【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済環境は、2022年3月のまん延防止等重点措置の解除以降、同年7月と10月の新型コロナウイルス変異株の再流行があったものの、ワクチン接種など感染拡大防止策の進行から社会経済活動との両立が図られ、緩やかな回復基調を辿りましたが、一方でウクライナ情勢の長期化、円安の進行、資源エネルギー価格の上昇など、景気の下振れリスクもあり、先行き不透明な状況が続きました。
アパレル業界におきましては、一部に個人消費の回復傾向が見られたものの、コロナ下の生活様式の変化や物価上昇による消費マインドの冷え込みが顕在化するなど、依然として厳しい状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループは、収益改善を優先課題とし、商品企画・製造と販売の市場競争力の強化、人件費以外の経費、変動費の削減と合理化など企業活動の効率化に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて3億41百万円増加し、40億24百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて16百万円減少し、28億68百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて3億57百万円増加し、11億55百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は33億円(前年同期は43億74百万円)となり、損益面におきましては、販売費及び一般管理費の抑制に努めましたものの、営業損益は6億49百万円の損失(前年同期は9億28百万円の損失)、経常損益は助成金の制度を活用して、2億68百万円の利益(前年同期は1億78百万円の利益)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純損益は1億58百万円の利益(前年同期は1億55百万円の利益)となりました。
なお、当連結会計年度の期首から、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)を適用しております。この為、前連結会計年度(収益認識会計基準適用前)との比較において、売上高の増減額及び前年同期間比較(%)を記載せずに説明しております。
セグメント別の経営成績の概要は次のとおりであります。
<卸売事業>
百貨店・専門店販路に向けて、お買い求めやすい小売価格設定とトレンドを捉えた新デザイン開発など商品企画開発に取り組み、製造・仕入量の抑制・コントロール、製造原価低減の施策に努め、販売面では、来店促進の為の効果的な販売促進施策の実行に加え、取引条件の改善交渉、不採算取引の整理など、効率を重視した営業活動に継続して努めてまいりました。
その結果、当事業の売上高は18億87百万円(前年同期は22億62百万円)となり、営業損益は5億72百万円の損失(前年同期は8億6百万円の損失)となりました。
<小売事業>
既存直営店舗の採算性改善に向けて、新規消費者の来社促進に効果的な販売促進策を講じるとともに、適時適品の商品供給と魅力ある品揃えにより消費者への訴求力を高めるとともに、不採算店舗は撤退を進めてまいりました。EC販路の展開は、商材の見直しを検討して、拡大に努めてまいりました。
その結果、当事業の売上高は14億1百万円(前年同期は21億円)となり、営業損益は45百万円の損失(前年同期は87百万円の損失)となりました。
直営店数につきましては、当連結会計年度中に新規出店はなく、7店を退店し、当連結会計年度末の運営店舗数は当社グループ合計で34店です。
<福祉事業>
当社グループの社会福祉への取組みとして、障害者総合支援法に基づく「障害者福祉サービス事業」と農地法に基づき農業委員会の認可を受けた「野菜の生産及び販売事業」を両立させる事業をラピーヌ夢ファーム株式会社で行っています。主力の葉もの野菜の水耕栽培に加えて、土耕野菜の栽培拡大にも取り組み、売上高確保と採算性改善に努めております。
当事業の売上高は11百万円(前年同期は11百万円)となり、営業損益は32百万円の損失(前年同期は34百万円の損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が1億68百万円となり、棚卸資産の減少1億8百万円などにより、3億61百万円の収入(前年同期は3億57百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、資産除去債務の履行による支出42百万円、差入保証金の純減少額50百万円などにより、9百万円の収入(前年同期は26百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入1億60百万円などにより、1億57百万円の収入(前年同期は3百万円の支出)となりました。
この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べて5億27百万円増加して、20億88百万円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績を取扱製品別に示すと、次のとおりであります。
区分
生産高(千円)
前年同期比(%)
ジャケット
130,454
69.4
ブラウス
371,377
58.1
スカート、パンツ
69,077
50.6
ドレス
105,046
66.9
スーツ
39,108
132.5
コート
106,442
55.0
その他
11,654
20.9
合計
833,160
59.5
(注)1 金額は製造原価であります。
2 生産実績については、「卸売事業」、「小売事業」及び「福祉事業」の3つのセグメント別の把握が困難であるため、取扱製品別で開示しております。
b.受注実績
当社グループは原則として受注生産は行っておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
卸売事業
1,887,080
83.4
小売事業
1,401,055
66.7
福祉事業
11,866
101.2
合計
3,300,002
75.4
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態及び経営成績の分析
1) 財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて3億41百万円増加し、40億24百万円(前連結会計年度末は36億83百万円)となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産の減少92百万円や商品及び製品の減少77百万円などがあったものの、現金及び預金の増加5億27百万円などがあったことによるものです。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ2億86百万円増加の25億9百万円(前連結会計年度末は22億22百万円)となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産の減少92百万円などがあったものの、現金及び預金の増加5億27百などがあったことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ54百万円増加の15億14百万円(前連結会計年度末は14億60百万円)となりました。これは主に、投資有価証券の増加57百万円などがあったことによるものです。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて16百万円減少し、28億68百万円(前連結会計年度末は28億85百万円)となりました。これは主に、長期借入金の増加1億60百万円や訴訟損失引当金の計上1億円があった半面、退職給付に係る負債の減少1億16百万円や未払金の減少1億22百万円などがあったことによるものです。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ1億76百万円減少し、18億28百万円(前連結会計年度末は20億5百万円)となりました。これは主に、未払金の減少1億22百万円などがあったことによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ1億60百万円増加し、10億39百万円(前連結会計年度末は8億79百万円)となりました。これは主に、長期借入金の増加1億60百万円や訴訟損失引当金の計上1億円があった半面、退職給付に係る負債の減少1億16百万円などがあったことによるものです。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて3億57百万円増加し、11億55百万円(前連結会計年度末は7億98百万円)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益1億58百万円の計上や退職給付に係る調整累計額1億42百万円の増加によるものです。
2) 経営成績
(売上高、売上総利益)
当連結会計年度におけるわが国経済環境は、2022年3月のまん延防止等重点措置の解除以降、同年7月と10月の新型コロナウイルス変異株の再流行があったものの、ワクチン接種など感染拡大防止策の進行から社会経済活動との両立が図られ、緩やかな回復基調を辿りましたが、一方でウクライナ情勢の長期化、円安の進行、資源エネルギー価格の上昇など、景気の下振れリスクもあり、先行き不透明な状況が続きました。
アパレル業界におきましては、一部に個人消費の回復傾向が見られたものの、コロナ下の生活様式の変化や物価上昇による消費マインドの冷え込みが顕在化するなど、依然として厳しい状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループは、収益改善を優先課題とし、商品企画・製造と販売の市場競争力の強化、人件費以外の経費、変動費の削減と合理化など企業活動の効率化に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は以下のとおりとなりました。
卸売販路、小売販路ともに売上減少の影響が大きく、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べて10億74百万円減少して33億円(前連結会計年度は43億74百万円)となりました。
売上総利益は、売上高の減少に加え、前連結会計年度に棚卸資産評価損を売上原価に計上したことと、製造原価の低減により、売上高総利益率が前連結会計年度に比べ16.2ポイント改善し、54百万円増加して20億2百万円(前連結会計年度は19億47百万円)となりました。
(営業損益)
営業損益は、販売費及び一般管理費を前連結会計年度に比べ2億24百万円節減いたしましたものの、6億49百万円の損失(前連結会計年度は9億28百万円の損失)となりました。
(経常損益)
経常損益は、各種助成金の制度を活用したことにより営業外収益が営業外費用を上回り、2億68百万円の利益(前連結会計年度は1億78百万円の利益)となりました。
(税金等調整前当期純損益)
当連結会計年度において特別損失に訴訟損失引当金1億円を繰り入れたこと等から、税金等調整前当期純損益は1億68百万円の利益(前連結会計年度は1億66百万円の利益)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
親会社株主に帰属する当期純損益は、上記の税金等調整前当期純利益に対し、法人税、住民税及び事業税9百万円等を計上したことにより、1億58百万円の利益(前連結会計年度は1億55百万円の利益)となりました。
3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載とおり、消費動向の変化、気象状況や災害等のリスク項目をはじめとする、様々なリスクが当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。当社グループでは、消費動向に留意しつつ、魅力的な製品の提供に努め、外部や事業環境の変化にすばやく対応するための情報収集、人材育成や組織体制の整備、内部統制強化等により、経営成績に影響を与える可能性のあるリスクの回避及び発生を抑え、適切な対応に努めてまいります。
c.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの経営成績につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」に記載のとおりであります。
セグメントごとの財政状態につきましては、卸売事業のセグメント資産は前連結会計年度末に比べ1億78百万円減少の2億33百万円(前連結会計年度末は4億11百万円)となりました。
小売事業のセグメント資産は前連結会計年度末に比べ48百万円減少の2億86百万円(前連結会計年度末は3億34百万円)となりました。
福祉事業のセグメント資産は前連結会計年度末に比べ489千円減少の346千円(前連結会計年度末は835千円)となりました。
d.経営成績、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、事業活動の成果を示す売上高、営業利益、経常利益を重視し、キャッシュ・フローについても重点管理をしております。これらに関しましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりです。
なお、長く続く新型コロナウイルス感染症の影響から中期経営計画「NL2023」の数値目標が大きく未達に終わる事から、2023年3月1日から2024年2月28日までの連結売上高は27億円、営業損失450百万円、経常利益80百万円を数値目標として掲げております。更に当該数値の改善ができるよう取り組み、企業価値の向上に努めてまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する事項
a.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下のとおりであります。
2019年2月期
2020年2月期
2021年2月期
2022年2月期
2023年2月期
自己資本比率(%)
65.7
56.1
18.4
21.5
28.6
時価ベースの自己資本比率(%)
26.8
34.7
26.7
20.2
19.3
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)
-
-
-
4.6
5.0
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
-
-
-
24.4
21.8
(注)1 各指標の算出方法は、以下のとおりです。
(1) 自己資本比率:自己資本/総資産
(2) 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
(3) キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
(4) インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
2 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
3 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
4 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
5 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
6 利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
7 2022年2月期及び2023年2月期以外のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスであるため記載しておりません。
b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの事業活動における必要資金は、当社グループ製品の製造に係る原材料費等の費用や販売費及び一般管理費等の運転資金、直営店舗及び百貨店売場等の開設及びリニューアルに係る投資資金が主なものであります。
運転資金及び投資資金の調達につきましては、短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。これらにより、資金の流動性は十分に確保されているものと判断しております。
また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は20億88百万円、有利子負債の残高は18億円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。