【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績に関する説明
当社は、2022年11月1日に単独株式移転により株式会社テリロジー(以下「テリロジー」といいます。)の完全親会社として設立されましたが、連結の範囲に実質的な変更はないため、前年同四半期と比較を行っている項目については、テリロジーの2023年3月期第1四半期累計期間(2022年4月1日から2022年6月30日まで)と比較しております。
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の位置付けが5月に「5類感染症」となったことにより行動制限が大幅に緩和され、国内の消費活動は回復基調にあります。
一方で、長期化する円安の進行、ウクライナ情勢を背景に、原材料・エネルギー価格の高騰による国内物価の上昇もあり、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
このような状況の下、当社グループでは、わが国が21世紀においても世界をリードしていく国であり続けるために、今後益々複雑化、高度化するデジタル社会において、当社グループが提供する独自の最先端技術による組み合わせの妙味を通じて、豊かで快適で安全な未来づくりに貢献するデジタル・テクノロジーのソリューション&サービス提供事業者を目指すべく、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に取り組んでおります。
当第1四半期連結会計期間における部門別の概要は次のとおりです。
なお、当社グループでは、当社グループ内での事業戦略で定める製品及びサービスの事業実態と名称の整合性を図ることを目的に、「ネットワーク部門」、「セキュリティ部門」、「モニタリング部門」、「ソリューションサービス部門」の4つの事業区分としておりました。
しかしながら、「モニタリング部門」につきましては、昨今の市場環境の変化に伴い、従来のネットワークの可視化から脅威検出やセキュリティ監視、セキュリティ分析など多岐に渡ることから「ネットワーク部門」及び「セキュリティ部門」に振り分けることとし、当第1四半期連結累計期間より、「ネットワーク部門」、「セキュリティ部門」、「ソリューションサービス部門」の3区分に変更することといたしました。
これに伴い、前第1四半期連結累計期間の数値は、変更後の部門区分に組み替えた数値で比較しています。
(ネットワーク部門)
当部門においては、新型コロナ感染症対策で急拡大したテレワークや在宅勤務の増加に伴い、ひっ迫した企業内ネットワークの改善やWebサイトやサーバを狙ったDDoS攻撃へのセキュリティ対策が課題となっています。
日本を狙った組織的なDDoS攻撃が増加する中、国際的に高い評価を受ける「Radware」製品のDDoS対策専用ソリューションの営業活動を強化しつつ、販売終了製品のリプレース案件の受注活動は堅調に推移しています。
また、新型コロナウイルスの感染拡大から経済活動が正常化へ向かう中、テレワーク、フリーアドレス制の導入に伴うセキュアなクラウド型無線LANシステムを採用したネットワーク構築案件では、当社既存顧客からの追加案件のほか、ネットワークリプレース案件なども堅調に推移しています。
なお、当社グループが得意とするIPアドレス管理サーバ製品は、新モデルへのリプレース需要が一巡したことから、テレワークや在宅勤務の需要拡大に伴うセキュリティ対策として、DNSセキュリティソリューションの提案活動に注力しています。
その他、当社グループが中期経営計画の重要施策として掲げる「グループ連携によるストック型事業モデルへの強化」として推進を図るクラウドビジネスでは、医療機器販売事業者に向けたクラウド基盤の総合支援サービスの大型案件を受注するなど、着実にその成果が表れています。
この結果、売上高は351百万円(前年同期375百万円、前年同期比6.3%減)となりました。
(セキュリティ部門)
当部門においては、社会生活や経済活動において依存度の高まるインターネットサービスへのサイバー攻撃や不正アクセス等の脅威が増加しています。
電力系などの重要インフラや工場及びビル管理などの産業制御システム分野では、OT/IoTのセキュリティ対策の需要拡大に伴う引き合いの増加により、制御システム・セキュリティリスク分析案件の受注活動は引き続き堅調に推移しています。
また、大手金融機関からは、インターネットバンキングのパスワードの盗難、悪意ある第三者によるなりすましや不正利用対策として、使い捨てパスワードであるワンタイムパスワードを採用した認証基盤システムの大型案件を追加受注したほか、特定の組織、企業などを標的にしたサイバー攻撃への対策として、ネットワークの不正侵入防御セキュリティ案件の引き合いが増加し、官公庁などからの受注に繋がっております。
なお、当社グループ独自のセキュリティサービスでは、ランサムウェアに代表されるサイバー犯罪への対応をはじめ、APTグループによる社会インフラへの攻撃や知的財産等の重要情報の窃取の防御、国家を背景に持つグループによるディスインフォーメーション(情報作戦)の分析など、主に3つの領域で活動を行っています。
ランサムウェア関連では脅威情報サービス及びサイバーリスク管理、APTグループはアジア圏のAPTグループに関する脅威情報、情報作戦はSNSのAIによる解析が該当します。
ランサムウェア関連は主に国内大手企業向けのサービスで、APTグループに関する脅威情報及び情報作戦は主に官公庁向けのサービスであり、各活動とも順調に伸びています。
この結果、売上高は617百万円(前年同期506百万円、前年同期比21.9%増)となりました。
(ソリューションサービス部門)
当部門の多言語リアルタイム映像通訳サービス「みえる通訳」は、インバウンド需要の再開による引き合いに加え、外国人対応スタッフの人手不足の影響を代替する動きが進み、宿泊施設をはじめ公共交通機関、小売店などで契約件数が堅調に推移しました。
また、多言語コンタクトセンターを自社運営する強みから、会議通訳、電話通訳、翻訳等に加えBPOの引き合いも増加しています。
その他、オフィスへの出社回帰の動きから、オールインワンモニターや映像音響機器等の会議室への設備投資案件の引き合いは堅調に推移したほか、企業活動における動画活用の広まりを支援する当社グループ独自のオンデマンド動画配信サービス「Reminar」の本格販売もスタートしました。
さらに、当社グループ独自開発のRPAツール「EzAvater」では、誰でも簡単に使える特徴と認知度の高まりから業界、業種、規模を問わず利用が拡大し、複数の端末でライセンスを共有できるフローティングロボットの契約件数も増加したことで堅調に推移しました。
なお、訪日インバウンドメディアを活用したプロモーション事業を行うIGLOOO(イグルー)社は、インバウンドの受け入れ再開に伴う訪日外国人を誘客するPR需要が増加しているほか、情報システム業務支援及び業務開発のクレシード社では、インボイス制度に対応したシステム開発案件をはじめ、ネットワークの設計構築案件などの受注活動は堅調に推移しています。
この結果、売上高は397百万円(前年同期314百万円、前年同期比26.4%増)となりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における受注高は1,996百万円(前年同期1,259百万円、前年同期比58.6%増)、売上高は1,367百万円(前年同期1,196百万円、前年同期比14.2%増)、受注残高は2,480百万円(前年同期1,952百万円、前年同期比27.1%増)となりました。
損益面では、中長期的な経営戦略の実現に向けた人的資本への投資に伴う費用が増加したことから営業損失9百万円(前年同期は18百万円の損失)、経常損失5百万円(前年同期は19百万円の損失)となりました。その結果、親会社株主に帰属する四半期純損失11百万円(前年同期は57百万円の損失)となりました。
(2)財政状態に関する説明
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は5,017百万円となり、前連結会計年度末に比べ50百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金が279百万円減少したことによるものであります。固定資産は1,229百万円となり、前連結会計年度末に比べ154百万円増加いたしました。これは主に投資その他の資産が176百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における流動負債は3,525百万円となり、前連結会計年度末に比べ199百万円増加いたしました。これは主に買掛金が184百万円増加したことによるものであります。固定負債は371百万円となり、前連結会計年度末に比べ1百万円減少しました。これは主に長期借入金が1百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は2,350百万円となり、前連結会計年度末に比べ94百万円減少いたしました。これは主に期末配当による資本剰余金の減少等によるものであります。
この結果、自己資本比率は37.1%となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。