【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)業績の状況
当第1四半期連結累計期間(2022年11月1日から2023年1月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大により経済活動の停滞が続くなか、エネルギー価格の上昇や円安に伴う物価上昇など、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
外食産業におきましては、2022年11月に感染拡大が始まった新型コロナウイルス感染症第8波により2023年1月下旬まで特に郊外店舗の人流が減少するなどの影響がみられました。また、食料品や光熱費の急激な上昇による節約志向の高まりから外食機会の減少がみられるなど厳しい状況が続きました。
このような状況のもと、当社グループは、お客様に安心・安全にお食事いただけるよう様々な取り組みを行ってまいりました。会話による飛沫などの菌やウイルスからお寿司を守る当社特許取得済みの抗菌寿司カバー『鮮度くん』を導入し、セルフ会計やセルフレジを備えた「スマートくら寿司」を国内全店に配置いたしております。これらの投資により回転レーンにはカバーで守られた様々なお寿司が流れ、注文品は目の前の高さにあるオーダーレーンに高速で提供されるという、安心・安全を担保したうえで当社の目指す回転寿司本来の手軽さと楽しさを提供してまいりました。
また、2022年11月には非接触型サービス「スマートくら寿司」や漁業創生を目指す「KURAおさかなファーム」の取り組みなどが総合的に評価され、農林水産省の「日本サービス大賞」に選定されました。
店舗開発につきましては、国内9店舗、米国2店舗の計11店舗を出店いたしました。この結果、当第1四半期連結会計期間末の店舗数は、全て直営で625店舗(「無添蔵」4店舗、「くら天然魚市場」1店舗、米国42店舗、台湾48店舗を含む)となりました。
セグメント業績は次の通りであります。
① 日本
売上高410億20百万円(前年同期比3.8%増)、経常損失7億46百万円となりました。2022年11月~2023年1月の新型コロナウイルス感染症第8波の影響による人流の減少の影響を受けたものの、アフターコロナの需要獲得のため、「かに」「うに」など人気の高い商品を中心としたフェアを展開、人気アニメ「SPY×FAMILY」のグッズが当たるキャンペーンの実施、また、積極的なTVコマーシャルの投入を行った結果、前年同期を上回る売上高となりました。
一方、円安に伴う原材料やエネルギー価格が大幅に上昇したほか、人件費の上昇に加え、資材費や運搬費など様々なコストアップが発生しており、それらに対応するため、2022年10月に1皿110円(税込)の商品を115円(税込)、一部の220円(税込)商品を165円(税込)に変更するなど、多様なニーズに対応するための価格改定を実施。メニューミックスも含め改善を重ねております。また、コロナ禍以降の積極的な都心部等への出店や前期に設置完了した「スマートくら寿司」への投資により減価償却費が増加いたしました。今後は、入国制限の緩和拡大によるインバウンド需要の回復も想定しており、投資効果につなげてまいります。
② 北米
米国子会社 Kura Sushi USA,Inc.(KSU)におきましては、売上高56億71百万円(前年同期比69.0%増)、経常損失2億99百万円となりました。継続的な新規出店と堅調な米国経済を背景に好調な売上高となりました。反面、40年ぶりに高い消費者物価上昇率を記録するなど、物価や賃金のインフレにより収益が圧迫されました。2022年11月には全米最大級のショッピングモール「モール・オブ・アメリカ」に出店いたしました。日米のマスコミに紹介されるなど注目を集め、連日ウェイティングが数時間待ちになるなど好スタートを切っております。好調な売上を背景に、同期間の店舗段階での収益は過去最高となりました。
③ アジア
台湾子会社 亞洲藏壽司股份有限公司(KSA)におきましては、売上高46億円(前年同期比28.8%増)、経常利益は3億3百万円となりました。新型コロナウイルス感染症にかかる影響はほぼ無くなり、消費の回復傾向から売上高は順調に推移いたしました。また、2022年12月10日には台湾への入境者数制限も撤廃され、観光産業、飲食業に力強い追い風となりました。2022年10月には人気アニメ「ちびまる子ちゃん」とタイアップし、「ビッくらポン!」の景品にキャラクターアイテムとして採用するなど、お客様に大変ご好評をいただきました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高512億92百万円、営業損失6億71百万円、経常損失7億42百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失は6億24百万円となりました。
(2)資産、負債及び純資産の状況
当第1四半期連結会計期間末における資産総額は、1,093億7百万円となり、前連結会計年度末と比較して3億14百万円減少いたしました。これは、主に現金及び預金が23億86百万円減少した一方で、売掛金が5億27百万円、有形固定資産が10億8百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末と比較して14億11百万円増加し、520億66百万円となりました。これは、主に買掛金が8億50百万円増加したこと等によるものであります。
純資産につきましては、主に親会社株主に帰属する四半期純損失6億24百万円を計上し、配当金の支払い7億94百万円を行ったこと等により、前連結会計年度末と比較して17億25百万円減少し、572億41百万円となりました。
(3)事業上及び財政上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。