【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当社グループが属するクラウドサービス市場においては、クラウドサービスを利用している企業の割合は引き続き上昇傾向にあります。総務省の令和4年「通信利用動向調査」によると、2022年度末におけるクラウドサービス利用企業の割合は72.2%(前年70.4%)に拡大しています。また、同調査によると、資本金規模別のクラウドサービス利用状況においても、大企業を中心に引き続きその利用率は拡大傾向にあります。このように成長を続けるクラウドサービス市場の中で、当社が属するマーケティングオートメーション(SaaS)分野も例外ではなく、今後も8.6%(2022~2027年度の年平均成長率)の市場成長率が見込まれています(出展:株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2023年版」)。
一方で、コロナ禍で影響を受けていた当社のマーケティング活動やイベントクラウド事業において、コロナ禍を脱し、社会活動を取り戻しつつある中で、コロナ禍で培ったウェビナーを活用した自社マーケティング活動を継続しつつも、リアル展示会への出展や、リアルイベント開催への回帰の動きが鮮明となってきています。
このような状況の中、当第3四半期連結累計期間における売上高については、主力事業であるサブスクリプション事業を中心に概ね順調に推移しました。また、費用面については、中期的な成長加速を実現するために積極的に採用を行ってきたことにより人件費は前年同期比で増加していますが、足元では中途採用を抑制し、既存人員の有効活用のフェーズに舵を切っています。一方でメタバース事業については、前年同期比を上回る成果を上げていますが、当初事業計画に対する進捗遅れを踏まえて検討した結果、当第3四半期において固定資産(ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定)の減損損失を144,291千円計上しています。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の当社グループの売上高は2,037,904千円(前年同期比18.8%増)、営業損失は303,413千円(前年同期は営業損失262,478千円)、経常損失は313,750千円(前年同期は経常損失254,747千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は460,114千円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失256,051千円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、前第2四半期連結会計期間より、報告セグメントを従来の単一セグメントから「サブスクリプション事業」「イベントクラウド事業」「メタバース事業」の3区分に変更しておりましたが、2022年6月30日付で後藤ブランド株式会社の全株式を取得したことに伴い、「その他」としておりました広告事業の重要性が増したため、前第3四半期連結会計期間より新たに「広告事業」を加えた4区分に変更しております。
旧セグメント
新セグメント
マーケティングプラットフォーム事業
マーケティングオートメーションサービス
MA-サブスクリプション
MA-プロフェッショナル
CMS-サブスクリプション
CMS-プロフェッショナル
サブスクリプション事業
■サブスクリプション(年間契約)
MA、CMSのシステム利用料
MRR(月額契約金額)、従量課金、有償保守サービス、年間契約のBPOサービス
■プロフェッショナル
MA、CMSに関する初期導入サービス、BPOサービス、WEB制作、マーケティングコンサルティング等
EM(イベントマーケティングサービス)
イベントクラウド事業
SMPを用いたイベントのシステム支援(バーチャルイベントに関するシステム構築費を含む)、会期当日支援(機材レンタルを含む)
その他(広告)
広告事業
デジタル広告の運用、コンサルティング
―
メタバース事業
株式会社ジクウが提供するメタバースイベントプラットフォームのシステム利用料、従量課金、初期導入サービス、BPOサービス等
①サブスクリプション事業
サブスクリプション事業は、「SHANON MARKETING PLATFORM」を中心とする年間利用契約に関する売上(サブスクリプション)とそれに付随する初期導入やコンサルティングサービス等の売上(プロフェッショナル)から構成されています。
当第3四半期連結累計期間における売上高については、最重点方針として取り組んでいるサブスクリプション売上は、概ね順調に推移しました。一方で、プロフェッショナル売上については、大型案件については当第4四半期に売上計上を予定している案件を含め、順調に推移しているものの、中小型案件においては、価格競争等により新規案件や既存顧客からのサービス売上に苦戦が見られました。
この結果、当第3四半期連結累計期間におけるサブスクリプション売上は1,040,707千円(前年同期比10.1%増)、プロフェッショナル売上は446,140千円(前年同期比24.0%増)、サブスクリプション事業全体の売上高は1,486,848千円(前年同期比14.0%増)、営業利益は51,985千円(前年同期比127.7%増)となりました。また、当第3四半期連結会計期間末における契約アカウント数は、537アカウント(前期末比5.9%増)となりました。
②イベントクラウド事業
イベントクラウド事業は、昨年後半から徐々にリアルイベント開催への回帰の傾向が見受けられるようになってきており、当社のイベントクラウド事業を取り巻く市場環境は改善してきています。現状では前年同期に比べて大型の案件が少ない状況ではありますが、案件数では昨年を上回る状況となっています。
この結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は342,702千円(前年同期比10.8%増)、営業損失は14,093千円(前年同期は営業利益23,095千円)となりました。
③メタバース事業
メタバース事業は、リアルイベントへの回帰の流れは一部逆風となるものの、影響を受けるプライベートショーや展示会だけでなく、ウェビナー、採用イベントやマッチングイベント、ショールームなどの案件や、現在商談中のものでは社内イベントや周年イベント、IRイベント、学会など活用シーンにも広がりが出てきており、受注済みの案件を含めると既に前期の売上実績を上回る状況となっています。また、多様化する活用シーンをしっかりと受注獲得機会に繋げられるように、積極的な事例公開や追加の機能開発にも引き続き取り組んでいます。
この結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は24,254千円(前年同期比51.0%増)、営業損失は53,829千円(前年同期は営業損失57,388千円)となりました。
④広告事業
広告事業は、前第3四半期連結会計期間より新たに連結範囲に含まれることとなった後藤ブランド株式会社の寄与もあり、前年同期比で大幅に売上高は増加しておりますが、既存の大口顧客の売上減少の影響があり、その分が当初予想に対してビハインドしている状況です。なお、前期にリリースした国内初のサードパーティークッキーに依存しないクッキーレス型のダイナミックリターゲティング広告の受注は順調に推移しています。
この結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は184,099千円(前年同期比114.2%増)、営業利益は1,143千円(前年同期比95.1%減)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、2,089,647千円(前連結会計年度末1,840,823千円)となり、248,824千円の増加となりました。このうち、流動資産は1,147,370千円(前連結会計年度末770,986千円)となり、376,383千円の増加となりました。この主な要因は、受取手形、売掛金及び契約資産が144,815千円減少した一方で、現金及び預金が511,109千円増加したことによるものであります。また、固定資産は931,740千円(前連結会計年度末1,064,921千円)となり、133,180千円の減少となりました。この主な要因は、投資その他の資産のその他に含まれる敷金が16,801千円、のれんが20,461千円、減損損失を144,291千円計上したことを主因としてソフトウエア及びソフトウエア仮勘定の合計が102,463千円減少したことによるものであります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、2,065,635千円(前連結会計年度末1,555,414千円)となり、510,221千円の増加となりました。このうち、流動負債は1,091,506千円(前連結会計年度末1,036,204千円)となり、55,302千円の増加となりました。この主な要因は、支払手形及び買掛金が53,269千円、短期借入金が50,000千円それぞれ減少した一方で、前受金が131,483千円、1年内返済予定の長期借入金が27,104千円それぞれ増加したことによるものであります。また、固定負債は974,129千円(前連結会計年度末519,210千円)となり、454,919千円の増加となりました。この要因は、長期借入金が119,541千円減少した一方で、社債が574,460千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、24,012千円(前連結会計年度末285,409千円)となり、261,397千円の減少となりました。この主な要因は、転換社債型新株予約権付社債の新株予約権の権利行使により、資本金及び資本準備金がそれぞれ68,299千円増加し、新株予約権の行使により、資本金及び資本準備金がそれぞれ30,930千円増加した一方で、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上により利益剰余金が460,114千円減少したことによるものであります。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動 該当事項はありません。
#C3976JP #シャノン #情報通信業セクター