【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2021年11月1日~2022年10月31日)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症対策と経済活動の両立が進み、持ち直しが見られたものの、世界的な半導体の供給不足によるサプライチェーンの混乱や原材料価格の高騰、ウクライナ情勢の長期化に伴う資源価格の高騰、欧米におけるインフレ加速に伴う政策金利引き上げ、中国における経済活動抑制の影響等、先行きに対する不透明な状況が継続しております。
わが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種が進み、経済活動の正常化に向けた動きが見られるものの、急速な円安の進行により、資源価格や原材料価格の高騰がさらに進み、依然として予断を許さない状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループは絶えず独創的、革新的な研究と技術力の向上に努め、付加価値の高い製品の開発を行うとともに、お客様の満足度を第一とし、品質と機能において常に優れた製品、サービス、情報を提供することに努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態、経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,942百万円増加し、28,223百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ453百万円増加し、6,138百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,489百万円増加し、22,085百万円となりました。
b.経営成績の状況
当連結会計年度の売上高は20,445百万円(前年同期比7.3%増)、営業利益1,673百万円(前年同期比17.3%減)、経常利益2,104百万円(前年同期比5.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,514百万円(前年同期比7.7%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
塗料事業
金属用塗料分野では、工作機械・特殊車向けに工程短縮および機能性粉体塗料の提案が採用されたことや、中国で水性塗料を中心に新規ユーザーの開拓が進んだことで、売上高は前年同期に比べ増加いたしました。建材用塗料分野では、主力外装建材ユーザーの海外向けの商材が増えたことや内装建材向けの抗ウイルス塗料の拡販により、売上高は前年同期に比べ増加いたしました。セグメント利益は、原材料価格の高騰や物流コストの上昇などの影響を受け、前年同期に比べ減少いたしました。
その結果、塗料事業における当連結会計年度の売上高は12,205百万円(前年同期比3.3%増)、セグメント利益は986百万円(前年同期比28.2%減)となりました。
ファインケミカル事業
PC向けのコーティング剤の需要が減少したものの、スマートフォンのアクセサリー部材へのコーティング剤や光学フィルム向けのコーティング剤が底堅く推移し、また、モビリティ(自動車関連)向けのコーティング剤の需要が旺盛であったことにより、売上高は前年同期に比べ増加いたしました。セグメント利益は、原材料価格の高騰や物流コストの上昇などの影響を受けたものの、高付加価値製品の販売が伸びたことで、前年同期に比べ増加いたしました。
その結果、ファインケミカル事業における当連結会計年度の売上高は3,276百万円(前年同期比7.4%増)、セグメント利益は1,172百万円(前年同期比26.5%増)となりました。
シンナー事業
新規ユーザーの獲得や新商材の販売の推進により、売上高は前年同期に比べ増加いたしました。セグメント利益は、原材料価格などの高騰の影響を受け、前年同期に比べ減少いたしました。
その結果、シンナー事業における当連結会計年度の売上高は4,963百万円(前年同期比18.6%増)、セグメント利益は242百万円(前年同期比32.7%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より309百万円減少し、当連結会計年度末には7,131百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、2,026百万円(前年同期は1,903百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益2,119百万円、減価償却費722百万円、仕入債務の増加630百万円による資金の増加と売上債権の増加223百万円、棚卸資産の増加206百万円、法人税等の支払708百万円による資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、2,124百万円(前年同期は1,307百万円の支出)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入368百万円、有価証券の償還による収入5,900百万円、信託受益権の償還による収入4,300百万円による資金の増加と定期預金の預入による支出761百万円、有価証券の取得による支出6,100百万円、信託受益権の取得による支出4,400百万円、有形固定資産の取得による支出861百万円、長期預金の預入による支出592百万円による資金の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、414百万円(前年同期は384百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払414百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2021年11月1日
至 2022年10月31日)
前年同期比(%)
塗料事業(千円)
12,356,394
4.2
金属用塗料(千円)
5,560,323
8.9
建材用塗料(千円)
6,606,327
10.2
その他(千円)
189,743
△75.0
ファインケミカル事業(千円)
3,288,779
6.9
シンナー事業(千円)
4,994,958
19.5
合計(千円)
20,640,131
8.0
(注)1.金額は販売価格で表示しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の実績のうちには、外注生産によるものが各種類ごとに含まれております。
b.受注実績
当社グループは、主として見込生産によっており、受注高及び受注残高について特に記載すべき事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2021年11月1日
至 2022年10月31日)
前年同期比(%)
塗料事業(千円)
12,205,586
3.3
金属用塗料(千円)
5,497,078
8.0
建材用塗料(千円)
6,520,769
9.3
その他(千円)
187,738
△75.1
ファインケミカル事業(千円)
3,276,308
7.4
シンナー事業(千円)
4,963,825
18.6
合計(千円)
20,445,721
7.3
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2020年11月1日
至 2021年10月31日)
当連結会計年度
(自 2021年11月1日
至 2022年10月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
ニチハ株式会社
4,470,804
23.5
4,943,282
24.2
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は19,379百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,033百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が160百万円、受取手形及び売掛金が171百万円、電子記録債権が104百万円、有価証券が200百万円、商品及び製品が159百万円、原材料及び貯蔵品が92百万円、信託受益権が100百万円増加したことによるものであります。固定資産の残高は8,844百万円となり、前連結会計年度末に比べ909百万円増加いたしました。これは主に建設仮勘定が993百万円減少したものの、建物及び構築物(純額)が761百万円、機械装置及び運搬具(純額)が385百万円、長期預金が741百万円増加したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度末の総資産は28,223百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,942百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は5,548百万円となり、前連結会計年度末に比べ565百万円増加いたしました。これは主に未払法人税等が166百万円減少したものの、支払手形及び買掛金が622百万円、未払金が84百万円増加したことによるものであります。固定負債の残高は589百万円となり、前連結会計年度末に比べ112百万円減少いたしました。これは主に退職給付に係る負債が36百万円増加したものの、役員退職慰労引当金が161百万円減少したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度末の負債合計は6,138百万円となり、前連結会計年度末に比べ453百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は22,085百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,489百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益を1,514百万円計上した一方で、配当金の支払414百万円があったこと、為替換算調整勘定が451百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は78.3%(前連結会計年度末は78.4%)となりました。
b.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は20,445百万円(前年同期比7.3%増)となりました。
この内訳といたしましては、塗料事業の売上高が12,205百万円(前年同期比3.3%増)、ファインケミカル事業の売上高が3,276百万円(前年同期比7.4%増)、シンナー事業の売上高が4,963百万円(前年同期比18.6%増)であります。
概況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(営業利益)
売上原価は15,592百万円(前年同期比11.3%増)、売上原価率は76.3%(前連結会計年度末は73.6%)となりました。これは主に原材料価格の高騰に伴う原材料費の増加によるものであります。
販売費及び一般管理費は3,180百万円(前年同期比5.5%増)となりました。これは主に物流コストの上昇による増加であります。
この結果、当連結会計年度における営業利益は1,673百万円(前年同期比17.3%減)となりました。
(経常利益)
営業外収益は433百万円(前年同期比113.2%増)となりました。主な内容としては、為替差益345百万円であります。
営業外費用は1百万円(前年同期比83.9%減)となりました。
この結果、当連結会計年度における経常利益は2,104百万円(前年同期比5.0%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は38百万円となりました。主な内容としては、保険解約返戻金28百万円であります。
特別損失は23百万円となりました。主な内容としては、固定資産処分損22百万円であります。
この結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は1,514百万円(前年同期比7.7%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりであります。
2018年10月期
2019年10月期
2020年10月期
2021年10月期
2022年10月期
自己資本比率(%)
77.5
76.8
77.3
78.4
78.3
時価ベースの自己資本比率(%)
37.2
40.8
31.1
47.3
41.0
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)
11.7
8.1
11.2
8.9
8.9
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
89,709
123,936
477,270
600,145
596,953
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式総数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要の主なものは、原材料の購入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要の主なものは、生産設備等の設備投資であります。
これらの運転資金や投資資金は、自己資金により充当することを基本方針としておりますが、必要に応じて資金調達を行ってまいります。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は179百万円となっております。
また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は7,131百万円となっております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成において、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループが連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響に関する見積りの情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑥ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するため客観的な指標等
当社グループは、独創的な高付加価値製品を開発し、生産性の向上を推進するなかで収益率を重視した経営を目指し、売上高営業利益率15%、海外売上高比率30%を目標としております。
当連結会計年度の売上高営業利益率は8.2%(前年同期10.6%)、海外売上高比率は18.6%(前年同期20.6%)となりました。引き続き当該指標の改善に邁進していく所存でございます。