【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
経営成績等の状況の概要
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、物価高騰や円安が継続し、一部では景気回復の兆しはあったものの、世界情勢の混乱を含め、懸念材料も多く不透明な状況にありました。
このような状況のもと、当社グループにおきましては、原材料価格、海上運賃及び電力費を中心としたコストの増加、並びに機械部品のサプライチェーンの混乱が収益面へ大きな影響を及ぼしており、これらの影響への対策に注力しながら事業活動を継続してまいりました。
その結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高299億53百万円(前期比8.1%増)、営業利益13億77百万円(同38.9%減)、経常利益16億81百万円(同29.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は9億43百万円(同41.8%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
合成樹脂加工製品事業
合成樹脂加工製品事業におきましては、シート関連や土のうが流通在庫の増加及び防災備蓄の需要減少等により不調であったものの、海外向けのコンクリート補強繊維「バルチップ」、包装資材用途のメルタック、農業や工業用途のラミクロスが好調に推移し、製品値上げ効果も重なり、全体では増収となりました。一方で、原材料価格、海上運賃、電力費等の高騰、及び円安による輸入コスト上昇の影響を受け、製品価格への転嫁に注力してまいりましたが、価格転嫁が損益に反映されるまでのタイムラグの発生及び主にシート関連、土のう、粘着原反の販売量減少により減益となりました。
インドネシア子会社「ハギハラ・ウエストジャワ・インダストリーズ社」におきましては、主要生産品目であるフレキシブルコンテナバッグが日本での需要減により不調であったものの、バルチップの生産は堅調に推移しました。国内子会社「東洋平成ポリマー株式会社」におきましては、原材料価格高騰に伴う製品への価格転嫁と生産品目の再編による生産効率の改善を進めたことで増収となりました。なお、中国子会社「青島萩原工業有限公司」につきましては、2022年6月、公共事業に伴う土地収用対象に指定され、同年7月末に操業を停止いたしました。
その結果、売上高は255億70百万円と前期に比べ30億30百万円(13.4%)の増収となり、営業利益は11億76百万円と前期に比べ4億円(△25.4%)の減益となりました。
機械製品事業
機械製品事業におきましては、主力製品のスリッターにおいて、電装機器を主とする部品の長納期化、また、世界情勢や為替動向等を理由とした顧客の設備投資決定の遅れのため、当期に計画していた製品売上に遅れが生じ減収となりました。一方で、押出関連機器においては、リチウムイオン電池セパレーター増産に連動してスクリーンチェンジャーの需要が堅調、リサイクル関連機器においても、水平リサイクルに対する関心の高まりがあり増収となりましたが、全体では減収となりました。
製造現場の人手不足を解消するための省人化・自動化されたスリッターの引き合いや常設しているテスト機でのリサイクルテスト依頼が増加するなど、受注環境は好転し、コロナ禍で見送っていた展示会への出展を再開する等、需要の取り込みを図りました。
その結果、売上高は43億82百万円と前期に比べ7億83百万円(△15.2%)の減収となり、営業利益は2億円と前期に比べ4億77百万円(△70.4%)の減益となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ20億23百万円減少し、46億73百万円となりました。
当連結会計年度における活動ごとのキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益13億33百万円、減価償却費13億71百万円及び収用補償金の受取額6億26百万円を主とする資金の増加並びに棚卸資産の増加額13億7百万円及び退職給付に係る負債の減少額2億48百万円を主とする資金の減少により、10億52百万円(前連結会計年度比5億32百万円の資金減少)の資金の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、生産設備の新増設、更新及び合理化投資等の有形固定資産の取得並びに笠岡工場(仮称)の建設資金支払いによる支出47億11百万円等により、41億66百万円(前連結会計年度比25億53百万円の資金減少)の資金の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、主に短期借入金の返済による支出3億76百万円及び自己株式の取得による支出5億64百万円並びに長期借入れによる収入23億79百万円等により、7億6百万円(前連結会計年度比10億17百万円の資金増加)の資金の増加となりました。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前年同期比(%)
合成樹脂加工製品事業
19,890,342
123.8
機械製品事業
3,966,614
81.3
合計
23,856,956
113.9
(注)金額は販売価格によっております。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
合成樹脂加工製品事業
原糸
2,148,826
102.6
120,330
40.3
梱包袋
1,732,192
143.9
96,317
78.2
計
3,881,019
117.7
216,648
51.3
機械製品事業
6,210,954
111.7
5,487,951
150.0
合計
10,091,974
113.9
5,704,599
139.8
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.合成樹脂加工製品事業においてクロス、シート及び土のうは主として見込み生産のため記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前年同期比(%)
合成樹脂加工製品事業
25,570,541
113.4
機械製品事業
4,382,458
84.8
合計
29,953,000
108.1
(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の採用や、資産・負債、収益・費用の計上及び開示に関する経営者の見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
・流動資産
当連結会計年度末における流動資産の残高は、222億6百万円(前連結会計年度末217億66百万円)となり、4億40百万円増加しました。これは主に機械製品事業において部品調達の遅れに伴い未完成となっている仕掛品の増加及び合成樹脂加工製品事業における原材料価格の高騰により棚卸資産(商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品)が18億13百万円増加、その他流動資産が4億76百万円増加、受取手形及び売掛金が2億75百万円増加した一方、笠岡工場(仮称)の建設資金支払い等により現金及び預金が21億24百万円減少したこと等によります。
・固定資産
当連結会計年度末における固定資産の残高は、162億40百万円(前連結会計年度末130億26百万円)となり、32億13百万円増加しました。これは主に通常の設備投資に加え、笠岡工場(仮称)の工事進捗等により建設仮勘定が25億79百万円増加したこと等によります。
・流動負債
当連結会計年度末における流動負債の残高は、89億50百万円(前連結会計年度末81億40百万円)となり、8億10百万円増加しました。これは主に、青島萩原工業有限公司が受領した収用補償金のうち当連結会計年度に受領した6億26百万円をその他流動負債に計上したことによります。
・固定負債
当連結会計年度末における固定負債の残高は、35億45百万円(前連結会計年度末14億9百万円)となり、21億35百万円増加しました。これは主に設備投資資金に充当するための長期借入金の増加等によります。
・純資産
当連結会計年度末における純資産の残高は、259億50百万円(前連結会計年度末252億42百万円)となり、7億7百万円増加しました。これは、自己株式が増加したものの、利益剰余金及び為替換算調整勘定が増加したこと等によります。
② 経営成績の分析
・売上高
当連結会計年度における売上高は、299億53百万円(前連結会計年度277億5百万円)となり、22億47百万円増加しました。これは主に海外向けのバルチップ、メルタック及びラミクロスの販売量増加に加え全般的に製品値上げがあったこと等によります。
・売上総利益
当連結会計年度における売上総利益は、77億99百万円(前連結会計年度81億4百万円)となり、3億4百万円減少しました。これは主に原材料価格の高騰による製造原価の増加等によります。
・販売費及び一般管理費
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、64億22百万円(前連結会計年度58億49百万円)となり、5億72百万円増加しました。これは主に海上輸送運賃の増加等によります。
・営業外損益
当連結会計年度における営業外損益は、3億4百万円の利益(前連結会計年度1億17百万円の利益)となり、1億86百万円増加しました。これは主に為替差益の増加、受取保険金の増加等によります。
・特別損益
当連結会計年度における特別損益は、3億47百万円の損失(前連結会計年度7百万円の利益)となり、3億55百万円減少しました。これは主に事業撤退損の発生等によります。
・税金等調整前当期純利益
当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、13億33百万円(前連結会計年度23億79百万円)となり、10億46百万円減少しました。
・法人税等
当連結会計年度における税金費用は、3億82百万円(前連結会計年度7億59百万円)となり、3億77百万円減少しました。
・親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、9億43百万円(前連結会計年度16億19百万円)となり、6億76百万円減少しました。この結果、1株当たり当期純利益は65円86銭(前連結会計年度111円88銭)となり、46円2銭減少しました。
③ キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローを主に、事業支出の2か月分を目安とする所要運転資金を確保するとともに、「第4 提出会社の状況 3.配当政策」記載の方針による利益還元及び設備投資に充当した上で、借入金の返済による財務体質の強化を進め、将来の成長投資への備えとしております。
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