【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。なお、当社は、前第1四半期累計期間については四半期財務諸表を作成していないため、前年同四半期累計期間との比較分析は行っておりません。
(1)財政状態及び経営成績の状況
(経営成績)
当第1四半期累計期間(2023年3月1日~2023年5月31日)におけるわが国経済は、経済活動の正常化が進む一方、長期化する地政学的リスクや、世界的な景気後退懸念及び金融資本市場に対する不安もあり、先行き不透明な状況が続いております。
このような状況の下、当第1四半期累計期間において、当社は従来にないメカニズムに基づく独自の医薬品を開発して上市につなげることを目指し、以下のとおり事業活動を進めてまいりました。
① TMS-007関連の活動
2021年5月にBiogen MA Inc.(以下「バイオジェン社」という。)へ導出した急性期脳梗塞を適応症とするTMS-007(BIIB131)については、バイオジェン社において2023年上半期に後期第Ⅱ相臨床試験を開始する計画にて開発が進められ、2023年3月10日にClinicalTrials.govに当該試験の概要が登録されました(予想開始時期2023年4月17日)。その後、バイオジェン社は、2023年4月25日の2023年第1四半期決算発表において、TMS-007(BIIB131)の後期第Ⅱ相臨床試験の開始を一時停止し、当該臨床試験を開始すべきかどうかを再評価すると発表しました。また、2023年4月26日には、ClinicalTrials.govの登録情報が更新され、当該試験の予想開始時期が2023年8月21日へ変更されております。同登録情報によるTMS-007(BIIB131)の後期第Ⅱ相臨床試験の概要は以下のとおりです。当社としては、引き続き、バイオジェン社との緊密なコミュニケーションを図り、情報収集に努めております。
(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05764122)
正式名称
LKW1後4.5~24時間の脳梗塞患者を対象とした静注投与BIIB131の有効性と安全性を評価する多施設・オペレーショナリーシームレス・二重盲検・用量探索・プラセボ対照・無作為・並行群間比較・後期第Ⅱ相臨床試験
予想症例数
760例
予想開始時期
2023年8月21日2
予想終了時期
2025年7月7日
(注)1.Last Known Wellの略で、最後に正常であった事が確認された時期。
2.2023年4月26日に登録情報が更新されました(当初は2023年4月17日として登録)。
② TMS-008関連の活動
急性腎障害及びがん悪液質を適応症と想定し開発を進めているTMS-008については、第Ⅰ相臨床試験に向けたCMC(Chemistry, Manufacturing, and Control)面における準備活動、及びGLP(Good Laboratory Practice)に基づく安全性試験を継続実施いたしました。臨床試験用原薬については、第2四半期に製造を開始することを決定いたしました。また、当局(PMDA;Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)への事前面談申請を完了し、2023年6月に面談の実施が決定されました。
TMS-008のバックアップとして位置づけているTMS-009については、探索的製造の準備を開始いたしました。
③ パイプラインの拡充に関する活動
当社は、引き続き、社内プログラム及び社外プログラムの2つの軸において、パイプラインの拡充を図るための研究開発活動を積極的に推進しました。社内プログラムにおいては、当社がこれまでSMTP化合物の研究開発によって培った可溶性エポキシドハイドロラーゼ(sEH)阻害に関する知識と経験を活かし、AIを活用した化合物生成による創薬の最適化や天然物ライブラリーのスクリーニングを含む複数のアプローチを活用し、新たなsEH阻害剤の候補となる化合物の探索を推進しました。社外プログラムにおいては、アカデミア等の研究機関や創薬企業等の早期研究開発段階にあるプログラムの探索及び評価を継続しました。2023年5月8日には、北海道大学との間で、医薬品候補物質の独占的評価及び実施許諾に関するオプション契約を締結いたしました。
④ 研究開発体制の強化
当社の共同創業者であり取締役会長の蓮見惠司は、2023年3月31日をもちまして東京農工大学教授を定年退職し、4月1日より当社の常勤取締役として、研究分野を主導することとなりました。これを受けて、当社は、より強力な研究開発体制による事業の推進を目的に、取締役1名が研究開発全体を担うこれまでの体制から、2名の取締役が研究と開発のそれぞれの分野を担当する体制に変更いたしました。
また、当社は、研究開発機能の向上を図るべく2023年4月に東京農工大学に共同研究講座を開設いたしました。
新担当職務
氏 名
役 職
旧担当職務
研究担当
蓮見 惠司
取締役会長
–
開発担当
稲村 典昭
取締役
研究開発担当
以上の活動の結果、当第1四半期累計期間における営業費用は、TMS-008をはじめとする研究開発費として76,927千円を、その他の販売費及び一般管理費として74,834千円を計上したことから、合計では151,762千円となりました。
これらの結果、営業損失は151,762千円、経常損失は148,619千円、四半期純損失は148,856千円となりました。
なお、当社は医薬品開発事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の経営成績については記載を省略しております。
(財政状態)
(資産)
当第1四半期会計期間末の資産合計は、前事業年度末に比べ154,332千円減少し、3,635,882千円となりました。
これは主に、営業費用等の支出により、現金及び預金が166,305千円減少したことによるものであります。
(負債)
当第1四半期会計期間末の負債合計は、前事業年度末に比べ5,476千円減少し、70,685千円となりました。
これは主に、法人税等の支出により未払法人税等が14,486千円減少したこと、及び賞与引当金が7,341千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当第1四半期会計期間末の純資産は、前事業年度末に比べ148,856千円減少し、3,565,196千円となりました。
これは、四半期純損失148,856千円を計上したことに伴う利益剰余金の減少によるものであります。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はあり ません。
(5)研究開発活動
当第1四半期累計期間における研究開発費の総額は76,927千円であります。
なお、当第1四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)経営成績に重要な影響を与える要因
当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 事業等のリスク」を参照ください。
(7)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または増資により資金調達しております。当第1四半期累計期間中に、重要な資金調達は行っておりません。