【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
(1)業績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、ロシアのウクライナ侵攻の長期化に伴う資源高の影響などを受けつつも、企業収益は全体として高水準で推移しており、景気は緩やかに回復しております。国内企業のデジタル変革(DX)に対する投資意欲は引き続き底堅く、企業の情報化投資は当面堅調に推移するものと見込まれており、当社グループが事業を行うクラウド(注1)市場におきましても業界を問わず強いニーズが継続しております。
クラウドサービスの中でも、当社グループが主力分野としている米国Salesforce.com(注2)は8月31日に5~7月期決算(第2四半期)を発表し、1株利益、売上高及び、重要な指標である進行中の残存履行義務も予想を上回っております。また、ガイダンスでは、通期の1株利益および売上高の見通しを上方修正。第3四半期の売上高と1株利益の見通しも予想を上回っております。同社は第2四半期に売上高の伸びを回復させるために、いくつかの施策を打っております。6月には、年間約7200ドルの人工知能(AI)の新機能を発表し、7月には7年ぶりの値上げを実施。また、SlackとTableauをより多くの既存顧客に結びつけることに取り組んでおります。
米Amazonは、8月3日に、2023年4~6月期(2023年12月期第2四半期)決算を発表。売上高が予想を上回ったほか、同社の稼ぎ頭であるアマゾン・ウェブ・サービシズ(AWS)(注3)の売上高も予想を上回っており、第3四半期も予想を上回る売上高見通しを示しております。クラウド事業AWSの営業利益は生成AIの需要拡大もあり、前年同期比で6%減と前期の同21%減から減益率が縮小し、回復の兆しが示されました。
GCP(注4)に関して、Googleの持株会社である米Alphabetは7月25日、第2四半期(4月~6月)の決算を発表。Alphabet全体の売上高は前年同期比7%増と4四半期ぶりの増益となりました。特にクラウド部門の売上高が28%増の80億3100万ドル、営業利益が3億9500万ドル、2四半期連続の黒字と好調です。(ITmedia)
このように、当社が取り扱う米国パブリック・クラウドサービス大手の業績は好調を維持、国内市場でも引き続き企業のDXに伴うクラウド導入需要は旺盛であります。当社グループにおいては、クラウドのリーディングカンパニーとして、国内屈指のSalesforce認定技術者育成、クラウド導入のコンサルティング、カスタマイズ、インテグレーションまで、SalesforceのSFA、CRMといった中核(コア)領域での実績を積み重ねているとともに、中期経営計画に基づき、更なる人的資本への投資の加速、新会社の事業立ち上げによるMarketing Automation、エンジニア派遣、AI、分析、データ連携、MSPといったコア周辺領域への本格的な事業拡大を進めております。
子会社の株式会社BeeXについては、2022年2月に東証マザーズ市場(現東証グロース市場)に新規株式上場し、SAP(注5)のクラウドマイグレーションビジネス(注6)を加速させて、業績は拡大しております。
札幌を拠点にクラウド・インテグレーションビジネスを展開している株式会社キットアライブについては、2022年9月に札幌証券取引所アンビシャス市場に株式上場したことから当第2四半期連結累計期間は、連結子会社から持分法適用会社に変更されております。
人材採用のための認知度向上を目的としたTVCMの放送は、当第2四半期連結累計期間においては97百万円の費用を計上しております。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高8,936,675千円(前年同期比22.4%増)、営業利益219,983千円(前年同期比40.2%減)、経常利益298,956千円(前年同期比20.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益115,739千円(前年同期比16.1%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① ソリューション事業
当第2四半期連結累計期間におけるソリューション事業の売上高は、Salesforceの導入開発に加えて、AWS, GCP関連の子会社売上も堅調に増加したことから8,216,414千円(前年同期比25.2%増)となりました。セグメント利益(営業利益)は、グループ全体で100名弱の新卒採用行ったことで、未稼働人員のコストが増加したこと、量子コンピュータ関連の研究開発を行う株式会社Quemix、TerraSky(Thailand)Co.,Ltd.(タイ法人)、に積極的に投資を行いながらも、993,174千円(前年同期比4.6%増)となりました。
② 製品事業
当第2四半期連結累計期間における製品事業は、引き続き「DataSpider Cloud」、「SkyVisualEditor」及び「mitoco(ミトコ)」の契約はいずれも堅調で、各製品でサブスクリプション売上が増加しているものの、初期導入開発売上が減少したこと等により、売上高は813,973千円(前年同期比0.7%減)となりました。セグメント損失(営業損失)は、引き続き「mitoco」の新機能開発へ積極投資していることによるコスト増もあり、47,904千円(前年同期はセグメント損失(営業損失)22,436千円)となりました。
当第2四半期連結累計期間の当社グループの主な取り組みは、以下のとおりです。
2023年3月
・「mitoco Work 経費」バージョン2.0をリリースしました。電子帳簿保存法への対応の他、経費精算を効率よく行うための機能改善を多く実施しました。
・「mitoco Work 勤怠」バージョン2.0をリリースしました。時間外労働時間の超過状況の確認画面や、年休の取得義務の確認画面など、社員の労務管理を担当する方にご利用いただける機能を新たに追加いたしました。
2023年4月
・連結子会社である株式会社テラスカイ・テクノロジーズ(本社:東京都中央区)がAWS専門の人材を派遣する「AWS事業推進部」を新設。2026年度には、人員100名体制まで増強し、売上高10億円を目指してまいります。
・Salesforce Japan Partner Award 2023におけるカスタマーサクセス部門「Best Reviewed Partner of the Year」を受賞しました。受賞理由は、いずれのアプリにおいてもAppExchangeサイトで多くのレビューを収集し、かつ、ユーザーから高い評価を得ていることによるものです。
・グループウェアmitoco(ミトコ)が、アイティクラウド株式会社(本社所在地:東京都港区)主催の「ITreview Grid Award 2023 Spring」において、Salesforce拡張機能部門 で最高位である「Leader」、グループウェア部門で「High Performer」を受賞いたしました。mitocoの受賞は「ITreview Grid Award 2022 Summer」以来、4回連続となります。
2023年5月
・サテライトオフィス新設に向け、2023年5月16日に、秋田県及び秋田市と立地協定を締結いたしました。本締結により秋田市内にサテライトオフィスを新設、2024年3月にはクラウドサービスの導入支援・開発を主体としたクラウドインテグレーション事業を開始予定です。
・連結子会社である株式会社エノキ(本社:東京都中央区)が、生成AI(人工知能)のChatGPTを活用した「FAQ自動生成機能」を2023年6月1日から提供開始することを発表しました。
・株式会社テラスカイ・テクノロジーズの代表取締役社長に、荒谷英智の就任が決定、就任しました。
2023年6月
・組織内の問い合わせ対応を自動化するチャットボット「mitocoアシスタント(ミトコアシスタント)」に、ChatGPTに対応した新機能「FAQ自動生成機能」を標準搭載し提供を開始しました。
・Flosum Corporation. (本社:米国 カリフォルニア州)と、同社製品の日本国内における独占販売契約を締結しました。同社製品は、Salesforce上のリリース管理を効率化し、DXに欠かせないCI(継続的インテグレーション)/CD(継続的デプロイ)を可能にします。国内では株式会社カインズ、株式会社ジェーシービー、富士通フロンテック株式会社など、Salesforceの活用や内製化を推進する企業に採用されています。
・テラスカイ社員が秋田県立大学、秋田情報ビジネス専門学校及び秋田工業高等専門学校にて、「ITのトレンドと、クラウドコンピューティングの世界」をテーマに、IT業界分析やクラウドコンピューティングやCRMの利点などについて約100名の学生を対象に講義を行いました。
2023年7月
・国内でサービスをするFujitsu GLOVIA OMにおいて、2024年1月から電子帳簿保存法の義務化にともなう対応機能の提供を開始しました。
・mitoco(ミトコ)が、アイティクラウド株式会社(本社所在地:東京都港区)主催の「ITreview Grid Award 2023 Summer」において、チャットボットツール部門 で最高位である「Leader」、グループウェア部門で「High Performer」を受賞いたしました。mitocoの受賞は「ITreview Grid Award 2022 Spring」以来、5回連続となります。
・株式会社テクノスジャパン(本社:東京都新宿区)と資本業務提携契約を締結いたしました。本提携により、テクノスジャパンが提供する企業間協調プラットフォーム「CBP」とテラスカイの「mitoco」、「Fujitsu GLOVIA OM」を”つなげる”ことで価値を高めたERP総合ソリューションの提供を開始いたします。また北米市場を中心に、製品・連携ソリューションの共同販売を開始します。
2023年8月
・連結子会社である株式会社Cuon(本社:東京都中央区)が、「OpenAI API」を介して、企業が生成AIをセキュアに、かつ独自のデータを活用できる「生成AI 導入支援サービス」の提供を開始しました。Cuonは、生成AIの導入コンサルティング・開発・運用保守までを一貫してサポートし、確実な早期展開を実現いたします。
※用語解説
(注1)クラウド
クラウド・コンピューティングの略で、ネットワークをベースとしたコンピュータ資源の利用形態。企業はハードウェアやソフトウェアの資産を自前で持たず、インターネット上に存在するものを必要に応じて利用する。
(注2)Salesforce.com社
米国サンフランシスコを本社とするCRM(顧客関係管理)ソフトウェアで世界最大企業。クラウドベースのSalesforce製品は、日本郵政グループやトヨタ自動車などの国内大手の企業のみならず、中堅・中小企業まであらゆる業種・規模のSFA(営業支援)、CRM(顧客管理)、カスタマーサポートに利用されている。
(注3)AWS
「Amazon Web Services」の略語。米国Amazon社が企業を対象にウェブサービスという形態でITインフラストラクチャのサービス(IaaS)を提供する。クラウドの拡張性ある低コストのインフラストラクチャプラットフォームであり、世界190ヵ国の数十万に及ぶビジネスを駆動している。
(注4)GCP
Google Cloud Platform(GCP)とは、Googleが提供しているクラウドコンピューティングサービス。クラウド全体における世界的シェア3位。
(注5)SAP
SAPは主にビジネス向けソフトウェアの開発を手掛ける大手ソフトウェア企業で、売上高はマイクロソフト、オラクル、IBMに続いて世界第4位である。特に大企業向けのエンタープライズソフトウェア市場で圧倒的なシェアを有し、企業の基幹システムであるERP分野で世界一である。
(注6)クラウドマイグレーション
サーバーなどの機器を自社が管理する施設(ビルやデータセンターなど)で運用するITシステムの環境から、AWS(Amazon Web Services)、Google Cloud PlatformやMicrosoft Azureなどのパブリック・クラウドにシステムを移行すること。
(2)財政状態の分析
(流動資産)
当第2四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末より12,296千円減少し、10,021,954千円となりました。これは主に、売掛金及び契約資産の増加266,635千円及びその他流動資産の増加42,681千円に対して、現金及び預金の減少304,669千円があったことによるものであります。
(固定資産)
当第2四半期連結会計期間末における固定資産は、前連結会計年度末より1,061,276千円増加し、6,550,205千円となりました。これは主に、投資有価証券の増加941,401千円によるものであります。
(流動負債)
当第2四半期連結会計期間末における流動負債は、前連結会計年度末より107,909千円増加し、3,754,263千円となりました。これは主に、買掛金の増加110,532千円があったことによるものであります。
(固定負債)
当第2四半期連結会計期間末における固定負債は、前連結会計年度末より220,836千円増加し、1,165,623千円となりました。これは主に、繰延税金負債の増加242,373千円があったことによるものであります。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末より720,232千円増加し、11,652,272千円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金の増加549,479千円があったことによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、5,589,202千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動の結果、収入は177,965千円(前年同期は893,350千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益298,956千円、減価償却費174,740千円、売上債権及び契約資産の増加266,625千円及び法人税等の支払額143,151千円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動の結果、支出は446,859千円(前年同期は225,497千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出292,757千円及び投資有価証券の取得による支出109,409千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動の結果、支出は39,448千円(前年同期は194,196千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出40,568千円があったこと等によるものであります。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要
な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は、55,830千円であります。
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