【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 令和2年3月31日)等を適用しております。そのため、前年同期比較は基準の異なる算定方法に基づいた比率を使用しております。 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況当連結会計年度(令和3年11月1日から令和4年10月31日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染者数再拡大の影響や、ウクライナ危機の長期化に伴う資源価格の高騰、及び円安、並びに世界的な半導体不足の長期化などの不安材料により、景気の先行きは依然不透明な状況が続いております。当社のコア事業の属する情報通信業界では、国策として推進されている企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が浸透し、集客手法やワークスタイルの変貌に加えデータセキュリティが重要視され、さらに電子帳簿保存法やインボイス制度への対応により企業のIT関連投資は引き続き増加傾向にあります。今後も、企業競争力の増加・業務効率化のためのIT関連投資は、中長期的な増加傾向にあるものと見込まれております。当社は、「ICTの提供による中小企業支援を通じた社会貢献」をパーパス(存在意義)とし、「Plus1」の付加価値を提供しております。当連結会計年度は、経済産業省より「DX認定事業者」「IT導入支援事業者」の選定、及び中小企業の経営力強化を支援する「経営革新等支援機関」として認定され、新たなお客様支援とビジネスチャンスの創造に寄与しております。美容サロン向けICT事業では、提供する製品やコンテンツサービスが、IT導入補助金の対象になりユーザーサロンのDX化の需要に応えております。さらに、令和5年10月より導入されるインボイス制度(適格請求書)に対応する販売管理システムの需要見込み増など、追い風と言える市場環境が継続しております。これらを背景に、美容サロン向けICTサービスの拡充と業容拡大、DX化システムの充実に伴う自社アプリケーションソフトの機能拡充、及び即戦力のキャリア人財の採用を進め、持続的な成長のための基盤整備に努めております。中小企業向けビジネスサービス事業は、中小企業支援に関する専門知識や実務経験が評価され、国の認定を受けた「経営革新等支援機関」となりました。これによりクライアントの事業計画・改善計画の策定、及び実行支援、並びに財務内容を含む経営コンサルティングの拡充に努めております。介護サービス事業では、安定した高い施設入居稼働率を確保しつつ、引き続き高いレベルでの感染防止対策を徹底し、入居者及び職員の安全確保に努めております。一方、新たなサービス提供と育成をテーマに、訪問介護事業所開設(長野県小諸市)を軸に、介護保険サービスと介護保険対象外のサービスを自由に組み合わせた「助っ人」サービスを展開し、地域の民生委員やケアマネージャーとの連携を通じて、利用者ご家族のご要望に応じたサービスを提供しております。以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高2,587,750千円(前連結会計年度比4.2%の増加)、営業利益224,162千円(同23.9%の増加)、経常利益223,129千円(同23.4%の増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は100,661千円(同16.8%の減少)となりました。なお、特別利益につきましては、当社グループが所有しておりました本社屋の土地売却に伴い固定資産売却益43,952千円を計上したほか、雇用調整助成金の収入16,213千円を計上しております。特別損失につきましては、本社屋の建物等売却に伴い減損損失56,061千円並びに固定資産売却損44,902千円を計上したほか、営業時間短縮の実施に起因する費用(人件費)34,617千円を計上しております。また、上記収益認識に関する会計基準等の適用による当連結会計年度の連結財務諸表に与える影響額は、軽微であります。セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
a 美容サロン向けICT事業美容サロン向けICT事業では、収益の柱をシステム販売(物販)から保守、コンテンツ、新たな課金型サービスへ着々と移行しております。業績は、好調な受注に支えられ大口納品も順調に推移し前期実績を大きく上回る結果となりました。システム販売(物販)においてはIT導入補助金を活用したシステムの入れ替え需要も多く、2月よりDX認定事業者として取り組んできたことも業績貢献の一因として大きく作用しました。ストック型コンテンツである「Google で予約(Reserve with Google)」、「楽天スーパーポイント連携」、「スマホアプリ(Salon Appli)」等のコンテンツ契約の獲得も順調に推移しております。今後も新たなコンテンツサービスを開発し、課金型ストックビジネスをさらに成長させてまいります。また美容ディーラー向けの販売管理システムにおいてもインボイス制度対応、電子帳簿保存法への対応を進め業界のDX推進の一助となっております。コスト面においては、Webを活用したサポートや商談の実施等による経費削減に努め、利益を確保してまいりました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,492,420千円(前連結会計年度比6.9%の増加)、セグメント利益(営業利益)は144,776千円(同60.5%の増加)となりました。
b 中小企業向けビジネスサービス事業中小企業向けビジネスサービス事業では、中小企業に経理、財務等のビジネスサービスを提供しております。コア業務である経理代行等のBPO業務や認定支援機関としての中小企業への支援サービスは堅調に推移し、既存客との関係を強固なものとすることができました。一方、技能実習生受入団体並びに特定技能外国人受入事業者への支援ビジネスについては、コロナ禍による政府の入国政策が緩和されたことにより徐々に改善しておりますが大きく影響を受けた1年となりました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は316,504千円(前連結会計年度比0.3%の増加)、セグメント損失(営業損失)は753千円(前連結会計年度は10,629千円の利益)となりました。 c 介護サービス事業介護サービス事業では、介護付き有料老人ホームを3施設(栃木県佐野市、群馬県館林市、長野県小諸市)及び在宅支援事業(通所介護・短期入所生活介護・居宅介護支援・健康促進事業)を1施設(長野県小諸市)運営しております。介護付き有料老人ホームでは、感染症に対応したBCP(事業継続プログラム)の再整備や入居者や社員の体調管理や衛生消毒を徹底、ICTを利用したオンラインでの面会サービスの実施等、ストレスや不安の解消により、集団感染防止と健康維持の継続に集中し、9割を超える入居稼働率を継続しております。一方、在宅介護事業においては、地域の新型コロナウイルス感染状況からお客様自身の利用控えにより一部損益に影響がありましたが、より地域に密着した運営を実施し、新規利用者の増加によりコロナ禍前の稼働率にまで回復しております。また、新たに介護の総合デパートとしての役割を強化すべく、4月よりサービス提供を開始した、お客様の個別のニーズに合わせた介護保険サービスと介護保険外のサービスを自由に組み合わせたオーダーメイド型の訪問サービス「助っ人」についても、感染症対策を徹底しながら事業を継続し徐々に利用の拡大となっております。以上の結果、当連結会計年度の売上高は759,454千円(前連結会計年度比0.8%の増加)、セグメント利益(営業利益)は69,132千円(同3.3%の増加)となりました。
② 財政状態の状況 a 流動資産当連結会計年度末における流動資産の残高は2,047,941千円(前連結会計年度末比63,296千円の増加)となりました。これは主として、現金及び預金の増加(同38,723千円の増加)、売掛金の増加(同35,676千円の増加)によるものであります。 b
固定資産当連結会計年度末における固定資産の残高は1,422,368千円(前連結会計年度末比307,508千円の減少)となりました。これは主として、ソフトウエアの増加(同156,173千円の増加)、ソフトウエア仮勘定の減少(同137,794千円減少)、建物及び構築物(純額)の減少(同233,149千円の減少)、土地の減少(同72,147千円の減少)によるものであります。
c 流動負債当連結会計年度末における流動負債の残高は655,752千円(前連結会計年度末比36,908千円の減少)となりました。これは主として、未払法人税等の減少(同24,897千円の減少)、1年内返済予定の長期借入金の減少(同22,000千円の減少)によるものであります。
d 固定負債当連結会計年度末における固定負債の残高は637,110千円(前連結会計年度末比67,964千円の減少)となりました。これは主として、長期借入金の減少(同63,680千円の減少)によるものであります。
e 純資産当連結会計年度末における純資産の残高は2,177,446千円(前連結会計年度末比139,338千円の減少)となりました。これは主として、利益剰余金の増加(同51,653千円の増加)、自己株式の増加(同188,432千円の増加)によるものであります。 以上の結果、当連結会計年度末の総資産は3,470,310千円(前連結会計年度末比244,211千円の減少)となりました。
③
キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ38,723千円増加し1,765,709千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は253,204千円となりました(前連結会計年度は346,659千円の獲得)。これは主に、税金等調整前当期純利益159,040千円、減価償却費128,306千円、売上債権の増加額35,676千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は112,321千円となりました(前連結会計年度は113,393千円の使用)。これは主に、有形固定資産の売却による収入228,000千円、無形固定資産の取得による支出105,803千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果使用した資金は326,802千円となりました(前連結会計年度は81,049千円の使用)。これは主に自己株式の取得による支出189,674千円、長期借入金の返済による支出85,680千円、配当金の支払額48,876千円によるものであります。
④
生産、受注及び販売の状況
a
生産実績当連結会計年度における生産金額をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 令和3年11月1日 至 令和4年10月31日)
売上原価(千円)
前年同期比(%)
美容サロン向けICT事業
773,782
1.3
中小企業向けビジネスサービス事業
177,111
8.9
介護サービス事業
543,831
2.4
その他
9,273
10.7
合計
1,503,999
2.6
(注) セグメント間取引については相殺消去しております。
b
販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 令和3年11月1日 至 令和4年10月31日)
販売高(千円)
前年同期比(%)
美容サロン向けICT事業
1,492,420
6.9
中小企業向けビジネスサービス事業
316,504
0.3
介護サービス事業
759,454
0.8
その他
19,371
2.0
合計
2,587,750
4.2
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。2.主な相手先別の販売実績については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
c
受注実績当社グループの販売品目は、受注生産形態をとらないため、該当事項はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容当社グループの経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、以下のとおりであります。文中の将来に関する事項は、本書提出日において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)
連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(固定資産の減損)当社グループでは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたって、資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能性まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたって、慎重に検討を行っておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)当社グループでは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収可能額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。
(のれんの評価)のれんの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
②
経営成績の分析当連結会計年度における経営成績は、売上高につきましては2,587,750千円、売上総利益1,083,751千円、営業利益224,162千円、経常利益223,129千円、親会社株主に帰属する当期純利益は100,661千円となりました。 a
売上高当連結会計年度の売上高は、2,587,750千円(前連結会計年度比4.2%の増加)となりました。売上高の分析につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)
経営成績等の状況の概要 ①
経営成績の状況」をご参照ください。 b
売上原価当連結会計年度の売上原価は、1,503,999千円(前連結会計年度比2.6%の増加)となりました。
c
販売費及び一般管理費当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、859,588千円(前連結会計年度比2.8%の増加)となりました。
d
営業外損益当連結会計年度の営業外収益は、2,518千円(前連結会計年度比38.6%の減少)となりました。営業外費用は、3,550千円(同15.6%の減少)となりました。 e 特別損益当連結会計年度の特別利益は71,579千円(前連結会計年度比50.6%の増加)となりました。これは主として、当社グループが所有していた本社屋土地の売却に伴い計上した固定資産売却益43,952千円、雇用調整助成金の収入16,213千円、資産除去債務戻入益8,500千円によるものであります。特別損失は、135,668千円(前連結会計年度比160.9%の増加)となりました。これは主として、本社屋建物等売却に伴い計上した減損損失56,061千円並びに固定資産売却損44,902千円、新型コロナウイルス関連損失34,617千円によるものであります。 ③
財政状態の分析財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」をご参照ください。 ④
キャッシュ・フローの分析各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの運転資金需要のうち主なものは、ソフトウエア開発に伴う製造費用の他、販売及び一般管理費等の営業費用であります。必要な資金については、自己資金及び借入金による資金調達を基本としております。資金の流動性については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
⑥ 経営上の目標の達成状況当社の収益目標である自己資本利益率(ROE)10%に対して、当連結会計年度における自己資本利益率(ROE)は4.5%となりました。引き続き、厳しい市場環境に屈することなく、企業価値を高め、持続的な成長を図ってまいります。
⑦ 経営成績に重要な影響を与える要因について当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、業界環境、事業内容、法的規制等様々なリスク要因があると認識しております。
⑧ 経営者の問題認識と今後の方針について当社グループが今後、持続的な成長を果たすためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。これらの課題に対し常に最大限入手可能な情報に基づき、現在及び将来の事業環境を認識し最適且つ迅速な対応に努めていく方針であります。
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