【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態と経営成績の状況a. 経営成績当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の進展や感染症対策の効果もあって、経済活動は再開し景気は緩やかに持ち直しの動きが見られました。一方、ウクライナ情勢の長期化に伴う物価上昇や世界的な金融引き締め等を背景とした円安進行、新たな変異株の発生による感染拡大が懸念されるなど、依然として経済の見通しは不透明な状況にあります。当社グループは、『日本一のギグ・エコノミーのプラットフォーマーになり、労働市場に革命を起こす』をビジョンに掲げ、単なる仕事の仲介だけに留まらない「ギグ・エコノミーのプラットフォーマー」として更なる飛躍を目指しております。当社グループではギグワーカー(働き手)とクライアント企業(発注者)の間で、仕事の受発注を直接成立可能とする新プラットフォームサービス「GiGWorks Basic」をリリースしており、正社員、契約社員における時短勤務はもちろんのこと、ショートタイムでの副業(複業)、フリーランスやテレワークなど多種多様な働き方を選択できる環境を提供し、働く方々の生活に合った多様なワークスタイルを実現可能にしております。労働の多様性、スキルシェア、またそれらを普及させるテクノロジーに関してメディアで取り上げられる機会が増えている昨今、当社グループの社会的な重要性も日々増していると認識しております。このような環境の中、当社グループは、主にITに精通した登録ギグワーカーによるオンデマンドエコノミー事業とITエンジニアによるシステム開発を主体としたシステムソリューション事業、主に起業家や個人事業主支援を目的にスペースシェアを主体としたシェアリングエコノミー事業の業容拡大とサービスの品質向上、強化に取り組んでまいりました。また、2022年7月に株式会社悠遊生活と日本直販株式会社の総合通販2社を子会社化し、同年10月には収益構造の改善に向けた合併を実行するなど、M&Aを活用した事業拡大も進めております。以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は229億32百万円(前連結会計年度比8.3%増)、営業利益は4億42百万円(前連結会計年度比51.1%減)、経常利益は4億76百万円(前連結会計年度比49.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億32百万円(前連結会計年度比46.4%減)となりました。減益の要因は、前年上期に実施した大型案件が完了したことや、半導体不足の影響を受けてIT機器関連の設定設置業務、キッティング業務の延期などが発生していることに起因しております。
(注)ギグ・エコノミーとは、インターネット等を通じて単発・短期の仕事を受注する働き方やそれによって成立する経済活動のことを言います。近年、グローバルに使われるようになった用語で、ネット仲介の配車サービスや宅配サービスなどが有名です。一般的にギグ・エコノミーは、個人の働き方が多様化した一つの形態であり、日本国内においても、働き方改革、副業・兼業の定着化に伴い、今後は仕事を仲介・サポートする当社のようなプラットフォーム提供企業の役割がより重要になると考えております。
セグメントごとの経営状況は、以下のとおりであります。なお、当連結会計年度より、従来「オンデマンドエコノミー事業」に含まれていたプロフェッショナルサービスについて、報告セグメントを「システムソリューション事業」として記載する方法に変更しております。また、前連結会計年度のセグメント情報については変更後の区分により作成したものを記載しております。
(オンデマンドエコノミー事業)オンデマンドエコノミー事業は、ライフスタイルや人生のステージに合わせて「必要な時に必要なだけ働ける」をテーマとしたプラットフォームを提供することで、労働市場に新しい価値を生み出しております。創業以来、多様な働き方を提供し続けている当社グループには、「雇用関係だけによらない働き方」・「多様かつ柔軟な働き方(副業・在宅等)」を希望する個人事業主、フリーランスが数多く登録しており、当連結会計年度には7,170人のユニークワーカーが日本全国で稼働しました。前年上期に実施した大型案件が完了したことや、世界的な半導体不足の影響でIT機器の供給不足が続き、IT機器のキッティング業務や設定設置業務、販売支援業務が特に低調に推移したことから、IT系フィールドサービスは、大幅な減収減益となりました。一方で、政府が推進する働き方改革や感染症の拡大に伴うテレワークへの取り組みなどを背景に、ヘルプデスクやサービスデスク関連のニーズは、引き続き高い水準を継続しており、コンタクトセンター関連の業務は好調に推移しております。自社で運営するコンタクトセンターは、7月に子会社化した日本直販コンタクトセンターが加わり「東京・大阪・福岡」を中心に7拠点体制で、通販・テクニカルサポート・IoT関連のサポートセンター等の受注拡大が進んでおり順調に稼働しております。また、新宿コンタクトセンターの移転によって効率的な事業運営が可能となったこともあり、東京都から感染症に伴う医療機関案内のコールセンター案件を受託するなど、自治体や行政におけるコロナ対策業務や経済復興関連業務の拡張に向けた提案活動を積極的に進めております。そして、通信インフラに関連する基地局工事については、その動向を注視しながら工事班体制の強化を継続的に推進しております。以上の結果、当連結会計年度におけるオンデマンドエコノミー事業の売上高は150億44百万円(前連結会計年度比3.8%増)、セグメント利益は11億74百万円(前連結会計年度比30.9%減)となりました。
(注)ユニークワーカーとは、当連結会計年度に当社グループの業務に従事したスタッフ数(重複稼動は除く)のことです。昨年度は7,718人と案件規模や単価により、会計年度毎で多少の変動はありますが、当社グループが重要としている指標の1つです。
(システムソリューション事業)システムソリューション事業は、ITエンジニアによるシステム開発を主体としたプロフェッショナルサービスの提供を行っております。自社開発商品のCRMシステム「デコールCC.CRM3」の販売は、新型コロナウイルス感染症による顧客の投資抑制の影響を受けて軟調に推移いたしました。一方で、受託開発業務やシステムエンジニアリングサービスについては、ギグワーカーを含むビジネスパートナーとの連携を強化することで取引高は増加しました。セグメント利益の減少はあるものの、市況の変化に対応し戦略的に受注規模の拡大を図ることを事業方針としております。以上の結果、当連結会計年度におけるシステムソリューション事業の売上高は44億37百万円(前連結会計年度比6.4%増)、セグメント利益は5億56百万円(前連結会計年度比7.9%減)となりました。
(シェアリングエコノミー事業)シェアリングエコノミー事業は、主に起業家や個人事業主支援を目的にスペースシェアを主体としたシェアリングサービスの提供を行っております。子会社nex株式会社が運営するシェアオフィスは、首都圏を中心に84拠点(2022年10月末)を展開し、様々な利用提携先の施設を含めると国内最大級となる770拠点以上のオフィスネットワーク網となりました。シェアオフィスの利用会員数は12,000会員に達し、「必要な時に、必要な分だけ使う」をテーマに、利用者に対して低コストで高品質な働く場を提供する体制の構築を積極的に進めております。また、働き方改革やコロナ禍での急速なリモートワークの導入を背景にオフィスの分散化及び削減、通勤時間の短縮や労働生産性向上等、確実なニーズの高まりと共に利用シーンも多様化しております。このような変化に応えるべくマルチロケーションで利用できるサテライトオフィス「THE HUB all access」のサービスを従来より提供するシェアオフィス(専用オフィス、共用オフィス)に加えることで、利便性の更なる向上に努めてまいりました。当連結会計年度は、THE HUB all accessの会員を中心に前年比で大幅に会員数が伸長し、造作工事においても複数の案件を受注できたことや昨年出店したシェアオフィスによる規模拡大の影響もあり売上高は増加しました。一方、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、THE HUB all accessや昨年出店した拠点の一部においては、当初想定した契約件数に届いておらず、利益も当社計画を下回る状況にありましたが、賃料の見直しやコスト削減、広告投下増やサービスのアプリ化による会員の利便性向上等の取り組みもあり、前年同期と比較してセグメント損失は大幅に縮小いたしました。また、南青山に展開しているnexシェアサロン3店舗も大変好調に推移しており、さらに4号店の出店が実現しました。以上の結果、当連結会計年度におけるシェアリングエコノミー事業の売上高は38億69百万円(前連結会計年度比34.3%増)、セグメント損失は1億22百万円(前連結会計年度は2億20百万円の損失)となりました。
b. 財政状態の分析
(資産) 流動資産は、前連結会計年度末に比べて、5億83百万円減少(8.0%減)し、67億35百万円となりました。これは、主として受取手形及び売掛金が7億23百万円、仕掛品が1億14百万円、商品が1億11百万円増加した一方で、現金及び預金が18億22百万円減少したこと等によります。固定資産は、前連結会計年度末に比べて、6億21百万円増加(18.7%増)し、39億46百万円となりました。これは、主としてのれんが3億66百万円、繰延税金資産が1億56百万円、ソフトウェアが1億30百万円増加したこと等によります。この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて、38百万円増加(0.4%増)し、106億82百万円となりました。 (負債)流動負債は、前連結会計年度末に比べて、3億56百万円増加(8.1%増)し、47億63百万円となりました。これは、主として買掛金が3億68百万円増加したこと等によります。この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて、3億56百万円増加(5.6%増)し、67億60百万円となりました。
(純資産)純資産合計は、前連結会計年度末に比べて、3億18百万円減少(7.5%減)し、39億22百万円となりました。これは、主として親会社株主に帰属する当期純利益を2億32百万円計上した一方で、自己株式の取得により自己株式が3億87百万円増加し、配当金の支払いにより利益剰余金が1億62百万円減少したこと等によります。自己資本比率は、前連結会計年度末に比べて3.1ポイント減少し、35.8%となりました。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は25億89百万円となり、前連結会計年度末残高44億11百万円と比べて18億22百万円の減少となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー )当連結会計年度における営業活動の結果支出した資金は、3億69百万円(前連結会計年度は9億59百万円の収入)となりました。これは、主として税金等調整前当期純利益4億49百万円、減価償却費4億9百万円、法人税等の還付額2億円を計上した一方で、売上債権の増加額6億99百万円、法人税等の支払額3億34百万円、棚卸資産の増加額1億34百万円、預り金の減少額1億27百万円を計上したこと等によります。なお、売上債権の主な増加要因は、当期に地方自治体から受注した案件の売掛金の回収サイトが当社グループの通常の回収サイトよりも長めに設定されていることによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー )当連結会計年度における投資活動の結果支出した資金は、8億36百万円(前連結会計年度は11億62百万円の支出)となりました。これは、主として連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出4億49百万円、無形固定資産の取得による支出2億78百万円、有形固定資産の取得による支出1億12百万円を計上したこと等によります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー )当連結会計年度における財務活動の結果支出した資金は、6億16百万円(前連結会計年度は5億52百万円の収入)となりました。これは、主として長期借入れによる収入5億円、社債発行による収入2億円を計上した一方で、長期借入金の返済による支出6億98百万円、自己株式取得による支出3億89百万円、配当金の支払額1億61百万円を計上したこと等によります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績当社グループの業務は、人材サービス、小売り及びレンタルオフィスの提供であり、サービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
b. 受注状況
「a.生産実績」と同様の理由により、記載を省略しております。
c. 販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
第46期(自
2021年11月1日至
2022年10月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
オンデマンドエコノミー事業
14,987,262
3.6
システムソリューション事業
4,205,238
5.3
シェアリングエコノミー事業
3,740,468
38.0
合計
22,932,969
8.3
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.総販売実績の10%以上の割合を占める主要な取引先はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、当社グループの判断により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる可能性があります。当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針及び見積りに関しては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの当連結会計年度の経営成績は、前連結会計年度と比較し、売上高が17億63百万円増加して229億32百万円、売上総利益が2億56百万円増加して51億40百万円、営業利益が4億61百万円減少して4億42百万円、経常利益が4億61百万円減少して4億76百万円、税金等調整前当期純利益が3億65百万円減少して4億49百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が2億1百万円減少して2億32百万円となりました。オンデマンドエコノミー事業の売上高は、「対面型業務」である販売支援業務やIT機器の設置設定業務において、継続的な新型コロナウィルス感染症の流行に伴う案件の延期や縮小、半導体不足によるIT機器製品の供給制約によって取引高が減少した一方、「非対面業務」のコンタクトセンターサービスは、通販市場の成長、テレワークの拡大・定着化に伴い取引高は増加し3.8%の増収となりました。システムソリューション事業の売上高は、ギグワーカーを含むビジネスパートナーとの連携を強化することで取引高が増加した結果6.4%の増収となりました。シェアリングエコノミー事業の売上高は、リモートワークが一般的になるなど、多様な働き方に対するニーズを捉えた結果、利用会員数も大幅に伸長し34.3%の増収となりました。売上総利益率は、前連結会計年度から0.7ポイント低下し22.4%となりました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比較し7億17百万円増加して46億98百万円となりました。これは、主として2022年7月1日付けで日本直販株式会社が連結子会社となった事で、広告宣伝費が3億44百万円、カタログ製作費用等により業務委託費1億64百万円が増加していることに起因します。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループの運転資金需要のうち主なものは、登録ギグワーカーに対する報酬等の人件費や外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資及びM&A等によるものであります。運転資金及び投資を目的とした資金につきましては、自己資金での対応を基本としておりますが、必要に応じて、資金調達(銀行からの借入等)を行うことを基本方針としております。資金の流動性管理にあたっては、日次で預金残高管理を実施し資金繰り計画を作成・更新することにより流動性リスクを随時管理するとともに、取引金融機関との当座貸越契約の締結等により、将来に渡り必要な資金流動性を確保できるよう計画しております。当連結会計年度の資金の流動性の情報につきましては「第2 事業の状況3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
#C2375JP #ギグワークス #サービス業セクター