【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)業績の状況当第3四半期連結累計期間における日本経済は、新型コロナウイルス感染症に係る行動規制が撤廃されインバウンド需要が回復するなど、景気は一部で持ち直しの動きが見られました。一方、長期化するウクライナ情勢や世界的な金融引き締めを背景とした物価高騰などにより、依然として経済の見通しは不透明な状況にあります。当社グループは、『日本一のギグ・エコノミーのプラットフォーマーになり、労働市場に革命を起こす』をビジョンに掲げ、単なる仕事の仲介だけに留まらない「ギグ・エコノミーのプラットフォーマー」として更なる飛躍を目指しております。当社グループではギグワーカー(働き手)とクライアント企業(発注者)の間で、仕事の受発注を直接成立可能とするプラットフォームサービス「GiGWorks Basic」をリリースしており、正社員、契約社員における時短勤務はもちろんのこと、ショートタイムでの副業(複業)、フリーランスやテレワークなど多種多様な働き方を選択できる環境を提供し、働く方々の生活に合った多様なワークスタイルを実現可能にしております。労働力不足、労働の多様性、スキルシェアに関してメディアで取り上げられる機会が増えている昨今、当社グループの社会的な重要性も日々増していると認識しております。このような環境の中、当社グループは、ITに精通した登録ギグワーカーによるオンデマンドエコノミー事業とITエンジニアによるシステム開発を主体としたシステムソリューション事業、主に起業家や個人事業主支援を目的にスペースシェアを主体としたシェアリングエコノミー事業、2022年7月に日本直販・悠遊生活ブランドでの総合通販を主体としたデジタルマーケティング事業が加わり、業容拡大とサービスの品質向上、強化に取り組んでまいりました。しかしながら、オンデマンドエコノミー事業は前期の大型案件受注の反動減があり、デジタルマーケティング事業においても収益構造の大幅な改善策を現在も進めているものの、LTV(ライフタイムバリュー)向上などお客様から継続的にご愛顧頂けるサービスづくり、運営体制の構築が大きく進捗せず、利益面は厳しい状況が続いております。以上の結果、当第3四半期連結累計期間における当社グループの売上高は199億96百万円(前年同期比24.5%増)、営業利益は17百万円(前年同期比94.5%減)、経常利益は19百万円(前年同期比94.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純損失は9億56百万円(前第3四半期連結累計期間は1億89百万円の利益)となりました。なお、固定資産の減損損失2億55百万円及び子会社株式の減損処理に伴うのれん償却額3億79百万円を特別損失に計上しております。また、税効果会計における企業分類の変更に伴い、繰延税金資産3億5百万円を取り崩しております。
(注)ギグ・エコノミーとは、インターネット等を通じて単発・短期の仕事を受注する働き方やそれによって成立する経済活動のことを言います。近年、グローバルに使われるようになった用語で、ネット仲介の配車サービスや宅配サービスなどが有名です。一般的にギグ・エコノミーは、個人の働き方が多様化した一つの形態であり、日本国内においても、働き方改革、副業・兼業の定着化に伴い、今後は仕事を仲介・サポートする当社のようなプラットフォーム提供企業の役割がより重要になると考えております。
セグメントごとの経営状況は、以下のとおりであります。なお、第1四半期連結会計期間より、従来「オンデマンドエコノミー事業」に含まれていた日本直販・悠遊生活ブランドでの総合通販及びECサイトの運営について、報告セグメントを「デジタルマーケティング事業」として記載する方法に変更しております。
(オンデマンドエコノミー事業)オンデマンドエコノミー事業は、ライフスタイルや人生のステージに合わせて「必要な時に必要なだけ働ける」をテーマとしたプラットフォームを提供することで、労働市場に新しい価値を生み出しております。創業以来、多様な働き方を提供し続けている当社グループには、「雇用関係だけによらない働き方」・「多様かつ柔軟な働き方(副業・在宅等)」を希望する個人事業主、フリーランスが数多く登録しており、当第3四半期連結累計期間には5,383人のユニークワーカーが日本全国で稼働しました。IT機器のキッティング業務や設定設置業務は限定的であり、依然としてIT関連フィールドサービスは、低調に推移し厳しい状況が続きました。通信インフラの基地局工事を行うコンストラクション部門は、EV充電器関連への新たな取り組みを開始しており、現地調査業務を中心に稼働が始まっております。また、自社のコンタクトセンターは、「東京・大阪・福岡」を中心に7拠点体制で運営しております。ヘルプデスクやサービスデスクは、政府が推進する働き方改革や感染症対策により根付いたテレワークを併用した働き方、企業のDXによる業務効率向上への動き、インボイス制度への対応などを背景に引き続き高い水準で稼働しており、テクニカルサポート・通販関連の受注拡大が進んでおります。一方で、昨対比大幅に減少している自治体や行政におけるコロナ対策業務や経済復興関連業務は、第2四半期にて全て終了し、前期のこれら大型案件稼働の反動減となり、売上・利益の計画を大幅に下回る結果となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間におけるオンデマンドエコノミー事業の売上高は86億57百万円(前年同期比12.7%減)、セグメント利益は4億81百万円(前年同期比46.5%減)となりました。
(デジタルマーケティング事業)デジタルマーケティング事業は、日本直販・悠遊生活ブランドでの総合通販を主体としたサービスの提供を行っており、45年以上続く総合通信販売の実績を基盤に500万人を超えるお客様にご利用頂いております。ギグワーカーのフィールドサービス力とコンタクトセンターのコミュニケーション力を活用した「駆けつけサービス」や「デリバリーサービス」などお客様一人ひとりに合った最適な「お手伝いサービス」を商品化し、販売してまいりました。また、オンデマンドエコノミー事業のコンタクトセンターの機能共有によるお客様とのコミュニケーション品質の向上と業務効率化、ITテクノロジーを活用したオンライン店舗の出店など、ギグワークスの事業特性を生かした当社ならではのサービスの提供も開始しており、新生「日本直販」として再スタートを切っております。引き続きカタログや広告宣伝、仕入れの共通化によるコスト削減努力などの収益構造の大幅な改善策を進めてまいりますが、一方でLTV(ライフタイムバリュー)向上などお客様から継続的にご愛顧頂けるサービスづくりが大きく進捗せず、利益面は厳しい状況が続いております。また、他方新たな取り組みとして、現在のシニア層中心の顧客層の拡大をメディア戦略を用いて進め、収益強化を図ってまいります。以上の結果、当第3四半期連結累計期間におけるデジタルマーケティング事業の売上高は50億17百万円(前第3四半期連結累計期間は3億85百万円の売上高)、セグメント損失は88百万円(前第3四半期連結累計期間は19百万円の損失)となりました。なお、当該セグメントについては、2022年7月1日付で取得した株式会社悠遊生活及び日本直販株式会社が展開する事業であるため、前第3四半期連結累計期間の連結財務諸表に含まれる業績の期間は1カ月間となっております。
(システムソリューション事業)システムソリューション事業は、ITエンジニアによるシステム開発を主体としたプロフェッショナルサービスの提供を行っております。新型コロナウイルス感染症による顧客の投資抑制の影響が弱まり、自社開発商品のCRMシステム「デコールCC.CRM3」の販売状況は改善しております。また、受託開発業務やシステムエンジニアリングサービスについては、ギグワーカーを含むビジネスパートナーとの連携を強化することで売上高が増加しており、エンジニア人件費の高騰に伴うお取引先様との契約単金やコスト見直しの影響もあって大幅な増益となりました。エンジニア不足の中、市況の変化に対応し戦略的に受注規模の拡大を図ることを事業方針としております。以上の結果、当第3四半期連結累計期間におけるシステムソリューション事業の売上高は36億21百万円(前年同期比13.9%増)、セグメント利益は5億72百万円(前年同期比44.7%増)となりました。
(シェアリングエコノミー事業)シェアリングエコノミー事業は、主に起業家や個人事業主支援を目的にスペースシェアを主体としたシェアリングサービスの提供を行っております。運営するシェアオフィスは、首都圏を中心に直営店83拠点(2023年7月末)、様々な利用提携先の施設を含めると国内最大級となる700拠点以上のオフィスネットワークを展開しております。シェアオフィスの利用会員数は14,900会員に達し、「必要な時に、必要な分だけ使う」をテーマに、利用者に対して低コストで高品質な働く場を提供する体制の構築を積極的に進めております。また、働き方改革やコロナ禍での急速なリモートワークの普及を背景にオフィスの分散化及び削減、通勤時間の短縮や生産性向上、バーチャルとリアルサイトとの融合など利用シーンも多様化してまいりました。このような変化に応えるべくマルチロケーションで利用できるサテライトオフィスのサービスを従来から提供するシェアオフィス(専用オフィス、共用オフィス)に加えることで、利便性の更なる向上に努めてまいりました。当期においては、初期費用0円キャンペーン等の販促施策を行った結果や光熱費の上昇が、当第3四半期連結累計期間のセグメント損益の昨対比減に影響しておりますが、キャンペーンの効果やコロナ禍以前の日常への戻りが急速に進んでいることなどもあり、シェアオフィスの稼働は、改善しております。また、ギグワーカーのスタイリストが活躍するシェアサロンブランド「nex」は南青山で3店舗を展開し、2022年11月に新規出店した髪質改善専門サロンの4号店についてもお客様からの好評をいただいており、売上高は好調に推移しております。以上の結果、当第3四半期連結累計期間におけるシェアリングエコノミー事業の売上高は31億14百万円(前年同期比7.6%増)、セグメント損失は1億7百万円(前第3四半期連結累計期間は72百万円の損失)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産)流動資産は、前連結会計年度末に比べて6億86百万円減少(10.2%減)し、60億49百万円となりました。これは、主として受取手形、売掛金及び契約資産が2億36百万円減少したこと等によります。固定資産は、前連結会計年度末に比べて10億57百万円減少(26.8%減)し、28億89百万円となりました。これは、主としてのれんが4億2百万円、建物が2億11百万円減少したこと等によります。この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて17億43百万円減少(16.3%減)し、89億39百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて4億35百万円減少(9.1%減)し、43億28百万円となりました。これは、主として賞与引当金が2億22百万円、未払金が1億20百万円、買掛金が1億3百万円減少したこと等によります。固定負債は、前連結会計年度末に比べて2億35百万円減少(11.8%減)し、17億61百万円となりました。これは、主として長期借入金が1億93百万円、社債が56百万円減少したこと等によります。この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて6億70百万円減少(9.9%減)し、60億89百万円となりました。
(純資産)純資産合計は、前連結会計年度末に比べて10億72百万円減少(27.4%減)し、28億49百万円となりました。これは、主として親会社株主に帰属する四半期純損失9億56百万円を計上し、配当金の支払いにより利益剰余金が1億56百万円減少したこと等によります。自己資本比率は、前連結会計年度末に比べて5.1ポイント減少し、30.7%となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題 当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動 該当事項はありません。
#C2375JP #ギグワークス #サービス業セクター