【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う行動制限や水際対策の緩和などにより、経済活動の正常化が進み、景気の持ち直しが見られました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化や円安による資源価格及び原材料価格の高騰、国内においては急激な物価上昇等もあり、先行き不透明な状況が続いております。一方で、当社を取り巻く環境は、国際的な人の往来が再開され、国内・オーストラリアの語学学校への留学生の入学数も堅調に推移しております。
学習塾事業においては、少子化による学齢人口の減少が継続する中で、多様な価値観・教育ニーズに対応した学びの提供が求められております。そのような中で、コロナ禍でオンライン授業・AI技術を活用した教育のデジタル化が進んだことに加えて、異業種からの参入など業界再編の流れは加速しており、企業間の競争環境は厳しさを増しております。語学関連事業においては、日本国内の人手不足を補うため、外国人材の活用支援を更に進める必要があり、語学教育を強化することが必須となります。保育事業においては、待機児童問題は解消に向かいつつあるものの、保育士不足に関する課題は残っており、教育や保育に関する国内の関心は非常に高まっております。また介護事業においては、高齢者人口の増加傾向は2042年まで続くと予想されており、高齢者向けのサービス需要が拡大していることに加え、新型コロナウイルス感染症の影響で、高齢者ケアのさらなる必要性が社会的に認識されました。このような情勢のもと、当社グループにおいては、長期的な事業拡大を支え、時代の流れと社会の要請に対応するため、2018年3月に”人の一生に関わる「一生支援事業」を展開する企業への変革”として中期ビジョンを見直しました。また、2020年12月には、「ステキな大人が増える未来をつくる」企業になることを当社のグループビジョンとして掲げ、収益性向上と人材育成を重要課題と認識し、さらなる成長を目指しております。当連結会計年度は、保育・介護事業、語学関連事業の売上の増加により、創業以来最高売上高を7期連続で更新しました。保育事業の園児数、介護事業の顧客数を堅調に伸ばしたことに加え、国内・オーストラリアの語学学校の留学生も大幅に増加し、当連結会計年度の営業利益は前年を上回る結果となりました。また、業績不振となった子会社に対するのれん、及び閉鎖・移転等が決定した校・教室に関する固定資産に対する減損損失として509百万円を計上しました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は25,420百万円(前年比6.5%増)となり、前年に比べ1,551百万円増加しました。営業利益は470百万円(前年比23.7%増)となり、前年に比べ90百万円増加しました。経常利益は385百万円(前年比5.4%増)となり、前年に比べ19百万円増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益は△316百万円(前年は7百万円の純損失)となり、前年に比べ308百万円減少しました。期中平均の顧客数(FC事業部における末端生徒数含む。)は、37,856名(前年比1.1%増)となりました。
セグメント別の概況は、以下のとおりです。<学習塾事業>学習塾事業においては、脳科学に基づく独自の学習法「リーチング」の定着や、ICTを活用した学習管理の仕組みとひとりひとりを大切にする指導が、顧客からの支持を得ております。しかしながら、季節講習及び新学期開始時期における入室数が前年に及ばなかったことから、期中平均生徒数は前年同期比96.7%となりました。この結果、当連結会計年度のセグメントの経営成績は、売上高10,711百万円(前年比2.9%減)、セグメント利益は1,840百万円(同16.0%減)となりました。
<語学関連事業>日本語教育事業においては、2022年3月より母国で待機中の学生が入国し、新規の学生の募集も堅調に進んだことから、期中平均生徒数は前年同期比161.8%となり、売上・利益ともに前年同期を大きく上回りました。英会話事業においては、オーストラリアの英会話学校で2022年2月に入国が再開されて以降、入室数が回復したことから、期中平均生徒数は前年同期比102.5%となりました。国際人材交流事業においては、国外での活動が制限される中、日本在留の有能な外国人を特定技能人材として国内企業に紹介する活動に注力しました。キャリア支援事業においては、当社グループ及び連結子会社で介護の資格取得スクール「介護のキャンパス」を運営し、介護人材の育成に取り組みました。この結果、当連結会計年度のセグメントの経営成績は、売上高3,721百万円(前年比56.4%増)、セグメント損失は144百万円(前年は647百万円のセグメント損失)となりました。
<保育・介護事業>保育事業においては、順調に園児数が増加し、期中平均園児数は前年同期比103.6%となり、それに伴い売上・利益ともに前年を上回りました。介護事業においては、新型コロナウイルス感染防止対策を徹底するとともに、入居率とサービス利用率の向上に努め、期中平均顧客数は前年同期比101.4%となりました。フードサービス事業においては、在宅ワークの増加による企業からの受注が減るなど、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けておりますが、新規顧客獲得に向けた営業活動や原価率改善への取り組みを行いました。この結果、当連結会計年度のセグメントの経営成績は、売上高10,987百万円(前年比5.1%増)、セグメント利益は361百万円(同86.9%増)となりました。
(2) 財政状態当連結会計年度末の総資産は21,191百万円となり、前連結会計年度末に比べ463百万円増加しました。流動資産は6,012百万円となり同1,228百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金の増加1,153百万円、その他の流動資産の増加59百万円等です。固定資産は15,178百万円となり、同765百万円減少しました。有形固定資産は11,192百万円(同310百万円減少)となりました。主な要因は、建物及び構築物の減少359百万円、リース資産の増加108百万円、その他の有形固定資産の減少55百万円等です。無形固定資産は1,094百万円(同516百万円減少)となりました。主な要因は、のれんの減少567百万円等です。投資その他の資産は2,892百万円(同61百万円増加)となりました。主な要因は、繰延税金資産の増加41百万円、その他の資産の増加46百万円等です。
当連結会計年度末の負債合計は17,817百万円となり、前連結会計年度末に比べ777百万円増加しました。流動負債は8,980百万円となり、同1,041百万円増加しました。主な要因は、短期借入金の増加700百万円、未払金の増加88百万円、前受金の増加69百万円等です。固定負債は8,837百万円となり、同263百万円減少しました。主な要因は、長期借入金の減少375百万円、リース債務の増加138百万円等です。
当連結会計年度末の純資産合計は3,373百万円となり、前連結会計年度末に比べ314百万円減少しました。主な要因は、退職給付に係る調整累計額の増加51百万円、利益剰余金の減少374百万円等です。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末17.8%から1.9ポイント下降し、15.9%になりました。
(3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度の現金及び現金同等物は、以下に記載のキャッシュ・フローにより3,804百万円となり、前連結会計年度末に比べ924百万円増加しました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益54百万円、減価償却費906百万円、減損損失509百万円、のれん償却額244百万円、法人税等の支払426百万円等が発生しました。この結果、営業活動によるキャッシュ・フローは、1,420百万円の収入となり、前連結会計年度末に比べ238百万円の減少(△14.4%)となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出229百万円、有形固定資産の取得による支出378百万円等が発生しました。この結果、投資活動によるキャッシュ・フローは、629百万円の支出となり、前連結会計年度末に比べ326百万円の減少(107.7%)となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増額700百万円、長期借入れによる収入1,200百万円、長期借入金の返済による支出1,608百万円等が発生しました。この結果、財務活動によるキャッシュ・フローは、132百万円の収入となり、前連結会計年度末に比べ1,551百万円の増加(前年は1,418百万円の支出)となりました。
(4) 生産、受注及び販売の実績
a.生産及び受注実績当社グループは、サービスの提供を主たる業務としておりますので、生産及び受注の実績については、該当事項はありません。
b.販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年6月1日至 2023年5月31日)
前年同期比
顧客数(人)
金額(百万円)
顧客数(人)
金額(%)
学習塾事業
26,389
10,711
27,286
97.1
語学関連事業
7,359
3,721
6,175
156.4
保育・介護事業
4,108
10,987
3,983
105.1
合計
37,856
25,420
37,444
106.5
(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。2.顧客数は、期中平均の在籍人数を記載しております。3.販売の数量につきましては、表示すべき適当な指標はありませんので、記載を省略しております。4.学習塾事業の顧客数には、京進の個別指導「スクール・ワン」のフランチャイズ教室の末端生徒数を含めて記載しております。
(5) 資本の財源及び資金の流動性に関する情報当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社グループは事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を目指し、その財源として安定的な営業活動によるキャッシュ・フローの創出を最優先事項と考えています。事業活動に必要な運転資金及び設備投資資金は主に手元の自己資金及び借入金により充当しています。また、当社グループは、将来の営業活動及び債務の返済等の資金需要に備え、十分な資金を確保するために、資金調達及び流動性の確保に努めています。必要な資金は、主に営業活動によるキャッシュ・フローの他、金融機関からの借入金によって調達しており、資金の流動性については、主に営業活動により得られた資金を新規出店に係る設備投資に充当することで確保しています。なお、今後の不測の事態に備えて金融機関からは十分な融資枠を確保しています。中長期的に将来の成長が見込める分野についてはM&Aや事業基盤強化のための投資等を今後も積極的に推進していきたいと考えています。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたっては、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積り、判断及び仮定を必要としています。これらの見積りについて過去の実績や合理的と判断される入手可能な情報等を勘案し、合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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