【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における当社グループを取り巻く環境は、依然として日本国内における新型コロナウイルス新規感染者数が高水準で推移しているものの、入国制限の大幅な緩和や全国旅行支援の開始等により行動制限の緩和がいっそう進んだことで社会経済活動は堅調な回復基調にありました。一方で、ロシア・ウクライナ問題の長期化や金融政策等を背景とした世界的な資源価格の高騰、急速な為替相場の変動や物価の上昇等により、将来的な見通しは不透明な状態が継続しております。
こうした状況のもと、当社貸会議室事業においては、人流の回復による対面型イベントの再開も広がる中で、会議やセミナー、試験需要を取り込んだ結果、売上高は前年同期比で大きく伸長いたしました。また、移動を伴う旅行や出張等のビジネス利用が堅調に推移したことで、当社リゾートホテル・ビジネスホテル等の宿泊サービス売上高は前四半期に引き続き過去最高を更新いたしました。加えて、これまで実施が控えられてきた飲食を伴う懇親会に関しても徐々に受注の回復が進んでおります。
リージャスのレンタルオフィス事業においては、企業のオフィス縮小化の動き等、多様化する働き方を反映したフレキシブルオフィス市場の底堅い需要に支えられ、前四半期に引き続き過去最高売上高となりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高は38,651百万円(前年同期比17.5%増)、EBITDA(注)は6,847百万円(前年同期比125.8%増)、営業利益は2,770百万円(前年同期は営業損失1,114百万円)、経常利益は2,306百万円(前年同期は経常損失1,438百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は、2023年2月1日に予定しているリージャス事業の売却(『第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)』参照)に伴うのれんの減損損失を2,820百万円計上し、2,226百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失2,938百万円)となりました。
(注)営業利益又は営業損失に減価償却費、のれん償却費、長期前払費用償却費及び顧客関連資産等の無形資産償却費を加算してEBITDAを算出しております。
① 連結業績 (単位:百万円)
2022年2月期
第3四半期
2023年2月期
第3四半期
前年同期比
売上高
32,903
38,651
+17.5%
EBITDA
3,032
6,847
+125.8%
営業利益又は営業損失(△)
△1,114
2,770
–
経常利益又は経常損失(△)
△1,438
2,306
–
親会社株主に帰属する四半期純損失(△)
△2,938
△2,226
–
② コア事業の概況
当社グループは、空間再生流通事業の単一セグメントですが、参考のためTKP貸会議室・宿泊事業(以下「TKP」)及び日本リージャス社の詳細を掲載します。
(注)TKP貸会議室・宿泊事業は、TKP単体と、TKP宿泊事業における不動産を所有する特別目的会社(TKPSPV-1号~TKPSPV-4号・TKPSPV-6号)の合計を示しております。
1)TKP
(単位:百万円)
2022年2月期
第3四半期
2023年2月期
第3四半期
前年同期比
売上高
18,291
22,127
+21.0%
売上総利益
5,916
9,045
+52.9%
販売費及び
一般管理費
5,576
5,377
△3.6%
EBITDA
1,374
4,614
+235.8%
営業利益
340
3,668
+978.1%
TKPは、2023年2月期第3四半期において2施設の新規出店を行った一方、契約満了等に伴い1施設を退店し、2022年11月末時点で240施設を運営しております。
貸会議室事業においては、依然として新型コロナウイルスの影響は継続しているものの、コロナ禍における社会経済活動の正常化が進捗しており、対面型イベントを含め、会議・セミナー・試験需要は堅調な回復基調にあります。また、これまでは実施が控えられてきた飲食を伴う懇親会についても足元では徐々に問合せ・受注が回復しておりますが、数百名規模での懇親会については引き続き控えられる傾向にあり、本格的な需要回復は来春以降と見込んでおります。なお、2022年11月14日より、新型コロナワクチンの4回目職域追加接種を総合的にサポートする「TKP職域ワクチンセンター」を全国10エリア12施設で運営しております。
当社がフランチャイジーとして運営するアパホテルについては、10棟の運営ホテルの内5棟を新型コロナウイルス感染者用宿泊療養施設/感染対策用施設として貸し出しております。通常営業のアパホテル5棟および当社が運営するその他の宿泊施設については、全国旅行支援や入国制限の大幅な緩和による旅行需要やビジネス宿泊需要の回復を受けて稼働率・単価が上昇するなど好調に推移しております。これにより、宿泊サービス売上高は前四半期に引き続き過去最高となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は22,127百万円(前年同期比21.0%増)、EBITDAは4,614百万円(前年同期比235.8%増)、営業利益は3,668百万円(前年同期比978.1%増)となりました。なお、貸会議室事業のKPI(重要業績評価指標)としている坪あたり売上高は前年同四半期と比較すると4,517円増加し、28,658円となりました。
会議室面積1坪あたり売上高の推移 (単位:円)
第1四半期平均
第2四半期平均
第3四半期平均
2022年2月期(A)
22,825
29,687
24,141
2023年2月期(B)
31,780
27,168
28,658
(B)-(A)
+8,955
△2,519
+4,517
(注)売上高は会議室料と利用に付随するオプション・ケータリング料の合計
2)日本リージャス社
(単位:百万円)
2022年2月期
第3四半期
2023年2月期
第3四半期
前年同期比
売上高
13,029
14,337
+10.0%
売上総利益
2,965
2,795
△5.7%
販売費及び
一般管理費(注)1
2,288
2,109
△7.9%
EBITDA
1,230
1,282
+4.2%
営業利益(注)1
676
686
+1.4%
調整後EBITDA(注)2
1,835
2,425
+32.1%
調整後営業利益(注)2
1,281
1,829
+42.7%
顧客関連資産償却費及び
のれん償却費
1,697
1,651
△2.7%
(注)1.販売費及び一般管理費と営業利益は、日本リージャス買収に伴う顧客関連資産償却費及びのれん償却費控除前の数値です。
2.調整後EBITDA及び調整後営業利益は、フランチャイズ費用計上前かつ2022年2月期末に会計上の調整が発生した販売費及び一般管理費の影響額を2022年2月期の各四半期に按分しております。
日本リージャスは、2023年2月期第3四半期において1施設の新規出店(サブフランチャイズでの出店)を行った一方、契約満了等に伴い1施設を退店し、2022年11月末時点で172施設を運営しております。
日本リージャスでは、一部顧客の退去による平均稼働率の低下がみられた施設があったものの、直近にオープンした施設の平均稼働率が順調に伸長したことで、売上高は前四半期に引き続き過去最高となりました。2022年2月期第2四半期を以てフランチャイズ費用の減免期間が終了したことにより、フランチャイズ費用が増加した結果、売上総利益以下の利益率が低下しておりますが、当該費用の引上げおよび前期末に発生した会計上の調整の影響を除いた調整後営業利益については順調に伸長しております。また、サブフランチャイズ展開については、当第3四半期連結会計期間末までに2施設が運用開始となりました。
なお、日本リージャスのKPIである全施設平均稼働率は、一部の拠点における顧客の退去に伴う稼働率低下の影響もあり、前四半期比△0.4ポイントの71.3%となりました。
以上の結果、売上高は14,337百万円(前年同期比10.0%増)、EBITDAは1,282百万円(前年同期比4.2%増)、買収に係るのれん償却費及び顧客関連資産償却費(1,651百万円)を控除する前の営業利益は686百万円(前年同期比1.4%増)となりました。
日本リージャス施設における稼働率推移
第1四半期
第2四半期
第3四半期
第4四半期
2022年
2月期
全施設
67.4%
69.8%
68.5%
69.7%
2022年2月期以降にオープンした施設
21.2%
32.3%
25.9%
34.7%
2021年2月期にオープンした施設
41.5%
50.1%
54.6%
60.1%
2020年2月期以前にオープンした施設
70.4%
72.6%
72.5%
73.0%
2023年
2月期
全施設
71.2%
71.7%
71.3%
–
2022年2月期以降にオープンした施設
39.5%
41.5%
43.9%
–
2021年2月期にオープンした施設
64.4%
66.4%
61.0%
–
2020年2月期以前にオープンした施設
74.6%
75.0%
74.6%
–
全施設平均の前年同期比
+3.8pt
+1.9pt
+2.8pt
–
なお、当社は2022年12月6日の取締役会において、当社の特別目的会社である株式会社TKPSPV-9号を通じて保有する日本リージャスホールディングス株式会社及び当社の特別目的会社である株式会社TKPSPV-10号を通じて保有する臺北雷格斯企業管理諮詢股份有限公司(台湾においてリージャス事業を展開する当社グループ会社)の発行済株式の全てを譲渡することを決議しております。詳細に関しては、『第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)』に記載のとおりです。
アフターコロナを見据え、アセットライトかつ汎用性の高いTKPの事業基盤をさらに進化させるために経営資源を集中投下し、今後の企業価値の向上・最大化を図ってまいります。
(2)財政状態の状況
(流動資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ3,031百万円減少し、19,772百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の減少が2,375百万円あったことによるものです。
(固定資産)
当第3四半期連結会計期間末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ6,760百万円減少し、81,716百万円となりました。主な要因は、建物及び構築物の減少が1,151百万円、のれんの減少が4,425百万円あったことによるものです。
(流動負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ554百万円増加し、20,710百万円となりました。主な要因は、未払法人税等の増加が777百万円あったことによるものです。
(固定負債)
当第3四半期連結会計期間末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ6,444百万円減少し、44,933百万円となりました。主な要因は、長期借入金の減少が5,912百万円あったことによるものです。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ3,901百万円減少し、35,844百万円となりました。主な要因は、利益剰余金の減少が2,226百万円、非支配株主持分の減少が1,854百万円あったことによるものです。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、2022年2月期連結会計年度において1,585百万円の経常損失を計上しており、第2四半期連結累計期間において一部のシンジケートローンに付されている財務制限条項に抵触しましたが、金融機関からは期限の利益喪失請求権を行使しない旨の同意を得ております。
新型コロナウイルス感染拡大当初の大規模な経済の停滞から再開が進み、その時々に応じた商品開発やコロナ禍における固定費の削減も寄与したことから、当第3四半期連結累計期間における経常利益は2,306百万円と大幅に改善しております。また、財務面においても、歩合賃料を初めとした固定費/出店費を抑える柔軟なスキームでの不動産開発や、取引先銀行とのシンジケートローン契約及びコミットメントライン契約の締結を実施し、安定した財務基盤を築いております。さらには、経営資源の最適配分を目的とし、2023年2月1日に実行を予定している一部事業の売却(『第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)』参照)による、現預金の増加・有利子負債の減少に伴い、当期末の財務体質は大幅な改善を見込んでおります。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。