【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 業績の状況 当社グループは「RE-INFRA COMPANY」をコーポレートアイデンティティとし、社会の様々な「RE」を統合した唯一無二のインフラを構築していくという考えのもと、祖業である価格比較メディア(aucfan.com)の運営から、BtoBの卸プラットフォーム(NETSEA)、滞留在庫・返品・型落ち品などの流動化支援サービス(ReValue(※1))など、「RE」に関わるサービスにて事業拡大してまいりました。
近年における国内のBtoB卸売市場は300兆円(※2)規模と推定されており、海外においてもBtoB卸売分野でのユニコーン企業が誕生するなど、新たな潮流を観測しています。また、SDGs(※3)に始まり、世界中で廃棄ロス問題が大きくクローズアップされており、国内でも年間約22兆円(※4)規模に達すると試算しております。さらにはEC化率の増加に伴い、返品市場も今後拡大すると考えられております。
これに対して、オークファングループは卸売市場におけるSMB(中小企業・個人事業主)を中心としたデジタルトランスフォーメーション(DX)化の遅れに注目し、廃棄ロスの削減を課題とした取り組みを進めてまいりました。具体的には、創業来培った売買データとAI技術により商品の時価を可視化、価格と販路を最適化する在庫価値ソリューション、SMB(中小企業・個人事業主)を中心とした小売・流通業向けに流通を支援する商品流通プラットフォームを用いて、在庫流動化支援ソリューションを展開してまいりました。卸売市場では今後DX化が必要不可欠であることを再認するとともに、廃棄ロス市場ではリバースロジスティクス(返品物流)分野におけるリーディングカンパニーとなる絶好の機会と捉え、流通額(GMV)を最重要指標とし、事業の選択と集中をし、中長期に向け営業利益を拡大させる成長戦略のもと積極的に先行投資を進めております。当四半期においては、関西を拠点にオフライン卸の展示会を開催するオーエスアールネット株式会社及び大阪船場流通マート株式会社を子会社化することにより、オンライン・オフライン取引をシームレス化し、BtoB市場におけるDX化並びに流通額(GMV)拡大の取り組みを進めております。
※1 2021年8月より、サービスの一部である「リバリューBtoBモール」を「NETSEAオークション」に名称変更※2 経済産業省 2021年7月30日発表 電子商取引に関する市場調査より推察※3 Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)。2015年に国連で採択された2030年までに達成すべき目標※4 平成28年度法人企業統計(財務省)などを基に当社試算
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は4,530,566千円(前年同四半期比29.2%減)、営業利益は9,981千円(前年同四半期比98.5%減)、経常利益は6,873千円(前年同四半期比99.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純損失は65,735千円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純利益429,390千円)となりました。
なお、2022年9月期より、事業の選択と集中を実施したことによる組織再編に伴って、商品流通プラットフォーム事業として区分しておりました株式会社オークファンのスクール形式の副業支援サービス『good sellers(グッドセラーズ)』は、主として在庫価値ソリューション事業の顧客に対するサービスを業績測定の要素として再構築したことから、区分を在庫価値ソリューション事業に変更しております。また、インキュベーション事業として区分しておりました株式会社承知しましたの提供するコンサルティングサービスは、株式会社承知しましたを前期末に当社に吸収合併したことにより、主に在庫価値ソリューション事業の顧客に対してサービスを提供することとしたため、区分を在庫価値ソリューション事業に変更しております。そのため、前年同四半期比については、前第3四半期連結累計期間の数値を報告セグメント変更後の数値に組み替えて比較を行っております。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(在庫価値ソリューション事業)当セグメントは、データを基にAI技術を活用し在庫の価値を可視化し、企業が保有する在庫価値の可視化・最適化等を推進するソリューションを提供する当社グループの基盤の一つとなるセグメントであります。主なサービスとしては当社が保有する流通相場データを活用した『aucfan.com(オークファンドットコム)』となり、主たる収益源は有料課金収入となります。その他、専門知識がなくても直感的に操作できるRPAツール『オークファンロボ』、EC販売支援サービス『タテンポガイド』、副業・複業として物販ビジネスを行う事業主を対象とするスクール形式の副業支援サービス『good sellers(グッドセラーズ)』等がございます。なお、2021年9月期に実施した事業の選択と集中により、大手企業向け在庫管理AIソリューション「zaicoban(ざいこばん)」はサービスを終了しております。これらの結果、売上高1,716,287千円(前年同四半期比0.1%増)、営業利益340,549千円(前年同四半期比31.1%増)となりました。
(商品流通プラットフォーム事業)当セグメントは、BtoBマーケットプレイスの運営及び自社にて卸販売を行うことにより、BtoB取引のDX化及び滞留商品等の流通を支援する、当社グループの成長を担うセグメントであります。主なサービスとしては、BtoB卸モール『NETSEA(ネッシー)』、滞留在庫・返品・型落ち品などの流動化支援を行う『NETSEAオークション(旧 リバリューBtoBモール)』がございます。主たる収益源は、NETSEAでは流通手数料収入及び有料課金収入、NETSEAオークションでは商品販売収入となります。『NETSEA(ネッシー)』及び『NETSEAオークション(旧 リバリューBtoBモール)』を中心として、流通量・利用者の増加が好調に推移しており、さらなる流通額最大化を狙った営業・開発体制の強化及び積極的なプロモーションを実施しております。当四半期からオーエスアールネット株式会社及び大阪船場流通マート株式会社の提供するオフライン展示会『OSR(オーエスアール)』が当セグメントに含まれます。主たる収益源は、出展料収入及び集金手数料となります。なお、2021年9月期に実施した事業の選択と集中により、寄付型ショッピングサイト「otameshi(オタメシ)」は、サービスの運営を終了しております。また、非注力事業である法人向け卸販売取引における債権を保守的に再評価し、回収見込みが不確定な債権を貸倒引当金として繰入計上しております。これらの結果、売上高2,280,909千円(前年同四半期比33.3%減)、営業損失502,405千円(前年同四半期は営業利益36,952千円)となりました。
(インキュベーション事業)当セグメントは、事業投資及び投資先企業の支援を通じて、当社が中長期にわたり競合優位性を構築・維持していくための知見とネットワークを得ることを目的とした事業セグメントであります。営業投資有価証券の売却、投資先企業へのコンサルティング及び新規事業の開発等を実施しており、第1四半期連結会計期間及び当第3四半期連結会計期間には営業投資有価証券の一部売却を行っております。これらの結果、売上高671,605千円(前年同四半期比51.8%減)、営業利益522,949千円(前年同四半期比21.7%減)となりました。
(2) 財政状態の状況当第3四半期連結会計期間末における資産、負債及び純資産の状況とそれらの要因は次のとおりです。
① 資産当第3四半期連結会計期間末における総資産は、7,428,518千円(前連結会計年度末は8,487,284千円)となりました。流動資産は、6,563,282千円(前連結会計年度末は7,638,182千円)となりました。主な要因といたしましては、現金及び預金が217,449千円増加、未収入金が305,863千円増加、貸倒引当金が240,156千円減少、売掛金が178,012千円減少、商品が182,166千円減少、営業投資有価証券が1,125,834千円減少、その他(流動資産)が352,347千円減少した結果であります。固定資産は、865,235千円(前連結会計年度末は849,102千円)となりました。主な要因といたしましては、破産更生債権等が298,303千円増加、長期未収入金が376,147千円増加、ソフトウエア仮勘定が71,526千円増加、貸倒引当金が651,942千円増加、のれんが75,876千円減少した結果であります。
② 負債当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、2,727,838千円(前連結会計年度末は3,029,243千円)となりました。流動負債は、2,441,167千円(前連結会計年度末は2,241,972千円)となりました。主な要因といたしましては、買掛金が43,535千円増加、未払金が158,603千円増加、1年内返済予定の長期借入金が49,894千円減少した結果であります。固定負債は、286,671千円(前連結会計年度末は787,270千円)となりました。主な要因といたしましては、繰延税金負債が354,725千円減少、長期借入金が190,088千円減少した結果であります。
③ 純資産当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、4,700,679千円(前連結会計年度末は5,458,041千円)となりました。主な要因といたしましては、新株予約権の権利行使により資本金及び資本剰余金が89,600千円増加、利益剰余金が65,735千円減少、その他有価証券評価差額金が866,769千円減少した結果であります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、41,045千円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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