に積み
あがったことにより、売上高は3,190,044千円(前年同期比2.4%増)となりました。
売上原価は主に商品収入、材料仕入、歯科技工士の労務費及び外注加工費を計上し、1,760,428千円(前年同期
比3.8%増)となりました。
この結果、売上総利益は1,429,616千円(前年同期比0.7%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、969,366千円(前年同期比6.9%増)となりました。これは主に、営業部門や管理部門
の人員の給料及び手当346,467千円、運賃及び荷造費116,999千円を計上したことによるものであります。
この結果、営業利益は460,250千円(同10.1%減)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
営業外収益については、受取地代家賃4,915千円及び受取手数料3,578千円等により10,323千円となりました。
営業外費用については、為替差損8,711千円及び上場関連費用21,656千円等により36,682千円となりました。
この結果、経常利益は433,892千円(同16.3%減)となりました。
(特別利益、特別損失、法人税等合計、親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は受取賠償金10,500千円及び保険転換差益38,725千円等により49,831千円となりました。
特別損失は有形固定資産除却損871千円により871千円となりました。
法人税等合計144,692千円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は338,159千円(同3.9%減)となり
ました。
c.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの、経営上の目標と達成状況を判断するための客観的な指標として、取引歯科医療機関数及び取引
歯科医療機関あたりの売上高を重視しております。取引歯科医療機関数及び取引歯科医療機関あたりの売上高は営
業活動の成果である売上高と密接に関係する指標であることから当該指標を採用しております。全国の歯科医療機
関のうち、矯正治療対応歯科医療機関は約25千施設(出典:一般社団法人日本矯正歯科技工協会)ありますが、
当社グループは順調に取引歯科医療機関数を増やしており、当連結会計年度は、6,146施設の歯科医療機関と取引
実績があります。
また、取引歯科医療機関数及び取引歯科医療機関あたりの売上高と直結する売上高、並びに収益力を示す指標と
して、売上高営業利益率を重要な経営指標と位置付けております。当連結会計年度の数値については、次のとおり
となっております。
当連結会計年度
前年比増減率
売上高
3,190,044千円
2.4%
営業利益
460,250千円
△10.1%
売上高営業利益率
14.4%
△2.0ポイント
(注)各期において、1回以上取引があった歯科医療機関数
(注)各期の売上高を取引歯科医療機関数で除した数値
d.経営成績等に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」をご参照ください。ま
た、経営者の問題認識、今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照くだ
さい。
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