【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中における将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。なお、第1四半期連結会計期間より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更等)」に記載のとおりであります。
(1)業績の状況当社グループは、2030年までに目指す姿を経営ビジョン「FURUNO GLOBAL VISION“NAVI NEXT 2030”」として定め、事業ビジョン「安全安心・快適、人と環境に優しい社会・航海の実現」及び人財・企業風土ビジョン「VALUE through GLOBALIZATION and SPEED」を目指した経営を推進しております。その中で、当社グループは、事業の体質改善による資源の捻出・体力強化をテーマとするフェーズ1(2021年2月期~2023年2月期)の最終年度である3年目を迎えました。当第3四半期連結累計期間の世界経済は、新型コロナウイルス感染症対策と経済活動の両立が進展する中、ウクライナ危機の長期化に伴う資源価格の高騰、欧米におけるインフレ加速に伴う政策金利の引き上げ、中国での経済活動抑制の影響等、先行きに対する不透明感が更に強まっています。米国は、雇用関係は堅調なものの、インフレ抑制のための金利上昇により、景況感が悪化しています。欧州は、エネルギー価格の高騰やロシアからのエネルギー輸入制限等が経済活動の制約となり、厳しい経済環境が継続しています。中国はゼロコロナ政策の堅持により、主要都市の封鎖が続いており、景気は減速しています。わが国においては、経済活動が正常化しつつありましたが、円安の進行やエネルギー価格の高騰により、景気回復のペースが鈍化しました。このような経済環境の中、当社グループの関連する市場において、舶用事業の分野のうち商船向け市場では、新造船の受注環境は軟調ながら、LNGなどの代替燃料船への需要が高まっています。漁業向け市場ではすべての地域において需要が堅調に推移しました。プレジャーボート向け市場では、米州および欧州における需要が順調に増加しました。産業用事業の分野では、新車及び中古車販売台数の減少に伴い、車載関連機器の需要が減少しましたが、国内ITS関連のインフラ更新需要は回復しています。また、ヘルスケア市場におけるIVD(体外診断用医療機器)等の機器設置需要は堅調に推移しました。国内の教育ICT市場においては、ICT整備の需要が安定的に推移しました。当社グループにおいては、すべての報告セグメントで売上が増加しました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は649億7千9百万円(前年同期比3.8%増)、売上総利益は252億5千2百万円(前年同期比5.0%増)となりました。営業利益は13億2千4百万円(前年同期比53.3%減)、経常利益は23億6百万円(前年同期比31.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は12億7千6百万円(前年同期比43.8%減)となりました。なお、当第3四半期連結累計期間に適用した米ドル及びユーロの平均為替レートはそれぞれ125円及び136円であり、前年同期に比べ米ドルは約15.9%の円安水準、ユーロは約4.7%の円安水準で推移しました。また、収益認識会計基準等の適用により売上高は5億円増加、売上原価は4億1千6百万円増加、営業利益、経常利益及び税金等調整前四半期純利益はそれぞれ8千4百万円増加しております。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。セグメント利益は、営業利益ベースの数値であります。
①舶用事業舶用事業では、部材の入手困難に伴う生産遅延による販売機会の喪失や、部材価格の高騰等の影響が継続していますが、海外売上高は堅調に推移しました。北米では、プレジャーボート向け機器の販売が高い水準を維持しました。欧州では、保守サービスの売上が伸長するとともに商船向けとプレジャー向け機器の販売が好調に推移しました。アジアでは、商船向け市場において新造船の案件が回復傾向にあります。また、日本では、売上が堅調に推移しました。この結果、舶用事業の売上高は541億5百万円(前年同期比3.5%増)となりました。セグメント利益は、14億5千4百万円(前年同期比51.3%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は1億4百万円増加しており、当第3四半期連結累計期間の売上高を従来の会計処理にて算出した金額と前年同期の売上高を比較すると3.3%の増加となります。また、セグメント利益は1億3千4百万円増加しており、従来の会計処理にて算出したセグメント利益は13億1千9百万円となります。
②産業用事業産業用事業では、ETC車載器の販売は自動車販売台数の減少に伴い前年同期を下回ったことから減収となりましたが、ヘルスケア事業のうち、生化学分析装置の販売が増加したことから増収となりました。また、産業用その他事業は増収となりました。この結果、産業用事業の売上高は76億1千5百万円(前年同期比0.7%増)となりました。セグメント損失については、1千6百万円(前年同期は1億7千万円の損失)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は3億9千6百万円増加しており、当第3四半期連結累計期間の売上高を従来の会計処理にて算出した金額と前年同期の売上高を比較すると4.6%の減少となります。また、セグメント利益は4千9百万円減少しており、従来の会計処理にて算出したセグメント利益は3千2百万円となります。
③無線LAN・ハンディターミナル事業無線LAN・ハンディターミナル事業では、無線LANアクセスポイントにおいて文教市場のリプレイス案件の販売が好調に推移したことから増収となりました。この結果、売上高は29億8千5百万円(前年同期比18.4%増)となりました。セグメント利益については、3億3千1百万円(前年同期比6.8%増)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は0百万円増加しており、当第3四半期連結累計期間の売上高を従来の会計処理にて算出した金額と前年同期の売上高を比較すると18.4%の増加となります。また、セグメント利益は1百万円減少しており、従来の会計処理にて算出したセグメント利益は3億3千2百万円となります。
④その他その他の売上高は2億7千2百万円(前年同期比16.1%増)、セグメント損失は2億2千4百万円(前年同期は2億2千8百万円の損失)となりました。
(2)財政状態の分析当第3四半期連結会計期間末における総資産は1,033億1千6百万円(前連結会計年度比20.2%増)となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が191億9千3百万円(前連結会計年度末は「受取手形及び売掛金」150億8千万円として表示)となったこと及び原材料及び貯蔵品が75億6千7百万円増加したことによります。なお、収益認識会計基準等の適用により、前連結会計年度において「流動資産」に表示していた「受取手形及び売掛金」は、第1四半期連結会計期間より「受取手形、売掛金及び契約資産」に含めて表示しております。当第3四半期連結会計期間末における負債は501億8千万円(前連結会計年度比31.7%増)となりました。これは主に、電子記録債務が10億1千万円増加したこと及び短期借入金が60億円増加したことによるものであります。当第3四半期連結会計期間末における純資産は531億3千5百万円(前連結会計年度比11.0%増)となりました。これは主に、利益剰余金が11億5千3百万円増加したこと及び為替レート変動の影響により為替換算調整勘定が34億9千9百万円増加したことによるものであります。これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末の55.7%から51.1%となりました。
(3)研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は41億1千9百万円であります。