【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)(収益認識に関する会計基準等の適用)」に記載のとおりであります。
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、米中対立やロシアによるウクライナ侵攻の長期化に伴うエネルギー価格の高騰、記録的な円安の影響を受けた物価の高騰の影響が懸念され、引き続き先行き不透明な状況が続いております。一方で、国内企業のデジタル変革(DX)に対する投資意欲は引き続き底堅く、企業の情報化投資は当面堅調に推移するものと見込まれており、当社グループが事業を行うクラウド(注1)市場におきましても非常に強いニーズが継続しております。
クラウドサービスの中でも、当社グループが主力分野としている米国Salesforce.com(注2)は2022年12月1日に2023年度第3四半期(8~10月)の業績を発表。売上高は予想範囲内だったものの、1株利益は予想を上回っております。一方、残存履行義務は予想を下回っております。又、ガイダンスも公表し、通期の1株利益の見通しは上方修正したものの、第4四半期の売上高については、予想を下回る見通しを示し、8~10%成長と上場以来最低の伸びを見込んで、マクロ環境の悪化を反映させました。
米Amazonは、2022年10月27日に2022年第3四半期(7~9月)決算を発表。IaaS(注3)最大手のAmazon Web Services(AWS)(注4)の売上高は前年同期比27%増の205億3800万ドルと伸びたものの、オルサブスキーCFOは金融、住宅ローン、暗号通貨などの業界で需要が減少しているとし、「基本的に顧客は節約したいと考えており、我々はその選択肢を用意している」と説明しました。
GCP(注5)とGoogle Workspaceの両方を含む2022年度第3四半期のGoogle Cloudの売上高は68億6000万ドルで、2021年の49億9000万ドルから増加しました。損失は6億4400万ドルから6億9900万ドルへとわずかに拡大しました。
このように、米国パブリック・クラウド市場はマクロ経済の影響を受けているものの、クラウド化が道半ばである国内市場では引き続き企業のDX需要は旺盛であります。当社グループにおいては、クラウドのリーディングカンパニーとして、国内屈指のSalesforce認定技術者育成、クラウド導入のコンサルティング、カスタマイズ、インテグレーションまで、SalesforceのSFA、CRMといった中核(コア)領域での実績を積み重ねているとともに、中期経営計画に基づき、更なる人的資本への投資の加速、新会社の事業立ち上げによるMarketing Automation、エンジニア派遣、AI、分析、データ連携、MSPといったコア周辺領域への本格的な事業拡大を進めております。
子会社の株式会社BeeXについては、昨年2月に東証マザーズ市場(現東証グロース市場)に新規株式上場し、SAPのクラウド・マイグレーションビジネスを加速させております。
子会社の株式会社キットアライブについては、昨年9月に札幌証券取引所アンビシャス市場に新規株式上場し、知名度アップによる成長拡大を目指しております。尚、本上場時の株式売出しに伴い、同社は当社の連結子会社から持分法適用会社に移行しております。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高11,405,505千円(前年同期比25.6%増)、営業利益460,980千円(前年同期比2.4%増)、経常利益467,672千円(前年同期比2.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益231,422千円(前年同期比16.2%増)となりました。
また、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しております。詳細は「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)(収益認識に関する会計基準等の適用)」に記載のとおりであります。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① ソリューション事業
当第3四半期連結累計期間におけるソリューション事業の売上高は、Salesforceを中心としたクラウドサービスの導入開発案件及びBeeXが行うSAPのクラウド・マイグレーション事業が拡大したことから10,300,784千円(前年同期比28.7%増)となりました。セグメント利益(営業利益)は、量子コンピュータ関連の研究開発を行う株式会社Quemix及び新たに設立した株式会社テラスカイ・テクノロジーズ、株式会社リベルスカイ、本格活動を開始したTerraSky(Thailand)Co.,Ltd.(タイ法人)に積極的に投資を行いながらも、1,342,834千円(前年同期比12.8%増)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」等の適用により、第3四半期連結累計期間における売上高は従来の計上方法と比較して21,518千円減少し、セグメント利益は49,526千円増加しております。
② 製品事業
当第3四半期連結累計期間における製品事業は、「mitoco(ミトコ)」の契約増がサブスクリプション売上を牽引して増加した一方、「DataSpider Cloud」の導入時開発売上は減少しております。結果として売上高は、1,232,411千円(前年同期比3.8%増)となりました。セグメント損失(営業損失)は、「mitoco」の新機能開発人材採用及び、製品事業全体のマーケティング人材の採用を進めたことによるコスト増もあり、99,531千円(前年同期はセグメント損失(営業損失)51,196千円)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」等の適用により、第3四半期連結累計期間における売上高は従来の計上方法と比較して5,370千円減少し、セグメント損失は5,271千円増加しております。
当第3四半期連結累計期間の当社グループの主な取り組みは、以下のとおりです。
2022年4月
・弁護士ドットコム株式会社(東京都港区)と運営する「クラウドサイン Salesforce版」に関して、電子帳簿保存法に対応したアップデートを行い、4月4日より提供を開始しました。
・サテライトオフィスがある上越市において市内の障がい者就労支援事業者、一般社団法人 土の香工房(新潟県上越市)と業務提携を結びました。テラスカイは、2017年のサテライトオフィス開設来、社員のU・Iターン、現地採用をおこない、社員を増やし地域経済に貢献してまいりました。このたび新たに、障がい者の雇用と自立支援を通じて、より地域活性に貢献するために取り組んでまいります。
2022年5月
・Salesforceのノーコード画面開発ツール「SkyVisualEditor」において、Salesforce上でSlack(注6)でのコミュニケーションを実現するコンポーネントのサービスを開始しました。当社は、「SkyVisualEditor」を始めとするテラスカイのプロダクトが、Slack、Salesforce活用の壁を取り除き、顧客の商談での成果が出せるよう開発を強化してまいります。
・子会社である株式会社Quemix(東京都中央区)は、2022年5月31日に材料計算クラウドサービス「Quloud-RSDFT(読み方:キュラウド・アールエスディーエフティ)」を提供開始しました。Quloud-RSDFTは、ACM Gordon Bell Prize(ゴードンベル賞最高性能賞)を受賞するなど評価が高いスーパーコンピュータ専用の材料計算ソフト「RSDFT」を、研究者が専用機を利用しなくても、同等レベルの大規模な材料計算を可能にするクラウドサービスです。
2022年6月
・株式会社セールスフォース・ジャパン(東京都千代田区)主催の「Salesforce Partner Award 2022」において、「Regional Best partner of the year (西日本)」と「Industry of the Year AppExchange」の2部門で受賞いたしました。
2022年7月
・2019年12月20日に設立した「TerraSky(Thailand)Co.,Ltd.(テラスカイタイランド)」を本格始動いたしました。今回の再始動で、タイの日系企業ならびに現地企業に対するSalesforceの導入支援ビジネスの拡大を目指してまいります。
・Salesforceでシステム開発を行う企業の開発内製化を支援するサービスの販売強化を発表。「内製化支援ソリューション」として販売する当サービスは、「CoE アドバイザリーサービス」を中心に、各企業の開発方針、体制、スキルレベルに応じてテラスカイグループのソリューション・サービスを掛け合わせて提供します。
・グループウェアmitoco(ミトコ)は、アイティクラウド株式会社(東京都港区)主催の「ITreview Grid Award 2022 Summer」において、Salesforce拡張機能部門 で最高位である「Leader」、グループウェア部門で「High Performer」を共に初受賞いたしました。
2022年8月
・「mitoco Work」に、新たな機能「mitoco Work 勤怠」を追加し、2022年8月1日より提供を開始いたしました。「mitoco Work 勤怠」は、「mitoco Work 経費」に続く、「mitoco Work」2つめのアプリケーションです。mitocoのプラットフォームで、従業員の勤怠管理・労務管理の強化・スケジュール管理を効率的に行えます。また、mitocoカレンダーとの併用により、リアルタイムでのチームの勤務状態が把握でき、円滑なコミュニケーションを生みだします。
・連結子会社である株式会社キットアライブ(北海道札幌市北区)の札幌証券取引所アンビシャス市場への新規上場が承認されました。
・子会社である量子コンピュータ専門会社の株式会社Quemixは国際的な材料計算科学のカンファレンス「Psi-k*」の第6回ジェネラル・カンファレンスに出席し、量子計算および古典計算を用いた材料計算に関する発表を行いました。Psi-k 第6回ジェネラル・カンファレンスは2022年8月22日~25日にスイス・ローザンヌのSwissTech コンベンションセンターにて開催され、株式会社Quemixからは4名が参加しました。
2022年9月
・富士通株式会社(東京都港区、以下「富士通」)が提供する、クラウド型ERPソリューション「FUJITSU Enterprise Application GLOVIA OM(以下、「GLOVIA OM」)」の国内独占販売に向けた基本方針を両社で合意し、新たな販売契約を富士通と締結いたしました。
・連結子会社である株式会社キットアライブ(北海道札幌市北区)が札幌証券取引所アンビシャス市場へ上場いたしました。
・当社代表取締役CEO社長執行役員 佐藤秀哉の著書「パラレルアントレプレナー」がダイヤモンド社より出版されました。
2022年10月
・当社主催ITの総合イベント「TerraSkyDay2022―Fly Ahead to 2030 テクノロジーが創造する未来がここに―」を、3年ぶりにリアル開催しました。
・株式会社セールスフォース・ジャパンのビジネスユニットであるMuleSoftと国内におけるMuleSoft Anypoint Platform(以下、MuleSoft)のリセラーパートナー契約を結び、これに伴いAPIを活用したシステム間連携を実現するMuleSoftの有識者を中心とした新組織であるMuleSoft Labを設立しました。
・子会社である株式会社エノキ(東京都中央区)が開発したAIプラットフォームENOKIが、住友ゴム工業株式会社(兵庫県神戸市)が提供する、ゴルフライフサポートアプリ「D-GOLF(ディーゴルフ)」の新機能である日本初のゴルフアドバイスに特化したボイスボットに採用されました。
・グループウェアmitoco(ミトコ)が、アイティクラウド株式会社(東京都港区)主催の「ITreview Grid Award 2022 Fall」において、Salesforce拡張機能部門 で最高位である「Leader」、グループウェア部門で「High Performer」を受賞いたしました。mitocoの受賞は、2022年7月に発表された「ITreview GRID AWARD 2022 Summer」に続き2度目の連続受賞となります。
2022年11月
・三菱UFJファクター株式会社(東京都千代田区)の査定事務に関わるワークフローのデジタル化をSalesforce Sales Cloudとmitocoによって実現しました。
※用語解説
(注1)クラウド
クラウド・コンピューティングの略で、ネットワークをベースとしたコンピュータ資源の利用形態。企業はハードウェアやソフトウェアの資産を自前で持たず、インターネット上に存在するものを必要に応じて利用する。
(注2)Salesforce.com社
米国サンフランシスコを本社とするCRM(顧客関係管理)ソフトウェアで世界最大企業。クラウドベースのSalesforce製品は、日本郵政グループやトヨタ自動車などの国内大手の企業のみならず、中堅・中小企業まであらゆる業種・規模のSFA(営業支援)、CRM(顧客管理)、カスタマーサポートに利用されている。
(注3)IaaS
「Infrastructure as a Service」の略語。情報システムの稼動に必要な仮想サーバをはじめとした機材やネットワークなどのインフラを、インターネット上のサービスとして提供する形態。
(注4)AWS
「Amazon Web Services」の略語。米国Amazon社が企業を対象にウェブサービスという形態でIT インフラストラクチャのサービス(IaaS)を提供する。クラウドの拡張性ある低コストのインフラストラクチャプラットフォームであり、世界190ヵ国の数十万に及ぶビジネスを駆動している。
(注5)GCP
Google Cloud Platform(GCP)とは、Googleが提供しているクラウドコンピューティングサービス。クラウド全体における世界的シェア3位。
(注6)Slack
Slack(スラック)は、2013年に市場導入されたコミュニケーションツール。グループチャット、1対1のメッセージング(Direct Message)、音声通話をWebサービスとして提供している。2021年7月、Salesforce.com により買収された。
(2)財政状態の分析
(流動資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末より13,792千円減少し、9,325,998千円となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産の増加319,459千円に対し、その他(未収還付法人税等)の減少349,583千円によるものであります。
(固定資産)
当第3四半期連結会計期間末における固定資産は、前連結会計年度末より830,162千円増加し、5,324,543千円となりました。これは主に、投資有価証券の増加955,447千円によるものであります。
(流動負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は、前連結会計年度末より90,765千円増加し、3,227,709千円となりました。これは主に、契約負債(前連結会計年度は前受金)の増加105,298千円があったことによるものであります。
(固定負債)
当第3四半期連結会計期間末における固定負債は、前連結会計年度末より115,816千円増加し、966,718千円となりました。これは主に、長期借入金の減少50,852千円及び繰延税金負債の増加160,476千円があったことによるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末より609,788千円増加し、10,456,115千円となりました。これは主に資本金及び資本剰余金の増加83,356千円、利益剰余金の増加212,582千円及びその他有価証券評価差額金の増加397,941千円があったことによるものであります。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は、74,185千円であります。
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