【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
(1)業績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、ロシアのウクライナ侵攻の長期化に伴うエネルギー価格の高騰や、記録的な円安の影響から、引き続き先行き不透明な状況が続いております。一方で、国内企業のデジタル変革(DX)に対する投資意欲は引き続き底堅く、企業の情報化投資は当面堅調に推移するものと見込まれており、当社グループが事業を行うクラウド(注1)市場におきましても業界を問わず強いニーズが継続しております。
クラウドサービスの中でも、当社グループが主力分野としている米国Salesforce.com(注2)の2-4月(第1四半期)は売上高が11%増の82億5000万ドルと、アナリスト予想平均81億8000万ドルを上回りました。5月31日に発表した2023年度第2四半期売上高見通しは85億1000万-85億3000万ドルと市場予想の84億9000万ドルを上回り、クラウドサービスに対する需要がなお堅調とのことです。(ブルームバーグ)
米Amazonは、2023年第1四半期(3月31日まで)の決算を発表。景気の先行き不透明感が高まる中、クラウド事業収入の伸びが急減速していると明らかにしました。ブライアン・オルサブスキー最高財務責任者(CFO)は決算説明会で、クラウドサービス部門アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)(注3)の4月の成長率は第1四半期より約5%ポイント低かったと明らかにしました。
GCP(注4)に関して、Googleの親会社であるAlphabetが2023年第1四半期の決算を発表。次世代の収益源として注力するクラウド事業は、売上高が前年同期比28.1%増の74億5400万ドルとなり、売上高ベースで初めてYouTubeを超えました。営業利益は1億9100万ドル(前年同期は7億600万ドルの営業損失)で、初の黒字化を達成。ピチャイCEOは「強力なエコシステムが構築できている」と説明。過去3年間で年間契約件数は6倍になり、世界の大企業1000社の6割弱がクラウドサービス「Google Cloud」の顧客になったとのことです。(日経XTECH)
このように、米国パブリック・クラウド市場は景気の先行き不透明感の影響を受けているものの、クラウド化が道半ばである国内市場では引き続き企業のDX需要は旺盛であります。当社グループにおいては、クラウドのリーディングカンパニーとして、国内屈指のSalesforce認定技術者育成、クラウド導入のコンサルティング、カスタマイズ、インテグレーションまで、SalesforceのSFA、CRMといった中核(コア)領域での実績を積み重ねているとともに、中期経営計画に基づき、更なる人的資本への投資の加速、新会社の事業立ち上げによるMarketing Automation、エンジニア派遣、AI、分析、データ連携、MSPといったコア周辺領域への本格的な事業拡大を進めております。
子会社の株式会社BeeXについては、昨年2月に東証マザーズ市場(現東証グロース市場)に新規株式上場し、SAP(注5)のクラウドマイグレーションビジネス(注6)を加速させております。
子会社の株式会社キットアライブについては、昨年9月に札幌証券取引所アンビシャス市場に新規株式上場し、知名度アップによる成長拡大を目指しております。尚、本上場時の株式売出しに伴い、同社は当社の連結子会社から持分法適用会社に移行しております。
前連結会計年度にグループの認知度向上を目的としたTVCMを作成・放送した費用224百万円を計上しておりますが、当第1四半期連結累計期間においても71百万円の費用を計上しております。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高4,353,239千円(前年同期比23.1%増)、営業利益96,716千円(前年同期比32.8%減)、経常利益130,203千円(前年同期比10.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益35,745千円(前年同期比27.1%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① ソリューション事業
当第1四半期連結累計期間におけるソリューション事業の売上高は、Salesforceを中心としたクラウドサービスの導入開発案件が増加したことから3,993,655千円(前年同期比25.6%増)となりました。セグメント利益(営業利益)は、量子コンピュータ関連の研究開発を行う株式会社Quemix、TerraSky(Thailand)Co.,Ltd.(タイ法人)、AIアプリ開発を行う株式会社エノキ等に積極的に投資を行いながらも、546,346千円(前年同期比22.7%増)となりました。
② 製品事業
当第1四半期連結累計期間における製品事業は、引き続き「DataSpider Cloud」、「SkyVisualEditor」及び「mitoco(ミトコ)」の契約はいずれも堅調で、各製品でサブスクリプション売上が増加しており、売上高は404,110千円(前年同期比1.2%増)となりました。セグメント損失(営業損失)は、引き続き「mitoco」の新機能開発へ積極投資していることによるコスト増もあり、48,587千円(前年同期はセグメント損失(営業損失)13,962千円)となりました。
当第1四半期連結累計期間の当社グループの主な取り組みは、以下のとおりです。
2023年3月
・「mitoco Work 経費」バージョン2.0をリリースしました。電子帳簿保存法への対応の他、経費精算を効率よく行うための機能改善を多く実施しました。
・「mitoco Work 勤怠」バージョン2.0をリリースしました。時間外労働時間の超過状況の確認画面や、年休の取得義務の確認画面など、社員の労務管理を担当する方にご利用いただける機能を新たに追加いたしました。
2023年4月
・連結子会社である株式会社テラスカイ・テクノロジーズがAWS専門の人材を派遣する「AWS事業推進部」を新設。2026年度には、人員100名体制まで増強し、売上高10億円を目指してまいります。
・Salesforce Japan Partner Award 2023におけるカスタマーサクセス部門「Best Reviewed Partner of the Year」を受賞しました。受賞理由は、いずれのアプリにおいてもAppExchangeサイトで多くのレビューを収集し、かつ、ユーザーから高い評価を得ていることによるものです。
・グループウェアmitoco(ミトコ)が、アイティクラウド株式会社(本社所在地:東京都港区)主催の「ITreview Grid Award 2023 Spring」において、Salesforce拡張機能部門 で最高位である「Leader」、グループウェア部門で「High Performer」を受賞いたしました。mitocoの受賞は「ITreview Grid Award 2022 Summer」以来、4回連続となります。
2023年5月
・サテライトオフィス新設に向け、2023年5月16日に、秋田県及び秋田市と立地協定を締結いたしました。本締結により、2023年7月に秋田市内にサテライトオフィスを新設、2024年3月にはクラウドサービスの導入支援・開発を主体としたクラウドインテグレーション事業を開始予定です。
・連結子会社である株式会社エノキ(本社:東京都中央区)が、生成AI(人工知能)のChatGPTを活用した「FAQ自動生成機能」を2023年6月1日から提供開始することを発表しました。
・株式会社テラスカイ・テクノロジーズの代表取締役社長に、荒谷英智の就任が決定、就任しました。
※用語解説
(注1)クラウド
クラウド・コンピューティングの略で、ネットワークをベースとしたコンピュータ資源の利用形態。企業はハードウェアやソフトウェアの資産を自前で持たず、インターネット上に存在するものを必要に応じて利用する。
(注2)Salesforce.com社
米国サンフランシスコを本社とするCRM(顧客関係管理)ソフトウェアで世界最大企業。クラウドベースのSalesforce製品は、日本郵政グループやトヨタ自動車などの国内大手の企業のみならず、中堅・中小企業まであらゆる業種・規模のSFA(営業支援)、CRM(顧客管理)、カスタマーサポートに利用されている。
(注3)AWS
「Amazon Web Services」の略語。米国Amazon社が企業を対象にウェブサービスという形態でITインフラストラクチャのサービス(IaaS)を提供する。クラウドの拡張性ある低コストのインフラストラクチャプラットフォームであり、世界190ヵ国の数十万に及ぶビジネスを駆動している。
(注4)GCP
Google Cloud Platform(GCP)とは、Googleが提供しているクラウドコンピューティングサービス。クラウド全体における世界的シェア3位。
(注5)SAP
SAPは主にビジネス向けソフトウェアの開発を手掛ける大手ソフトウェア企業で、売上高はマイクロソフト、オラクル、IBMに続いて世界第4位である。特に大企業向けのエンタープライズソフトウェア市場で圧倒的なシェアを有し、企業の基幹システムであるERP分野で世界一である。
(注6)クラウドマイグレーション
サーバーなどの機器を自社が管理する施設(ビルやデータセンターなど)で運用するITシステムの環境から、AWS(Amazon Web Services)、Google Cloud PlatformやMicrosoft Azureなどのパブリック・クラウドにシステムを移行すること。
(2)財政状態の分析
(流動資産)
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末より181,193千円増加し、10,215,444千円となりました。これは主に、現金及び預金の増加296,397千円及び前払費用の増加86,359千円に対して、売掛金及び契約資産の減少251,407千円があったことによるものであります。
(固定資産)
当第1四半期連結会計期間末における固定資産は、前連結会計年度末より449,305千円減少し、5,039,623千円となりました。これは主に、投資有価証券の減少465,330千円によるものであります。
(流動負債)
当第1四半期連結会計期間末における流動負債は、前連結会計年度末より226,630千円増加し、3,872,984千円となりました。これは主に、契約負債の増加392,577千円に対して、未払法人税等の減少95,444千円があったことによるものであります。
(固定負債)
当第1四半期連結会計期間末における固定負債は、前連結会計年度末より178,525千円減少し、766,261千円となりました。これは主に、繰延税金負債の減少167,757千円があったことによるものであります。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末より316,216千円減少し、10,615,822千円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金の減少378,342千円があったことによるものであります。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は、22,093千円であります。
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