【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は19,781百万円であり、前連結会計年度末に比べて4,742百万円減少しました。これは主に未収還付法人税等が2,694百万円増加したものの、法人税等の納付を主要因として現金及び預金が5,263百万円減少したこと、賃貸開発事業において販売活動が順調に推移したことにより販売用不動産及び仕掛販売用不動産が合計で2,189百万円減少したこと等によるものです。
固定資産は2,638百万円であり、前連結会計年度末に比べて264百万円減少しました。これは主に有形固定資産は78百万円増加したものの、繰延税金資産が344百万円減少したこと等によるものです。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は3,176百万円であり、前連結会計年度末に比べて6,020百万円減少しました。これは主に前連結会計年度末に計上した未払法人税等が納付により5,293百万円減少したこと等によるものです。
固定負債は453百万円であり、前連結会計年度末に比べて4百万円減少しました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は18,789百万円であり、前連結会計年度末に比べて1,018百万円増加しました。これは、上場に伴う自己株式の処分により自己株式が261百万円減少し、自己株式処分差益(資本剰余金)を100百万円計上したこと、オーバーアロットメントによる第三者割当増資により資本金及び資本準備金がそれぞれ28百万円増加したこと、親会社株主に帰属する当期純利益853百万円を計上したこと、及び配当金の支払258百万円等によるものです。
この結果、自己資本比率は83.8%(前連結会計年度末は64.8%)となりました。
②経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種や各種感染対策の効果により行動制限が徐々に緩和され、景気は緩やかに持ち直しましたが、感染再拡大への懸念に加え、世界的な半導体等の部品不足、原油価格をはじめとする原材料価格の高騰、金融資本市場の変動、長期化するウクライナ情勢などの地政学的リスクによる世界経済への影響も不安視され、先行きは不透明な状況が続いております。
当社の主要事業である賃貸住宅市場においては、エネルギー資源や建築資材高騰などの影響を受けているものの、全国の新設貸家着工戸数は一年を通じて前年を上回り、また当社の事業エリアとなる東京都の新設貸家着工戸数は、月により増減はあるものの堅調に推移しました(出典:国土交通省「建築着工統計調査」)。
・全国の新設貸家着工戸数
2022年
2023年
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
戸数(戸)
32,305
29,526
25,963
30,294
29,686
31,303
30,623
31,996
29,873
26,845
24,041
24,692
前年
同月比
+18.6%
+2.4%
+3.5%
+1.7%
+1.6%
+8.9%
+8.4%
+7.3%
+11.4%
+6.4%
+4.2%
+4.7%
・東京都の新設貸家着工戸数
2022年
2023年
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
戸数
(戸)
8,166
5,928
5,746
5,652
5,512
5,618
5,746
6,589
6,003
4,901
5,086
4,961
前年
同月比
+24.6%
+1.9%
+1.6%
△1.7%
+0.8%
+3.1%
+3.6%
△8.4%
+21.7%
+2.9%
△2.0%
△12.9%
このような環境の中、当社は、2022年3月11日に東京証券取引所市場第二部(2022年4月4日、東京証券取引所の市場見直しにより、東京証券取引所スタンダード市場に移行)に新規上場いたしました。
当社グループでは、今後も“子どもたちの 子どもたちの 子どもたちへ”の企業理念のもと、日本の未来を担う若者に住まいの選択肢を増やし、若者たちのより素晴らしい未来を拓く一翼を担うことで社会に貢献してまいります。
また、東京圏・若者・鉄骨造アパートに絞り込み経営資源を集中するニッチ戦略を基本に、“アパート経営の専門店”を掲げるアパートメーカーとして、土地有効活用のコンサルティングから、自社開発物件の組成、建物の設計・施工、自社工場での構造部材の製造、入居者の募集、建物のメンテナンスといった賃貸経営までワンストップで行うニッチトップ企業として、持続可能な安定的成長を目指してまいります。
以上のような結果、当社グループの当連結会計年度における売上高は21,375百万円(前年同期比16.0%増)、営業利益は1,233百万円(前年同期比35.3%増)、経常利益は1,254百万円(前年同期比28.0%増)となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に中国賃貸事業の譲渡益を計上したことにより、853百万円(前年同期比92.0%減)となりました。
また、当社は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(収益認識関係)」をご参照ください。
各セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(賃貸住宅事業)
賃貸住宅事業におきましては、東京圏において生活にこだわりを持つ25歳から35歳の若者を中心に「最高の笑顔 と感動を届け続ける」をテーマに、旗艦ブランドである「My Style vintage」を軸としたアパートの企画、設計、施工等の請負事業を行い、未だ確立されていない「住まいの選択肢」を増やすことに注力してまいりました。
当連結会計年度における営業活動につきましては、上場を契機に競合の少ない優良紹介先の開拓(金融機関、コンサルタント士業、優良不動産業者等)に努めたほか、人財採用の推進、ロールプレイングや専門研修の導入によりコンサルティングを中心とする営業力の強化に取り組み、新規受注に注力してまいりました。
また、新型コロナウイルス感染症及び資源高の影響による原価高騰への対策として、工法の改善や工程の調整、工場の効率改善による生産性向上に努めたほか、仕入面の多角化などの原価低減にも注力してまいりました。
新商品販売に向けた取り組みとしては、新たな空間設計による付加価値アパートの開発・研究を推進したほか、“若者の暮らしを豊かにする”という当社テーマの実現に向け、若者の思考・居住性・多様性や利便性について共立女子大学とアパートの暮らしをテーマとした共同研究、千葉工業大学及び東京理科大学と遮音性能向上について共同研究を行ってまいりました。さらに、SDGsの持続可能な開発目標に賛同し、脱炭素社会に貢献できるよう、省エネルギー性能を強化したアパートの商品開発にも継続して注力してまいりました。
加えて、品質向上への取り組みとして、2022年11月、千葉工場において、品質マネジメントシステム(Quality Management System)の国際規格である「ISO9001」の認証を取得いたしました。この千葉工場の認証取得を契機に更なる品質向上と付加価値の創造に努めてまいります。
以上の活動の結果、当連結会計年度における引き渡し実績は91棟(累計2,703棟)、売上高は9,830百万円(前年同期比16.3%増)、セグメント利益は718百万円(前年同期比57.8%増)となりました。
(賃貸開発事業)
賃貸開発事業におきましては、『土地の資産価値』に重きを置いた新たな収益不動産の選択肢を提供することで、富裕層における豊かな資産承継の一助となるよう取り組んでおります。
生き方にこだわりを持つ当社のゲスト(入居者)が住みたい街であり、かつ資産価値の高い城南・城西にエリアを絞り込み、駅からの距離・規模・見栄えを合わせた4つの要素にこだわった土地の選定を行っております。その土地に『ワンルームを1LDKへ』という発想で設計された「Feel」に収納量の増大とリモートワークを可能とする書斎機能を追加した「Feel+1」や、設備仕様のすみずみまでこだわったパワーカップル向け商品「Fwin」を中心とした独創的な空間設計と、基幹ブランドである「My Style vintage」に門柱門扉等の高級感あふれる外装を施した最上級グレード『EXシリーズ』を企画・設計・施工して販売を行ってまいりました。
当連結会計年度においては販売活動に注力し、主に金融機関における富裕層部門(プライベートバンキング室やウェルスアドバイザリー部)並びに当該部門と密接に関わる大手仲介会社の開拓、また独立系金融アドバイザー(IFA)や地方の大規模地主を抱える不動産系コンサルタントとの関係強化に努めた結果、リピート受注の獲得、計画を上回る販売など、概ね好調に推移しました。また翌連結会計年度以降の販売に向け、これまでの販売実績を踏まえ、より希少性の高い土地仕入活動の強化にも取り組んでまいりました。
以上の活動の結果、当連結会計年度における売上高は3,925百万円(前年同期比100.3%増)、セグメント利益は418百万円(前年同期はセグメント損失3百万円)となりました。
(賃貸経営事業)
賃貸経営事業におきましては、ストック管理戸数増加を目的とした管理物件の受託営業活動を積極展開するほか、管理オーナーさまに対しては、会員組織「セレパートナーズ倶楽部」によるサポートサービスを提供しております。併せて一括借上や家賃集金代行等によるゲスト(入居者)の募集、入退去管理、家賃回収、レポーティングといった賃貸管理業務、日常の建物点検、清掃等の建物管理業務といった賃貸オペレーションを担うプロパティマネジメント業務を行っております。
当連結会計年度におきましては、人員増による組織力の強化と実践型ロールプレイング研修等による営業力のレベルアップに注力し、管理受託営業の強化に取り組んだ結果、当連結会計年度末の管理戸数は12,043戸(前連結会計年度末比815戸増)となりました。
また、新たな管理メニューの開発に着手したほか、オーナーさま目線での資産価値向上の積極的な提案を行う等、オーナーさまとの対話を通して信頼関係の構築に努め、リピート受注や賃貸管理のリプレースによる管理戸数の増加を目指してまいりました。
加えて、引き続き専任の賃貸仲介協力業者の組織セレリーシングパートナーズ(当連結会計年度末で16社)及びメンテナンス協力業者の組織セレメンテナンスパートナーズ(当連結会計年度末で10社)との連携を強化し、ゲスト(入居者)及びオーナーさまの満足度につながるサービス面の維持・向上に努めた結果、高水準の入居率(当連結会計年度末で98.4%、前連結会計年度末比0.5%増)を維持することができました。
以上の活動の結果、当連結会計年度における売上高は8,741百万円(前年同期比7.0%増)となりましたが、セグメント利益は人件費等の増加により954百万円(前年同期比4.7%減)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べて5,263百万円減少し、14,221百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は4,181百万円となりました。これは主に賃貸開発事業において保有物件の売却が進み、販売用不動産及び仕掛販売用不動産が減少したことにより2,180百万円の資金の獲得となったものの、法人税等の確定納付及び中間納付により法人税等の支払額として8,037百万円の資金の使用となったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は261百万円となりました。これは主に有形固定資産及び無形固定資産を取得したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は820百万円となりました。上場時に新株の発行及び自己株式の処分により417百万円の資金を獲得し、この獲得した資金を原資の一部として借入金980百万円を返済したこと、及び配当金258百万円の支払い等によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前年同期比(%)
賃貸住宅事業
7,489,540
109.6
合計
7,489,540
109.6
(注)当社グループの生産機能は請負事業に含められるため、賃貸開発事業及び賃貸経営事業については記載しておりません。
b.受注実績
当連結会計年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
賃貸住宅事業
8,151,085
88.5
5,522,439
91.3
賃貸開発事業
–
–
–
–
合計
8,151,085
88.5
5,522,439
91.3
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.受注高及び受注残高は建築請負契約を締結した取引を集計しており、土地の売却取引は含んでおりません。
3.賃貸経営事業は、受注という概念が馴染まないため記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
売上高(千円)
前年同期比(%)
賃貸住宅事業
8,830,658
117.2
賃貸開発事業
3,802,484
198.8
賃貸経営事業
8,741,956
107.0
合計
21,375,099
116.0
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、10%未満のため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。当該将来に関する事項については、その達成を保証するものではありません。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載しております。
b.経営成績
(売上高・売上原価・売上総利益)
当連結会計年度の売上高は21,375百万円と前連結会計年度の途中まで当社グループで営んでいた中国賃貸事業の売上がなくなったにもかかわらず、前連結会計年度と比較して2,950百万円増加(前年同期比16.0%増)しました。
賃貸開発事業において、前連結会計年度までに仕入れた物件について、完成物件の見学会等を積極的に実施し、当社物件の認知度向上を目指した結果、翌連結会計年度に販売予定の物件も含め、物件売却が好調に推移したことから、売上が前連結会計年度と比較して1,889百万円増加し3,802百万円となりました。また、賃貸住宅事業においても、金融機関をはじめとする優良な紹介先の開拓や顧客の事業性に配慮した適正な価格転嫁を行ったことにより、売上が前連結会計年度と比較して1,295百万円増加し8,830百万円となりました。
売上原価は17,963百万円と前連結会計年度と比較して2,553百万円増加(前年同期比16.6%増)しました。賃貸開発事業における販売物件の増加及び賃貸住宅事業における着工棟数の増加に伴う売上原価の増加であり、当連結会計年度の売上総利益率は16.0%と、前連結会計年度の16.4%と前連結会計年度からわずかに低下しました。当連結会計年度においては、木材や鉄骨の高騰や半導体不足による一部部材の供給減といった不確定要素はあったものの、賃貸住宅事業を中心に顧客のアパート経営の事業性を考慮して原価高騰の影響を販売価格へ転嫁したことにより、売上総利益率の減少幅は0.4%程度となりました。
上記の結果、当連結会計年度の売上総利益は3,411百万円と前連結会計年度と比較して397百万円増加(前年同期比13.2%増)となりました。
(販売費及び一般管理費・営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,178百万円と前連結会計年度と比較して75百万円増加(対前年同期比3.6%増)しました。人員増による人件費の増加等の要因はあったものの、前連結会計年度において中国賃貸事業の譲渡に伴う法人事業税186百万円の負担が当連結会計年度はなくなったことにより、販売費及び一般管理費全体で小幅な増加となりました。
上記の結果、当連結会計年度の営業利益は1,233百万円と前連結会計年度と比較して321百万円増加(前年同期比35.3%増)しました。
(営業外収益・営業外費用・経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は26百万円であり、前連結会計年度と比較して234百万円減少(前年同期比89.7%減)となりました。前連結会計年度は中国賃貸事業の売却に関して発生した為替差益、中国子会社の連結時に発生する負ののれん償額が計上されていましたが、前連結会計年度の途中で中国子会社を売却したことにより、当連結会計年度はこれらの計上がないことによる影響です。
営業外費用は5百万円であり、前連結会計年度と比較して186百万円(前年同期比97.2%減)となりました。前連結会計年度は中国賃貸事業の譲渡に伴い譲渡代金入金時に発生する支払手数料が計上されておりましたが当期は発生がないこと、及び上場時に獲得した資金を原資の一部として借入金の返済を行ったことにより、利息負担が減少したことによるものです。
上記の結果、当連結会計年度の経常利益は1,254百万円と前連結会計年度と比較して274百万円増加(前年同期比28.0%増)となりました。
(特別損益・法人税等・親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において、特別損益の計上はありません。なお、前連結会計年度は中国賃貸事業の売却に伴い関係会社出資金譲渡益16,583百万円を特別利益として計上しておりました。
法人税等は前連結会計年度は中国賃貸事業の譲渡に伴い課税所得が増加し法人税等6,884百万円を計上しておりましたが、当連結会計年度は401百万円を計上しております。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は853百万円と前連結会計年度と比較して9,826百万円減少しました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当連結会計年度の営業キャッシュ・フローは4,181百万円の資金流出となりました。税金等調整前当期純利益1,254百万円、賃貸開発事業における物件売却が進んだことを主要因として棚卸資産が減少し2,180百万円の資金獲得要因となったものの、前連結会計年度の法人税等の確定納付及び中間納税により法人税等の支払額が8,037百万円となったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは261百万円の資金流出となりました。これは主に有形固定資産及び無形固定資産への投資によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは820百万円の資金流出となりました。これは主に、上場時に新株の発行及び自己株式の処分により417百万円の資金を獲得し、この獲得した資金を原資の一部として借入金980百万円を返済したこと、及び配当金258百万円の支払い等によるものです。
以上の結果、期末における現金及び現金同等物の残高は14,221百万円となりました。
b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、賃貸開発事業における土地の仕入代金、材料費、労務費、外注費及び経費等の製造経費、人件費や賃借料等の販売費及び一般管理費によるものであります。当社の方針として運転資金については自己資本で賄うことを原則としております。
当社グループは当連結会計年度において、東京証券取引所市場第二部(提出日現在、スタンダード市場)へ株式上場しました。その際、新株の発行及び自己株式の処分により417百万円の資金調達を行いました。この調達した資金を原資の一部として、短期借入金の返済を行ったことにより当連結会計年度末における短期借入金の残高は200百万円となっております。なお、前連結会計年度末において、中長期の安定的な資金の確保のため金融機関との間で当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しておりましたが、当座貸越契約については借入金の返済により、コミットメントライン契約については期間満了により、当該契約は終了しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、連結財務諸表の作成に当たり、資産、負債、収益及び費用の報告に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。これらの見積り及び仮定に基づく会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、次の会計方針は、連結財務諸表における重要な見積りの判断に影響を及ぼすものと考えております。 なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(販売用不動産)
通常の販売目的で保有する販売用不動産等は、取得原価をもって貸借対照表価額とし、収益性の低下により正味売却価額が取得原価よりも下落している場合は、正味売却価額をもって貸借対照表価額とし、差額を簿価切下額として売上原価に計上しております。
正味売却価額の見積りにあたっては、近隣地域における市場価格や当該不動産の想定利回り等に基づいて算定された将来の販売見込額に販売に係る費用を踏まえ算定しておりますが、経済情勢や不動産市況の悪化等により正味売却価額が想定以上に下落した場合には、評価損を計上する必要があります。
(請負工事に係る収益)
当社グループの請負工事に係る収益は、一定の期間にわたり履行義務の充足が認められる工事について、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき一定の期間にわたり収益を認識しております。履行義務の充足に係る進捗度の見積りの方法は、見積総原価に対する発生原価の割合(インプット法)で算出しております。その他の工事については、それぞれ履行義務を充足した時点で収益を計上しております。
工事の基本的な仕様や作業内容は顧客の指図に基づいて行われることから、工事原価総額の見積りにあたっては、工事に対する専門的な知識と施工経験を有する工事現場責任者による一定の仮定と判断を伴い不確実性を伴うものとなります。具体的には、工事は契約から完成まで一般に長期にわたることから工事の進行途上における工事契約の変更、悪天候による施工の遅延、建設資材単価や労務単価等の変動が生じる場合があり、工事原価総額の適時・適切な見直しには複雑性が伴います。このため、仮定した個別の工事契約ごとの諸条件と異なる事象が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループの繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、経営環境の悪化等によりその見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、将来の課税所得の見積りが減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損の要否を検討しております。当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングを行い、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することになります。固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に基づき、算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社の業績を悪化させる可能性があります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであり、事業環境の変化をはじめ様々なリスク要因が当社グループの成長及び経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
⑤ 経営者の問題意識と今後の対応について
経営者の問題意識と今後の対応については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の課題に対処し、当社グループが今後も持続可能な安定的成長を果たしていく必要があると認識しております。
当社グループの主力事業であるアパート経営は、オーナーさまに長期的な資産形成に資するものであることから、当社が安定的に成長し持続し続けることが、オーナーさまの安定的な資産形成を確実なものとし、ステークホルダー全ての安心につながると考えています。
⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の事業目的を達成するための長期的な経営の課題として、生産性の向上、収益力の改善を掲げております。その評価のための指標としては営業利益率6.0%以上を定めております。また会社の安定的な成長が、オーナーさまの安定的な資産形成を確実なものとし、ステークホルダー全ての安心につながると考え、継続企業としての安全性の観点から自己資本比率60.0%以上を維持することを目標として定めております。
当社が定めた各種当社が定めた各種指標の目標及び当連結会計年度末の状況は以下のとおりであります。営業利益率については、5.8%と目標に対し0.2ポイント下回りました。当連結会計年度は、賃貸開発事業において物件の売却が順調に進んだものの、新型コロナウイルス感染症及び資源高の影響による原価高騰を受け、工法の改善や工場の効率改善による生産性向上、オーナーさまの事業性を配慮した適正な価格転嫁など利益確保に努めましたが、わずかに未達となりました。
原価高騰による部材の値上げへの対応としては、前連結会計年度に引き続き、集中仕入れなどの購買方法の見直しによる仕入原価の抑制に努めるほか、引き続き業務効率の見直しなど生産性向上による販売費及び一般管理費の低減に努め、目標達成を目指してまいります。
自己資本比率につきましては、83.8%と目標を達成しておりますが、今後も引き続き、販売用不動産の効率的な仕入と販売体制のさらなる強化に努めてまいります。
指標
目標
実績
差異
営業利益率
6.0%
5.8%
△0.2pt
自己資本比率
60.0%
83.8%
23.8pt
#C5078JP #セレコーポレーション #不動産業セクター