【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種や各種感染対策の効果により、景気は持ち直しの動きがみられましたが、オミクロン株による感染再拡大もあり、いまだ収束の予想はつかない状態にあります。また、世界的な半導体等の部品不足、原油価格をはじめとする原材料価格の高騰、金融資本市場の変動、長期化するウクライナ情勢などの地政学的リスクによる世界経済への影響も不安視され、先行きは不透明な状況が続いております。
当社の主要事業である賃貸住宅市場においては、エネルギー資源や建築資材高騰などの影響を受けているものの、全国の新設貸家着工戸数は堅調に推移し、当社の事業エリアとなる東京都の新設貸家着工戸数は、10月の前年同月比はマイナスとなったものの堅調に推移しました(出典:国土交通省「建築着工統計調査」)。
・全国の新設貸家着工戸数
2022年
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
戸数
32,305戸
29,444戸
25,942戸
30,285戸
29,668戸
31,295戸
30,623戸
31,996戸
29,873戸
前年同月比
+18.6%
+2.1%
+3.5%
+1.6%
+1.5%
+8.9%
+8.4%
+7.3%
+11.4%
・東京都の新設貸家着工戸数
2022年
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
戸数
8,166戸
5,928戸
5,746戸
5,652戸
5,512戸
5,618戸
5,746戸
6,589戸
6,023戸
前年同月比
+24.6%
+1.9%
+1.6%
△1.7%
+0.8%
+3.1%
+3.6%
△8.4%
+21.7%
このような環境の中、当社は、2022年3月11日に東京証券取引所市場第二部(2022年4月4日、東京証券取引所の市場見直しにより、東京証券取引所スタンダード市場に移行)に新規上場いたしました。
当社グループでは、今後も“子どもたちの 子どもたちの 子どもたちへ”の企業理念のもと、日本の未来を担う若者に住まいの選択肢を増やし、若者たちのより素晴らしい未来を拓く一翼を担うことで社会に貢献してまいります。
また、東京圏・若者・鉄骨造アパートに絞り込み経営資源を集中するニッチ戦略を基本に、“アパート経営の専門店”を掲げるアパートメーカーとして、土地有効活用のコンサルティングから、自社開発物件の組成、建物の設計・施工、自社工場での構造部材の製造、入居者の募集、建物のメンテナンスといった賃貸経営までワンストップで行うニッチトップ企業として、持続可能な安定的成長を目指してまいります。
各セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当社は、2021年12月に中国賃貸事業を譲渡したことにより、中国賃貸事業を営んでおりました賽力(中国)有限公司及びその100%子会社である格蘭珂(上海)商務諮詢有限公司を当社の連結子会社から除外しております。
(賃貸住宅事業)
賃貸住宅事業におきましては、東京圏において生活にこだわりを持つ25歳から35歳の若者を中心に「最高の笑顔と感動を届け続ける」をテーマに、基幹ブランドである「My Style vintage」を軸としたアパートの企画、設計、施工等の請負事業を行い、未だ確立されていない「住まいの選択肢」を増やすことに注力してまいりました。
当第3四半期連結累計期間における営業活動につきましては、上場を契機に競合の少ない優良紹介先の開拓(金融機関、コンサルタント士業、優良不動産業社等)に努めたほか、人財採用の推進、ロールプレイングや専門研修の導入によりコンサルティングを中心とする営業力の強化に取り組み、新規受注に注力してまいりました。
また、新型コロナウイルス及び資源高の影響による原価高騰への対策として、工法の改善や工程の調整、工場の効率改善による生産性向上に努めたほか、仕入面の多角化などの原価低減にも注力してまいりました。
新商品販売に向けた取り組みとしては、新たな空間設計による付加価値アパートの開発・研究を推進したほか、“若者の暮らしを豊かにする”という当社テーマの実現に向け、若者の思考・居住性・多様性や利便性について共立女子大学とアパートの暮らしをテーマとした共同研究、千葉工業大学及び東京理科大学と遮音性能向上について共同研究を行ってまいりました。さらに、SDGsの持続可能な開発目標に賛同し、脱炭素社会に貢献できるよう、省エネルギー性能を強化したアパートの商品開発にも継続して注力してまいりました。
加えて、品質向上への取り組みとして、2022年11月、千葉工場において、品質マネジメントシステム(Quality Management System)の国際規格である「ISO9001」の認証を取得いたしました。この千葉工場の認証取得を契機に更なる品質向上と付加価値の創造に努めてまいります。
以上のような活動の結果、当第3四半期連結累計期間における引き渡し実績は69棟(累計2,681棟)、売上高は7,520百万円(前年同期比27.3%増)、セグメント利益は621百万円(前年同期比86.3%増)となりました。
(賃貸開発事業)
賃貸開発事業におきましては、『土地の資産価値』に重きを置いた新たな収益不動産の選択肢を提供することで、富裕層における豊かな資産承継の一助となるよう取り組んでおります。
生き方にこだわりを持つ当社のゲスト(入居者)が住みたい街であり、かつ資産価値の高い城南・城西にエリアを絞り込み、駅からの距離・規模・見栄えを合わせた4つの要素にこだわった土地の選定を行っております。その土地に『ワンルームを1LDKへ』という発想で設計された「Feel」に収納量の増大とリモートワークを可能とする書斎機能を追加した「Feel+1」や、設備仕様のすみずみまでこだわったパワーカップル向け商品「Fwin」を中心とした独創的な空間設計と、基幹ブランドである「My Style vintage」に門柱門扉等の高級感あふれる外装を施した最上級グレード『EXシリーズ』を企画・設計・施工して販売を行ってまいりました。
当第3四半期連結累計期間においては販売活動に注力し、主に金融機関における富裕層部門(プライベートバンキング室やウェルスアドバイザリー部)並びに当該部門と密接に関わる大手仲介会社の開拓、また独立系金融コンサル(IFA)や地方の大規模地主を抱える不動産系コンサルタントとの関係強化に努めた結果、リピート受注の獲得、計画を上回る販売など、概ね好調に推移しました。また翌事業年度以降の販売に向け、これまでの販売実績を踏まえ、より希少性の高い土地仕入活動の強化にも取り組んでまいりました。
以上のような活動の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は3,908百万円(前年同期比160.3%増)、セグメント利益は483百万円(前年同期比782.7%増)となりました。
(賃貸経営事業)
賃貸経営事業におきましては、ストック管理戸数増加を目的とした管理物件の受託営業活動を積極展開するほか、管理オーナーさまに対しては、会員組織「セレパートナーズ倶楽部」によるサポートサービスを提供しております。併せて一括借上や家賃集金代行等によるゲスト(入居者)の募集、入退去管理、家賃回収、レポーティングといった賃貸管理業務、日常の建物点検、清掃等の建物管理業務といった賃貸オペレーションを担うプロパティマネジメント業務を行っております。
当第3四半期連結累計期間におきましては、人員増による組織力の強化と実践型ロールプレイング研修等による営業力のレベルアップに注力し、管理受託営業の強化に取り組んだ結果、当第3四半期連結累計期間末の管理戸数は11,892戸(前期末比664戸増)となりました。
また、新たな管理メニューの開発に着手したほか、オーナーさま目線での資産価値向上の積極的な提案を行う等、オーナーさまとの対話を通して信頼関係の構築に努め、リピート受注や賃貸管理のリプレースによる管理戸数の増加を目指してまいりました。
さらに、当社の独自仕様を施したリノベーションプランの中古物件を着工したほか、引き続き専任の賃貸仲介協力業者の組織セレリーシングパートナーズ(2022年11月末で16社)及びメンテナンス協力業者の組織セレメンテナンスパートナーズ(2022年11月末で9社)との連携を強化し、ゲスト(入居者)及びオーナーさまの満足度につながるサービス面の維持・向上に努めた結果、高水準の入居率(2022年11月末で96.8%)を維持することができました。
以上のような活動の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は6,464百万円(前年同期比6.1%増)となりましたが、セグメント利益は人件費等の増加により685百万円(前年同期比10.9%減)となりました。
以上のような結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間における売上高は16,887百万円(前年同期比23.7%増)、営業利益は1,140百万円(前年同期比38.1%増)、経常利益は1,157百万円(前年同期比35.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は791百万円(前年同期比28.7%増)となりました。
また、当社は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しております。詳細は、「第4 経理の状況1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
財政状態は以下のとおりであります。
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は19,395百万円であり、前連結会計年度末に比べて5,128百万円減少しました。これは主に法人税等の納付、借入金の返済及び配当金の支払い等により現金及び預金が5,214百万円減少したこと等によるものです。
固定資産は2,932百万円であり、前連結会計年度末に比べて29百万円増加しました。
以上の結果、当第3四半期連結会計期間末の資産合計は22,327百万円となり、前連結会計年度末に比べて5,099百万円減少しました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は3,154百万円であり、前連結会計年度末に比べて6,042百万円減少しました。これは主に賃貸住宅事業における着工棟数増加により未成工事受入金が112百万円増加したものの、法人税等の納付により未払法人税等が5,277百万円減少したこと、及び上場により得た資金を利用して短期借入金を返済したことにより短期借入金が980百万円減少したこと等によるものです。
固定負債は447百万円であり、前連結会計年度末に比べて10百万円減少しました。
以上の結果、当第3四半期連結会計期間末の負債合計は3,602百万円となり、前連結会計年度末に比べて6,052百万円減少しました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は18,724百万円であり、前連結会計年度末に比べて953百万円増加しました。これは、上場に伴う自己株式の処分により自己株式が261百万円減少し、自己株式処分差益(資本剰余金)を100百万円計上したこと、オーバーアロットメントによる第三者割当増資により資本金及び資本準備金をそれぞれ28百万円計上したこと、親会社株主に帰属する四半期純利益791百万円を計上したこと、及び配当金の支払258百万円等によるものです。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第3四半期連結累計期間において、資本の財源及び資金の流動性についての分析に重要な変更はありません。
(6)経営成績に重要な影響を与える要因
当第3四半期連結累計期間において、経営成績に重要な影響を与える要因について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は、33百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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