【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という))の状況の概要は次のとおりであります。① 経営成績の状況当事業年度(2021年11月1日から2022年10月31日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の制限が緩和される一方、新たな変異株による感染拡大が加速し、さらにはウクライナ情勢の長期化や物価の高騰、各国における金融政策の引き締めなど、先行きに対する不透明感は強まりつつあります。一方で、当社が展開するサービスを取り巻く環境は、インターネット、スマートフォン、SNSの普及によりデジタルチャネルでの購買が一般化してきたこと、新型コロナウイルス感染症拡大によりオフラインでのマーケティング活動が制限されたこと等により、企業のマーケティング活動のデジタルシフトが加速しており、当社が事業を展開するDXコンサルティングや「Keywordmap」シリーズ等のデジタルマーケティングを支援するサービスへの需要は引き続き拡大傾向にあり、堅調な成長を続けております。採用に関しても優秀な人材の確保が順調に進捗しました。また、新たな事業拡大に向けた活動では、業績への貢献は未だ僅少ですが、YouTube、TikTok、Twitter、LINE等の新たなプラットフォームのコンサルティングサービス提供の取り組みや、社外のマーケティングのプロ人材を活用して顧客のマーケティング活動を支援するエキスパートソーシング事業への取り組みを強化しました。このような経営環境のもと、当事業年度の売上高は1,805,191千円(前年同期比37.4%増)となりました。利益面につきましては、事業拡大に向け新サービスへの先行投資や人材投資を行った一方で、売上高の堅調な推移がこれを上回り、営業利益は292,823千円(前年同期比44.7%増)、経常利益は291,586千円(前年同期比53.1%増)、当期純利益は201,390千円(前年同期比55.5%増)となりました。なお、当事業年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細については「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
事業ごとの売上高及びセグメント利益は以下のとおりになります。
(ソリューション事業)ソリューション事業においては、「Keywordmap」の営業部員の増員及び人材育成が進んだこと、展示会の出展、オウンドメディア「Keywordmap Academy」やウェビナーを活用したマーケティング施策などが順調に進捗しており、新規案件の獲得が堅調に推移しました。一方、カスタマーサクセスチーム1人当たりの担当件数が増加したことにより、十分なサポート・サクセス支援品質を提供できなかったことを要因として、2021年9月以降は解約率が上昇していましたが、人員の拡充や業務効率化の施策が功を奏し、2022年5月以降の解約率は低下に転じました。「Keywordmap for SNS」についても、営業部員の増員及び人材育成が進んだことにより、新規案件の獲得が順調に推移しました。また、解約率低減のため、カスタマーサクセスチームの体制の強化を行いました。さらに、ユーザーの生産性向上及び成果創出に寄与する機能を実装しました。その結果、当セグメントの売上高は886,522千円(前年同期比36.6%増)、セグメント利益は206,379千円(前年同期比75.7%増)となりました。
(アナリティクス事業)アナリティクス事業においては、営業部員の増員及びウェビナーやSNSを活用したマーケティング施策が順調に推移したことにより、新規獲得案件が増加しました。また、コンサルタントやデータアナリストの人員増加や育成体制の強化が進んだことや、動画マーケティングコンサルサービスなどの新規サービスの受注が順調に進捗したことにより、契約件数、月額顧客単価ともに増加しました。その結果、当セグメントの売上高は934,715千円(前年同期比38.3%増)、セグメント利益は86,444千円(前年同期比2.0%増)となりました。
② 財政状態の状況(資産)当事業年度末の資産については、前事業年度末に比べて136,214千円増加し、2,025,589千円となりました。これは主に事業拡大による売掛金の増加(前事業年度比47,771千円の増加)と、ソフトウエアの増加(前事業年度比31,169千円の増加)、敷金及び保証金の増加(前事業年度比102,411千円の増加)、現金及び預金の減少(前事業年度末比80,360千円の減少)によるものであります。
(負債)当事業年度末の負債については、前事業年度末に比べて66,934千円減少し、527,641千円となりました。これは主に、借入金の減少(前事業年度比92,814千円の減少)と、未払法人税等の減少(前事業年度比15,402千円の減少)、資産除去債務の減少(前事業年度比5,800千円の減少)、人員の増加に伴う未払費用の増加(前事業年度末比19,314千円増加)、未払金の増加(前事業年度末比14,884千円の増加)、外注費の増加による買掛金の増加(前事業年度末比14,329千円の増加)によるものであります。
(純資産)当事業年度末の純資産については、前事業年度末に比べて203,148千円増加し、1,497,948千円となりました。これは主に、当期純利益の計上による利益剰余金の増加(前事業年度末比201,390千円の増加)と、ストックオプションの行使による資本金及び資本準備金の増加(前事業年度比1,782千円の増加)によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,523,509千円となり、前事業年度末残高に比べ80,360千円減少いたしました。なお、当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果、獲得した資金は185,501千円(前事業年度は289,833千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益295,733千円、減価償却費40,474千円、未払金の増加により32,872千円の増加を計上した一方で、売上債権の増加により47,437千円の減少、法人税等の支払額110,293千円の支出を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は174,806千円(前事業年度は26,129千円の支出)となりました。これは主に、敷金及び保証金の差入による支出102,411千円、無形固定資産の取得による支出72,189千円を計上したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動により使用した資金は91,055千円(前事業年度は811,056千円の収入)となりました。これは、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)92,814千円の返済による支出と、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,758千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績当社はインターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、また、受注生産形態をとらない事業も多いため、生産実績の記載を省略しております。
(b) 受注実績当社はインターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、また、受注生産形態をとらない事業も多いため、受注実績の記載を省略しております。
(c) 販売実績第9期事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
ソリューション事業
886,522
+36.6
アナリティクス事業
934,715
+38.3
合計
1,821,238
+37.5
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しておりません。2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上を占める相手先がいないため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)当事業年度における当社の売上高は、1,805,191千円(前事業年度比37.4%増加)となりました。これは、主に、当社の主力サービスである「Keywordmap」シリーズの販売が順調であること及びビッグデータを活用したデジタルマーケティング全般のコンサルティングサービスの案件数の増加によるものであります。
(営業利益)当事業年度における当社の営業利益は、292,823千円(前事業年度比44.7%増加)となりました。事業拡大に向け新サービスへの先行投資や人材投資を行いましたが、売上高の堅調な推移がこれを上回りました。
(営業外損益・経常利益)当事業年度における営業外収益は、受取手数料等により433千円となりました。また、営業外費用は、支払利息等1,670千円を計上しました。経常利益は、291,586千円(前事業年度比53.1%増加)となりました。
(特別損益・税引前当期純利益・法人税等・当期純利益)当事業年度における特別利益は資産除去債務履行差額4,438千円を計上。特別損失は、固定資産除却損、固定資産売却損合計291千円を計上しました。その結果、税引前当期純利益は、295,733千円(前事業年度比55.4%増加)となりました。また、法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額の合計94,342千円を計上したことにより、当事業年度の当期純利益は、201,390千円(前事業年度比55.5%増加)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
④ 資本の財源及び資金の流動性当社の所有資金は、運転資金及び事業拡大に伴う、新サービスに関連するソフトウエア等の投資資金となっています。これらの資金については、営業キャッシュ・フローで獲得した自己資金を充当することを基本としておりますが、資金需要及び金利動向等の調達環境を考慮し、金融機関からの借入等、外部資金を調達する場合があります。また、資金の流動性については、当事業年度末現在、現金及び預金が1,523,509千円あり、事業運営上、必要な資金は確保されていますが、より一層、十分な流動性を維持していく考えであります。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。当社は、常に、事業環境に留意するとともに、組織体制の整備、優秀な人材の確保等により、リスク要因に対応してまいります。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社は、あらゆるデータを様々な分析手法で活用し、革新的ソリューションを提供することにより、マーケティングソリューションで日本を代表する会社を創るというビジョンのもと、マーケティングの効率化・品質向上を支援するソリューション事業、データアナリストによるデータ解析、コンサルテーションを実施するアナリティクス事業を拡大してまいりました。今後の方針としましても、引き続き市場の拡大が見込まれる当該事業領域へ経営資源を投入することで中長期の持続的な成長を目指してまいります。経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
⑦
経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
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