【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績
当第3四半期累計期間の業績は、売上高3,190,222千円(前年同四半期比14.2%減)、売上総利益1,096,958千円(前年同四半期比17.7%減)、営業利益182,560千円(前年同四半期比62.7%減)、経常利益185,715千円(前年同四半期比62.2%減)、四半期純利益123,180千円(前年同四半期比62.3%減)となりました。前第3四半期累計期間はE-Commerce事業の大型案件受注による増収増益となっておりましたが、当第3四半期累計期間はE-Commerce事業およびERP事業ともに堅調な市場ニーズはあるものの、受注進捗の遅れやプロジェクトの中断により減収減益となりました。この影響により、当社の売上高、利益ともに前年同四半期比で減収減益となっています。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を第1四半期会計期間の期首から適用しております。収益認識会計基準等の適用による影響の詳細については、「第4 経理の状況 1 四半期財務諸表 注記事項」の(会計方針の変更)(収益認識に関する会計基準等の適用)をご参照ください。
当事業年度は、中期経営計画「SDGs Mind 2021」の2年目であり、中期経営計画で掲げた①「既存事業の拡大とブランド力向上」、②「海外展開」、③「新事業の収益化」、④「社員のスキル向上」、⑤「アジアTOPの合理化企業」という5つの目標に向けて取り組んでおります。新型コロナウイルス感染症のマイナス影響が薄まる中、日本におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を背景にIT業界は追い風が吹いています。当社は、この堅調な市場環境下で既存事業を拡大しつつ、新製品の早期収益化(黒字化)を目指して、中期経営計画で掲げた目標の達成に向け邁進しています。
セグメント別の業績は次のとおりです。なお、組織変更に伴い、第1四半期会計期間から、「ERP・AI事業」として区分していた報告セグメントを「ERP事業」と「AI事業」に区分変更しております。前年同四半期比較については、変更後の報告セグメントに組み替えた数値で比較・分析しております。
a)Object Browser事業
Object Browser事業は、データベース開発支援ツール「SI Object Browser」、データベース設計支援ツール「SI Object Browser ER」、統合型プロジェクト管理ツール「OBPM Neo」及びアプリケーション設計ツール「SI Object Browser Designer」の4製品から構成されています。
「SI Object Browser」と「SI Object Browser ER」は、ソフトウエア開発の生産性を向上させるツールとして業界で多く利用されており、安定した収益源となっています。「SI Object Browser」は、「EDB(PostgreSQL)」や「Microsoft SQL Server 22」対応など「Oracle」以外の最新のデータベース対応、「Amazon RDS for PostgreSQL」や「Aurora PostgreSQL」など多様化する業務システムのプラットフォームへの対応など、ユーザーの皆様から要望の多い機能を追加し、更に利便性を向上させています。
統合型プロジェクト管理ツール「OBPM」は、プロジェクト管理を合理化するツールとしてIT業界を中心に着実にユーザーを増やしています。2021年3月からクラウドサービスモデル「OBPM Neo」へとリニューアルし、導入実績は約240社にのぼります。本製品はサブスクリプション型のクラウドサービスなので、従来の売り切り型販売に比べ、短期的には売上高成長率が鈍化しますが、新規契約数は順調に推移しており、中長期的には安定した売上を確保できるものと考えております。
また、2022年12月からデータの加工・利活用を効率化する新オプション「xoBlos for OBPM」をリリースしました。「OBPM Neo」は各種分析が可能な機能を備えていますが、お客様が会議に使用する資料作成については、時間をかけてデータの集計や加工を手作業で行わなければならない課題がありました。「xoBlos for OBPM」は「OBPM Neo」に蓄積されたデータを自動で集計・加工し、Excelレポートに出力することができます。これにより、最大90%の工数削減が可能となり、DX推進につながる画期的なサービスとなっております。
アプリケーション設計ツール「SI Object Browser Designer」は、2019年6月からクラウドサービスとして販売しておりましたが、収益化の目途・市場性・事業拡大の難易度など、様々な指標をもとに検討した結果、事業撤退することを決定いたしました。なお、業績に与える影響は軽微となります。
「OBPM Neo」のストック収益が安定的に伸びていることから、当第3四半期累計期間の売上高は519,874千円(前年同四半期比0.7%増)、営業利益は126,518千円(前年同四半期比8.9%増)となりました。
b)E-Commerce事業
E-Commerce事業は、日本初のECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」を主力製品として構成されています。
昨今、大手ユーザー企業がIT子会社を設立し、DX戦略のもと自社ECサイトの構築保守運用業務の内製化に取り組んでいます。このような背景から、当社の強みである、顧客のECサイト構築の内製化を支援し続けてきた多くの実績を活かし、お客様の体制ごとにより的確なテクニカルサポートプランを提供し続けていきます。
当事業年度からは新たに「SI Web Shopping」とクロスセルする以下の2つのビジネスを立ち上げています。
・内製化を支援する「EC&リテールDXサポート」
・多機能PaaS「Adobe Commerce」
「Adobe Commerce」は、越境ECや複数のサイト、ブランドを容易に展開できるソリューションです。「SI Web Shopping」とは明確に異なる新たなターゲット層の顧客を獲得することが可能となります。提案の選択肢が増えたことにより、柔軟に提案ソリューションを変更することで、受注確度の向上が可能となりました。
2022年12月には「SI Web Shopping」が「IT導入補助金2022」の対象ツールに登録されました。比較的投資金額が大きいDX推進のためのITツールの導入は、中小規模の事業者やベンチャー企業にとって高いハードルとなっていましたが、当補助金制度に登録されたことにより、最大3,500千円の補助金が給付されるため、より気軽に「SI Web Shopping」を導入できるようになります。引き続き、ターゲット層の拡大を図り、新規案件獲得を目指してまいります。
以上のように新たな取り組みを積極的に行っておりますが、前事業年度に発生した顧客事情による大型案件中断以降に再開した新規案件獲得活動による受注が遅れていることに加え、開発リソースに依存しないビジネスとして立ち上げた「Adobe Commerce」ビジネスも計画通りに受注出来ていないことにより、開発業務量が十分に確保できず、E-Commerce事業の当第3四半期累計期間の売上高は656,654千円(前年同四半期比34.9%減)、営業利益は129,206千円(前年同四半期比65.2%減)となりました。
c)ERP事業
ERP事業は、Web-ERPパッケージ「GRANDIT」を主力製品としています。
「GRANDIT」はコンソーシアム方式なので、同一製品を複数のコンソーシアム企業が販売しています。当社はGRANDITコンソーシアム内において、1年間に最も「GRANDIT」を販売した企業に与えられる「GRANDIT AWARD Prime Partner of the Year」を過去6回受賞したことで名実ともにERP事業をリードしています。当社は「GRANDIT」の企画・開発から携わった開発力と業務知識を強みに、以下のアドオンモジュールを自社で開発し、当社のお客様だけでなく他のコンソーシアム企業にも販売しています。
・生産管理アドオンモジュール
・工事管理アドオンモジュール
・原価管理アドオンモジュール
・プロジェクト管理アドオンモジュール
これら製品の販売効果により製造業、工事・エンジニアリング業及びプロジェクト管理を必要とする業種向けに販売数が増えています。
最近はクラウド上に基幹業務システムを構築するケースがほとんどです。当社でも2019年3月から「GRANDIT」のサブスクリプションモデルも提供しており、業種特化型クラウドERPサービス「GRANDIT SaaS」IT企業モデルを提供しています。さらに、2022年11月に中小企業向けクラウドERP「GRANDIT miraimil」の販売を開始いたしました。「GRANDIT miraimil」をラインナップすることで、当社がこれまで数多くの「GRANDIT」の導入で培ってきた業種特有の導入ノウハウや、「Fit to Standard」を実現するERP適合ノウハウを活かして、中堅・中小企業のお客様に対して、「早く」「安く」「Fitした」システム基盤の提供と導入企業の業務効率化を実現していきます。
また、2022年11月より、電子帳簿保存法(以下、「電帳法」という)に適応したオプションの提供を開始しました。法改正に速やかに対応した今回のオプションにより、既存ユーザーだけでなく新規ユーザーに対しても、ワンプラットフォームで一元管理が可能となるため、業務効率を落とさずに法定要件に適応することができます。
ERP事業では基幹業務システムの更改ニーズの高まりに対応するため、多数の新卒および中途社員の採用を実施しましたが、企業の経営資源を一元管理するシステムを構築するため非常に難易度が高く、戦力化するのに時間を要しております。当第3四半期累計期間では、新規案件の規模や内容が戦力レベルに適合せず計画通りに受注出来ていないことや案件中断などが発生した影響から、ERP事業の当第3四半期累計期間の売上高は1,945,710千円(前年同四半期比9.2%減)、営業利益は47,679千円(前年同四半期比70.5%減)となりました。
なお、採用数が増加したことによって間接コストが増加したため、利益率を大きく低下させていますが事業拡大推進のための投資計画であり、中長期的には売上・利益ともに貢献するものと考えております。
d)AI事業
AI事業は、ディープラーニング異常検知システム「AISI∀ Anomaly Detection(アイシアAD)」を主力製品としています。前事業年度までERP事業と同一セグメントで管理しておりましたが、第1四半期会計期間からAI事業を報告セグメントとして記載しております。
「AISI∀ Anomaly Detection(アイシアAD)」は、製造業の生産工程における目視検査を自動化したい、検査の精度を高めたいというニーズを受け開発した製品になります。「AI・ディープラーニング画像処理ソフト」市場は、2019年から2023年の成長率が10.6倍と急成長する市場となっておりますが、日本企業が求める高品質基準に対応することは非常に難しく、この市場で成功するためには外観検査の実績を増やしていき、より高度な実用化レベルに達することが重要だと考えています。
今後は、実運用の知識と経験を増やし続け、日本企業が求める高品質基準に対応しうる製品にアップデートし続けていきます。
以上の結果、AI事業の当第3四半期累計期間の売上高は27,906千円(前年同四半期比132.7%増)、営業損失は43,068千円(前年同四半期は82,552千円の営業損失)となりました。
e)その他の事業
その他の事業には、プログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」、カスタマーサクセス支援サービス「VOICE TICKETS」、アイデア創出プラットフォーム「IDEA GARDEN」の3つの新規事業が含まれています。
「TOPSIC」は、オンライン・リアルタイムで受験者のプログラミングスキルを判定できるクラウドサービスです。中途採用における受験者のスクリーニングや社員のプログラミング教育などのニーズをとらえて、契約社数は順調に増加しています。また、2021年2月より、TOPSICの新たなシリーズ製品として、データベース言語であるSQLのスキルを判定する「TOPSIC-SQL」をリリースしました。これにより、TOPSICは、アルゴリズム能力を問う「TOPSIC-PG」とSQLスキルを問う「TOPSIC-SQL」の2つのサービスとなりました。
イベント事業としては、2018年から毎年開催しているプログラミングコンテスト「PG Battle」に加え、2022年7月からSQLのコーディング力を競うイベント「TOPSIC SQL CONTEST」も開催しております。「PG Battle」は、年々知名度が高まり、2022年10月に開催した第5回大会では、378チーム1,134名が参加する大きなイベントに成長しました。本イベントを通じてIT業界全体の活性化にも貢献してまいります。
2022年11月より、IT人材育成を専門とした学校の授業に「TOPSIC」が導入されました。今年度から小・中学校だけでなく高校でもプログラミング教育が必修になるなど、プログラミングスキルの可視化に対する需要が高まっているため、新たな顧客の獲得を目指してまいります。
「VOICE TICKETS」は2021年10月にエンドユーザーの声を蓄積・管理できるカスタマーサクセス支援サービスとしてリリースしましたが、収益化の目途・市場性・事業拡大の難易度など、様々な指標をもとに検討した結果、事業撤退することを決定いたしました。なお、業績に与える影響は軽微となります。
「IDEA GARDEN」は2021年11月にアイデアの創出と育成を促すアイデア創出プラットフォームとして誕生しました。2022年10月には国内の主要なソフトウエア製品ベンダーで構成された団体である「MIJS」において、「IDEA GARDEN」を用いて「MIJSアイデアソン」が開催されました。初回ながら224名のエントリー、69アイデアの創出する実績を得ることができました。今後もアイデアの財産化を実現してまいります。
以上の結果、その他事業の当第3四半期累計期間の売上高は40,076千円(前年同四半期比11.1%増)、営業損失 は77,775千円(前年同四半期は77,457千円の営業損失)となりました。
②財政状態
(資産)
流動資産は、前事業年度末に比べ42,536千円増加し2,844,393千円となりました。これは主として、現金及び預金の増加362,461千円、契約資産の増加318,241千円、売掛金の減少463,992千円、仕掛品の減少156,142千円などによるものであります。
固定資産は、前事業年度末に比べ36,620千円減少し742,152千円となりました。これは主として、ソフトウエア(ソフトウエア仮勘定を含む)の減少96,049千円、投資その他の資産の増加57,571千円などによるものであります。
なお、「第4 経理の状況 1 四半期財務諸表 注記事項」の(会計方針の変更)(収益認識に関する会計基準等の適用)に記載のとおり、収益認識会計基準等を適用したため、前事業年度の貸借対照表において「流動資産」に表示していた「売掛金」は第1四半期会計期間より「売掛金」と「契約資産」に区分して表示しております。
この結果、総資産は、前事業年度末に比べ5,915千円増加し3,586,546千円となりました。
(負債)
流動負債は、前事業年度末に比べ23,226千円増加し883,880千円となりました。これは主として、買掛金の減少50,981千円、前受金の減少340,312千円、賞与引当金の減少74,268千円、契約負債の増加348,255千円、その他流動負債の増加125,541千円などによるものであります。
なお、「第4 経理の状況 1 四半期財務諸表 注記事項」の(会計方針の変更)(収益認識に関する会計基準等の適用)に記載のとおり、収益認識会計基準等を適用したため、前事業年度の貸借対照表において「流動負債」に表示していた「前受金」は第1四半期会計期間より「契約負債」として表示しております。
固定負債は、前事業年度末に比べ4,868千円増加し10,308千円となりました。これは、業績連動報酬引当金の増加4,868千円によるものであります。
(純資産)
純資産は、前事業年度末に比べ22,178千円減少し2,692,356千円となりました。これは四半期純利益の計上123,180千円、配当金の支払い121,194千円などによるものであります。
(2)経営方針、経営戦略等
当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期累計期間の研究開発費の総額は25,657千円であります。
なお、当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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