【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況当社は、社名を2023年5月1日より「SCAT株式会社」に変更し、新たなスタートを切っております。当第3四半期連結累計期間(2022年11月1日から2023年7月31日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症に対する規制緩和により社会活動の正常化に向けた景気の持ち直しの兆しがみられましたが、ウクライナ情勢の長期化、光熱費や原材料価格の上昇による物価高騰など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。当社のコア事業の属する情報通信業界では、世界的な半導体不足により納期遅延等の影響がみられたものの、国策として推進されているDX(デジタルトランスフォーメーション)を背景に、企業競争力と情報セキュリティの強化、オンラインを前提とした業務改善等のIT活用により、企業のIT投資は中長期的に増加する傾向にあると見込まれております。当社は、経済産業省より「DX認定事業者」「IT導入支援事業者」に選定され、さらに中小企業の経営力強化を支援する「経営革新等支援機関」の認定により、新たなビジネスの創造とお客様支援に寄与しております。美容サロン向けICT事業では、提供する製品やコンテンツサービスがIT導入補助金の対象になり、ユーザーのDX化需要に応えております。さらに、2023年10月より導入されるインボイス制度に対応する販売管理システムの需要見込み増など、追い風と言える市場環境が継続しております。これらを背景に、美容サロン向けICTサービスの拡充と業容拡大、DX化システムの充実に伴う自社アプリケーションソフトの機能拡充、及びキャリア人財の採用等の各種施策を進展させ、持続的な成長のための基盤整備に努めております。中小企業向けビジネスサービス事業では、中小企業支援に関する専門知識や実務経験が評価され、国の認定を受けた「経営革新等支援機関」となりました。これにより、クライアントの経営相談や事業計画の策定及び実行支援等のコンサルティングサービスの案件が徐々に増えております。介護サービス事業では、新型コロナウイルス感染症の法律上の分類が、季節性インフルエンザと同じ第5類感染症に移行されたものの、引き続き高い緊張感をもって感染症対策を継続しております。特に、介護付き有料老人ホームでは、ご逝去(看取り)による空室が増え、さらに食材や水道光熱費等の高騰により、損益に影響を受けております。以上の結果、当第3四半期連結累計期間における当社グループの業績は、売上高2,044,177千円(前年同四半期比4.1%の増加)、営業利益182,360千円(前年同四半期比9.8%の減少)、経常利益183,408千円(前年同四半期比8.8%の減少)、親会社株主に帰属する四半期純利益138,080千円(前年同四半期比69.2%の増加)となりました。セグメント別の業績は、以下のとおりであります。なお、セグメント利益は、営業利益に基づいております。
a 美容サロン向けICT事業美容サロン向けICT事業では、収益の柱をシステム販売(物販)で伸ばしつつ、保守、コンテンツ等の新たな課金型サービスの拡大を進めております。アフターコロナによる経済活動の回復により、販売代理店との同行販売や展示会等も徐々に解禁され営業活動が活性化し、さらに「IT導入補助金の採択率の向上」「インボイス制度対応」「DX推進」の追い風もあり、先行指標である受注は当初見通しを大きく上回る実績と受注残高を確保しております。
システム販売(物販)では、美容サロン向け商品として、ユーザーのカスタマイズ要望にお応えするオンプレミス型POSシステムの「Sacla PREMIUM」と、マルチデバイスでSaaS型システムの「BEAUTY WORKS」の2本の基幹システムを提供しております。2023年度も「IT導入支援事業者」に継続して選定され、IT導入補助金を活用した「Sacla PREMIUM」の受注が当初見通し以上の実績を継続しております。また、半導体不足に伴う商品品薄により延期していた大口ユーザーの納品が計画的に進み、今期中に納品が完了する見通しとなっております。美容ディーラー向け販売管理システム「i-SCAP/EX」においては、クラウド型電子請求書発行システム「楽楽明細」を提供する株式会社ラクス(東証プライム:3923)とのアライアンス(販売パートナー契約)により、インボイス制度、電子帳簿保存法に対応した電子請求等のシステム提供を開始しております。これにより美容ディーラーのバックオフィス業務の改善と生産性向上と併せて、販売代理店化に繋げ、新規ユーザー獲得推進による売上も増加しております。課金型ストックビジネスでは、2023年1月に新コンテンツ「LINEミニアプリ」連携がスタートしたことにより加盟店獲得も順調に進み、これまで課金型ストックビジネス構築を牽引してきたスマホアプリ(Salon Appli)や「Google で予約 (Reserve with Google)」、楽天スーパーポイント連携等の、課金型サービスへの拡大を更に加速しております。また、2023年秋には理美容業界におけるBtoBクレジット決済サービス(キャッシュレス)を、ヘアサロン「モッズ・ヘア」を運営管理する株式会社エム・エイチ・グループ(東証スタンダード:9439)の連結子会社である株式会社ライトスタッフと連携を進めてまいります。一方、セグメント利益においては、2022年10月期までのコロナ関連助成金等の解消により前年同四半期比で減少しておりますが、当初見通しを上回って着地しております。以上の結果、当第3四半期連結累計期間におきましては、売上高は1,241,447千円(前年同四半期比8.8%の増加)、セグメント利益は130,471千円(前年同四半期比8.8%の減少)となりました。
b 中小企業向けビジネスサービス事業 中小企業向けビジネスサービス事業では、中小企業の経営支援のため、会計・経理業務を中心に各種サービスを提供しております。経済産業省より「経営革新等認定支援機関」に認定され、お客様の経営課題の改善のための経営力向上計画策定や事業再構築支援等のコンサルティングサービスを提供しております。コア業務の会計サービスは、月次決算等の財務報告を中心に、資金繰りサポートや記帳及び給与計算等の事務代行(BPO)サービスの提供、並びに関連する会計・給与・販売管理ソフトのITシステム運用支援、及びリスクマネジメント(生保・損保代理店業務)を行っております。これらのサービス提供により既存顧客との関係はより強固なものとなり、さらに紹介パートナー契約企業、地域の金融機関や士業とのアライアンスにより安定した新規取引先の獲得につながっております。さらに、10月からのインボイス制度の準備として各クライアントへの対応のほか、事業承継支援や認定支援機関としてのコンサルティングの提供など、コンサルティングサービスの拡充に努めております。以上の結果、当第3四半期連結累計期間におきましては、売上高は239,840千円(前年同四半期比1.0%の減少)、セグメント利益は11,726千円(前年同四半期比496.0%の増加)となりました。
c 介護サービス事業介護サービス事業では、介護付き有料老人ホームを3施設(栃木県佐野市、群馬県館林市、長野県小諸市)及び在宅支援事業(通所介護・短期入所生活介護・訪問介護・居宅介護支援・健康促進事業)を1施設(長野県小諸市)運営しております。介護付き有料老人ホームでは、新規入居者は例年以上にあるものの、入居者の持病悪化によるご逝去や長期入院治療等による退去が重なったことにより空室が増え、また水道光熱費の高騰、食材を含む物価の上昇に伴う経費の増加等により損益に影響がありました。在宅支援事業では、デイサービスの新規利用者が増えコロナ禍前の稼働率に戻りつつあるものの、ショートステイでは近隣の医療機関や介護施設等においてコロナ感染が断続的に発生しており、他施設の介護サービスを利用しているお客様の動きが停止し、キャンセルが増加するなどの影響がありました。
2022年4月より開始した「助っ人」サービスでは、感染症対策を徹底しながら継続し、地域に認識され業容拡大や潜在的な顧客の獲得に貢献しています。以上の結果、当第3四半期連結累計期間におきましては、売上高は548,411千円(前年同四半期比3.0%の減少)、セグメント利益は32,866千円(前年同四半期比32.7%の減少)となりました。
② 財政状態の分析当第3四半期連結会計期間末における財政状態は、以下のとおりであります。(流動資産)当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ625,731千円減少し、1,422,210千円となりました。これは主として、現金及び預金の減少686,707千円、売掛金の増加25,491千円、商品の増加22,688千円によるものであります。
(固定資産)当第3四半期連結会計期間末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ14,050千円減少し、1,408,318千円となりました。これは主として、投資その他の資産のその他に含まれる差入保証金の増加40,824千円、ソフトウエアの減少53,227千円によるものであります。
(流動負債)当第3四半期連結会計期間末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ262,360千円減少し、393,391千円となりました。これは主として、短期借入金の減少200,000千円、賞与引当金の減少42,616千円によるものであります。
(固定負債)当第3四半期連結会計期間末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ26,083千円減少し、611,027千円となりました。これは主として、長期借入金の減少46,260千円、退職給付に係る負債の増加15,579千円によるものであります。
(純資産)当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ351,336千円減少し、1,826,109千円となりました。これは主として、自己株式の増加462,519千円、利益剰余金の増加106,064千円によるものであります。
(2) 経営方針・経営戦略等当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略について重要な変更はありません。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動該当事項はありません。
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