【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、ワクチン接種の進展や感染対策の定着により、経済活動は徐々に正常化に向かう動きが見られました。先行きについては、ウクライナ情勢をめぐる資源価格の高騰や、世界的な金融政策の引き締め等の影響により、物価の上昇、急激な円安の進行等を背景として、インフレ懸念が高まるなど、依然として不透明な状況が続いております。
当社グループが属する不動産業界におきましては、都心部の土地及び建築費が高騰しているものの、国内の金融緩和政策等により、安定した収益が見込める日本の不動産に対する海外機関投資家の投資意欲は旺盛な状況が継続いたしました。
当社グループにおきましては、このような経営環境のもと、東京23区を中心に「GENOVIA(ジェノヴィア)」シリーズの新築マンションとして、「GENOVIA green veil(ジェノヴィア グリーンヴェール)」、「GENOVIA skygarden(ジェノヴィア スカイガーデン)」及び「GENOVIA skyrun(ジェノヴィア スカイラン)」の企画・開発及び販売の拡大、顧客サポート体制の充実、ブランド力の強化等に取り組んでまいりました。新型コロナウイルス感染症の拡大によりホテルやオフィスの稼働率が低下している中、投資用マンションについては、特にホールセールにおいて、安定的な投資商品として評価され、1棟単位での販売が大きく増加している状況を背景に、売上高及び利益は過去最高を更新いたしました。また、2022年5月より、新規事業として、株式会社グッドコムアセット投資顧問を設立し、REIT事業の開始に向け準備を進めております。同事業の開始に向け、当社グループは、創業以来、東京23区を中心に新築マンションを取扱っておりましたが、仕入エリアを1都3県に拡大し、中古物件も対象とすることで、更なる業績拡大を目指し、今後は、多くの物件ポートフォリオから利益の最大化ならびに安定的な分配金の確保を目指してまいります。
これらにより、当連結会計年度においては41棟、全1,369戸を販売し、仕入につきましても、22棟、全1,304戸の仕入を行いました。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は40,048百万円(前期は34,216百万円の売上高)、営業利益は4,612百万円(前期比34.2%増)、経常利益は4,342百万円(同37.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,858百万円(同45.7%増)となりました。
なお、当連結会計年度末における当社グループの財政状態は、総資産24,452百万円(前期比19.6%増)、負債12,980百万円(同15.5%増)、純資産11,471百万円(同24.6%増)となり、自己資本比率は46.9%となりました。
また、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。これに伴い、当連結会計年度における売上高は、363百万円減少しております。そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明においては、売上高については前連結会計年度と比較しての増減額及び前期比(%)を記載せず説明しております。詳細は、「第5 経理の状況1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」の「会計方針の変更」に記載のとおりであります。
セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度の期首より、従来の報告セグメントの「Good Com Fund」は、新規上場及び上場後IR・資本政策のコンサルティングを行う株式会社キャピタルサポートコンサルティングを連結子会社化したことにより、同社事業を当該報告セグメントに含めるとともに、名称を「その他」に変更しております。
A.ホールセール
当連結会計年度では、法人等に対し、自社ブランド「GENOVIA」シリーズのワンルーム及びファミリータイプを22棟、全1,150戸販売いたしました。特に1棟単位での販売が増加しております。
以上の結果、売上高は31,380百万円(前期は26,185百万円の売上高)、セグメント利益は4,654百万円(前期比49.4%増)となりました。
B.リテールセールス
当連結会計年度では、国内外の個人投資家に対し、自社ブランド「GENOVIA」シリーズのワンルーム及びファミリータイプを22棟、全219戸販売いたしました。
以上の結果、売上高は7,240百万円(前期は6,534百万円の売上高)、セグメント損失は358百万円(前期は141百万円のセグメント損失)となりました。
C.リアルエステートマネジメント
当連結会計年度では、月末入居率は毎月9割超を達成したものの、順調な販売実績の反動により、未販売住戸が減少したことから、賃料収入が減少いたしました。
以上の結果、売上高は1,442百万円(前期は1,545百万円の売上高)、セグメント利益は346百万円(前期比32.9%減)となりました。
D.その他
その他の区分は、新規上場及び上場後IR・資本政策に関するコンサルティング、不動産小口化商品販売事業Good Com Fundで構成されており、売上高は35百万円(前期は計上なし)、セグメント損失は58百万円(前期は77百万円のセグメント損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前年度末に比べ3,703百万円増加し、11,656百万円(前年度末比46.6%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、3,482百万円の資金増加(前年度は9,700百万円の資金増加)となりました。主な要因は、法人税等の支払額が1,163百万円あった一方で、税金等調整前当期純利益が4,247百万円あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、255百万円の資金減少(前年度は90百万円の資金減少)となりました。主な要因は、関係会社株式の取得による支出が240百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、455百万円の資金増加(前年度は8,234百万円の資金減少)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出が7,100百万円あった一方で、長期借入れによる収入が7,993百万円あったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
A.生産実績
該当事項はありません。
B.受注実績
該当事項はありません。
C.販売実績
販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2021年11月1日
至 2022年10月31日)
販売戸数(戸)
金額(千円)
前年同期比(%)
ホールセール
1,150
31,380,478
119.8
リテールセールス
219
7,240,979
110.8
リアルエステートマネジメント
-
1,442,689
93.3
その他
-
35,880
-
合計
1,369
40,100,026
117.0
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が10/100未満であるため記載しておりません。
2.当連結会計年度より、報告セグメントを変更しており、前年同期比は前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で算出しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。連結財務諸表を作成するにあたり、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、必要な見積りを行っており、それらは資産・負債及び収益・費用の計上金額に影響を与えております。これらの見積りについては、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき合理的と考えられる要因を考慮した上で行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、結果としてこれらの見積りと実績が異なる場合があります。また、特に以下の重要な会計方針及び見積りの適用が、その作成において用いられる見積り及び予測により、当社グループの連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えております。
(販売用不動産の評価)
当社グループが保有する棚卸資産のうち、主なものは販売用不動産であり、販売用不動産の評価は、個別法による原価法を採用しており、事業計画上の販売見込額から販売経費見込額を控除した正味売却価額が取得原価を下回るものについては、その差額を費用処理しております。なお、当連結会計年度において、簿価の切り下げは行っておりません。
当該販売見込額の見積りにおいて、過去の販売実績や、市場動向を反映した賃料収益を割引計算する収益還元法を基礎に算定した価格を参考にしているため、想定賃料、還元利回りを主要な仮定としております。
なお、将来の市況悪化や大規模な自然災害による販売用不動産の被災等により、市場価格の著しい下落が発生し、事業計画が修正される等、主要な仮定に変動が生じた場合、翌連結会計年度の連結財務諸表に影響を与える可能性があります。
販売用不動産の評価の詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」の「重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
(のれんの評価)
当社グループは、のれんにつき減損の兆候があると認められる場合には、のれんが帰属する事業から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することにより、減損損失の認識の要否を判定しております。判定の結果、減損損失の認識が必要と判定された場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として計上しております。なお、当連結会計年度において、81,603千円の減損損失を計上しております。
減損損失の認識の要否の判定及び回収可能価額の算定は、事業計画の基礎となる株式会社ルームバンクインシュアの将来キャッシュ・フロー、割引率から算定されるため、将来売上予測及び営業損益予測を主要な仮定としております。
なお、将来の事業環境の変化等により、事業計画が修正される等、主要な仮定に変動が生じた場合、翌連結会計年度の連結財務諸表に影響を与える可能性があります。
のれんの評価の詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」の「重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」の「追加情報」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
A.経営成績の分析
当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、当連結会計年度の売上高は363百万円減少し、販売費及び一般管理費は363百万円減少しております。そのため、売上高、売上総利益、販売費及び一般管理費については、前連結会計年度と比較しての増減額及び増減率を記載しておりません。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、40,048百万円(前期は34,216百万円)となりました。
ホールセールの売上高は、1,150戸を販売し、31,380百万円(前期は26,185百万円)となりました。これは、投資用マンションが安定的な商品として法人等より評価され、1棟単位での販売が増加したためであります。
リテールセールスの売上高は、219戸を販売し、7,240百万円(前期は6,534百万円)となりました。これは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言によって販売活動が制限され、想定よりも販売戸数は減少いたしましたが、前連結会計年度の販売戸数185戸に比べ、34戸増加したことによるものであります。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は、7,605百万円(前期は6,109百万円)となりました。
これは主に、売上高の増加によるものであります。
なお、ホールセールにおいて、旺盛な需要により好条件での販売ができたため、売上総利益率は、前連結会計年度の17.9%に比べ1.1ポイント上昇し、19.0%となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、2,993百万円(前期は2,672百万円)となりました。これは主に、当社の知名度向上を図ることを目的としたテレビコマーシャルの実施等により広告宣伝費が増加したことによるものであります。
一方、ホールセールにおける1棟販売の増加に伴い販売効率が向上したことから、売上高販管費率は、前連結会計年度の7.8%に比べ0.3ポイント低下し、7.5%となりました。
(営業外損益)
当連結会計年度の営業外収益は、59百万円となり、前連結会計年度の54百万円に比べ8.9%増加いたしました。
また、営業外費用は、328百万円となり、前連結会計年度の326百万円に比べて0.8%増加し、それぞれ前期比が増加いたしましたが、前連結会計年度と比べて大きな変動は特にありませんでした。
(特別損失)
当連結会計年度の特別損失は、94百万円(前期は182百万円)となりました。これは、株式会社ルームバンクインシュアの連結子会社化の際に発生したのれんについて、当連結会計年度において81百万円の減損損失を計上したこと、また、不動産小口化商品販売事業Good Com Fundにおけるソフトウェアについて12百万円の減損損失を計上したことによるものであります。
B.財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は23,633百万円となり、前年度末に比べ3,981百万円増加いたしました。主な要因は、仕掛販売用不動産が1,477百万円減少した一方で、現金及び預金が3,703百万円、販売用不動産が1,609百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は818百万円となり、前年度末に比べ24百万円増加いたしました。主な要因は、のれんが144百万円減少した一方で、関係会社株式が220百万円増加したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は8,045百万円となり、前年度末に比べ808百万円増加いたしました。主な要因は、工事未払金が1,157百万円増加したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は4,935百万円となり、前年度末に比べ934百万円増加いたしました。主な要因は、長期借入金が1,023百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は11,471百万円となり、前年度末に比べ2,262百万円増加いたしました。主な要因は、配当の支払により利益剰余金が616百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が2,858百万円増加したことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率は1.9ポイント上昇し、46.9%となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業内容、経済状況、法的規制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。当社グループは、これらのリスク要因について注視するとともに、リスクを低減できるよう適切な対応を行ってまいります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況については、「第3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要の主なものは、販売用不動産の取得資金であります。資金調達については、物件ごとに借入条件を勘案し、金融機関から借入れております。また、当社グループが成長を続けるためには、仕入物件の確保及び財務能力の健全性の維持が重要であると認識しておりますので、金融機関からの借入れや社債の発行、新株式発行による増資等、手許資金とのバランスを考慮し、成長原資である物件の確保、自己資本比率の上昇及び有利子負債依存度の低減により、財務能力の健全性を確保いたします。
なお、当連結会計年度末及び前連結会計年度末の有利子負債依存度については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
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