【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当社の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
①
経営成績の状況当事業年度(2022年4月1日〜2023年3月31日)におけるわが国の経済は、ロシア・ウクライナ情勢の影響によるエネルギー・原材料価格の上昇を始めとした多品目に及ぶ物価高騰で下押し圧力がみられたものの、新型コロナウイルス感染症の行動制限が徐々に緩和され、社会生活が平常化したことから個人消費を中心として緩やかな回復基調で推移しました。また、世界経済につきましては、経済活動は回復傾向が続きましたが、ロシア・ウクライナ情勢の長期化に伴う原油価格の高騰、世界的な物価上昇により先行き不透明な状況が続いております。さらに、米国の利上げにより、債券価格が下がり破綻する銀行・破綻懸念先の銀行が現れ、金融資本市場や景気の先行きはさらに不透明なものとなっております。このような環境の中、当社のマッチングプラットフォーム事業である「インスタベース」に関連するシェアリングエコノミー市場におけるスペースシェア領域の市場規模は、2021年度3,564億円から2022年度3,797億円へ成長し、今後も継続的に成長する予測となっております。(※)当事業年度においては、テレワークやリモートワークのみならず行動制限の緩和に伴い、大人数利用の各種イベント、パーティーの需要増等、多様且つ多岐にわたり、空きスペースを利活用する需要が見られました。このような状況下において、「インスタベース」では、WEBマーケティングの有効活用による継続的なユーザー獲得の強化を図るとともに、大手企業とのサービス連携や決済手段の拡充、トップページのリニューアル、利用者向けキャンペーン企画やインフルエンサーマーケティングの展開、各種IoTサービスとの連携など、利用者ニーズの変化に対応したスペースの獲得、利便性向上および認知促進、掲載者の安全かつ効率的な運営管理の実現、UI/UXの改善などを行なってまいりました。その結果、当事業年度においては、当社の重要指標である「インスタベース」の利用総額は3,807百万円(前期2,783百万円)、利用数は878千件(前期686千件)、掲載スペース数は26.8千件(前期19.0千件)となりました。以上の結果、当事業年度における売上高は1,160,574千円(前期比30.4%増)、営業利益は255,344千円(前期比20.7%増)、経常利益は248,580千円(前期比17.7%増)、当期純利益は158,491千円(前期比13.4%増)となりました。なお、当社は、マッチングプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
※一般社団法人シェアリングエコノミー協会および株式会社情報通信総合研究所の共同調査:2022年1月「シェアリングエコノミー関連調査2021年度調査結果」、2023年1月「シェアリングエコノミー関連調査2022年度調査結果」
②
財政状態の状況(資産の部)当事業年度末における流動資産は、前事業年度末に比べ278,617千円増加し、920,279千円となりました。これは主に、当期純利益の増加及び東京証券取引所グロース市場への上場に伴う新株発行による現金及び預金の増加が239,153千円、売上高増加に伴う売掛金の増加が18,453千円あったことによるものです。固定資産は、前事業年度末に比べ4,983千円増加し、159,602千円となりました。これは主に、「インスタベース」の新規機能等の開発によりソフトウエアを計上したこと等に伴う無形固定資産の増加が19,874千円、本社移転及び新規事業検討のための有形固定資産の減少が7,161千円、敷金差入保証金の減少が4,322千円、繰延税金資産の減少が3,116千円あったことによるものです。この結果、当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ283,600千円増加し、1,079,882千円となりました。
(負債の部)当事業年度末における流動負債は、前事業年度末に比べて30,838千円増加し、339,031千円となりました。これは主に、本社移転に伴う工事費用の支払等により未払金の減少が35,716千円、「インスタベース」の事業拡大に伴うスペース掲載者への支払予定額増加により預り金の増加が68,477千円、税引前当期純利益が増加したことに伴い未払法人税等の増加が3,779千円あったことによるものです。固定負債は、前事業年度末と比べて75,010千円減少し、残高はありません。これは、長期借入金を返済したことによるものです。この結果、当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ44,171千円減少し、339,031千円となりました。
(純資産の部)当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べて327,771千円増加し、740,851千円となりました。これは、東京証券取引所グロース市場への上場に伴う新株発行による資本金及び資本剰余金の増加がそれぞれ84,640千円、当期純利益の増加による利益剰余金の増加158,491千円によるものです。
③
キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べて、239,153千円増加し、792,629千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果として得られた資金は221,807千円(前期は249,472千円の獲得)となりました。これは主として、税引前当期純利益248,580千円(前年同期比42,057千円増加)、売上債権の増加額18,453千円(前年同期比466千円減少)、未払金の減少額23,876千円(前年同期比101,208千円減少)及び法人税等の支払額91,289千円(前年同期比39,521千円増加)によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果として使用した資金は47,753千円(前期は121,748千円の使用)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出16,393千円(前年同期比29,774千円減少)及び無形固定資産の取得による支出31,359千円(前年同期比85千円減少)によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果として得られた資金は65,099千円(前期は1,094千円の獲得)となりました。これは主として、短期借入金の純減少額12,470千円(前年同期比24,940千円減少)、長期借入金の返済による支出85,006千円(前年同期比73,630千円減少)及び株式の発行による収入169,280千円(前年同期比169,280千円増加)によるものです。
④
生産、受注及び販売の状況
イ.生産実績当社の事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
ロ.受注実績当社の事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
ハ.販売実績当社の事業別の販売実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社は、マッチングプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
事業の名称
金額(千円)
前年同期比(%)
マッチングプラットフォーム事業
1,160,574
130.4
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
(2)
経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況1財務諸表等(1)財務諸表注記事項 重要な会計方針」に記載しております。会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況1財務諸表等(1)財務諸表注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。なお、財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目は以下のとおりです。
(固定資産の減損処理)当社は、固定資産の減損の兆候がある資産または資産グループにつき、将来の収益性が著しく低下した場合には、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。固定資産における回収可能価額の評価の前提条件は、決算時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断していますが、これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。
(繰延税金資産の回収可能性)当社は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異については、繰延税金資産を計上することとしております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額に影響する可能性があります。
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経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容(売上高)当事業年度における売上高は、インスタベースにおける利用総額・利用数・掲載スペース数がそれぞれ堅調に増加したことにより、1,160,574千円(前期比30.4%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ220,275千円増加し、880,453千円となりました。これは主に、「インスタベース」の新規顧客の獲得を目的とした広告出稿の増加に伴い広告宣伝費が76,225千円、「インスタベース」の利用総額の増加による決済代行会社に対する決済手数料の増加に伴い支払手数料が45,446千円、事業拡大に伴う人員増加により給料及び手当が21,721千円、内部管理体制の充実を図るための役員増員に伴い役員報酬が17,452千円増加したことによるものです。この結果、営業利益は255,344千円(前期比20.7%増)となりました。
(営業外損益、経常利益、当期純利益)当事業年度における営業外損益は、営業外収益が前事業年度に比べ51千円減少し、9千円となりました。また、営業外費用は、前事業年度に比べ6,271千円増加し、6,773千円となりました。この結果、経常利益は248,580千円(前期比17.7%増)、当期純利益は158,491千円(前期比13.4%増)となりました。
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キャッシュ・フローの状況の分析当社のキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社の資金需要の主なものは、当社サービスを拡大していくための開発及びマーケティング・営業・顧客対応等の事業運営に必要な人員の人件費、認知度向上及び顧客基盤拡大に係る広告宣伝費、当社サービス運営に必要な決済手数料に係る支払手数料であります。これらの資金需要に対しては、自己資金を基本とし、必要に応じて銀行借入により調達することとしております。
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資本の財源及び資金の流動性について当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の給与手当のほか、販売費及び一般管理費の営業費用であります。当社は、事業運営上必要な資金を安定的に確保するために、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入等でバランスよく調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位については、調達時期における資金需要の額、用途、市場環境、調達コスト等を勘案し、最適な方法を選択する方針であります。
⑤
経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
⑥
経営者の問題認識と今後の方針について経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
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