【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第3四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第3四半期累計期間における経営環境は、新型コロナウイルス感染症の各種政策に対する効果もあり、景気に緩やかな持ち直しがみられましたが、世界的な金融引き締め等が続く中、記録的な円安や資源価格の高騰など、依然として先行き不透明な状況が続いております。一方で、当社の事業を取り巻く旅客需要は、ワクチン接種の普及や全国旅行支援が追い風となり、着実に高まっております。
このような状況において、当社は旅客需要の回復に備えて万全な供給体制を構築していたことも奏功し、新型コロナウイルス感染症の影響による減便を行うことなく全便運航とするなど、増加する旅客需要を確実に捉え、同期間の搭乗率はコロナ禍で大きく落ち込んだ前年同四半期比で16.5ポイント増の81.2%、新型コロナウイルス感染症流行前の2019年同四半期比においても97.6%まで戻るなど、力強い回復が見られました。
また、当社はビジネスモデルである、「安全確保を前提に、高い運航品質と、シンプルで心のこもったサービスを身近な価格で提供する」ことを継続して取り組んでまいりました。その成果として、当第3四半期累計期間において、定時運航率5年連続第1位、2022年度JCSI(日本版顧客満足度指数)国内長距離交通部門顧客満足第1位を獲得、並びに第4回日本サービス大賞国土交通大臣賞を受賞いたしました。
なお、当社は2022年12月14日に東京証券取引所グロース市場へ上場し、合わせて行った公募増資により約142億円の資金を調達しております。これらの資金は主に航空機の機材更新及び借入金の返済に使用いたします。
今後も当社のビジネスモデルをより一層磨き上げ、一人でも多くのお客様に一番に選んでいただけるエアラインを目指し、増収増益に努めてまいります。
(運航体制等の状況)
特に新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた第1四半期会計期間には機動的に運航便数の調整を行い変動費の抑制に努めましたが、当第3四半期においては、旅客需要の回復が進んだことにより全便運航体制となりました。また、当社運航機材29機を最大限に活用し、羽田=福岡線、羽田=新千歳線を中心に、特に需要の高い時期においては追加定期便を運航するなど、収益の拡大に努めました。
その結果、第3四半期累計期間の運航便数は40,608便となり、コロナ禍の影響を受けた前年同期と比較して18.4%増加しました。
(事業収益及び営業費用の状況)
当第3四半期累計期間においては、有償旅客数が前年同期比59.5%増の5,181,147名となった結果、事業収益は62,577百万円となりました。事業費につきましては、運航便数の増加に伴う航空燃料費や空港使用料等の変動費の増加により55,155百万円と前年同期に比して増加しましたが、事業収益が拡大したことから営業利益は3,401百万円となりました。経常利益は円安に伴う外貨建資産に係る為替差益及び上場関連費用の計上により3,656百万円となった一方で、四半期純利益は第2四半期累計期間におけるソフトウェア仮勘定の減損に伴う減損損失1,212百万円の計上により1,876百万円となりました。
(2)財政状態の状況
当第3四半期会計期間末の資産合計は101,777百万円となり、前事業年度末に比べ8,217百万円増加しました。これは主に、前事業年度末と比較し円安水準であったことから、外貨建の長期預け金が3,535百万円増加したこと、外貨建を含む未収入金が1,224百万円増加したこと等によるものです。負債合計は81,123百万円となり、前事業年度末に比べ3,136百万円減少しました。これは主に、短期借入金2,000百万円及び長期借入金2,000百万円を返済したことによるものです。純資産合計は20,653百万円となり、前事業年度末に比べ11,354百万円増加しました。これは主に、公募増資に係る新株発行に伴う資本剰余金の増加7,453百万円、欠損填補及び四半期純利益による利益剰余金の増加8,692百万円、為替予約等のデリバティブ取引による繰延ヘッジ損益の減少4,791百万円によるものです。