【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度(2022年3月1日~2023年2月28日)における当社グループを取り巻く日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響は残るものの、行動制限の緩和による経済活動の穏やかな正常化が進みました。一方で、世界的な金融引き締めによる円安の進行やロシアのウクライナ紛争の長期化に伴う資源高や物価高など、国内景気は引き続き不透明な状況が続きました。このような状況下にあっても、ソーシャルメディアの利用率は上昇の一途をたどり、社会のデジタル化に合わせた企業や地方自治体のデジタル化への対応や競争力強化を目的としたIT投資は好調に推移しています。また、外食業界で頻発する不適切行為に伴うSNS炎上や、デジタル空間を起点とした広域強盗事件などの発生によって、インシデントへの危機感が高まっております。これらを踏まえて、デジタル化によって生じる多様なリスクの対策を提供する当社グループのニーズはより一層高まっているものと認識しております。なお株式会社MM総研がまとめた「デジタルリスクサービスに関する利用動向調査(2022年6月時点)」によると、2021年度の「デジタルリスクサービス」の市場規模は、前年度比15.0%増の77.4億円となっており、同市場は2024年度に139.2億円に拡大すると予測しております。しかしながら、何らかの対策を講じていない企業は8割にのぼり、新規開拓余地の大きな市場と考えています。また警備業界においては、国内の警備員構成比の高齢化(警察庁「令和3年における警備業の概況」)や慢性的な人手不足、デジタル化推進遅延による生産性向上の停滞などさまざまな問題に直面しており、警備業界のデジタル化による業界全体の生産性向上に貢献して参ります。
さらに、地方自治体においてはICT等を活用したデジタル化推進による住民の暮らしの向上などが求められており、行政サービスのデジタル化にも取り組んでおります。
(a) 財政状態当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,529,944千円増加し、6,000,402千円となりました。当連結会計年度末における流動資産は、2,509,037千円となり、前連結会計年度末に比べ725,906千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が390,201千円増加し、受取手形、売掛金及び契約資産が201,825千円増加したこと等によるものであります。固定資産は、3,491,364千円となり、前連結会計年度末に比べ2,804,130千円増加いたしました。これは主に投資有価証券が261,775千円増加し、のれんが2,346,589千円増加したこと等によるものであります。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,595,039千円増加し、3,665,386千円となりました。このうち、流動負債は、前連結会計年度末に比べ907,361千円増加し、1,339,377千円となりました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が361,657千円増加し、未払金が170,251千円増加したこと等によるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ1,687,678千円増加し、2,326,009千円となりました。これは長期借入金が1,519,002千円増加したことによるものであります。当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ934,905千円増加し、2,335,015千円となりました。これは資本金が402,600千円増加し、資本剰余金が477,529千円増加したことや、親会社株主に帰属する当期純利益42,644千円等によるものであります。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しており、収益認識会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従い、当連結会計年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を、当連結会計年度の期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用しております。この結果、当連結会計年度の利益剰余金の当期首残高は2,166千円増加しております。
(b) 経営成績当連結会計年度の連結業績において、デジタルリスク事業はソーシャルリスクに関わるWebリスクモニタリングサービスに加えて、営業秘密持ち出しを早期検知する内部脅威検知サービス等、多様化するリスク要因と様々な業界の顧客需要に合わせたサービス提供に注力しました。AIセキュリティ事業は、「警備業界を変革するための“デジタル”プロダクト創出」と「セキュリティDXを推進するため“フィジカル”な警備サービスの成長」を目標とし、フィジカルな警備サービスの運営効率向上と新規営業体制強化の取り組みと、警備サービスの運営で培った経験をもとに警備事業のDX化プロダクトの開発・普及に注力しました。またDX推進事業では、デジタル田園都市国家構想を追い風に行政の住民サービスのデジタル化を支援するプロダクトの開発・普及に注力しました。 さらに、2022年9月1日付けで株式会社メタウンを連結子会社化し、不動産領域での事業展開の足がかりを得ました。今後当社グループは、2022年5月に発表した「メタシティ構想」の実現を目指し、3つの事業それぞれの拡張に取り組み、各事業が相互にシナジーを生み出せる形へと昇華することを目指します。この結果、当連結会計年度の売上高は4,685,520千円(前年同期比74.7%増)となり、EBITDAは、446,608千円(前年同期比80.1%増)、営業利益は202,534千円(前年同期比152.0%増)、経常利益は、143,745千円(前年同期比52.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、42,644千円(前年同期比66.6%減)となりました。また、当連結会計年度に計上した5社のM&A諸費用など一時費用を除く営業利益は274,784千円、経常利益は215,995千円となりました。なお、当連結会計年度の期首から収益認識会計基準等を適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更したため、当該変更により、従来の方法に比べて当連結会計年度の売上高は5,009千円増加し、売上原価は253千円減少し、「営業利益」、「経常利益」及び「税金等調整前当期純利益」はそれぞれ5,262千円増加しております。
(c) セグメントごとの経営成績セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(デジタルリスク事業)デジタルリスク事業は、主にSNSやブログ、インターネット掲示板などWeb上のソーシャルメディアに起因するリスク対策を支援するソーシャルリスク対策と営業秘密情報の持ち出しなどの社内に潜むリスクを検知するインターナルリスク対策から構成されております。 「ソーシャルリスク対策」については、リスク検知時の初動対応コンサルティングを含むWebリスクモニタリングを主力サービスとして提供しています。デジタル上の情報量の増加や影響力の高まりによって、IPO検討企業や既存コンテンツへのリスク対策など、多種多様な課題解決を目的に活用が進んでいます。また、社内規程作成支援や従業員向け研修の提供など、幅広い形で企業のSNSリスク対策サービスを支援致しました。
「インターナルリスク対策」については、昨今話題となっている営業秘密等の機密情報持ち出し対策や、経済安全保障の観点による情報管理強化支援を目的に製造業・金融業を中心に新規導入が進みました。さらに国内大手企業から中小企業まで幅広い企業へのアプローチを目的に、パートナーシップ制度の運営に取り組んでまいります。 今後、より多様かつ高精度なリスク分析の実現に向けて、自然言語処理技術を用いた内部不正対策にも取り組んでまいります。以上の結果、当連結会計年度におけるデジタルリスク事業の売上高は2,374,726千円(前年同期比 23.4%増)、セグメント利益は883,647千円(前年同期比23.0%増)となりました。 また、M&A諸費用などの一時費用を除くセグメント利益は912,347千円となりました。なお、当連結会計年度の期首から収益認識会計基準等を適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更したため、従来の方法に比べて、当連結会計年度のデジタルリスク事業の売上高は1,581千円増加し、セグメント利益は2,998千円増加しております。
(AIセキュリティ事業)AIセキュリティ事業は、フィジカルな警備事業を運営しつつ、運営の中で生じる課題解決のためにAIやIoTを組み合わせた警備業界のDXを推進しております。株式会社AIKの主要サービスである「AIK order」について は、登録者数拡大が続いており、2023年2月には導入警備会社の対応可能地域が全国47都道府県全てを網羅致しました。建設業や小売店を依頼者としたマッチングによる案件成約事例も増加しており、既存サービスの改善活動やカスタマーサクセス活動の成果に繋がっております。また、PMI推進本部を中心に、警備事業を提供する株式会社And Security、ISA株式会社、SSS株式会社の新規営業体制強化に取り組んでおり、新規案件受注という成果にも繋がっています。 一方で、ISA株式会社、SSS株式会社のM&Aやデジタルプロダクトの開発投資などの諸費用の影響により、セグメント別営業利益はマイナス着地しました。以上の結果、当連結会計年度におけるAIセキュリティ事業の売上高は1,334,547千円(前年同期比84.5% 増)、セグメント損失は34,855千円(前年同期は52,646千円のセグメント損失)となりました。また、M&A諸費用などの一時費用を除くセグメント損失は25,755千円となりました。なお、当連結会計年度の期首から収益認識会計基準等を適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更しておりますが、当連結会計年度のAIセキュリティ事業への影響はありません。
(DX推進事業)DX推進事業は、行政の住民サービスのデジタル化支援、エンジニアなどのDX人材の派遣サービスを展開しています。行政の住民サービスのデジタル化支援では、住民総合ポータルアプリや健康増進アプリなどの提供に注力しました。2022年12月には宮崎県延岡市のポータルアプリのサービス提供が開始となり、2023年1月には熊本県長洲町と包括連携協定を締結するなど、着実に事業を前進させております。株式会社GloLingは、事業体制と戦略を明確化し、上期に引き続き営業活動の強化に取り組み、売上高の拡大につながっています。さらに、株式会社メタウンのPMIを推進しつつ、当社グループが掲げる「メタシティ構想」への動きも着実に推し進め、第4四半期会計期間においては、セグメント別で黒字化を達成しました。一方で、通期では株式会社メタウンのM&Aなどの諸費用の影響により、セグメント別営業利益はマイナス着地しました。以上の結果、当連結会計年度におけるDX推進事業の売上高は1,037,928千円(前年同期比2,582.4%増)、セグメント損失は84,739千円(前年同期は65,695千円のセグメント損失)となりました。 また、M&A諸費用などの一時費用を除くセグメント損失は50,289千円となりました。なお、当連結会計年度の期首から収益認識会計基準等を適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更したため、従来の方法に比べて、当連結会計年度のDX推進事業の売上高は3,428千円増加し、セグメント利益は2,263千円増加しております。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ390,201千円増加し、1,656,787千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、715,090千円(前年同期は、190,775千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益132,323千円、減価償却費50,459千円、のれん償却額248,443千円、投資有価証券売却益44,346千円、売上債権の増加額43,035千円、未収入金の減少額447,136千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果支出した資金は、3,110,535千円(前年同期は、128,834千円の獲得)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出131,844千円、投資有価証券の取得による支出295,049千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,688,058千円の一方で、投資有価証券の売却による収入44,348千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果得られた資金は、2,785,626千円(前年同期は、74,063千円の使用)となりました。これは、長期借入れによる収入2,684,000千円、長期借入金の返済による支出734,940千円、株式の発行による収入805,200千円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の売却による収入25,350千円等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績当社グループの事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(b) 受注実績当社グループの事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(c) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメント名の名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
デジタルリスク事業
2,364,377
22.9
AIセキュリティ事業
1,332,436
85.0
DX推進事業
988,705
2,490.6
合計
4,685,520
74.7
(注)1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
販売実績の総販売実績に対する割合が10%を上回っている相手先がないため、記載を省略しております。2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析、検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、次の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の分析
経営成績の分析については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社グループの資金需要は、運転資金に加え、新規事業への事業投資や投資有価証券の取得であります。現状、これらの資金需要につきましては、自己資金、金融機関からの借入れによって調達しておりますが、必要に応じて、増資や社債発行等により柔軟に対応することとしております。
(3) 経営戦略の現状と見通し当社グループの事業に関連する市場においては、コロナ禍での新しい経済活動の拡大や新しい生活様式の定着を背景に、あらゆる場面でデジタル化施策が注目されております。デジタル化が進むことで新たなリスクが生じるため、当社グループが立脚する市場は拡大すると考えております。特に、経済安全保障などにも関連し、セキュリティに対する関心が高まっており、利便性と両立する安全なデジタル化に関する需要が増大していると考えられます。中核事業が立脚するインターネット市場においても、市場は堅調な回復傾向にあるものと考えております。このような経営環境の中、当社グループは中期経営計画「The Road To 2024」を策定し、中長期的な企業価値の向上を目指しております。中核事業であるデジタルリスク事業においては、価値訴求による差別化を図り、独自色の強いサービスにより顧客基盤と収益基盤の増大に注力しております。また、次代の中核事業とすべくグループ全体でAIセキュリティ事業の規模を拡大するとともに、デジタル化を推進し警備業界へプロダクト展開を図っております。加えて、デジタル田園都市国家構想などと歩調をあわせながら自治体及び企業のDXを支援し、堅守速攻の総合デジタルソリューション企業として、DX推進事業を将来の中核事業とすべく基礎作りを行っております。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(5) 経営者の問題認識と今後の方針「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
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