【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社グループは新産業領域における人材創出事業の単一の報告セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
①財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は1,898,503千円となり、前連結会計年度末に比べ100,991千円減少いたしました。これは主に、投資有価証券が67,926千円増加した一方で、現金及び預金が160,641千円減少したことによるものであります。
投資有価証券の増加は、当連結会計年度において設立されたUT創業者の会有限責任事業組合及びUT創業者の会投資事業有限責任組合への出資によるものであります。現金及び預金の減少は、主に未払金の支払、法人税等の支払に伴う支出の増加によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は525,880千円となり、前連結会計年度末に比べ245,936千円減少いたしました。これは主に、未払金が60,762千円、前受金が133,164千円減少したことによるものであります。
未払金の減少は、主に前連結会計年度末に実行した成長投資の支払いによるものであります。前受金の減少は、主に新卒採用に係る人材紹介手数料の減少によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,372,623千円となり、前連結会計年度末に比べ144,944千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加139,625千円によるものであります。
この結果、自己資本比率は72.3%(前連結会計年度末は61.4%)となりました。
②経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に対して、ワクチン接種が進んだこと、及び政府により水際措置の緩和や、行動制限を行わない方針が掲げられたこと等から、国内の経済活動は持ち直しの動きがみられます。一方で、長期化するウクライナ情勢悪化による資源価格上昇や日米金利差拡大を受けた急速な円安の進行による物価上昇、世界的な物価上昇を背景に米国をはじめとした各国での金利引き上げなど、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
人材関連ビジネス市場においても、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける一方で、オンライン化の進展により働く場所を問わない就業スタイルの浸透が進んだことや、オンラインでの採用活動が定着したこと等により、これまで時間的制約や地理的制約等から就業機会を失っていた求職者にとっては、新たな就業機会を獲得する契機となり、求人企業にとっても、より多くの人材獲得機会を得ることができると考えております。
当社グループの事業領域であるスタートアップ・ベンチャー企業をはじめとした新産業領域における人的資本を取り巻く環境では、政府が掲げる「新しい資本主義」において、スタートアップの育成及び人への投資の抜本的強化が重点戦略の中に位置づけられており、スタートアップの育成が日本経済のダイナミズムと成長を促し、社会課題を解決する鍵であるとして、2022年11月28日に「スタートアップ育成5カ年計画」が発表されました。政府はその中の3本柱のひとつとして、スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築を掲げており、人的資本の重要性が高まっております。さらに、2022年3月15日に提言された経団連の「スタートアップ躍進ビジョン~10X10Xを目指して~」においても、5年後までに起業数10倍、成功レベル10倍(ユニコーン企業数約100社・デカコーン企業数2社以上)が成長目標に据えられ、そのために起こすべき7つの変化の一つが「人材の流動化、優秀人材をスタートアップエコシステムへ」となっております。2022年8月には、これらのスタートアップ政策の司令塔として、「スタートアップ担当大臣」のポストが追加されるなど、少子高齢化・人口減少による経済停滞という社会課題を解決するための重点投資領域として、「人」と「スタートアップ・ベンチャー企業」が位置づけられ、今後さらに取り組みが強化されていく中で、当社グループの事業機会もより拡大していくものと考えております。
このような経営環境の中、当社グループは、「人の可能性を引き出し 才能を最適に配置することで 新産業を創出し続ける」というミッションを掲げ、新産業領域における人材の最適配置を中心として、人の持つ可能性に着目した「新産業領域における才能の最適配置を目指すプラットフォーム」を提供してまいりました。
また、2022年11月16日の取締役会において、代表取締役及び取締役の異動による新経営体制への移行を決定し、2023年3月1日から新経営体制への移行が完了しております。本サクセッション(経営継承)により、第二創業期として様々な変革を推進し、当社グループの成長力のさらなる向上を目指してまいります。本件の詳細につきましては、2022年11月16日に公表いたしました、「代表取締役及び取締役の異動に関するお知らせ」をご参照ください。
当連結会計年度において、キャリアサービス分野では、当社グループの主力サービスである新卒学生向け厳選就活プラットフォーム「Goodfind」を含む学生向けサービスの売上高が前期比1.6%増加と同水準で推移しましたが、社会人向けサービスにおいて、求職者と求人企業とのマッチングを行うキャリアエージェントの育成が遅延したこと等の内部要因により入社人数が減少し、売上高は前期比40.3%の減少となりました。その結果、キャリアサービス分野の売上高としては、前期比3.7%の減少となりました。一方で、メディア・SaaS分野では、売上高が前期比43.8%増加と大幅に成長いたしました。これは主に、前期から販売戦略の改善に取り組んできた若手イノベーション人材向けビジネスメディア「FastGrow」における1社当たり販売価格の向上によるものであります。販売費及び一般管理費については、主に業容拡大に伴う人員強化による人件費の増加により、前期比9.7%の増加となりました。
この結果、当連結会計年度の当社グループの経営成績は、売上高1,471,590千円(前連結会計年度比3.8%増)、営業利益208,662千円(同19.3%減)、経常利益209,985千円(同26.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益139,625千円同(同32.8%減)となりました。
なお、当社グループの売上高は、当社グループの売上高構成比が最も大きく、主要事業である「Goodfind」において、顧客企業の新卒学生向けの採用活動が活発に行われる時期に売上が集中いたします。さらに、新卒学生に係る人材紹介手数料については、入社日基準により売上高を認識しているため、新卒学生の多くが入社する4月に売上高が集中いたします。この結果、第1四半期に売上高及び営業利益が集中する傾向にあります。当該傾向については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (2)事業内容に関するリスク ⑦ 業績の季節的変動について」に記載のとおりであります。
当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しておりますが、当該会計基準等の適用による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に与える影響は軽微であります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は1,656,762千円となり、前連結会計年度末に比べ160,641千円減少いたしました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は63,106千円(前年同期は441,806千円の獲得 504,912千円減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上206,895千円、未払金の減少額66,196千円、前受金の減少額133,164千円、法人税等の支払額88,550千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は82,862千円(前年同期は56,253千円の獲得 139,115千円減)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出67,000千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は14,672千円(前年同期は493,943千円の獲得 508,615千円減)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出19,992千円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループは新産業領域における人材創出事業の単一の報告セグメントであるため、事業部門別に記載しております。
事業部門
当連結会計年度
(自 2022年3月1日
至 2023年2月28日)
金額(千円)
前期比(%)
キャリアサービス分野
1,153,201
96.3
学生向けサービス
1,063,490
101.6
社会人向けサービス
89,711
59.7
メディア・SaaS分野
318,388
143.8
合計
1,471,590
103.8
(注)1.上記事業部門別の売上高は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくEY新日本有限責任監査法人の監査は受けておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える将来に関する見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状、その他さまざまな要因を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による会計上の見積りへの影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、1,471,590千円(前期比103.8%)となりました。当社グループは、新産業領域における人材創出事業の単一の報告セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、売上高については、キャリアサービス分野及びメディア・SaaS分野を事業部門として区分し、さらに、キャリアサービス分野は、学生向けサービス及び社会人向けサービスに細分化して分析しております。
事業部門
前連結会計年度
(自 2021年3月1日
至 2022年2月28日)
当連結会計年度
(自 2022年3月1日
至 2023年2月28日)
金額(千円)
前期比(%)
金額(千円)
前期比(%)
キャリアサービス分野
1,196,949
111.9
1,153,201
96.3
学生向けサービス
1,046,685
114.2
1,063,490
101.6
社会人向けサービス
150,263
97.9
89,711
59.7
メディア・SaaS分野
221,423
91.7
318,388
143.8
合計
1,418,373
108.2
1,471,590
103.8
(注)上記事業部門別の売上高は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくEY新日本有限責任監査法人の監査は受けておりません。
当連結会計年度における売上高が1,471,590千円(前期比103.8%)となった主な要因は、「FastGrow」及び「TeamUp」で構成されるメディア・SaaS分野の売上高が318,388千円(前期比143.8%)と増収した一方で、社会人向けサービスの売上高が89,711千円(前期比59.7%)と大幅に減少したこと及び、学生向けサービスの売上高が1,063,490千円(前期比101.6%)と前年と同水準に留まったことにより、キャリアサービス分野が減収となったことによるものであります。なお、サービスモデルの詳細については、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載しております。
当社グループの主力事業である学生向けサービス「Goodfind」においては、2022年卒業、2023年卒業学生会員の利用率低下に伴い顧客と学生のマッチングが伸び悩み、成功報酬型人材紹介サービスの売上高が前年と同水準となったこと及び、2023年卒業、2024年卒業学生の採用に係る人材紹介一体型コンサルティングサービスの売上高は微増した一方でメディアサービスの販売が減少した結果、前期比微増に留まりました。
学生向けサービスにおけるサービスモデル別売上高は次のとおりであります。
(単位:千円、%)
サービスモデル
前連結会計年度
(自 2021年3月1日
至 2022年2月28日)
当連結会計年度
(自 2022年3月1日
至 2023年2月28日)
金額
構成比
前期比
金額
構成比
前期比
成功報酬型
人材紹介サービス
253,234
24.2
132.4
253,100
23.8
100.0
人材紹介一体型
コンサルティングサービス
299,468
28.6
107.5
327,099
30.8
109.2
メディアサービス
493,983
47.2
110.7
483,291
45.4
97.8
合計
1,046,685
100.0
114.2
1,063,490
100.0
101.6
(注)上記サービスモデル別の売上高は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくEY新日本有限責任監査法人の監査は受けておりません。
メディア・SaaS分野の当連結会計年度の売上高が318,388千円(前期比143.8%)となった要因は、「FastGrow」において、前期から販売戦略の見直しに取り組んだ結果取引社数が増加したこと及び、「TeamUp」においてMRRが堅調に推移したことによるものであります。
(売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における売上原価は、49,360千円(前期比93.0%)となりました。これは主に、「FastGrow」においてメディア掲載コンテンツの制作原価の増加した一方で、社会人向けキャリアサービス「Goodfind Career」において人材紹介に係る手数料原価が減少したことによるものであります。
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、1,213,566千円(前期比109.7%)となりました。これは主に、業容拡大に伴い前期から積極的に人的資本投資を実施したことにより人件費が増加したことによるものであります。また業容拡大及び生産性向上、効率化を目的としてIT関連費が増加している一方で、2022年7月に減資を実施したことにより、租税公課等は減少しております。
この結果、営業利益は208,662千円(前期比80.7%)となりました。
(営業外損益、経常利益)
営業外収益は、4,436千円(前連結会計年度は33,699千円 29,262千円の減少)となりました。これは主に、前期計上した投資有価証券の売却に伴う投資有価証券売却益32,645千円が当期発生しなかったことによる減少及び組合事業組合運用益3,882千円を計上したことによるものであります。営業外費用は、3,113千円(前連結会計年度は8,448千円 5,335千円の減少)となりました。
この結果、経常利益は209,985千円(前期比73.9%)となりました。
(特別損益、法人税等合計、親会社株主に帰属する当期純利益)
特別損失は、前連結会計年度は発生がありませんでしたが、当連結会計年度において3,089千円が発生しております。これは減損損失3,089千円を計上したことによるものであります。
法人税等合計は、課税所得の増加により法人税、住民税及び事業税が増加した一方で、法人税等調整額が減少したことにより、67,270千円(前連結会計年度は76,147千円 8,876千円の減少)となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は139,625千円(前期比67.2%)となりました。
③キャッシュ・フローの状況の分析及び検討内容
キャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローについては、新規サービスの開発に係る無形固定資産の取得及び投資有価証券の取得を行ったことにより、投資支出となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローについては、主に借入金の返済に伴う支出が新株予約権行使による株式の発行による収入を上回ったことなどにより財務支出となりました。
④資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要として主なものは、人件費、人材獲得のための採用費、業務委託費、新規顧客企業獲得や求職者獲得のための広告宣伝費であります。これらの必要資金については、営業活動により獲得した自己資金を充当することを基本方針としながら、今後の資金需要や金利動向等を勘案し、必要に応じて金融機関からの借入やエクイティファイナンス等による資金調達を検討する予定であります。なお、これらの資金調達方法の優先順位は、資金需要や資金使途等に合わせて最適な方法を検討・選択する予定であります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,656,762千円であり、本書提出日現在における資金需要に対して必要な資金は確保されております。なお、当社は取引銀行1行と当座貸越契約を締結しており、当連結会計年度末における当座貸越極度額及び借入未実行残高は100,000千円であります。金融・資本市場の流動性が低下した状況下においては、当該当座貸越極度額を使用することによって流動性を確保いたします。
⑤経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが目標とする経営指標については、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、当連結会計年度は、売上高成長率、営業利益成長率及び売上高営業利益率を客観的な指標として掲げております。なお、当連結会計年度の経営方針に則った通期業績予想について、業績動向等を踏まえ、2022年4月14日に公表した各経営指標の予想値を修正し、2022年10月12日に改めて公表しました。
当連結会計年度の業績予想の達成状況は次のとおりであります。
指標
業績予想
実績
予想比
売上高成長率
9.5%
3.8%
△5.7ポイント
営業利益成長率
0.5%
△19.3%
△18.8ポイント
売上高営業利益率
16.8%
14.2%
△2.6ポイント
2024年2月期は、売上高、営業利益及び営業利益率を客観的な指標として掲げており、売上高1,428百万円(当連結会計年度比2.9%減)、営業利益30百万円(当連結会計年度比85.3%減)、営業利益率2.1%(当連結会計年度は14.1%)を計画しております。なお、2023年4月13日に公表した「2023年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」における業績予想から変更はありません。
⑥経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
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