【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文章中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。また、当社は、2022年3月期第3四半期については、四半期連結財務諸表を作成していないため、2023年3月期第3四半期の対前年同四半期増減率は記載しておりません。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年12月31日)における我が国経済は、新型コロナウィルス感染症(以下、「コロナ」という。)による影響が落ち着き始めており、徐々に経済活動が正常化に向かう動きが見られました。しかし一方で、世界経済の混乱により、各国において資源価格や原料価格の高騰、物流の停滞等による物価高騰の影響が生じております。食品製造及び食品小売業界においては、資源価格高騰や円安による原材料及び商品調達価格の上昇並びに輸出入に係るサプライチェーンの混乱、さらに人手不足による人件費の上昇などの影響が業界全体の収益性を押し下げる状況が続いています。そして、費用負担上昇の影響により多くの食品で値上げが行われており、消費者の経済的負担が高まることで、今後の消費低迷、ひいては日本全体の景気の悪化が懸念される状況にあります。このような状況において、当社グループでは、「愛と喜びのある食卓をいつまでも」のコーポレートスローガンの下、2025年3月期を最終年度とする中期経営計画に基づき、昨年から重要施策に掲げているマーケティングや商品開発をさらに強化していくとともに、商品開発から販売に至るサイクルの高速化を徹底し、お客様のニーズに合った商品を素早く開発、製造、販売することで、お客様にとって価値のある商品を提供していくことに、より一層注力して取り組んでまいりました。また、高い成長が期待されるグローバル市場において、お客様の当社グループのブランド認知度を高めて売上高を伸ばしていくとともに、新たな事業の柱になる新規事業の開発にも積極的に取り組んでまいりました。当第3四半期連結累計期間におきましては、当社グループにおきましても、前述の資源価格や原料価格の高騰及び急激な円安等の影響を受けて、やむを得ず9月と12月に一部商品について値上げを実施いたしました。お客様にとって価格に見合う価値のある商品を提供することを第一とし、引き続き、お客様のニーズに徹底的に耳を傾け、お客様が本当に欲しいと思っていただける商品の実現に取り組んでまいります。サービス別の業績は、B to Cの販売チャネルである店舗(直営及びFC)につきましては、当社公式アプリ会員のデータから把握したお客様のニーズを商品開発・販売促進施策へとつなげていくことを継続的に実行し、既存店の収益性向上に努めてまいりました。当第3四半期連結累計期間において、既存店客数は、新型コロナウイルス感染症による影響が落ち着き、旅行需要の回復など消費の動向が変化したことに加え、インフレの影響で食品支出を抑制しようとする動きが見られる中、軽微な減少にとどまりました。一方、既存店客単価につきましては、1購買当たり購入点数の増加、商品価格の値上げにより、前年同期を上回って推移した結果、既存店売上高は、前年同期を上回り、堅調に推移いたしました。また、毎期10店舗程度の新規出店を目標に店舗数の安定拡大に努めており、2022年10月にふかや花園プレミアム・アウトレット(埼玉県深谷市)へ「サンクゼール」業態と「久世福商店」業態を各1店舗ずつ同時出店するなど、当第3四半期連結累計期間において9店舗を新規出店いたしました。ECにつきましては、引き続きお客様からギフト用途として当社商品に対する高い支持をいただいており、当社公式ECサイトでメッセージカード添付機能を導入するなど、ギフト用途のさらなる利便性向上に努めました。また、2022年9月に久世福商店ブランドの商品が全国ネットのテレビ番組で取り上げられたことをきっかけとして、お客様の久世福商店ブランドの認知が高まり、その後のECサイトへのアクセス数の伸びにつながったことで、ECの売上高は前年同期比で伸長いたしました。B to Bの販売チャネルであるホールセールにつきましては、大手小売チェーンとの取引が継続して拡大しており、前連結会計年度の途中で採用された商品のその後の売上も堅調に推移していることから、前年同期比で売上高が伸長いたしました。また、グローバルにつきましては、米国及び台湾における大手小売チェーンに対する販売が伸びたことに加え、米国での新規顧客の開拓が進捗し、商品価格帯がミドル~ハイエンドの食品スーパーを中心に、複数の商品を当社オリジナルの棚什器とともに納品し、当社ブランドの世界観を表現した中で商品を販売する施策が奏功し、新規顧客の開拓と既存顧客との取引拡大につながりました。この結果、前年同期比で売上高が伸長いたしました。(注)当社グループでは、開店後18か月以上経過している店舗を「既存店」として客単価及び客数を集計しております。
なお、当社グループのみならず、当社グループを取り巻く社会全体が長期的に持続可能なものになるように、当社グループが定めるサステナビリティ重点項目に従い、サステナビリティ経営に注力しております。サステナビリティ経営を推進する取り組みとして、2022年4月より当社飯綱本社(長野県上水内郡飯綱町)の食品製造工場及び関連施設において使用する電力の一部を、中部電力ミライズ株式会社が提供するCO2フリー電気「Greenでんき」へ切り替えました。また、2022年6月より国立大学法人信州大学の井田秀行教授の協力を得て、当社信濃町センター(長野県上水内郡信濃町)エリアの森を保護及び活性化することを目的としたプロジェクトを開始いたしました。これらの取り組みも含め、今後も持続可能で豊かな社会の実現のために、積極的に取り組んでまいります。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における連結業績は、売上高が131億83百万円となりました。営業損益は、主として売上高が増加したことに伴い、11億78百万円の営業利益となりました。経常損益は、為替差益21百万円及び当社子会社St. Cousair, Inc.において「給与保護プログラム(Paycheck Protection Program)」により返済免除を受けたことによる債務免除益36百万円などの営業外収益84百万円を計上した一方で、支払利息26百万円などの営業外費用54百万円を計上したことにより、12億7百万円の経常利益となりました。親会社株主に帰属する四半期純損益は、税金費用4億27百万円を計上したことにより、7億89百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益となりました。
出店政策に関しましては、当社グループでは、商圏人口、賃貸条件、ROIC等の指標を総合的に勘案し、新規出店を行っております。当第3四半期連結累計期間におきましては、「サンクゼール」業態で1店舗、「久世福商店」業態で8店舗を新規出店いたしました。また、「久世福商店」業態の1店舗を直営店からFC加盟店へ運営主体の切り替えを行いました。その結果、当第3四半期連結累計期間末における店舗は直営店54店舗、FC加盟店102店舗、計156店舗となりました。当第3四半期連結累計期間における業態別の店舗数は以下の通りです。直営店からFC加盟店へ運営主体の切り替えを行った店舗については、直営店の減少とFC加盟店の増加に含めて集計しております。
業態名
区分
前連結会計年度末
増加
減少
当第3四半期連結会計期間末
サンクゼール
直営店
11
1
–
12
FC加盟店
4
–
–
4
計
15
1
–
16
久世福商店
直営店
42
1
1
42
FC加盟店
90
8
–
98
計
132
9
1
140
全業態合計
直営店
53
2
1
54
FC加盟店
94
8
–
102
計
147
10
1
156
当社グループは、食品製造販売事業を単一の事業セグメントとしているため、セグメント情報の開示は省略しております。
当第3四半期連結累計期間におけるサービス別の売上高は以下の通りです。
区分
売上高(千円)
直営店
4,770,988
FC
4,565,784
EC
832,833
ホールセール
2,311,791
グローバル
701,731
計
13,183,128
① 直営店当第3四半期連結累計期間における直営店の既存店客数及び客単価は、前述の通り、既存店客数が軽微な減少にとどまる中、既存店客単価が前年同期を上回って推移いたしました。また、2022年10月にふかや花園プレミアム・アウトレットへ直営店2店舗を新規出店いたしました。その結果、当第3四半期連結累計期間における直営店に係る売上高は47億70百万円となりました。② FC当第3四半期連結累計期間におけるFCの既存店客数及び客単価は、直営店に記述した通りです。また、当第3四半期連結累計期間を通じて、FC加盟店7店舗を新規出店いたしました。その結果、FCに係る売上高は45億65百万円となりました。③ EC当第3四半期連結累計期間におきましては、ギフト商品としての認知度が高まるとともに、テレビ番組への露出効果も奏功し、ECの利用者数が継続して増加したことで売上は堅調に推移いたしました。その結果、ECに係る売上高は8億32百万円となりました。④ ホールセール当第3四半期連結累計期間におきましては、大手小売チェーンとの取引が継続して拡大いたしました。前第3四半期連結会計期間以降に採用された商品は、当第3四半期連結累計期間においても売上は堅調に推移しており、売上増加に寄与しました。その結果、ホールセールに係る売上高は23億11百万円となりました。⑤ グローバル当第3四半期連結累計期間におきましては、米国及び台湾において大手小売チェーンに対する販売が増加したことに加え、米国内での新規顧客開拓及び既存顧客との取引が堅調に拡大いたしました。以上の結果、グローバルに係る売上高は7億1百万円となりました。国別の内訳は、米国顧客への売上高が4億37百万円、台湾顧客への売上高が2億46百万円、その他の地域への売上高が17百万円であります。
(資産、負債及び純資産の状況)当第3四半期連結会計期間末の総資産は99億6百万円となり、前連結会計年度末に比べ34億42百万円増加いたしました。これは、2022年12月21日に東京証券取引所グロース市場へ上場したことに伴い、公募(ブックビルディング方式による募集)による新株式1,200,000株を発行したこと等の要因により、現金及び預金が19億98百万円増加したこと、さらに売上高の増加により売掛金が7億87百万円増加したこと等によるものであります。負債は58億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億68百万円増加いたしました。これは、商品仕入高の増加により支払手形及び買掛金が4億25百万円、法人税等の支払に充当すること等を目的に短期借入金が2億82百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。純資産の部に関しては、前述の新株式の発行に伴い、資本金及び資本剰余金がそれぞれ9億93百万円増加したことに加えて、親会社株主に帰属する四半期純利益7億89百万円の計上によって利益剰余金が5億21百万円増加したこと等の要因により、株主資本は前連結会計年度末に比べ25億8百万円増加し、38億29百万円となりました。また、為替相場が円安に推移した影響で、為替換算調整勘定は前連結会計年度末から1億55百万円増加し、1億80百万円となりました。以上の結果、純資産合計は、前連結会計年度末に比べ26億73百万円増加し、40億29百万円となりました。その結果、自己資本比率は40.7%となりました。
(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定有価証券届出書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3) 経営方針・経営戦略等当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動該当事項はありません。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、有価証券届出書「第二部 企業情報 第2 事業の状況 2 事業等のリスク」及び本四半期報告書「第2 事業の状況 1 事業等のリスク」に記載されているとおりであります。
(7) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当第3四半期連結累計期間において、資本の財源及び資金の流動性について重要な変更はありません。