【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響は和らぎ、行動制限や海外渡航制限の緩和等もあり経済活動は正常化に向かう動きが見られました。しかし、不安定な世界情勢の影響や急激な円安の進行、資源価格の高騰や半導体の供給不足などが続いており、依然として先行きは不透明な状況が続いております。当社グループを取り巻くメンテナンス業界におきましては、昨今のエネルギーコスト高騰による設備の維持管理費用増を見直すために省エネ化の検討を提案するなど、持続可能な社会の実現につながる事業形態への対応が求められており、そのニーズにいち早く応えるべく事業改善や新たなサービスの提案に取り組んでおります。また、2022年7月11日付で公表した新中期経営計画(2023年5月期~2025年5月期)において、2030年の目指す姿として「安心・快適な空間のインフラを技術・データ・ITでプロデュース(クリエイト)する会社」を掲げた上で、2023年5月期からの3年間を収益基盤強化期と位置付けております。2030年へ向けて当社の提供するトータルメンテナンスサービス、環境ソリューションサービス及びメンテナンスサービスで保有する技術を、より広く、より深く、深化(進化)していくことで、当社のMISSIONである「空間インフラのもっと快適、ずっと安心な空間を提供すること」に繋がり、お客様により良いサービスが提供できると考えております。このような環境下において、当社グループは、24時間365日稼働のコールセンターを核としたトータルメンテナンスサービスを強みとして、社内に蓄積されたノウハウやデータに基づき突発的な修理不具合を未然に防止する保全メンテナンス及び環境改善を考えた省エネ等の提案営業を行うことで、お客様の潜在的ニーズを掘り起こすことに注力してまいりました。また、自社メンテナンスエンジニアの多能工化(大型吸収式冷温水機をはじめとして小型パッケージエアコン等の各種空調機器を扱うことができること)を推進することや新入社員の早期育成を行うために、引き続き当社研修センターでの実機研修による人材育成を行っております。この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,271,693千円増加し8,353,011千円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,455,470千円増加し4,519,415千円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ816,223千円増加し3,833,596千円となりました。
b.経営成績当連結会計年度の経営成績は、売上高14,733,528千円(前年同期比27.2%増)、営業利益575,160千円(前年同期比160.0%増)、経常利益579,289千円(前年同期比157.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益452,926千円(前年同期比193.7%増)となりました。
セグメント別の業績については、次のとおりであります。当社グループは、2022年12月1日に実施した企業結合で株式会社兵庫機工を連結子会社化したことに伴い、当連結会計年度より「建設関連製品サービス事業」を新たに報告セグメントとして追加し、「メンテナンス事業」及び「建設関連製品サービス事業」の2区分に変更しております。(メンテナンス事業)メンテナンス事業は、主に空調機器、厨房機器、電気設備及び給排水衛生設備等のあらゆる設備のメンテナンスを行っております。当連結会計年度における業績は、売上高14,389,995千円(前年同期比24.2%増)、セグメント利益は619,487千円(前年同期比180.1%増)となりました。(建設関連製品サービス事業)建設関連製品サービス事業は、主に各種建物を対象とした金属製ドア・シャッター・サッシの製造及び販売、取付工事を行っております。当連結会計年度における業績は、売上高については343,533千円、セグメント利益については、企業結合の株式取得関連費用等34,056千円の計上により、44,327千円の損失となりました。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ525,905千円減少し998,978千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果使用した資金は1,067,497千円(前年同期は59,565千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前純利益が677,166千円、仕入債務の増加額が328,484千円あった一方で、期末にかけて大型の省エネ・空調工事案件が計上されたこと等により売上債権の増加額が2,156,291千円となったこと等によります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は40,059千円(前年同期は38,738千円の収入)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出が18,007千円、無形固定資産の取得による支出が11,149千円あったこと等によります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果得られた資金は310,037千円(前年同期は225,106千円の支出)となりました。これは主に、長期借入による収入が500,000千円あった一方で、長期借入金の返済による支出が99,848千円あったこと等によります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前期比(%)
建設関連製品サービス事業
304,873
-
(注)1.当社グループのセグメントは、当連結会計年度より「メンテナンス事業」及び「建設関連製品サービス事業」の2区分に変更しておりますが、受注生産活動を伴うセグメントのみ記載しております。 2.金額は、製造原価によっております。
b.受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前期比(%)
受注残高(千円)
前期比(%)
建設関連製品サービス事業
267,702
-
1,339,725
-
(注)当社グループのセグメントは、当連結会計年度より「メンテナンス事業」及び「建設関連製品サービス事業」の2区分に変更しておりますが、受注生産活動を伴うセグメントのみ記載しております。
c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前期比(%)
メンテナンス事業
14,389,995
24.2
建設関連製品サービス事業
343,533
-
合計
14,733,528
27.2
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度(自 2021年6月1日至 2022年5月31日)
当連結会計年度(自 2022年6月1日至 2023年5月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
株式会社ライフコーポレーション
2,516,750
21.7
1,655,076
11.2
パナソニック産機システムズ株式会社
1,544,409
13.3
1,631,309
11.1
d.外注実績当連結会計年度における外注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前期比(%)
メンテナンス事業
7,758,427
121.3
建設関連製品サービス事業
34,498
-
合計
7,792,925
121.8
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積り・仮定設定を必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、特に重要なものは以下のとおりであります。なお、新型コロナウイルス感染症による今後の影響等などを含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(繰延税金資産の回収可能性)繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得を慎重に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損)当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、新たに減損処理が必要となる可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等1) 財政状態(資産)当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ2,897,285千円増加し6,952,210千円となりました。主な要因は、受取手形、売掛金及び契約資産が2,692,505千円増加したこと等によります。また、固定資産は、前連結会計年度末に比べ374,407千円増加し1,400,801千円となりました。主な要因は、土地が83,222千円、投資有価証券が93,123千円それぞれ増加したこと等によります。これらの結果、当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ3,271,693千円増加し8,353,011千円となりました。(負債)当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ2,024,593千円増加し3,575,674千円となりました。主な要因は、支払手形及び工事未払金が920,709千円増加したこと等によります。また、固定負債は、前連結会計年度末に比べ430,876千円増加し943,741千円となりました。主な要因は、長期借入金が343,376千円増加したこと等によります。これらの結果、当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,455,470千円増加し4,519,415千円となりました。(純資産)当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ816,223千円増加し3,833,596千円となりました。主な要因は、資本剰余金が576,617千円増加したこと等によります。2) 経営成績当連結会計年度につきましては、新たに大口取引先のトータルメンテナンスサービスが始まったことや、コロナ禍において取り組んできた技術力の強化や営業活動の成果が現れ、付加価値の高い環境ソリューションサービスにおける省エネ工事が順調に増加したこと等により、過去最高の売上高14,733,528千円(前年同期比27.2%増)を計上しました。また、実機研修等により当社全体の技術レベルが向上し、従来のメンテナンスに加え多種多様な空調工事案件に対応できる体制となったことで生産性があがり、売上総利益は3,383,796千円(前年同期比37.9%増)となりました。新型コロナウイルスの対応緩和に伴う病院・福祉施設等向けの工事案件やエネルギーコスト高騰による省エネ工事案件の需要増加は、今後も引き続き継続されるものと想定しています。販売費及び一般管理費は、新しい取引に対応するための積極的な採用活動による人件費の増加等により、2,808,635千円(前年同期比25.8%増)となりました。これらの結果、営業利益は575,160千円(前年同期比160.0%増)、経常利益は579,289千円(前年同期比157.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は452,926千円(前年同期比193.7%増)となりました。
3) キャッシュ・フローの状況の分析当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について当社企業グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。また、当社の経営成績に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり認識しており、これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
c.資本の財源及び資金の流動性資本政策につきましては、財務の健全性や資本効率など当社グループにとって最適な資本構成を追求しながら、会社の将来の成長のための内部留保の充実と、株主への利益還元との最適なバランスを考え実施してまいります。短期運転資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入や新株発行等を検討した上で調達しております。当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は833,302千円、現金及び現金同等物の残高は998,978千円となっております。将来の成長のための内部留保については、人材の育成・獲得、ITシステム強化等の将来の事業展開の財源のための投資に資源を優先的に充当いたします。
d.中期経営計画等の進捗状況中期経営計画の進捗状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 中長期的な会社の経営戦略」に記載しております。e.目標とする経営指標の達成状況当社グループは、安定した利益率の確保と財務体質の強化を目指し、売上高及び営業利益の継続的な伸長と営業利益率を目標としておりますが、その推移状況は下記のとおりです。
2021年5月期
2022年5月期
2023年5月期
金額又は割合
前年同期比
金額又は割合
前年同期比
金額又は割合
前年同期比
売上高(千円)
11,525,334
△1.3%
11,581,813
+0.5%
14,733,528
+27.2%
営業利益(千円)
288,853
△29.0%
221,184
△23.4%
575,160
+160.0%
売上高営業利益率(%)
2.5
△1.0%pt
1.9
△0.6%pt
3.9
+2.0%pt
ROE(%)
6.0
△3.7%pt
5.2
△0.8%pt
13.2
+8.0%pt
当連結会計年度におきましては、すべての指標がプラスとなっております。これは前述のとおり、主に、新たに大口取引先のトータルメンテナンスサービスが始まったことや、コロナ禍において取り組んできた技術力の強化や営業活動の成果が現れ、付加価値の高い環境ソリューションサービスにおける省エネ工事が順調に増加したこと等によります。
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