【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中における将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)業績の状況当社グループは、2030年までに目指す姿を経営ビジョン「FURUNO GLOBAL VISION“NAVI NEXT 2030”」として定め、事業ビジョン「安全安心・快適、人と環境に優しい社会・航海の実現」及び人財・企業風土ビジョン「VALUE through GLOBALIZATION and SPEED」を目指した経営を推進しております。その中で、当連結会計年度より、利益水準の向上、売上規模の拡大による成長投資の資源捻出、サステナブル経営の実行を主な基本施策とする中期経営計画(フェーズ2)をスタートさせました。当第1四半期連結累計期間の世界経済は、欧米におけるインフレの長期化や政策金利の上昇等により緩やかに減速して推移しました。米国は、インフレ抑制のための金利上昇を背景に景気減速の懸念があるものの、良好な雇用環境を背景に景気は堅調に推移しました。欧州は、ウクライナ情勢の長期化やインフレの影響等により低調に推移しました。中国は、経済活動の正常化により内需を中心に緩やかな回復基調となりました。わが国においては、個人消費やインバウンド消費の回復等により景気は回復基調で推移しましたが、エネルギー価格の高騰をはじめとする物価上昇等により先行き不透明な状況が続いております。このような経済環境の中、当社グループの関連する市場において、舶用分野のうち商船向け市場では、鋼材価格の高騰を受けた船価の上昇等により新造船の受注環境は軟調ながらも、手持ち工事量は高い水準を維持しました。漁業向け市場では、欧州を中心に需要が堅調に推移しました。プレジャーボート向け市場では、北米及び欧州において需要が好調を維持しました。産業用事業では、新車及び中古車販売台数が回復し、それに伴い車載関連機器の需要が増加しました。また、ヘルスケア市場におけるIVD(体外診断用医療機器)等の機器設置需要は堅調に推移しました。国内の教育ICT市場においては、ICT整備に関する大型案件が減少しました。当社グループにおいては、無線LAN・ハンディターミナル事業の分野では売上が減少したものの、舶用事業及び産業用事業の分野では売上が増加しました。これらの結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は238億5千2百万円(前年同期比12.5%増)、売上総利益は99億7千万円(前年同期比22.5%増)となりました。営業利益は14億5千5百万円(前年同期比578.6%増)、経常利益は17億8千1百万円(前年同期比189.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は11億4千1百万円(前年同期比134.8%増)となりました。なお、当第1四半期連結累計期間に適用した米ドル及びユーロの平均為替レートはそれぞれ135円及び143円であり、前年同期に比べ米ドルは約17.1%の円安水準、ユーロは約9.2%の円安水準で推移しました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。セグメント利益は、営業利益ベースの数値であります。
①舶用事業舶用事業の分野では、前連結会計年度から続く旺盛な需要環境の中、円安等の恩恵もあり、また、部材の入手難も改善しつつあることから、海外売上高は好調に推移しました。北米では、プレジャーボート向け機器の販売が高い水準を維持しました。欧州では、保守サービスの売上が増加するとともに、商船向け、漁業向け、プレジャーボート向けのいずれの市場においても販売が拡大しました。アジアでは、商船向け市場において新造船の案件が好調でした。一方、日本では、商船新造船の案件が好調に推移したものの、漁業向け機器の販売が減少しました。この結果、舶用事業の売上高は203億5千6百万円(前年同期比15.6%増)となりました。セグメント利益は18億7千3百万円(前年同期比239.9%増)となりました。
②産業用事業産業用事業の分野では、ヘルスケア事業における生化学分析装置の販売が軟調に推移し、OEM受託製品やGNSS受信チップ・モジュールの販売も減少しましたが、国内の自動車販売台数回復に伴いETC車載器の販売増加に加え、防衛装備品事業の販売も増加したことから増収となりました。この結果、産業用事業の売上高は27億7千2百万円(前年同期比2.0%増)となりました。また、防衛装備品事業における製造原価の上昇とヘルスケア事業における研究開発費の増加により、セグメント損失は1億4千2百万円(前年同期は3千2百万円の利益)となりました。
③無線LAN・ハンディターミナル事業無線LAN・ハンディターミナル事業の分野では、主に文教向けの無線LANアクセスポイントの販売が減少したことから減収となりました。この結果、売上高は6億4千3百万円(前年同期比18.5%減)となりました。また、研究開発費等の増加により、セグメント損失は2億1百万円(前年同期は0百万円の損失)となりました。
④その他その他の売上高は7千9百万円(前年同期比11.8%減)、セグメント損失は1千2百万円(前年同期は7千6百万円の損失)となりました。
(2)財政状態の分析当第1四半期連結会計期間末における総資産は1,060億5百万円(前連結会計年度比0.4%減)となりました。これは主に、現金及び預金が30億9千2百万円減少したことによります。当第1四半期連結会計期間末における負債は526億8百万円(前連結会計年度比2.4%減)となりました。これは主に、短期借入金が20億9百万円減少したことによるものであります。当第1四半期連結会計期間末における純資産は533億9千6百万円(前連結会計年度比1.7%増)となりました。これは主に、利益剰余金が6億6千8百万円増加したことによるものであります。これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末の49.0%から50.1%となりました。
(3)研究開発活動当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は14億円であります。