【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」等を適用しているため、前連結会計年度と収益の会計処理が異なります。前期との比較を行いやすくするため、当該基準等を適用しなかった場合の試算値を「旧基準」として併記し、その試算値を用いて前期との比較を行っております。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度における経営環境は、ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待されるものの、世界的に金融引締め等が続く中で、海外景気の下振れによる景気を下押しするリスクとなるなど、依然として厳しい経済状況となりました。このような情勢の中、旅行業界においては、新型コロナウイルス感染拡大の水際対策の緩和が段階的に進み、行動制限・入国制限の撤廃や観光支援策が実施されるなど、回復への動きが顕著になっております。
当社グループは、社員のグループ外出向をはじめ、各国においてもコスト削減を継続するとともに、基幹事業である海外旅行市場の需要の拡大を図るための適切な人員配置を行うなど、コロナ禍における売り上げの最大化にむけた経営体制の再編や働き方改革を推し進めました。
また、「自然の摂理にのっとり、人類の創造的発展と世界平和に寄与する」という企業理念のもと、旅行のみならず様々な事業を通じて、常に変化・発展し続ける企業として、事業ポートフォリオの再構築にむけた新規事業の開拓を目指してまいりました。
当連結会計年度における業績は以下のとおりです。 (単位:百万円)
2021年10月期
2022年10月期(旧基準)
2022年10月期(新基準)
売上高
118,563
260,350
142,794
売上総利益
7,522
27,599
28,257
営業損失(△)
△64,058
△48,592
△47,934
税金等調整前当期純損失(△)
△51,008
△8,880
△8,222
親会社株主に帰属する当期純損失(△)
△50,050
△10,200
△9,547
売上高は、前期と比較し242億31百万円増加し、前期比120.4%の1,427億94百万円(旧基準では2,603億50百万円、前年同期比219.6%)となりました。これは、主に新型コロナウイルス拡大により甚大な影響を受けた前年同期と比較して、海外における旅行事業と日本発の海外旅行事業による大幅な増収によるものです。
販売費及び一般管理費は、コロナ禍からの業績回復にむけた経費に即したコスト削減策を実施しつつ、基幹事業である海外旅行の再開にむけて、出向からの帰任による人件費や、市場の活性化に向けた広告を投入したことにより46億10百万円増加し、前年同期比106.4%の761億92百万円となりました。
損益面においては、コロナ禍からの人流再開に伴い旅行関連事業が上向いてきたこともあり、売上総利益が大きく改善したものの、コロナ禍以前までには至っていないことから、479億34百万円の営業損失(旧基準では485億92百万円、前年同期は営業損失640億58百万円)となりました。また、関係会社株式売却益等による特別利益を545億43百万円計上した一方で、関係会社株式売却損及び固定資産の減損損失等による特別損失を137億64百万円計上したことで、税金等調整前当期純損失は82億22百万円(旧基準では88億80百万円、前年同期は税金等調整前当期純損失510億8百万円)となりました。そして、法人税等が前年同期と比較し5億99百万円増加したことに加え、非支配株主持分に帰属する純損失15億8百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は95億47百万円(旧基準では102億円、前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失500億50百万円)となりました。
なお、セグメント別の当連結会計年度の業績は以下のとおりです。また、各セグメントの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額であります。
(旅行事業) (単位:百万円)
2021年10月期
2022年10月期
(旧基準)
2022年10月期
(新基準)
売上高
43,028
180,574
67,693
営業損失(△)
△38,336
△29,261
△28,629
当連結会計年度における旅行市場は、新型コロナウイルスの感染症拡大の影響により、入国制限や渡航制限等の措置によるレジャー需要の鈍化があったものの、海外における旅行市場においては、欧米でいち早く需要回復の動きが見られました。日本における国内旅行市場においては、まん延防止等重点措置が解除された3月21日以降、4月からは県民割・地域ブロック割へと施策が継続されたことで、前年を大きく上回り、一定のレジャー需要が維持されました。国内における海外旅行・訪日旅行市場においては、4月より106ヵ国における感染症危険レベルの引き下げとなるなど、段階的な水際対策の緩和と撤廃により、国際的な人流再開の兆しが見られました。なお、当連結会計年度における日本人出国者数は、前期比433.7%(2019年比10.3%)の206万人、訪日外客数は前期 比475.0%(2019年比4.9%)の155万人と、回復傾向であるもののピーク時であった2019年と比較し、本格的な回復には至っておりません。(出典:日本政府観光局 (JNTO))
当社の海外旅行事業においては、感染症リスクの不安を軽減し、安心・安全な海外旅行プランを展開しました。そして、段階的な水際対策・行動制限の緩和に合わせて、HISの海外現地法人を通じて、現地の情報収集や仕入強化に努め、5月には2年ぶりに自社主催ツアーを催行し、ハワイツアーを皮切りに、10月末時点には47の国と地域に拡充しております。また、海外旅行市場の活性化を図るべく、主要観光地をはじめとする政府観光局と連携し、「リベンジ旅」と題して、各ターゲットのニーズに沿った特別企画ツアーの展開を図るとともに、プロモーション活動を強化したことにより、徐々にではあるもののレジャー層の集客増加がみられました。しかしながら、燃油サーチャージの高騰や歴史的な円安、日本発着における国際線航空座席供給数の回復鈍化もあり、本格的な回復には至っておりません。
国内旅行事業においては、航空機を利用する沖縄・北海道・九州方面へのパッケージツアーの集客強化を図り、利益の最大化に努めました。特に沖縄においては、HIS独自仕入による「沖縄本島レンタカー在庫確保プラン」を実施し、「LeaLea OKINAWA シャトルバス」とともに移動手段の確保による利便性向上に努めました。加えて、人気アニメとのコラボレーション企画の実施など、他社との差別化を図りました。また、鉄道利用の自社主催ツアーや着地型ホテル商材などの仕入強化により新規顧客獲得を図ったこともあり、前年同期からは大幅な回復を示したものの、コロナ禍以前の2019年を超える水準には至っておりません。
訪日旅行事業においては、海外のオンライントラベルエージェントへの個人旅行商品の掲載・流通を強化するとともに、自治体・行政機関との連携を進め、ツーリスト・インフォメーションセンターによる旅ナカのプロモーション事業を展開いたしました。
法人事業においては、MICE運営のノウハウを活かし、行政機関の公的支援事業(地域プレミアム商品券事業、無料PCR検査補助事業、マイナンバーカード・マイナポイント関連事業など)や、企業からの受託事業により、非旅行事業としての事業連携の推進を行いました。また、コロナ禍で非旅行事業での各社アライアンスが増加した海外現地法人と連携し、飲食店などの海外進出支援を通じたアクセラレーター事業の強化に努めました。
海外における旅行事業においては、欧米に拠点を置く海外グループ会社やトルコ法人・メキシコ法人をはじめ、ローカルマーケットの旅行需要の回復がみられました。海外支店のインバウンド事業では、日本から海外への渡航制限措置の継続により厳しい状態が続いていたため、経費削減や業務の効率化・集約化による収益性の改善に加え、旅行領域以外の事業展開の拡充を図りました。タイでは西松屋等の子供服を取り扱うショップブランド「満天堂」を立ち上げ8店舗展開し、ハワイでは不動産事業、インドネシアでは循環型飼育の実現を目指したフェニックスワーム事業、欧州ではドイツ・イギリス・スペインに加えてイタリア・フランスへの展開も計画している日本食のアンテナショップ事業など、ローカルマーケットへ向けたビジネスの強化に注力しました。
なお、当社グループの営業拠点数は、国内外において統廃合を実施した結果、国内131拠点、海外60カ国112都市158拠点となりました。(2022年10月末日時点)
その結果、売上高は前年同期と比較し157.3%の676億93百万円(旧基準では1,805億74百万円、前年同期比419.7%)、営業損失は286億29百万円(旧基準では292億61百万円、前年同期は営業損失383億36百万円)となりました。
(テーマパーク事業) (単位:百万円)
2021年10月期
2022年10月期
(旧基準)
2022年10月期
(新基準)
売上高
15,126
22,046
21,225
営業利益又は営業損失(△)
△3,559
170
183
ハウステンボスでは、開業30周年を記念したアニバーサリーイベントや、九州・長崎への感謝キャンペーンの実施や、季節に応じた環境演出に重点を置いた各種イベントが好評を得るなど、お客様満足度向上に努めたことにより、上半期の段階において2年ぶりに営業利益を計上いたしました。一時、コロナ感染拡大によるまん延防止等重点措置の影響も受けましたが、行動制限のない大型連休や夏休みシーズンを迎え、総入場者数は、前年同期比162.9%と大きく前年を上回り、通期においても、営業黒字を達成しております。
なお、2022年9月30日をもって、ハウステンボスの全株式の譲渡を完了しております。2010年よりハウステンボスの経営再建をすることを使命とし、様々な改善・改革を重ねてまいりましたが、経営再建・地域の活性化・雇用の創出という当社の役割は果たせたと考え、ハウステンボスの新たな成長領域への挑戦にむけて、テーマパーク事業に関する知見を有し、機動的かつ柔軟に資金供給を行うことができる当社グループ外のパートナーとの連携をより強力にしたうえで、事業を追求していくこととなりました。
ラグーナテンボスにおいては、開業20周年を迎え、ラグーナイルミネーション「光のラグーン」など年間を通じてアニバーサリーイベントを実施いたしました。また、テレビアニメ「プリキュア」・「東京リベンジャーズ」の人気コンテンツ体験型イベントの開催を通じて、集客強化を図りましたが、コロナ禍以前(2019年)までの回復には至りませんでした。
その結果、売上高は前年同期と比較し140.3%の212億25百万円(旧基準では220億46百万円、前年同期比145.7%)、営業利益は1億83百万円(旧基準では1億70百万円、前年同期は営業損失35億59百万円)となりました。
(ホテル事業) (単位:百万円)
2021年10月期
2022年10月期
(旧基準)
2022年10月期
(新基準)
売上高
4,757
9,207
9,207
営業損失(△)
△5,868
△4,122
△4,122
EBITDA
△2,557
△192
△192
当連結会計年度におけるホテル事業は、多彩なラインナップで、地域の特性に沿った新規開発を進め、「変なホテル」ブランド海外初進出となるソウル (明洞)を皮切りに、 ニューヨークにも開業いたしました。また、ウズベキスタンの首都タシケントに4つ星ホテル「ホテルインスピラ-S タシケント」を開業し、各国の経済活動回復の影響も受け、稼働率が好調に推移いたしました。また国内においては、沖縄県宮古島に「ウォーターマークホテル&リゾーツ沖縄 宮古島」を開業するなど、新規開発に努めてまいりました。既存ホテルにおいては、販管費の抑制に加えて、各国・都市の市況や感染状況に応じ、他社との差別化をはかる宿泊プランの展開を図るなど、収益増に努めましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響によるレジャー需要の鈍化を受け、宿泊者数の大幅な改善には至りませんでした。
その結果、売上高は前年同期と比較し193.5%の92億7百万円(旧基準では92億7百万円、前年同期比193.5%)、営業損失41億22百万円(旧基準では41億22百万円、前年同期は営業損失58億68百万円)、EBITDAベースにおいてもマイナスとなりました。
(九州産交グループ) (単位:百万円)
2021年10月期
2022年10月期
(旧基準)
2022年10月期
(新基準)
売上高
16,362
19,021
17,960
営業損失(△)
△2,712
△1,554
△1,554
当連結会計年度における九州産交グループでは、県民割・ブロック割の実施や、外出自粛の緩和もあり、大型商業施設「サクラマチクマモト」の入館者数増加や、主力事業であるバス事業においても、路線バスの輸送人員の増加や、コロナ禍において運休・減便していた高速バスの運行再開など、一部回復傾向を示しました。しかしながら、全国的なまん延防止重点措置のほか、熊本県独自のリスクレベル管理による行動抑制策などもあり、通年においては、本格的な業績回復には至りませんでした。
その結果、売上高は前年同期と比較し109.8%の179億60百万円(旧基準では190億21百万円、前年同期比116.3%)、営業損失は15億54百万円(旧基準では15億54百万円、前年同期は営業損失27億12百万円)となりました。
(エネルギー事業) (単位:百万円)
2021年10月期
2022年10月期
(旧基準)
2022年10月期
(新基準)
売上高
37,351
27,152
24,376
営業損失(△)
△10,264
△9,985
△9,978
当連結会計年度におけるエネルギー事業の電力小売事業では、卸電力取引市場と相対による取引を組み合わせた調達電源の最適化に取り組むなど業績改善に取り組んでまいりましたが、価格高騰の常態化を受け、営業損失を計上しました。
また、発電事業においては、燃料となるRSPO認証のパーム油の価格高騰を受け、必要量の確保が困難な状況が続く結果となり、通年において、バイオマス発電所は設備維持のための短時間の運転にとどめ、引き続き本格稼働は見合わせました。
その結果、売上高は前年同期と比較し65.3%の243億76百万円(旧基準では271億52百万円、前年同期比72.7%)営業損失は99億78百万円(旧基準では99億85百万円、前年同期は営業損失102億64百万円)となりました。
なお、電力小売・発電事業ともに、継続的な赤字体質からの再建には時間を要すると判断し、2022年5月20日に電力小売事業を担うHTBエナジー株式会社、2022年10月31日に発電事業を担うH.I.S.SUPER電力株式会社の全株式の譲渡が完了しております。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ488億60百万円増加し、1,369億39百万円となりました。営業活動により資金は149億15百万円減少、投資活動により資金は535億20百万円増加、財務活動により資金は54億58百万円増加いたしました。
各キャッシュ・フローの状況についての詳細は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動により資金は149億15百万円の減少となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失(82億22百万円)、未収入金を含むその他資産の増加(83億45百万円)、仕入債務の減少(38億38百万円)により資金が減少し、旅行前払金の減少(34億75百万円)により資金が増加したことによるものです。
また、前連結会計年度において、営業活動により資金は283億97百万円の減少となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失(510億8百万円)、非資金項目である減価償却費(125億93百万円)、未収入金を含むその他の資産の減少(84億83百万円)によるものです。
以上の結果、当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ134億82百万円の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動により資金は535億20百万円の増加となりました。これは主に、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入(398億47百万円)、定期預金の払戻による収入(194億42百万円)により資金が増加し、一方で定期預金の預入による支出(120億1百万円)により資金が減少したことによるものです。
また、前連結会計年度において、投資活動により資金は70億95百万円の減少となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出(165億67百万円)、定期預金の預入による支出(156億6百万円)、定期預金の払戻による収入(178億10百万円)、有形及び無形固定資産の売却による収入(85億15百万円)によるものです。
以上の結果、当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ606億16百万円の増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動により資金は54億58百万円の増加となりました。これは主に、長・短借入れによる収入(1,155億17百万円)、株式発行による収入(75億円)により資金が増加し、一方で長・短借入金の返済による支出(1,154億92百万円)により資金が減少したことによるものです。
また、前連結会計年度において、財務活動により資金は407億11百万円の増加となりました。これは主に、長・短借入れによる収入(1,122億83百万円)、株式発行による収入(119億94百万円)、長・短借入金の返済による支出(731億63百万円)、社債の償還による支出(100億円)によるものです。
以上の結果、当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ352億53百万円の減少となりました。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2021年11月1日
至 2022年10月31日)
前年同期比(%)
旅行事業(百万円)
44,154
-
テーマパーク事業(百万円)
13,385
-
ホテル事業(百万円)
4,223
-
九州産交グループ(百万円)
17,959
-
エネルギー事業(百万円)
31,705
-
報告セグメント計(百万円)
111,428
-
その他(百万円)
3,108
-
合計(百万円)
114,536
-
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.当社グループは生産形態をとっていないため、生産状況にかわって仕入実績について記載しております。
3.当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、収益認識に関する会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従い、当連結会計年度期首から新たな会計方針を適用しております。これにより、当連結会計年度と比較対象となる前連結会計年度の収益認識基準が異なるため、仕入実績の増減率の記載は省略しております。
② 受注実績
当社グループは受注形態をとっていないため、該当事項はありません。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2021年11月1日
至 2022年10月31日)
前年同期比(%)
旅行事業(百万円)
67,328
-
テーマパーク事業(百万円)
20,644
-
ホテル事業(百万円)
8,931
-
九州産交グループ(百万円)
17,948
-
エネルギー事業(百万円)
24,288
-
報告セグメント計(百万円)
139,142
-
その他(百万円)
3,652
-
合計(百万円)
142,794
-
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.当社グループは、取扱高(販売価格)を売上高として計上しております。
3.当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、収益認識に関する会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従い、当連結会計年度期首から新たな会計方針を適用しております。これにより、当連結会計年度と比較対象となる前連結会計年度の収益認識基準が異なるため、販売実績の増減率の記載は省略しております。
(4)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態の分析
(ⅰ)流動資産
当連結会計年度末における流動資産の残高は、1,884億93百万円となり、前連結会計年度末に比べ449億97百万円の増加となりました。
主な要因といたしましては、現金及び預金の増加(前期末比433億83百万円増)、未収入金の増加(同124億64百万円増)がある一方で、受取手形、売掛金及び契約資産の減少(同51億79百万円減)が挙げられます。
(ⅱ)固定資産
当連結会計年度末における固定資産の残高は、2,262億74百万円となり、前連結会計年度末に比べ413億87百万円の減少となりました。
主な要因といたしましては、有形固定資産の減少(前期末比309億35百万円減)、繰延税金資産の減少(同41億85百万円減)、投資有価証券の減少(同27億25百万円減)、のれんの減少(同22億52百万円減)が挙げられます。
(ⅲ)流動負債
当連結会計年度末における流動負債の残高は、1,285億69百万円となり、前連結会計年度末に比べ413億15百万円の増加となりました。
主な要因といたしましては、1年内返済予定の長期借入金の増加(前期末比275億99百万円増)、未払金の増加(同129億67百万円増)、流動負債の「その他」の増加(同62億91百万円増)がある一方で、営業未払金の減少(同62億80百万円減)が挙げられます。
(ⅳ)固定負債
当連結会計年度末における固定負債の残高は、2,297億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ302億68百万円の減少となりました。
主な要因といたしましては、長期借入金の減少(前期末比279億16百万円減)、退職給付に係る負債の減少(同14億24百万円減)が挙げられます。
(ⅴ)純資産
当連結会計年度末における純資産の残高は、566億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ75億9百万円の減少となりました。
主な要因といたしましては、為替換算調整勘定の増加(前期末比89億45百万円増)、第三者割当増資による資本金及び資本剰余金の増加(同75億円増)がある一方で、非支配株主持分の減少(同145億44百万円減)、親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金の減少(同95億47百万円減)が挙げられます。
② 経営成績の分析
(ⅰ)売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ242億31百万円増加し、前期比120.4%の1,427億94百万円(旧基準では2,603億50百万円、前期比219.6%)となりました。報告セグメントごとの売上高については、旅行事業は前期比157.3%の676億93百万円(旧基準では1,805億74百万円、前期比419.7%)、テーマパーク事業は前期比140.3%の212億25百万円(旧基準では220億46百万円、前期比145.7%)、ホテル事業は前期比193.5%の92億7百万円(旧基準では92億7百万円、前期比193.5%)、九州産交グループは前期比109.8%の179億60百万円(旧基準では190億21百万円、前期比116.3%)、エネルギー事業は前期比65.3%の243億76百万円(旧基準では271億52百万円、前期比72.7%)となりました。
なお、報告セグメントごとの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額であります。
(ⅱ)営業費用
当連結会計年度の営業費用は、前連結会計年度に比べ81億6百万円増加し、前期比104.4%の1,907億29百万円(旧基準では3,089億43百万円、前期比169.2%)となりました。
そのうち、売上原価は前連結会計年度に比べ34億96百万円増加し、前期比103.1%の1,145億36百万円(旧基準では2,327億50百万円、前期比209.6%)となりました。
また、販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ46億10百万円増加し、前期比106.4%の761億92百万円(旧基準では761億92百万円、前期比106.4%)となりました。
(ⅲ)営業損失
当連結会計年度の営業損失は479億34百万円(前期は営業損失640億58百万円)となり、前連結会計年度に比べ161億24百万円の減少となりました。
(ⅳ)経常損失
当連結会計年度の経常損失は490億1百万円(前期は経常損失632億99百万円)となり、前連結会計年度に比べ142億97百万円の減少となりました。
主な営業外収益として、為替差益(8億92百万円)、補助金収入(5億56百万円)、また営業外費用として、支払利息(20億円)が挙げられます。
(ⅴ)親会社株主に帰属する当期純損失
当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は82億22百万円(前期は税金等調整前当期純損失510億8百万円)となり、前連結会計年度に比べ427億85百万円の減少となりました。
また、当連結会計年度の法人税等は28億33百万円(前期は22億34百万円)となり、前連結会計年度に比べ5億99百万円の増加となりました。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は95億47百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失500億50百万円)となり、前連結会計年度に比べ405億2百万円の減少となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析並びに資本の財源及び資金の流動性
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及び設備投資等であります。運転資金につきましては金融機関からの借入により資金調達を行っております。設備投資等につきましては金融機関からの借入、社債及び転換社債型新株予約権付社債の発行、増資により資金調達を行っております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積りを用いており、これらの見積りは過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。詳細については、「第5 経理の状況
1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しています。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大に関する重要な会計上の見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況
1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しています。
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