【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第31号 2021年6月17日。)を当連結会計年度の期首から適用し、時価算定会計基準適用指針第27-2項に定める経過的な取扱いに従って、時価算定会計基準適用指針が定める新たな会計方針を将来にわたって適用することといたしました。これによる連結財務諸表に与える影響はありません。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績当連結会計年度における我が国経済は、前期に引き続き新型コロナウィルス感染症の影響により依然として厳しい状況にありますが、各種政策の効果等もあって、持ち直しの動きが続いております。ただし、国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動等の影響を注視していく必要があります。そのような状況の中、当社グループが主に事業展開を行うスマートフォン関連市場においては、2023年4月の内閣府『令和5年3月実施調査結果:消費動向調査』の報告によりますと、2023年3月末の国内スマートフォン世帯普及率は前年度比0.7ポイント増の92.6%と増加を継続しております。
また、日本におけるライブ配信市場は、市場規模の成長が継続する中、新たに参入する企業や、競合各社における積極的な広告宣伝販促活動、配信ユーザーの囲い込み等が継続し、競争は引き続き激化しております。
このような事業環境のもと、当社グループにおきましては、ライブ配信事業の「ふわっち」は前期に引き続き新たなアイテムや機能の提供を通じてユーザーへの利便性や満足度を高めつつ、新たなイベントの開催を通じてユーザーを飽きさせない施策を定期的に実施し、加えて積極的なデジタル広告の展開やテレビCMを含むマスメディアでの広告を投下することで、配信ユニークユーザー数及び視聴ユニークユーザー数を引き続き伸ばしてまいりました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は、10,503百万円(前年同期比16.9%増)となり、営業利益は、990百万円(前年同期は営業損失261百万円)、経常利益は、986百万円(前年同期は経常損失253百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は、978百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失215百万円)となりました。
b.財政状況(資産)当連結会計年度末の資産合計は4,252百万円となり、前連結会計年度末より1,618百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金の増加 856百万円、売掛金の増加 374百万円、未収還付消費税の増加 17百万円、建物の増加 401百万円、建設仮勘定の減少 187百万円、繰延税金資産の増加172百万円によるものであります。
(負債)当連結会計年度末の負債合計は2,116百万円となり、前連結会計年度末より621百万円の増加となりました。これは主に、短期借入金の減少 174百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加 62百万円、未払金の増加 152百万円、未払法人税等の増加 95百万円、未払消費税の増加 123百万円、ポイント引当金の増加 27百万円 、長期借入金の増加 334百万円によるものであります。
(純資産)当連結会計年度末の純資産合計は2,136百万円となり、前連結会計年度末より997百万円の増加となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上 978百万円、自己株式の処分 19百万円によるものであります。この結果、自己資本比率は50.20%となり、前連結会計年度末の43.17%に比べ、7.03ポイント上昇いたしました。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,787百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により得られた資金は、843百万円となり、前連結会計年度に比べ1,204百万円収入が増加しました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上 986百万円、法人税等の支払額 85百万円、未払消費税等の増加 123百万円、ポイント引当金の増加 27百万円、未払金の増加 152百万円、売上債権の増加 374百万円及び未収還付消費税の増加 17百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動により使用した資金は、228百万円となり、前連結会計年度に比べ51百万円支出が増加しました。これは有形固定資産の取得による支出 229百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動により得られた資金は、241百万円となり、前連結会計年度に比べ507百万円支出が増加しました。これは自己株式の処分による収入 19百万円、短期借入金の返済による支出 174百万円、長期借入れによる収入437百万円及び長期借入金の返済による支出 41百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b 受注実績
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
一般消費者向け関連 計(千円)
10,496,027
+17.4
自治体向け・企業向け関連 計(千円)
7,707
△83.2
合計
10,503,735
+16.9
(注) 1.当連結会計年度の一般消費者向け関連セグメントにおいて、販売実績に著しい変動がありました。これはライブ配信事業でのアイテム販売が好調に推移したことによるものであります。当連結会計年度の自治体向け・企業向け関連セグメントにおいて、販売実績に著しい変動がありました。これは前期に受注した地方自治体等の一過性の開発案件がなくなったこと、株式会社jig.jpにおいてTwitterクライアント事業のサービスである「jigtwi」が2023年1月31日をもちましてサービス終了となったことによるものであります。(注) 2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次の通りであります。下表の主な取引先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
相手先
前連結会計年度(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
Apple Inc.
2,741,903
30.52
3,584,388
34.12
Google Inc.
1,882,303
20.95
2,512,685
23.92
株式会社DGフィナンシャルテクノロジー
2,313,469
25.75
2,118,663
20.17
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容等(売上高) 当連結会計年度の売上高は、10,503百万円(前年同期比116.9%)となりました。 売上高の分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.経営成績」に記載のとおりであります。
(売上原価、売上総利益) 当連結会計年度における売上原価は、514百万円(前年同期比118.5%)となりました。 主な要因は、ライブ配信事業の「ふわっち」の配信ユニークユーザー数及び視聴ユニークユーザー数増大に伴うサーバー費用の増加によります。この結果、売上総利益は9,988百万円(前年同期比116.8%)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失) 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、8,998百万円(前年同期比102.1%)となりました。 主な要因は、ライブ配信事業の「ふわっち」の配信ユニークユーザー数及び視聴ユニークユーザー数増大のための販売促進費が増加したこと、及び売上高増加に伴い決済手数料及びポイント引当金繰入が増加したことによるものです。この結果、営業利益は990百万円(前年同期は△261百万円の営業損失)となりました。
(営業外損益、経常損失) 当連結会計年度において、営業外収益は2百万円、営業外費用は6百万円発生しました。 主な要因は、オタマート事業に伴う債務消滅益を計上したことによるものです。この結果、経常利益は、986百万円(前年同期は△253百万円の経常損失)となりました。
(特別損益、法人税等合計、親会社株主に帰属する当期純損失) 当連結会計年度において、前期に引き続き、特別損益の計上はありません。税金費用(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額)を7百万円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は978百万円(前年同期は△215百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
なお、当社グループの事業セグメントは、一般消費者向け関連事業と自治体向け・企業向け関連事業でありますが、一般消費者向け関連事業の全セグメントに占める割合が高く、自治体向け・企業向け関連事業は開示情報としての重要性が乏しいことから、セグメント情報の記載を省略しております。 また、財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.財政状況」に、キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
②資本の財源及び資金の流動性に関する分析 当社グループは、事業活動の維持・拡大に必要なユーザーへの報酬支払、マーケティング投資等に要する資金を安定的に確保するとともに、手元資金の流動性を確保するため、金融機関からの借入等の外部資金を有効に活用しております。 一般消費者向け関連事業の売掛金回収までに必要な支払い等の短期資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか金融機関から短期借入を行い、流動性の確保に努めております。また、開発センターの建設等の設備投資や長期資金需要につきましては、金融機関からの長期借入やリースの活用を基本としておりますが、必要に応じてエクイティファイナンスによる資金調達についても資金需要の額や用途、当該タイミングにおける金利及び資本コストを勘案した上で優先順位を検討して実施する予定です。現時点で、短期的な資本の財源及び資金の流動性に問題はありませんが、今後も資金の残高及び各キャッシュ・フローの状況を常にモニタリングしつつ、資本の財源及び資金の流動性の確保・向上に努めて参ります。 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は421百万円です。
③経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標等)」に記載のとおり、主な経営指標として配信ユニークユーザー数、課金ユニークユーザー数、課金総額を経営上重要な指標として位置付けております。課金総額の拡大には、課金ユニークユーザー数の拡大が必要であり、そのためにはマーケティング活動による外部からの獲得や既存の非課金ユーザーの課金ユーザーへの転化促進、また配信ユーザー数の拡大によるプラットフォームとしての魅力、多様性の向上が必要と考えております。今後も各指標の拡大に注力していく方針です。 2023年3月期は前期に引き続き、各指標は順調に拡大しており、第4四半期における月次の配信ユニークユーザー数は25,727人(前年同期比9.0%増)、課金ユニークユーザー数は36,397人(前年同期比11.1%増加)となりました。 なお、ユーザー数の各指標については、ユニークユーザー数(以下「UU数」という。)で示しております。
⑤重要な会計方針及び見積り及び当該見積に用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、期末日における資産及び負債の残高、収益及び費用等に影響を与える過程や見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる合理的見積りを行っております。しかしながら、前提条件やその後の環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれからの見積りと異なる可能性があります。なお、当社グループの連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
a. 繰延税金資産の回収可能性 当社グループは、将来の事業計画に基づいた課税所得が十分に確保でき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性の判断に当たっては、将来の課税所得見積りを慎重に検討しておりますが、その見積りの前提となる条件や仮定に変更が生じ、繰延税金資産の一部又は全額の回収が困難と判断した場合には、繰延税金資産を取り崩し、同額を法人税等調整額として計上することで、当社グループの業績を悪化させる可能性がございます。
⑥経営者の問題意識と今後の方針について 経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
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