【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績に関する説明
当社は、2022年11月1日に単独株式移転により株式会社テリロジー(以下「テリロジー」といいます。)の完全親会社として設立されましたが、連結の範囲に実質的な変更はないため、前年同四半期と比較を行っている項目については、テリロジーの2022年3月期第3四半期累計期間(2021年4月1日から2021年12月31日まで)と、また、前連結会計年度末と比較を行っている項目については、テリロジーの2022年3月期連結会計年度末(2022年3月31日)と比較しております。また、当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日から2022年12月31日まで)の四半期連結財務諸表は、単独株式移転により完全子会社となった株式会社テリロジーの四半期連結財務諸表を引き継いで作成しております。
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限や入国制限が緩和され、経済活動は徐々に正常化しつつあります。
しかしながら、世界的な金融引き締めの影響による急激な円安の進行に加え、長期化するウクライナ情勢に伴う原材料価格の高騰による物価上昇など、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような経営環境の下、当社グループでは、社会インフラを取り巻く脅威はさらに多様化・複雑化し、社会生活や経済活動におけるインターネットへの依存度が高まりを見せる中、サイバー攻撃などから社会インフラを守り、安定した運用を実現するためのサイバーセキュリティ対策とOT/IoTのセキュリティ対策に向けた「サイバースレットインテリジェンスサービス」、「脆弱性診断サービス」、「産業系制御システムのセキュリティ対策」などの導入を促す活動に取り組んできました。
また、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の変化を背景に、業務プロセスや作業の自動化と生産の性向上を図る「究極的にカンタンなRPAツール」、新型コロナウイルス対応における在留外国人や聴覚障がい者に向けたコミュニケーション支援の「多言語リアルタイム映像通訳サービス」では、当社グループのオリジナリティを発揮し、各分野での独自のポジションを確立するための営業活動に努めました。
当第3四半期連結累計期間における部門別の概要は次のとおりであります。
(ネットワーク部門)
当部門では、国際的スポーツイベント以降も続くDDoS攻撃への対策のほか、テレワークや在宅勤務によりひっ迫したVPN回線、WAN回線の負荷分散など、企業内ネットワークが抱える課題解決に向けて、DDoS対策サービスやWAN回線の負荷分散装置、Webアプリケーションの最適化などの「Radware」製品の受注活動は堅調に推移しました。
また、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の変化に対応するため、企業内でのテレワーク、フリーアドレス制の導入に伴うWi-Fi環境の構築や利用拡大に向けて、セキュアなクラウド型無線LANシステムによるネットワーク構築案件の受注獲得に努めています。
なお、当社グループが得意とするIPアドレス管理サーバ製品は、当社グループの主要顧客などに向けた新モデルへのリプレース需要が一巡したことから、コロナ禍でのテレワーク増加によるセキュリティ対策に向けて、DNSセキュリティソリューションの提案活動に注力しています。
この結果、売上高は944百万円(前年同期1,059百万円、前年同期比10.9%減)となりました。
(セキュリティ部門)
当部門では、社会生活や経済活動におけるインターネットへの依存度が高まっていることから、ITとOTのネットワーク統合による外部への接続環境が整備されたOT/IoTを標的とするサイバー攻撃の脅威が増加しています。
これに伴い、電力系などの重要インフラや工場及びビル管理などでの産業制御システム分野では、OT/IoTのセキュリティ対策での制御システム・セキュリティリスク分析案件の引き合いは増加しています。
また、昨今のクラウド利用の加速とリモートワークの定着により、外部からのセキュリティ脅威や内部不正のリスクに多くの企業が晒されていることから、既存のシステムやセキュリティ・ツール、SaaS、PaaSなどのログ情報から外部・内部の脅威をいち早く正確に捉えることのできるログ管理・分析クラウドサービスの引き合いが増加したほか、特定の組織、企業などを標的にしたサイバー攻撃への対策では、官公庁をはじめ国内製造業向けのネットワーク不正侵入防御セキュリティ案件の受注を獲得しています。
なお、ダークネットと呼ばれる匿名性の高いネットワークにて、APTに代表される高度な技術を持つ攻撃集団や、サイバー犯罪グループなどがやり取りする悪意ある情報を収集、分析し、契約先企業に提供するサイバースレットインテリジェンスサービスや、サプライチェーンのリスクを可視化するサイバーリスク自動評価サービスなどの受注活動は堅調に推移しました。
さらに、様々な犯罪で利用されることの多いSNSをAIで分析し、犯罪グループ間の隠れた関係や裏アカウントなどを特定するサービスを本格的に開始したほか、次の大きなテーマとして取り組んでいるソフトウェアサプライチェーンリスクのサービスも順調に立ち上がりを見せています。
この結果、売上高は1,507百万円となりました。(前年同期1,174百万円、前年同期比28.4%増)となりました。
(モニタリング部門)
当部門では、新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークや在宅勤務の急拡大により、ネットワークの負荷やセキュリティリスクが高まっています。
これに伴い、当期より本格的に販売を開始した当社グループ独自のパケットキャプチャ製品の新モデルを採用したネットワーク監視やセキュリティ対策、トラブルシューティング対応などの新規案件の獲得に向けた営業活動に注力しています。
また、クラウドサービスなどで提供されるソフトウェアやアプリケーションのパフォーマンスの可視化と問題の原因追究をする当社グループ独自開発の運用監視クラウドサービスは、当社グループの主要顧客を中心に受注活動に努めました。
なお、長年使用されてきたレガシーな製品のサポート終了に伴う保守サービスの売上が減少したことで、当部門の売上高は前年同期に比べ減少となりました。
この結果、売上高は193百万円(前年同期307百万円、前年同期比36.8%減)となりました。
(ソリューションサービス部門)
当部門の多言語リアルタイム映像通訳サービスは、ワクチン接種会場官公庁及び自治体、医療機関での利用は引き続き増加したほか、インバウンド需要の再開により、これまでの契約ユーザーである宿泊施設、商業施設、メガネショップなどでの利用が増加傾向にあり、新規の引き合いも増加していることから、訪日外国人の増加に伴い引き合いの増加が見込まれます。
また、Zoomの新しい利用スタイルとして「みえる通訳」との組み合わせによる「遠隔会議通訳サービス」は、国際会議での需要が拡大し、中小企業向け簡単接続のクラウドマネージドVPNサービスは、簡便性と導入しやすい価格帯から、クラウドPBX事業者、小売流通や中堅企業等のネットワークサービスとしての引き合いは増加しています。
なお、当社グループ独自開発のRPAツールは、誰でも簡単に使える特徴と認知度の高まりから、業界、業種、規模を問わず利用が拡大し、契約件数は堅調に推移しました。
その他、訪日インバウンドメディアを活用したプロモーション事業を行うIGLOOO(イグルー)社では、インバウンド需要の再開により、訪日外国人を誘客するPR需要が増加しているほか、情報システム業務支援及び業務開発のクレシード社の受注活動は概ね予定通りに推移しています。
この結果、売上高は1,158百万円(前年同期1,090百万円、前年同期比6.3%増)となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における受注高は3,899百万円、(前年同期4,569百万円、前年同期比14.7%減)、売上高は3,804百万円(前年同期3,631百万円、前年同期比4.8%増)、受注残高は1,984百万円円(前年同期1,993百万円、前年同期比0.5%減)となりました。
損益面では、急激な円安の進行により売上原価率が上昇したことで売上総利益は減少しました。また、事業の拡大に向けた人的資本の増強に伴う費用に加え、資本業務提携に伴う費用20百万円のほか、譲渡制限付株式の精算など組織再編に伴う諸費用46百万円を計上したことで、営業損失69百万円(前年同期は275百万円の利益)、経常損失32百万円(前年同期は269百万円の利益)となりました。
また、繰延税金資産の取り崩しに伴う法人税等調整額58百万円を計上したことで、その結果、親会社株主に帰属する四半期純損失117百万円(前年同期は153百万円の利益)となりました。
(2)財政状態に関する説明
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は5,084百万円となり、前連結会計年度末に比べ212百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が310百万円増加したことによるものであります。固定資産は1,046百万円となり、前連結会計年度末に比べ72百万円減少いたしました。これは主に投資その他の資産が33百万円減少、無形固定資産が26百万円減少したことによるものであります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は3,296百万円となり、前連結会計年度末に比べ24百万円増加いたしました。これは主に前受金が79百万円減少したものの、買掛金が106百万円増加したことによるものであります。固定負債は256百万円となり、前連結会計年度末に比べ22百万減少しました。これは主に長期借入金が10百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は2,578百万円となり、前連結会計年度末に比べ138百万円増加いたしました。これは主に自己株式の処分等によるものであります。
この結果、自己資本比率は41.6%となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
株式会社テリロジーの前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。