【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の状況 2020年1月のWindows 7 サポート終了後、国内のビジネス向け新規PC出荷台数は減少しましたが、当社のITサブスクリプション事業(※1)は順調に拡大しました。これは、PC調達方法としてのサブスクリプションの認知度向上、IT部門の業務負担軽減ニーズの高まりを背景としてビジネス向けPCのサブスクリプション利用率が年々上昇し、新規PC出荷台数が減少する中でもその市場が拡大していることによります。
(※1)ITサブスクリプション事業:法人・官公庁が業務で使用するPC等のIT機器サブスクリプション、IT環境の運用保守、ヘルプデスク、クラウド等のITサービスで構成。サブスクリプション型サービスが大部分を占めています。◆IT機器サブスクリプション(中長期レンタル中心)◆ITサービス(運用保守、通信、クラウド系ソリューション等)
今後については、2022年度を底として2023年度からPC更新拡大期に入ると予想されています。PC更新拡大期に入ると、法人のIT部門の業務負荷が増大するため、サブスクリプションへのシフトがさらに進むとともに、IT機器管理全般を外部委託するLCM(※2)サービス、データ消去等のITAD(※3)サービスのニーズが高まり、当社事業の成長ペースの上昇が見込まれます。(※2)LCM:Life Cycle Managementの略。PC、Wi-Fi、モバイル機器等の導入、運用・管理、使用後のデータ消去・適正処分を管理する仕組み。(※3)ITAD:IT Asset Dispositionの略、IT機器の適正処分の意味。情報セキュリティ上安全、かつ適法(環境法、国際条約、資源有効利用促進法等)な処分は、コンプライアンス・ガバナンスにおいて経営上の重要事項と位置付けられ、欧米で一般化しています。
この事業環境を踏まえ、以下を重点課題として先行投資等を行っております。①成長機会に備えたサービス提供インフラの整備(設備・人材・DX)②サブスクリプション型サービスの拡大(ITサブスクリプション、ITAD、LCMサービス全般)③SDGs支援強化(当社事業そのものがSDGs直接支援となる)④資産効率・収益性の向上
第2四半期業績については、2022年4月~9月の国内のビジネス向け新規PC出荷台数は前年同期比減少しましたが、この市場環境下でも当社のITサブスクリプションの受注金額は好調に推移し、ストック収益は拡大いたしました。 一方、フロー収益については、オミクロン株の感染再拡大や中国ゼロコロナ政策の影響によりITAD事業(※4)は本格的な回復に至りませんでしたが、コミュニケーション・デバイス事業(※5)は回復傾向となりました。(※4)ITAD事業:使用済みIT機器のデータ消去、適正処理サービスです。◆使用済みIT機器のセキュアな回収、データ消去◆リユース・リサイクル販売(高価値品はテクニカルセンターで製品化し、リユース販売。リユース困難な機器については分解して素材化し、当社の監査基準を満たすリサイクル業者へ販売し、廃棄物削減と適正処理を推進)
(※5)コミュニケーション・デバイス事業:イヤホンガイド®関連サービスです。国内の旅行関連市場では当社グループのイヤホンガイド®がガイドレシーバーのシェア90%以上を有しています。◆イヤホンガイド®の製造販売、レンタル◆イヤホンガイド®の保守・メンテナンスサービス
このような事業環境下でも、戦略投資を前期より拡大いたしました。人材・設備・DX等これまで進めてきた投資に加え、第2四半期には、新たに新規商談獲得のための大規模展示会への出展、及び、パート社員を含む全従業員へインフレ手当の支給を行いました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高3,148,823千円(前年同四半期比21.3%増)、営業利益165,428千円(前年同四半期比11.5%減)、経常利益162,884千円(前年同四半期比11.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益100,506千円(前年同四半期比8.6%減)となりました。
なお、第2四半期連結会計期間については増収・増益となりましたが、これは、当期からサブスクリプション資産の耐用年数を変更したことに加え、サブスクリプション資産の世代交代のための入れ替えに着手し、資産稼働率を向上させたことが主な要因です。第3四半期以降も引き続き事業成長と収益性向上を進めてまいります。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
<ITサブスクリプション事業>当第2四半期連結累計期間は、好調な受注が売上高に順次計上された結果、サブスクリプションの売上高が拡大いたしました。前期は前々期に比べてサブスクリプションの受注金額が大きく進展いたしましたが、当第2四半期連結累計期間の受注金額も前年同期比38%増と好調に推移しております。さらに、当期からサブスクリプション終了品が増加するとともに、一部在庫を売却してサブスクリプション資産(勘定科目はレンタル資産)の世代交代と適正化を図った結果、資産稼働率が改善し収益性が向上いたしました。コスト面では、2023年度以降の重要な成長機会に向けて投資を行い先行コストは引き続き増加いたしました。具体的にはサブスクリプション資産の継続取得、東京テクニカルセンターへの設備投資、IT人材の積極採用、デジタル化投資等です。また、当期からサブスクリプション資産の耐用年数を変更いたしました。これは、新基幹システム稼働により分析能力が向上し、長期サブスクリプションの拡大による経済的使用可能期間が長期化傾向にあることが確認されたことによります。さらに、サブスクリプション資産の稼働率が向上したこと等により、先行投資による増加コストをカバーいたしました。この結果、当第2四半期連結会計期間・累計期間とも前年同期比で増収・増益となりました。下期については、引き続き新品PC市場が前年比マイナスと予想される中でも、サブスクリプションへのニーズは高く、受注は好調に推移すると想定しております。また、先行投資は引き続き実行してまいりますが、サブスクリプション資産のさらなる稼働率の改善、デジタル化等による業務効率化を図ることにより、事業成長と収益性向上を進めてまいります。新品PCの市場は、半導体不足を背景とした世界的な供給難は解消傾向にあり、中国ロックダウンによるPC調達への影響も比較的軽微な状況です。また、昨今の為替状況に伴い、PC本体の価格は上昇傾向にありますが、サブスクリプション受注への影響は、今のところ表れておりません。
この結果、売上高2,233,789千円(前年同四半期比37.5%増)、セグメント利益283,038千円(前年同四半期比35.4%増)となりました。
<ITAD事業>当第2四半期連結累計期間は、オミクロン株の感染再拡大、国内の新規PC出荷台数の減少の影響により、法人・官公庁からの使用済みPCの排出は本格回復には至らず、入荷台数は前年同期比で減少いたしました。また、大部分を占める低スペック品について、その大口受け入れ先である中国のロックダウンの影響で日本国内の在庫が滞留し、国内の市場価格も下落いたしました。一方、高スペック品である当社サブスクリプション終了品が今期から増加し、国内用の優良リユース品として当社オークション中心に販売を行い増収となりました。しかしながら、売上高に占める割合は未だ限定的であり、価格下落の影響により前年同期比で減益となりました。下期につきましては、市場価格の見通しは不透明な状況ですが、使用済みPC排出に関しましては、第4四半期以降に本格的な回復を予想しております。施策面では、外部環境の影響を受けやすい当事業の構造転換、及び2023年度以降の成長機会のキャッチアップのため、サービスの強化を進めていく所存です。2022年11月21日付「排出管理BPOサービス」をリリースいたしました。これは、一部の大企業に限定提供してきた当社独自サービスですが、デジタル化等業務面での諸準備が完了したため、広く提供することとしたものです。情報システム部門において通常業務の負荷軽減となるLCMの外部委託ニーズは高く、当サービスもリリース以降すでにいくつかの大企業との商談が始まっております。当BPOサービスをきっかけにしてITサブスクリプションやLCMサービス全般への取引拡大も見込める状況にあります。さらに、回収・データ消去サービスについても、業界最高のセキュリティとITAD・LCMとも唯一の上場企業である強みを生かし、営業強化・新規顧客開拓を進めます。また、業界唯一のIT機器専門リアルタイムネットオークション「PCNET Auction」も出品代行や品目増加等で規模の拡大を図ってまいります。
この結果、売上高969,559千円(前年同四半期比3.3%増)、セグメント利益207,004千円(前年同四半期比20.8%減)となりました。
<コミュニケーション・デバイス事業>当第2四半期連結累計期間は、日本の水際対策の緩和が段階的に進み、行動制限・入国制限の撤廃や観光支援策が実施されるなど、回復への動きが鮮明になりました。イヤホンガイド®は旅行業界で圧倒的シェアを有しております。コロナ禍以前に主力であった海外旅行市場は本格的な回復に至っておりませんが、国内の観光需要の開拓、及び大規模工場見学など旅行分野以外への営業を進めた結果、業績は前年同期比で改善いたしました。下期につきましても、回復基調が続くと想定しております。上期は保守・レンタル・小口販売中心でしたが、足下では大口販売の商談も増えており、下期には販売売上が増加すると想定しております。また、日本旅行業協会の「旅行業における新型コロナウイルス対応ガイドライン(第4版)」では、引き続き感染症対策として「ガイドレシーバーを利用したガイディングを行うこと」を推奨しており、観光需要の回復基調も相まって各方面からのイヤホンガイド®の問い合わせが増加しております。
この結果、売上高77,428千円(前年同四半期比127.4%増)、セグメント損失14,883千円(前年同四半期は、セグメント損失35,429千円)となりました。
(2) 財政状態の分析 当第2四半期連結会計期間末の総資産は、6,742,556千円(前連結会計年度末比92,730千円減)となりました。 この内、流動資産は1,261,602千円(前連結会計年度末比474,134千円減)となり、主に売掛金が96,095千円増加し、現金及び預金が377,571千円減少したことによります。 固定資産は5,480,953千円(前連結会計年度末比381,404千円増)となり、主にサブスクリプション資産(勘定科目はレンタル資産(純額))が366,670千円増加したことによります。 負債は4,246,907千円(前連結会計年度末比52,565千円減)となりました。 この内、流動負債は2,748,784千円(前連結会計年度末比383,390千円増)となり、主に短期借入金が500,000千円増加し、買掛金が39,619千円減少したことによります。 固定負債は1,498,122千円(前連結会計年度末比435,955千円減)となり、主に長期借入金が426,137千円減少したことによります。 純資産は2,495,648千円(前連結会計年度末比40,165千円減)となり、主に親会社株主に帰属する四半期純利益100,506千円の計上による増加と剰余金の配当183,360千円による減少であります。 また、当第2四半期連結会計期間末における自己資本比率は37.0%(前連結会計年度末は37.1%)で、1株当たり純資産額は485円43銭(前連結会計年度末は497円70銭)であります。
(3) キャッシュ・フローの状況 当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ377,571千円減少し、538,325千円となりました。 当第2四半期連結累計期間に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。(a) 営業活動によるキャッシュ・フロー 当第2四半期連結累計期間における営業活動の結果、得られた資金は1,321,254千円(前年同四半期に得られた資金は357,501千円)となりました。収入は主に税金等調整前四半期純利益162,851千円、減価償却費892,123千円であり、支出は主に売上債権の増加額94,795千円、仕入債務の減少額39,619千円、法人税等の支払額42,809千円であります。(b) 投資活動によるキャッシュ・フロー 当第2四半期連結累計期間における投資活動の結果、使用した資金は1,613,669千円(前年同四半期に使用した資金は1,563,843千円)となりました。支出は主にレンタル資産の取得を始めとする有形固定資産の取得による支出1,593,377千円であります。(c) 財務活動によるキャッシュ・フロー 当第2四半期連結累計期間における財務活動の結果、使用した資金は85,204千円(前年同四半期に得られた資金は141,133千円)となりました。収入は主に短期借入金による収入500,000千円、長期借入れによる収入300,000千円であり、支出は主に長期借入金の返済による支出735,821千円、配当金の支払いによる支出182,934千円であります。
(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当第2四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当第2四半期連結累計期間において新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。
(6) 研究開発活動 該当事項はありません。
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