【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績
当第1四半期連結累計期間(2023年3月1日~2023年5月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の行動制限が解除され、持ち直しの動きが見られたものの、ウクライナ情勢の長期化によるエネルギー価格の高騰や円安進行による物価上昇、世界的なサプライチェーンの混乱等により、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社グループは、戦略PRサービスを起点とした最先端のコミュニケーション手法によりシンプルかつスピーディにモノを広めるという考えを基軸とし、従来の広告予算より低価格でサービスを提供していることに加え、様々な産業セクターへサービスを提供しており、特定産業の景況の影響を受けづらい収益基盤づくりに努めていることから、景況感の悪化による業績への影響は軽微であり、今後もこの傾向が継続するものと考えております。
このような市場環境のもと、当社グループは、顧客の「いいモノを世の中に広める」ためのマーケティング戦略をワンストップで総合的にサポートする「FAST COMPANY」として、当社グループが有する既存顧客を中心にサービスを展開しました。また、広告業界においては、インターネット広告費が社会のデジタル化を背景に継続して成長を続けていることを踏まえ、デジタル領域を中心としたM&Aによりサービス領域の拡充を図りました。
また、英国のHaymarket Media社が運営する世界有数の広報業界向け専門メディア「PRWeek」による企業業績をもとにした世界のPR会社ランキング「Agency Business Report 2023:Ranking table」において、アジア1位、世界7位に選出されました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は14,758百万円(前年同期比12.4%増)、営業利益は1,414百万円(前年同期比4.3%減)、経常利益は1,377百万円(前年同期比7.4%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は722百万円(前年同期比13.6%減)となりました。
セグメント業績は、次のとおりであります。
なお、前連結会計年度まで7つの報告セグメントにて事業を展開してまいりましたが、当第1四半期連結会計期間より、「ビデオリリース配信事業」および「メディアCMS事業」を「PR・広告事業」に統合し、5つの報告セグメントに変更しております。また、動画を活用した採用プラットフォーム「JOBTV」は、「PR・広告事業」に含んでおりましたが「HR事業」に変更しております。以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載の通りであります。
・PR・広告事業
PR・広告事業においては、コンサルティングを基本とする戦略PRサービスを起点としながら、タクシーの車内に設置するタブレットを活用したIoTサイネージやSNSなどを活用したデジタルマーケティングを駆使し、顧客に合ったコミュニケーション戦略をワンストップで提供しております。
モノの広め方がよりデジタルに移行し、当社の掲げる「FAST COMPANY」という戦略に時代が適合してきたことに加え、前期から積極的に行っているデジタル領域のM&Aによりサービスの拡充を図り、これまで以上に顧客のコミュニケーション戦略を総合的にサポートできる体制を構築できた結果、過去最高の四半期売上高および営業利益を更新しました。
また、デジタルマーケティングのサービス強化を目的として、2023年3月には、SNSを用いた集客支援事業を展開する株式会社トライハッチを連結子会社化しました。
以上の結果、PR・広告事業における売上高は9,261百万円(前年同期比26.8%増)、営業利益は1,205百万円(同34.4%増)となりました。
・プレスリリース配信事業
株式会社PR TIMESが手掛けるプレスリリース配信事業においては、プレスリリース配信サイト「PR TIMES」をはじめとした多数のWebサイトにプレスリリースを配信・掲載しており、社会インフラとして多くの企業に活用され、2023年5月には利用企業社数が83,000社を突破し、四半期連結会計期間における過去最高の売上高を更新しました。また、期初の計画通り、地方企業による「PR TIMES」の利用促進や新規事業への広告投下を実施しました。
以上の結果、プレスリリース配信事業における売上高は1,608百万円(前年同期比16.3%増)、営業利益は343百万円(同19.7%減)となりました。
・ダイレクトマーケティング事業
株式会社ビタブリッドジャパン等が手掛けるダイレクトマーケティング事業においては、新商品の育成に取り組みつつ、獲得効率を踏まえ広告宣伝費を投下した結果、新規顧客の獲得を一時的に抑えたものの、「ターミナリアファースト」の販売が順調に推移したことから、売上高は微減にとどまり、営業利益は大きく増加しました。なお、当連結会計年度の業績においては、第2四半期連結会計期間以降に広告宣伝費の投下を加速することで期待される新規顧客獲得数の増加と効果的なマーケティングによる販売施策により、引き続き順調に推移していくものと考えております。
以上の結果、ダイレクトマーケティング事業における売上高は3,333百万円(前年同期比4.8%減)、営業利益は23百万円(前年同四半期は177百万円の営業損失)となりました。
・HR事業
株式会社あしたのチームにおいては、販売戦略の見直しや営業人員の強化を行いつつ、新規顧客獲得のための広告費や機能強化に向けた開発費を投下しながら、SaaS型商材の販売に注力したことで、47百万円の営業利益を計上しました。
動画を活用した採用プラットフォーム「JOBTV」においては、収益基盤の構築に向け、新卒・転職ともに登録者数の増加を図るための広告費や採用プラットフォームの機能改善に向けた開発費を投下したことで、123百万円の営業損失を計上しました。また、JOBTVの収益拡大を目的として、2023年6月には、転職 Web メディア事業を展開するビジコネット株式会社を連結子会社化しました。
以上の結果、HR事業における売上高は558百万円(前年同期比14.7%減)、営業損失は76百万円(前年同四半期は7百万円の営業利益)となりました。
・投資事業
投資事業においては、当社が保有する株式を一部売却しましたが、一部の投資先において評価損を計上し、上期に売却益を計上した前期と比較し減収減益となりました。なお、当期においては、下期に保有株式の売却を見込んでおります。
また、出資先に対してPRおよびIRもあわせたサポートを提供しており、その結果として、株式会社シーラテクノロジーズが2023年3月31日に米国ナスダック市場へ、株式会社W TOKYOが2023年6月29日に東京証券取引所グロース市場への上場を果たしました。
以上の結果、投資事業における売上高は109百万円(前年同期比77.2%減)、営業損失は81百万円(前年同四半期は323百万円の営業利益)となりました。
②財政状態の分析
(資産の部)
当第1四半期連結会計期間末における総資産は前連結会計年度末に比べ2,672百万円増加し39,016百万円となりました。
流動資産におきましては、当第1四半期連結会計期間末残高は、31,213百万円と前連結会計年度末に比べ1,097百万円の増加となりました。これは、現金及び預金が627百万円、流動資産その他に含まれている預け金が971百万円減少した一方で、営業投資有価証券が1,826百万円、商品及び製品が422百万円、流動資産その他に含まれている前払金及び未収入金が448百万円増加したことが主な要因となります。
固定資産におきましては、当第1四半期連結会計期間末残高は、7,803百万円と前連結会計年度末に比べ1,574百万円の増加となりました。これは、繰延税金資産が168百万円減少した一方で、リース資産が1,053百万円、のれんが326百万円、投資その他の資産その他に含まれている長期前払費用が126百万円増加したことが主な要因となります。
(負債の部)
当第1四半期連結会計期間末における負債は前連結会計年度末に比べ1,551百万円増加し22,135百万円となりました。
流動負債におきましては、当第1四半期連結会計期間末残高は、16,632百万円と前連結会計年度末に比べ9百万円の増加となりました。これは、未払法人税等が427百万円、賞与引当金が421百万円、未払金が331百万円、1年内返済予定の長期借入金が233百万円減少した一方で、短期借入金が996百万円、リース債務が213百万円、流動負債その他に含まれている預り金が213百万円増加したことが主な要因となります。
固定負債におきましては、当第1四半期連結会計期間末残高は、5,503百万円と前連結会計年度末に比べ1,542百万円の増加となりました。これは、リース債務が925百万円、長期借入金が252百万円、繰延税金負債が338百万円増加したことが主な要因となります。
(純資産の部)
純資産におきましては、当第1四半期連結会計期間末残高は、16,880百万円と前連結会計年度末に比べ1,120百万円の増加となりました。これは、利益剰余金が230百万円減少した一方で、その他有価証券評価差額金が1,224百万円、非支配株主持分が110百万円増加したことが主な要因となります。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間において、当社グループ全体の研究開発活動の金額は、49百万円であります。
当研究開発活動は、PR・広告事業セグメントに係るものであり、主な内容は新サービスの開発であります。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループにおける主な資金需要は、運転資金、ベンチャー投資事業における投資資金及びM&Aを含めた成長投資となります。運転資金としては、主に人件費及び広告宣伝費等の販売費及び一般管理費の支払となります。これらの資金につきましては、内部資金、金融機関から借入及び社債により調達しております。当第1四半期連結会計期間末における現金及び預金は12,745百万円、短期借入金は6,053百万円、長期借入金(1年内返済予定を含む)は4,423百万円、社債(1年内償還予定を含む)は233百万円となっております。
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