【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、3年以上にわたり国民生活、経済活動に多大な影響を及ぼし続けてきた新型コロナウイルス感染症に対し、政府が感染症法上の位置づけを従来の「2類」から季節性インフルエンザと同等の「5類」に引き下げると発表したことを受け、各種行動制限が解除され、ウイズコロナの生活様式が定着しつつある中で推移してまいりました。
国内景気は、石油、天然ガス等のエネルギー資源価格が依然として高止まりする状況下、政府が再エネ賦課金の引き下げやプロパンガス料金の負担軽減等の負担軽減措置を講じたこともあり、持ち直し傾向にあります。海外経済が弱含む中で輸出が減少しているものの、新型コロナウイルス感染症にかかる各種規制が撤廃され、マスク着用等の感染予防対策も個人の判断に委ねられる等、本格的な経済活動に繋がる明るい兆しも見え始めております。特にここ数年にわたり新型コロナウイルス感染症の影響を最も大きく受けてきた旅行、娯楽、外食といった個人消費が各種行動制限の解除に伴い、制限のない様々な催事が3年ぶりに復活する等により、人出の回復に繋がり、消費額の改善が図られております。しかしながら、家計の平均消費性向としては、依然として新型コロナウイルス感染症拡大前の水準を下回る状況にあり、今後の個人消費の拡大余地を残しており、ウイズコロナの生活様式のさらなる定着が求められております。また、半導体供給不足に端を発して生産制限が生じていた半導体産業、自動車産業等の製造業においても徐々に持ち直しの機運が高まりつつあります。そうした中で迎えた本年の春闘においては、1993年以来30年ぶりとなる高い賃上げ率が達成された見込みであり、経営者の意識もインフレを前提として賃上げを容認する状況に至っており、特に旅行業、飲食業等のサービス産業においては、新規求人数が増加傾向にありますが、雇用市場全体としては失業率、有効求人倍率ともに大幅な改善には至っておりません。
こうした状況下、内閣府が発表した2023年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値(物価変動の影響を除いた実質の季節調整値)は、コロナ禍からの経済の正常化で堅調な個人消費が全体を押し上げたこと等により、前期比0.4%増(年率換算1.6%増)と3四半期ぶりのプラス成長となりました。わが国政府は、新型コロナウイルス感染症対策として講じてきた訪日外国人に対する入国時の検疫、検査の強化策、いわゆる水際対策を本年4月に撤廃しました。3月の訪日外国人数が2019年対比で6割以上の水準まで回復していることから、水際対策撤廃と足元の円安の為替環境によって、今後の訪日外国人の更なる増加、それに伴う経済効果に期待が寄せられております。足下の1~3月の一人当たりの旅行消費額が2019年の1.3倍に増加したとの統計もあり、旅行単価の上昇や滞在日数の長期化から宿泊費への支出が大きく増加する状況にありますが、中国以外の東アジア諸国や米国からの訪日客が増加しているものの、2019年に訪日外国人の3割以上を占めていた訪日中国人は、中国側の出国規制が解かれていない状況下、依然として低迷が続いております。
また、海外においては、昨年2月のロシアによるウクライナへの軍事侵攻が1年超経過した現在もなお、解決の糸口が見つからず、欧米各国はロシアに対する追加制裁措置としてロシア産原油の原則輸入禁止を打ち出したことから、エネルギー資源価格の高止まりは依然継続しております。
米国においては、米商務省が発表した2023年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比1.1%増と伸び率が2022年10~12月期の2.9%増から縮小しました。個人消費の増加にもかかわらず、金利上昇の影響が拡大する中、経済活動の一段の鈍化が予想されております。依然として歴史的な高水準にあるインフレに対して強い警戒感が表れており、一方で地方銀行3行が相次いで破綻する等、金融市場への不安も残る状況に至っております。そうした中において、FRBは、本年5月に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)にてフェデラルファンド(FF)金利を0.25%の利上げに留め、誘導目標を5.00~5.25%にする等、インフレ抑制のために積極的に行ってきた政策金利のコントロールもインフレ率が低下傾向にあること等により、金利引き上げも減速傾向に転換しております。
一方、中国においては、中国国家統計局が発表した2023年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価の変動を調整した実質で前年同期比4.5%増となりました。2022年10~12月期の2.9%増から改善されることとなりました。新型コロナウイルス感染症を封じ込めるために講じてきたゼロコロナ政策に終止符を打ったことにより、外食、娯楽、観光等のサービス消費が持ち直したことがその主因と見られております。また、衣料品等の生活必需品が生産活動の再開に伴い、繰り延べられていた海外からの受注品の出荷再開が一時的な押し上げ要因になった一方で不動産開発や自動車販売は成長の足を引っ張ることとなりました。
こうした経済環境下、当社グループの属する外食産業は、新型コロナウイルス感染症によって3年以上にわたり大きな打撃を受けてまいりましたが、国民生活がウイズコロナを前提とした生活様式に転換される中、各種感染予防対策、各種行動制限が緩和される状況下、旅行、宿泊、飲食といったサービス消費は堅調な回復を図りつつあります。特に国内観光の需要喚起策として展開されている「全国旅行支援」は、新型コロナウイルス感染症の拡大局面で蓄積されてきた過剰貯蓄の取り崩しも相まって旅行業を始め対面型サービス業の追い風となっております。また、政府が訪日外国人の入国管理の面において水際対策を撤廃したことにより、訪日外国人数が急回復しておりますが、未だ新型コロナウイルス感染症流行前の水準までには至らず、今後のインバウンド需要の更なる拡大が期待されております。足下の円安傾向も継続していることから、絶好のビジネスチャンスが到来しつつある状況にあります。一方で現下の雇用情勢は、外食産業に対して厳しい状況をもたらしており、対面型サービス産業においては、人手不足解消に向けての賃上げが不可避な状況に至っております。
こうした外食産業を取り巻く経営環境において当社グループは、3年以上にわたるコロナ禍の制約的な事業環境の中にあっても利益を追求し続けるという経営スタンスを貫き、昨年3月のまん延防止等重点措置解除後は、速やかに全店舗を通常営業に移行させ、その後も直営店の営業は勿論のこと、プロデュース店向けビジネスにおいても2019年以前と変わらぬ事業拡大を図っております。当社グループ並びに食材供給先となるプロデュース店でのラーメン事業が店内滞在時間も短く「ハレ消費」を前提とする飲食事業モデルとは性格を異にすることから、「日常食」という強みを生かし、新型コロナウイルス感染症が拡大する環境においても積極的な事業展開を進めることができました。その結果、現在のウイズコロナと言われる経営環境においても安定的な事業拡大を図っております。コロナ禍において、新たにお客様ニーズに対応すべく創出したテイクアウトサービス、宅配(フードデリバリー)サービス、ECサイト事業は、現在においても堅調であり、店舗外でのお召し上がり需要にお応えできる供給体制を構築するに至りました。さらに、当社グループ並びにプロデュース店への供給体制についてもBCPの観点から、昨年より立地、生産品目等、生産体制の戦略的見直しを図り、製麺工場、チャーシュー工場、スープ工場を供給先の直営店舗、プロデュース店舗に合わせて適正配置してまいりました。当社グループでは、SCMの視点をもって物流効率、物流コスト、物流時間の大幅改善を進めており、前年までに関東、中京・関西に物流倉庫を配備してまいりました。さらに本年4月には、北関東・東北物流センターを新規開設する等、生産体制、物流体制の絶え間ない見直しを進めてきたことにより、直営店舗、プロデュース店舗に対して効率的な後方支援体制を整えるに至りました。
このように新型コロナウイルス感染症対応ノウハウをしっかりと蓄積しつつ、生産体制、物流体制を含めたグループ力強化を図ってまいりました当社グループは、行動制限が解消されたウイズコロナの経営環境においても従業員の雇用確保、積極的な新規出店等、他の飲食業者と一線を画した事業活動を展開することができ、堅調な業績を確保することとなりました。当第2四半期連結累計期間におきましては、国内の直営店、プロデュース店ともに店舗数を増加させることにより、売上拡大を図ることができました。
以上の結果、財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,414,484千円増加し、11,319,618千円となりました。
当第2四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ850,606千円増加し、5,323,678千円となりました。
当第2四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ563,877千円増加し、5,995,939千円となりました。
b.経営成績
当第2四半期連結累計期間の経営成績は、売上高10,729,297千円(前年同期比36.0%増)、営業利益1,021,495千円(前年同期比32.1%増)、経常利益1,051,850千円(前年同期比12.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益726,351千円(前年同期比11.1%減)となりました。
セグメントごとの経営成績については、当社グループの事業が単一セグメントであることから、以下のとおり事業部門別に示します。
直営店事業部門の売上高は8,931,944千円(前年同期比36.9%増)となりました。
プロデュース事業部門の売上高は1,797,352千円(前年同期比31.4%増)となりました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
a.セグメント別の業績の概況
当第2四半期連結累計期間におけるセグメント別の概況については、当社グループの事業が単一セグメントであることから、事業の概況については以下のとおり事業部門別に示します。
(直営店事業部門)
国内直営店事業部門においては、当第2四半期連結累計期間を通じて積極的な出店を続け、直営店16店舗の新規出店により15店舗の純増を図りました。当該期間における直営店の新規出店は、主力である横浜家系ラーメン業態の「町田商店」で8店舗、「町田商店」以外のブランドで8店舗とバランスよく行うことができました。
特に当第2四半期連結累計期間におきましては、横浜家系ラーメン業態である「町田商店」の中部地区への出店を加速させ、4店舗(ロードサイド店3店舗、駅近店1店舗)の新規出店を果たしました。ロードサイド店3店舗の出店エリアは、名古屋市守山区、愛知県長久手市、岐阜県多治見市であり、駅近店1店舗の出店エリアは、名古屋市中区栄となりました。また、首都圏への新規出店は3店舗となり、これまで当社があまり出店できていなかった千葉県への新規出店先として行徳駅への駅近店の出店を叶え、ドミナント出店を進める東京北部の練馬区西大泉や埼玉県川越市へのロードサイド店の出店を図りました。さらには、岩手県盛岡市に当社グループ最北端となるロードサイド店の新規出店を図りました。
一方、「町田商店」に次ぐ第2ブランドであるガッツリ系ラーメン業態の「豚山」では、当第2四半期連結累計期間において、4店舗の出店を図りました。当該4店舗は、関東地区、関西地区、中部地区、東北地区へのバランスの良い出店となり、これまで「豚山」が得意としてきた首都圏地区でない新たなエリアへの出店も積極的に行うことができ、「町田商店」に次ぐブランドとして「豚山」の潜在成長力を測る意味でも重要な試金石となりました。関西地区出店においては、南船場に次ぐ関西2店舗目として神戸本線、宝塚本線、京都本線の3本線が集結するターミナル駅である十三駅に駅近店舗として出店いたしました。また、中部地区出店、東北地区出店は、いずれも「豚山」として初の試みであり、名古屋の繁華街である栄、東北最大乗降客数を誇る仙台駅の駅近エリアにそれぞれ新規出店いたしました。出店間もない現在において、早くも繁盛店の賑わいを呈しており、当該地区へのさらなる増店に対して、十分に期待を抱かせる状況に至っております。
さらに、当第2四半期連結累計期間では、新規出店にあたって店舗のインフラ上の制約を比較的受けにくいブランドである油そば業態の「元祖油堂」の業態力の測定を行うべく、立地的な性格の異なるエリアに2店舗の新規出店を図りました。繁華街である赤坂駅の駅近エリアと住宅街である東横線綱島駅の駅近エリアと全く立地特性の異なるエリアにそれぞれ出店することにより、業態特性等、マーケティングデータのさらなる蓄積を図ってまいります。
当社グループでは、新商品、新業態の開発に対しても商品開発部を中心に各種テーマへ積極的に取り組んでまいりました。前期においては、「いと井」を開発し、東京ラーメン横丁でオープンを迎えることとなりました。ここ数年で当社グループが開発、ローンチしたブランドは、前述の「豚山」、「元祖油堂」に加え、「長岡食堂」「いと井」とどれも一定程度のご評価をいただくものとなっており、当社グループのブランド開発力も十分備わってきたと自負しております。今後も引き続き可能性を秘めた新ブランドの開発に注力してまいります。
海外直営店事業部門においては、米国ニューヨーク州にこれまで2店舗の路面店を展開してまいりましたが、2022年11月、ペンシルベニア駅施設内のフードコートにおいて、ニューヨーク3号店をオープンさせることになりました。当該施設は、全米1位の乗降客数を誇るペンシルベニア駅施設内であり、2万人収容のスポーツアリーナと、5千人収容のシアターなどで構成され、プロバスケットボール、プロアイスホッケーの試合が開催されるマディソンスクエアガーデンに近接する集客力の高いエリアでもあることから、フードコートでの営業にも関わらず、既に当社ニューヨーク路面店2店舗を凌ぐ売上が確保できる状況に至っております。
以上の結果、当第2四半期連結会計期間末の当社グループの店舗数は、直営店177店舗(国内174店舗、海外3店舗)、業務委託店9店舗、合計186店舗となりました。また、直営店事業部門の売上高は8,931,944千円となりました。
(プロデュース事業部門)
国内プロデュース事業部門においては、既出店地域においてこれまで通り、商圏における潜在需要試算に基づく出店ルールに従ってプロデュース店と直営店との間できめ細かく調整を行いながら、出店を進めてまいりました。未出店地域においては、当社グループとして直営店を出店させる予定のない地域については、新規オーナーの開拓を精力的に行ってまいりました。既存プロデュース店は、新型コロナウイルス感染症拡大の状況の中でここ数年、来客数の減少、売上減少が続いてまいりましたが、当第2四半期連結累計期間においては復調の兆しを見せており、これまで直営店同様にテイクアウトニーズへの対応、宅配ニーズの掘り起こし等、販売促進活動における直営店の成功ノウハウをもとに積極的に支援してきた成果が現れることとなりました。また、当社が開発した新業態を既存プロデュース店オーナーが自ら展開することを検討する場面も増えてきており、これまでのプロデュース事業に留まらず、同一屋号でのFC事業についても事業ラインナップを図り、より付加価値の高い提案活動を展開できるよう各種準備を進めてまいりました。
一方、海外プロデュース事業部門においては既存オーナーの出店意思を確認しながら新規出店地域の検討を行い、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下においても出店支援を進め、昨年11月、ベトナムでのプロデュース店の新規出店を図りました。また、本年1月のタイでの「Machida Shoten」FC店の初出店を図る等、FC事業を順調にスタートさせることができ、引き続きアメリカ、東南アジアにおいて「町田商店」「豚山」等のブランドをFC事業として展開すべく、精力的な営業活動を展開してまいります。
以上の結果、当社グループがプロデュースする店舗数は、当第2四半期連結累計期間に33店舗の純増となり、結果、国内526店舗、海外18店舗、合計544店舗となりました。また、プロデュース事業部門の売上高は1,797,352千円となりました。
b.財政状態
(資産)
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,414,484千円増加し11,319,618千円となりました。これは主に、建物及び構築物等の有形固定資産が764,743千円、長期貸付金等を含む投資その他の資産のその他が296,428千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べ850,606千円増加し5,323,678千円となりました。これは主に、未払金等を含む流動負債のその他が346,119千円、長期借入金(1年以内返済予定分を含む)が457,547千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べ563,877千円増加し5,995,939千円となり、自己資本比率は52.9%となりました。これは主に、配当の支払に伴い利益剰余金が149,437千円減少した一方、親会社株主に帰属する四半期純利益726,351千円の計上により利益剰余金が増加したこと等によるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,487,676千円となり、前連結会計年度末に比べ519,667千円の減少となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動の結果、獲得した資金は1,016,818千円、となりました。これは主に、法人税等の支払による支出494,643千円があった一方、税金等調整前四半期純利益1,066,972千円を計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動の結果、使用した資金は1,845,292千円となりました。これは主に、積極的な出店に伴う有形固定資産の取得による支出828,835千円、貸付けによる支出400,000千円、定期預金の預入による支出353,218千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動の結果、獲得した資金は303,096千円となりました。これは主に、長期借入れによる収入760,000千円があったものの、配当金の支払額151,677千円があったこと等によるものであります。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
特に記載すべき事項はありません。