【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績
① 事業全体の状況
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」に記載いたしましたとおり、新型コロナウイルス感染症対応ノウハウをしっかりと蓄積しつつ、生産体制を含めたグループ力強化を図ってまいりました当社グループは、コロナ禍におきましても従業員の雇用確保、積極的な新規出店等、他の飲食業者と一線を画した事業活動を展開することができたことから、堅調な業績を確保することができました。当連結会計年度におきましては、国内の直営店、プロデュース店ともに店舗数を増加させることにより、売上拡大を図ることができました。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、下記のとおりとなりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の売上高は487,052千円減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ21,829千円減少しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
(売上高)
当社グループの売上高は17,015,009千円(前年同期比26.3%増)となりました。これは主に、前期以前、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下において既存店売上高に甚大な影響があったことが一転し、今期は既存店売上高が回復するとともに新規出店を実施したことによるものです。
(営業利益)
当社グループの営業利益は1,571,488千円(前年同期比67.9%増)となりました。これは主に、既存店売上高が回復したことに伴い利益率が向上したことによります。
(経常利益)
当社グループの経常利益は2,442,777千円(前年同期比39.7%増)となりました。これは主に、営業利益が増加したことによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当社グループの親会社株主に帰属する当期純利益は1,538,232千円(前年同期比42.9%増)となりました。これは主に、営業利益が増加したことによるものです。
また、当連結会計年度の目標とする経営指標は、下記のとおりとなりました。
〈売上高成長率〉
当社グループの売上高成長率は前年同期比26.3%増(2022年10月期目標20.0%増以上)となりました。これは主に、既存店の売上高が好調であったためです。
〈売上高経常利益率〉
売上高経常利益率は14.4%(2022年10月期目標10%以上)となりました。これは主に、既存店の売上高が好調であったためです。
② 事業部門別の状況
(直営店事業部門)
国内直営店事業部門においては、当連結会計年度を通じて積極的な出店を続け、直営店22店舗の新規出店(純増)を図りました。当該期間における直営店の新規出店は、主力である横浜家系ラーメン業態の「町田商店」で8店舗、それ以外のブランドで14店舗とバランスよく行うことができました。
特に当連結会計年度におけるトピックスとしては、6月に東京駅八重洲地下街に一挙に7ブランドのラーメン店を東京ラーメン横丁という施設として総合出店を図ったことが挙げられます。これまで多くの有名ラーメン店が一堂に会すラーメンコンプレックス(ラーメン総合施設)は、全国各地にありましたが、1社のグループにて7つものブランドを出店する形態は日本初と言え、これにより、当社グループにおけるラーメンブランドの開発力を内外に示すことができました。東京駅周辺には、他の有名ラーメンコンプレックスが複数存在しておりますが、当社グループはそうした激烈な競争環境の中で当社グループが独自開発した7ブランドをもって多くのラーメンファンにご満足いただくべく、当該施設をプロデュースすることとなりました。
当連結会計年度における「町田商店」の出店は8店舗となり、その出店先の内訳はロードサイド5店舗、駅近2店舗、商業施設内1店舗でありました。ロードサイド5店舗は、埼玉県鶴ヶ島市、静岡県富士宮市、愛知県蒲郡市、新潟県新発田市、三重県松阪市といずれも出店エリア内では競争力のある好立地に出店できたことから、早くも繁盛店として地元のお客様にご愛顧をいただいております。駅近2店舗は、八重洲地下街(東京ラーメン横丁店)、恵比寿駅東口に出店しております。また、当社グループにおいては、これまで商業施設内への出店を行ってまいりませんでしたが、本年1月、愛知県名古屋市に所在するイオンモール運営のモール型ショッピングセンターであるmozoワンダーシティ内に「町田商店」として新規出店を果たすことができました。
「町田商店」以外のブランドでは、6ブランド、14店舗の出店を図りました。これまで「町田商店」を主力としてきた当社グループの出店戦略ですが、「町田商店」でも十分に収益性を確保できるに至った現在においては、駅近、ロードサイドという大括りな出店判断に留まらず、各業態にマッチした立地をそれぞれ選定することにより、厚みのある出店戦略が立案でき、当連結会計年度においては、中華そば業態の「長岡食堂」を2店舗、九州豚骨ラーメン業態の「がっとん」を3店舗、ガッツリ系ラーメン業態の「豚山」を5店舗、油そば業態の「元祖油堂」を2店舗、味噌ラーメン業態の「いと井」を1店舗、その他1店舗、合計14店舗をオープンすることができました。
「長岡食堂」は、今後の業態競争力の見極めも兼ねてラーメン激戦地である横浜駅西口へ2号店目をオープンし、さらに八重洲地下街(東京ラーメン横丁店)に3号店目を6月にオープンすることとなりました。また、「がっとん」では、ロードサイド1店舗、駅近2店舗(含む東京ラーメン横丁店)、計3店舗をオープンいたしました。当社グループにおいて「町田商店」に次ぐ収益の柱となった「豚山」においては、池袋西口店、蒲田店、武蔵小杉店、東京ラーメン横丁店、恵比寿店と5店舗オープンし、ラーメン競合店が多数ひしめく駅近好立地にいずれも出店することができました。「元祖油堂」も「長岡食堂」と同様、ラーメン激戦地である川崎駅前へ2号店目をオープンし、さらに八重洲地下街(東京ラーメン横丁店)に3号店目を6月にオープンすることとなりました。
さらに、当社グループでは、新商品、新業態の開発に対しても商品開発部を中心に各種テーマへ積極的に取り組んでまいりました。当連結会計年度においては、「いと井」を開発し、当会計期間中に東京ラーメン横丁でオープンを迎えることとなりました。ここ数年で当社グループが開発、ローンチしたブランドは、「豚山」「長岡食堂」「元祖油堂」「いと井」とどれも一定程度のご評価をいただくものとなっており、当社グループのブランド開発力も十分備わってきたと自負しております。今後も引き続き可能性を秘めた新ブランドの開発に注力してまいります。
海外直営店事業部門においては、直営店の出店地域となる米国(ロサンゼルス、ニューヨーク)にて新型コロナウイルス感染症の影響を日本以上に大きく受けることとなりました。これまで米国においては、横浜家系ラーメン業態の「E.A.K. RAMEN」をロサンゼルス1店舗、ニューヨーク2店舗を展開しておりましたが、この度、コロナ禍による影響を受け、需要回復が見込めないロサンゼルス店を5月に閉店し、海外店舗を2店舗といたしました。なお、ニューヨークの2店舗につきましては、新型コロナウイルスへの感染拡大が店内営業の自粛命令が発動される等、日本以上に深刻化していたものの、機動的にローカルスタッフのレイオフ等の雇用調整を行う等、損失を最小限に留める努力をしてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度末の当社グループの店舗数は、直営店161店舗(国内159店舗、海外2店舗)、業務委託店10店舗、合計171店舗となりました。また、直営店事業部門の売上高は14,139,504千円となりました。
(プロデュース事業部門)
国内プロデュース事業部門においては、既出店地域においてこれまで通り、商圏における潜在需要試算に基づく出店ルールに従ってプロデュース店と直営店との間できめ細かく調整を行いながら、出店を進めてまいりました。未出店地域においては、当社グループとして直営店を出店させる予定のない地域については、新規オーナーの開拓を精力的に行ってまいりました。また、既存プロデュース店に対しましては、新型コロナウイルス感染症の拡大等による来客数の減少、売上減少等の影響を受ける状況下、直営店同様にテイクアウトニーズへの対応、宅配ニーズの掘り起こし等、販売促進活動における直営店の成功ノウハウをもとに積極的に支援してまいりました。
一方、海外プロデュース事業部門においては既存オーナーの出店意思を確認しながら新規出店地域の検討を行い、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下においても出店支援を進め、新たに、アメリカ、東南アジアにおいて「町田商店」「豚山」等のブランドをFC事業として展開すべく、精力的な営業活動を開始いたしました。
以上の結果、当社グループがプロデュースする店舗数は、当連結会計年度に43店舗の純増となり、結果、国内496店舗、海外15店舗、合計511店舗となりました。また、プロデュース事業部門の売上高は2,875,505千円となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前年同期比(%)
飲食事業
1,801,789
36.1
合計
1,801,789
36.1
(注)1.当社グループの事業区分は、「飲食事業」の単一セグメントであります。
2.金額は、製造原価によっております。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
仕入高(千円)
前年同期比(%)
飲食事業
3,504,870
41.7
合計
3,504,870
41.7
(注)1.当社グループの事業区分は、「飲食事業」の単一セグメントであります。
2.金額は、仕入価格によっております。
c.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
事業部門の名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
直営店事業部門
14,139,504
26.1
プロデュース事業部門
2,875,505
27.0
合計
17,015,009
26.3
(注)1.当社グループは飲食事業の単一セグメントであるため事業部門別の販売実績を記載しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.直営店事業部門における当連結会計年度の地域別販売実績は、次のとおりであります。
地域
地域別売上高(千円)
国内
関東
8,880,016
東日本(関東以外)
3,185,463
西日本
1,678,096
国内合計
13,743,577
海外
395,926
合計
14,139,504
4.主要な販売先については、総販売実績に対する割合が100分の10以上に該当する相手がないため、記載を省略しております。
(2)財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,627,677千円増加し9,905,133千円となりました。これは主に、売掛金が143,666千円、直営店の新規出店等の設備投資により建物及び構築物等の有形固定資産が740,139千円、敷金及び保証金が156,171千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ312,003千円増加し4,473,072千円となりました。これは主に、出店のタイミングにより未払金が177,720千円減少した一方、業容拡大に伴い買掛金が155,372千円、未払法人税等が81,138千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ1,315,673千円増加し5,432,061千円となり、自己資本比率は54.8%となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益1,538,232千円の計上等により利益剰余金が増加したこと等によるものであります。
(3)キャッシュ・フロー
① キャッシュ・フロー及び流動性の状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,007,344千円となり、前連結会計年度末に比べ135,852千円の増加となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、得られた資金は2,149,892千円(前年同期比10.5%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益2,214,344千円を計上し、減価償却費469,127千円、減損損失204,420千円等の非資金的費用があった一方、法人税等の支払額658,295千円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は1,808,383千円(前年同期比5.9%増)となりました。これは主に、直営店の新規出店に伴う有形固定資産の取得による支出1,514,674千円、敷金及び保証金の差入による支出196,543千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、使用した資金は315,506千円(前年同期比50.7%減)となりました。これは主に、長期借入れによる収入550,000千円があった一方、配当金の支払額316,343千円、短期借入金の純増額42,341千円、長期借入金の返済による支出592,341千円があったことなどによります。
なお、事業から創出したキャッシュは直営店の新規出店など収益力強化に向けた投資に充当しております。
② 資本政策の基本的な方針
当社グループは、事業への資源配分及び株主還元について以下の通り考えております。事業への資源配分については、新規出店を主とした設備投資を継続的に実施してまいります。また、成長戦略に伴う当社グループの企業価値向上につながるM&Aも積極的に実施してまいります。また、株主還元については、株主への利益還元を経営の最重要課題と考えており、安定的かつ継続的な利益還元を基本スタンスとして連結配当性向20%以上を目安として実施してまいります。資金の源泉は事業から創出したキャッシュを中心としつつ、基本的に金融機関からの借入により資金調達をしてまいります。大規模な希薄化をもたらす資金調達については、ステークホルダーへの影響などを十分に考慮し、取締役会にて検討を行ったうえで、株主に対する説明責任を果たしてまいります。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。