【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況当第1四半期連結累計期間における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が残る中、経済活動は徐々に正常化に向かう動きが見られました。一方、世界的な金融引締めやロシア・ウクライナ情勢による物流の混乱及び価格高騰を背景とした海外景気の下振れ、急激な円安による物価上昇など、依然として先行き不透明な状況が続いております。このような経営環境の中、当社グループは成長分野であるブロックチェーン領域に経営資源の投下を加速し、ブロックチェーン技術に立脚するサービスカンパニーへと事業ドメインの転換を図ることに加え、収益事業の獲得を目的としたM&A及び資本業務提携の活動も推進しております。一方、マクロ経済の影響を受けた暗号資産市場の低調による暗号資産の評価減、2022年3月に連結子会社となったチューリンガムののれん償却費等のキャッシュアウトを伴わない損益項目による影響が連結損益上の負担となりました。当社グループは、このような外部環境下においても安定的な総合収益力を獲得すべく、成長性のあるブロックチェーンサービス事業、安定収益のシステムエンジニアリング事業を相互に補完し合う2事業として位置付けて運営しております。具体的には、前者は、ミッションとして掲げる「ブロックチェーン技術の社会実装を推進し、その普及に貢献する」を実践するために、クライアントやパートナーとの接点を増やし新たなパイプラインや協業体制の開拓であり、一方後者は現在のサービス及び収益基盤を維持しつつブロックチェーンサービスの保守運用を担う体制整備です。別の側面では、ブロックチェーンゲームやGameFiのビジネスが広く普及することを目的として、法務及び規制面から踏み込んでサポートする取り組みも進めるといった先行投資にも着手しております。以上の結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高175百万円(前年同四半期比159百万円のマイナス)、EBITDA△43百万円(前年同四半期はEBITDA68百万円)、営業損失126百万円(前年同四半期は営業利益44百万円)、経常損失124百万円(前年同四半期は経常利益47百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失148百万円(前年同四半期は四半期純利益28百万円)となりました。(※)EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費セグメント別の概況は以下のとおりであります。当社のセグメント別の製品・サービス分類は次のとおりです。
セグメント
製品・サービス
ブロックチェーンサービス事業
・先端IT技術を適用するシステムの受託開発・先端IT技術の社会実装を目的とする受託研究・ブロックチェーン技術の基礎研究・ブロックチェーン技術に関する教育コンテンツの開発・販売
システムエンジニアリング事業
・高度IT技術者の育成、ならびに紹介及び派遣事業・SES事業及びシステムの受託開発事業
インキュベーション事業
・経営及び各種コンサルティング事業・投融資業
[ブロックチェーンサービス事業]チューリンガムにおいて、ブロックチェーン技術や暗号理論を用いたR&Dをベースとしながら、ブロックチェーン開発支援や受託開発、トークンエコノミクスと言われる暗号資産をどのようにサービスやプロジェクトの中で利活用するのかというトークンのデザインやマーケットへの供給を行う際に誰にどのように分配を行っていくかなどの専門的なコンサルティングを行っております。当第1四半期連結累計期間については、前期に引き続き暗号資産のSkeb Coinへのマーケティングや流動性維持のための支援を行いました。また、株式会社ネクスグループが発行する暗号資産ネクスコインの価値向上の取り組みとしてGameFiプラットフォームの構築支援を行い、その一環としてモバイルカジュアルゲームであるSIX PokerのGameFi化及び納品を行いました。引き続き、このようなGameFi案件の支援に加え、急速に進むWeb3プロジェクトやブロックチェーンゲームの海外展開を各種規制面で柔軟に、かつ、より踏みこんで支援する体制も構築して参ります。クシムインサイトにおいて、当社グループが開発に関与し納品済みである複数のプロダクトの保守運用により継続的に収益を獲得しております。これらのプロダクトは、ブロックチェーン技術を利用しているNFT(※)マーケットプレイス、株主様向け議決権行使プラットフォーム、暗号資産のレンディングサービスアプリケーション等が対象となっております。以上の結果、当第1四半期連結累計期間のブロックチェーンサービス事業全体における売上高は25百万円(前年同四半期比18百万円のプラス)、EBITDAは△9百万円(前年同四半期はEBITDA△1百万円)、セグメント損失は79百万円(前年同四半期はセグメント損失4百万円)となりました。なお、クシムインサイト、チューリンガムの株式取得に伴うのれん償却額69百万円は当セグメント利益に含めております。※ Non-Fungible Token の略語。代替の可能性のないブロックチェーン上のトークンです。
[システムエンジニアリング事業]クシムソフトにおいて、SES事業及びシステムの受託開発事業を担っております。SES事業につきましては、ニーズの高いオープン系を中心としたIT技術者の採用と育成により、顧客システム開発の支援、エンジニア派遣事業を拡充しております。当第1四半期においては、参画中のプロジェクトにおいて継続した取引が続いたことや中途採用者がリードタイム無くプロジェクト参画できたことによって、目標稼働率を超える稼働率を実現しました。また継続してエンジニアのスキルアップに向けた社内教育を続けたことで参画プロジェクトの業務内容拡大とエンジニアの市場価値向上を達成させました。引き続き中途採用者にてプロジェクト増員を達成し、この好循環の拡大を継続してまいります。受託開発事業につきましては、引き続き開発納品後の運用保守案件を中心に、SES事業の顧客からの開発案件を中心に、システムのバージョンアップ対応、新規受託開発案件の獲得やPOC案件の獲得等、営業活動の幅を広げて案件レコードを積み重ねております。なお、受託開発事業部の中で一部高度IT技術を用いた案件を運用保守していることで、OJTの中での高度ITエンジニアの育成にも寄与しております。以上の結果、当第1四半期連結累計期間のシステムエンジニアリング事業全体における売上高は149百万円(前年同四半期比103百万円のマイナス)、EBITDA23百万円(前年同四半期比17百万円のマイナス)、セグメント利益9百万円(前年同四半期比11百万円のマイナス)となりました。なお、クシムソフトの株式取得に伴うのれん償却額13百万円は当セグメント利益に含めております。
[インキュベーション事業]暗号資産運用につきましては、当社が実施したライツ・オファリングにより発行した第8回新株予約権、及び行使価額修正条項付株式会社クシム第9回新株予約権の行使で調達した資金等を充当し、グループ全体で複数の暗号資産への投資を実行した結果、38百万円超の収益獲得に至りました。一方、低調な暗号資産市場の動向を受けた結果、保有する暗号資産の評価損として41百万円を計上するに至りました。暗号資産市場はマクロ経済全体の減退による影響を受ける可能性があり、今後もその影響を注視して運用をしてまいります。また、当社で運用している情報メディアサイト「KUSHIM HACK」では、ブロックチェーン、暗号資産、Web3.0及びNFT等にフォーカスして情報発信をしておりますが、本メディアサイトによる広告事業収益は2百万円でした。本メディアサイトにおける協業依頼等も増えていることから、引き続き当社グループの事業関連性の高い情報発信を行って参ります。M&A及び資本提携による事業投資につきましては、M&A仲介企業やデータベースを用いたM&A仲介サービスを活用し候補となる企業のソーシングを継続しており、事業承継やバイアウトを目指す企業の増加に伴う譲渡金額相場の上昇傾向に対して、財政状態や将来の獲得キャッシュ・フローに基づく適切な企業価値によるM&Aを推進してまいります。具体的な業種としてましては、一定の売上規模と不足するIT人材の獲得による当社グループとのシナジーが見込めるSES事業を中心にオリジネーションを進めております。以上のように、暗号資産売却益38百万円、同評価損41百万円、及びメディアサイト広告事業収益2百万円が合算された結果、当第1四半期連結累計期間のインキュベーション事業全体における売上高は10百万円(前年同四半期比82百万円のマイナス)、EBITDAは△0百万円(前年同四半期はEBITDA92百万円)、セグメント損失は0百万円(前年同四半期はセグメント利益92百万円)となりました。
② 財政状態の分析
資産、負債及び純資産の状況
(資産の部)当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べて392百万円減少し6,051百万円となりました。流動資産の残高は前連結会計年度末に比べて118百万円減少し2,691百万円となりました。これは主に暗号資産が255百万円増加、売掛金及び契約資産が211百万円減少、その他が104百万円減少したことによるものであります。固定資産の残高は前連結会計年度末に比べて274百万円減少し3,359百万円となりました。これは主にのれんが82百万円減少、投資有価証券が221百万円減少したことによるものであります。
(負債の部)当第1四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べて104百万円減少し491百万円となりました。流動負債の残高は前連結会計年度末に比べて62百万円減少し221百万円となりました。これは主に未払法人税等が58百万円減少したことによるものであります。固定負債の残高は前連結会計年度末に比べて41百万円減少し270百万円となりました。これは主に長期借入金が14百万円減少、繰延税金負債が27百万円減少したことによるものであります。
(純資産の部)当第1四半期連結会計期間末における純資産は前連結会計年度末に比べて288百万円減少し5,559百万円となりました。これは主に利益剰余金が148百万円減少、その他有価証券評価差額金が142百万円減少したことによるものであります。
(2)経営方針・経営戦略等セグメント間の比較可能性の確保及び実態収益を把握する観点から、経営上の目標の達成状況を判断する指標としてEBITDAを設定しております。なお、EBITDAは営業利益に減価償却費及びのれん償却額を加算して算出しております。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループの対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動該当事項はありません。
#C2345JP #クシム #情報通信業セクター