【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、当社は、2022年3月1日付で当社が100%の議決権を有する子会社として株式会社関通ビジネスサービスを設立したことにより、当連結会計年度から連結財務諸表を作成しておりますので、前連結会計年度及び前連結会計年度末との比較分析は行っておりません。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度(2022年3月1日から2023年2月28日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が残る中、行動制限の緩和等により社会経済活動が正常化に向けて動いた一方で、ウクライナ情勢の緊迫化や急激な円安による資源及び原材料価格の高騰等により、景気の先行きは依然として不透明な状況で推移しました。
当社グループと関わりの深い物流業界におきましては、新型コロナウイルス感染拡大防止のための行動制限が緩和される中、Eコマース物流の需要の一部における反動減、中国のゼロコロナ政策の影響による国際物流の一時的停滞があり、またEコマース市場ではアパレル分野における外資系ファストファッションの進出加速が見られましたが、当社グループが提供する物流サービスの需要は底堅く推移しました。
このような環境のもと、当社グループは一層の企業価値の向上を図るため、物流サービス事業においては、主に「物流センターの増設による物流サービス事業の拡大」を、またITオートメーション事業においては、「ITオートメーション事業の新規獲得強化」をそれぞれの成長戦略に掲げ、各セグメントにおいて業績の持続的な向上に努めました。
これらの結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高が10,493,721千円、営業利益392,148千円、経常利益360,735千円、親会社株主に帰属する当期純利益は、2023年2月に当社が所有する物流センター(大阪府東大阪市)の土地建物を売却したこと等による固定資産売却益1,068,001千円を特別利益として、当該物流センターの機能移転に見込まれる損失として特別損失に事業構造改善引当金繰入額341,980千円を計上したこと等により、628,124千円となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
なお、各セグメントの売上高は外部顧客への売上高を表示し、セグメント損益は連結損益計算書における営業利益をベースとしております。
(物流サービス事業)
物流サービス事業におきましては、EC・通販物流支援サービスを中心に、引続き品質及び生産性向上のための改善活動に取組み、お客様満足度の一層の向上を推進しました。一方、既存のお客様に係る売上高が前年同期を約10%下回って推移する中、2022年2月に新設の東京主管センター(埼玉県新座市、総床面積約8,300坪)、2022年8月に新設のD2CⅡ物流センター(兵庫県尼崎市、総床面積約4,000坪)及び2022年12月に新設のアグリベース(兵庫県尼崎市、総床面積約4,300坪)を中心に、新規のお客様獲得のためSEO対策等のインターネットを通じた効果的なお客様の獲得を強化しました。また、2022年2月に新設しました本社ショールーム(兵庫県尼崎市)へのご案内等によって、当社の具体的な取組へのご理解を深めていただく機会を提供すること等により、成約率の向上に努めました。
これらの結果、物流サービス事業に係る当連結会計年度の売上高は9,837,558千円、セグメント利益は189,128千円となりました。
(ITオートメーション事業)
ITオートメーション事業におきましては、倉庫管理システム「クラウドトーマス」及び「クラウドトーマスPro」について、新規のお客様獲得は堅調に推移しました。また、2022年4月に資本業務提携しましたキヤノンITソリューションズ株式会社と共同して、新規案件獲得に向けた取組みを推進しました。加えて、チェックリストシステム「アニー」について、当社で自社利用している新人即戦力化のための仕組みを「新人即戦力化パッケージ」として外部のお客様に提供を開始し、新規のお客様獲得に取組みました。
これらの結果、ITオートメーション事業に係る当連結会計年度の売上高は546,477千円、セグメント利益は197,665千円となりました。
(その他の事業)
その他の事業におきましては、障がい者のお子様向けの放課後等デイサービス及び障がい者の方向けの就労移行支援サービスが堅調に推移しました。
この結果、その他の事業に係る当連結会計年度の売上高は109,685千円、セグメント利益は5,354千円となりました。
[2023年2月期 セグメント別連結経営成績]
(単位:千円,%)
セグメント区分
売上高
セグメント損益(営業損益)
サービス区分
実績
百分比
前期
増減率
実績
売上高営業利益率
前期
増減率
EC・通販物流支援サービス
9,618,429
91.7
-
-
受注管理業務代行サービス
126,390
1.2
-
-
その他
92,737
0.9
-
-
物流サービス事業
9,837,558
93.7
-
189,128
1.9
-
ITオートメーション事業
546,477
5.2
-
197,665
36.2
-
その他の事業
109,685
1.0
-
5,354
4.9
-
セグメント合計
10,493,721
100.0
-
392,148
3.7
-
(注)当連結会計年度から連結財務諸表を作成しているため、前期増減率は記載しておりません。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は9,471,514千円、負債は6,211,699千円、純資産は3,259,814千円となりました。
主な内訳は、次のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は5,154,264千円となりました。
主な内訳は、現金及び預金が3,432,524千円、電子記録債権が277,472千円、売掛金が972,380千円であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は4,317,249千円となりました。
主な内訳は、建物が1,426,273千円、敷金及び保証金が1,089,583千円であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は2,160,410千円となりました。
主な内訳は、買掛金が264,734千円、1年内返済予定の長期借入金が795,352千円、未払法人税等が318,381千円、事業構造改善引当金が321,967千円であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は4,051,288千円となりました。
主な内訳は、長期借入金が3,228,071千円、資産除去債務が371,904千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の部の残高は3,259,814千円となりました。
主な内訳は、資本金が788,275千円、資本剰余金が774,275千円、利益剰余金が1,695,773千円であります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ201,267千円増加し、3,214,222千円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は216,642千円となりました。
主な要因は、固定資産売却益1,068,001千円、売上債権の増加額112,665千円、法人税等の支払額268,020千円があった一方で、税金等調整前当期純利益921,351千円、減価償却費410,890千円を計上し、事業構造改善引当金の増加額330,967千円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は1,005,532千円となりました。
主な要因は、有形固定資産の取得による支出811,588千円、無形固定資産の取得による支出157,170千円、敷金及び保証金の差入による支出159,462千円があった一方で、有形固定資産の売却による収入2,190,095千円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,020,907千円となりました。
主な要因は、長期借入れによる収入1,150,000千円があった一方で、長期借入金の返済による支出2,045,865千円、配当金の支払額102,337千円があったことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社のサービス提供の実績は、販売実績とほぼ一致しておりますので、受注実績に関しては販売実績の項をご参照ください。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年3月1日
至 2023年2月28日)
前年同期比(%)
物流サービス事業(千円)
9,837,558
-
ITオートメーション事業(千円)
546,477
-
報告セグメント計(千円)
10,384,036
-
その他の事業(千円)
109,685
-
合計(千円)
10,493,721
-
(注)1.セグメント間の取引については該当事項ありません。
2.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
3.当連結会計年度から連結財務諸表を作成しておりますので、前年同期比の記載は行っておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績等の状況に関する認識及び検討内容
当社グループは物流サービス事業を主たる事業としておりますが、これらのサービスにかかわる分野は競合他社との競争に優位性を獲得する必要があり、サービスラインアップ、サービスレベル、サービス品質及び価格等の面において、お客様に常に新しい価値を提供することが求められます。当社グループは、新しい価値の創造のため、継続的な教育を通じた物流サービスの品質向上はもとより、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)への取組み、物流ロボットをはじめとする自動化機器の導入、倉庫管理システム「クラウドトーマス」のバージョンアップ等の省人化を目的とした設備投資を積極的に推進し、人と物流ロボットとの組み合わせの最適化を推進するほか、M&Aによる事業の拡大を図ることで、当社グループの持続的な発展を図ってまいります。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表及び財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
③ 財政状態の分析
財政状態の分析に関する情報については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の分析」に記載のとおりです。
④ 経営成績の分析
(売上高)
物流サービス事業においては、既存のお客様に係る売上高が前年同期を約10%下回って推移する中、2022年2月に新設の東京主管センター(埼玉県新座市、総床面積約8,300坪)、2022年8月に新設のD2CⅡ物流センター(兵庫県尼崎市、総床面積約4,000坪)及び2022年12月に新設のアグリベース(兵庫県尼崎市、総床面積約4,300坪)を中心に、新規のお客様獲得のためSEO対策等のインターネットを通じた効果的なお客様の獲得を推進し、またITオートメーション事業においては、倉庫管理システム「クラウドトーマス」について、新規のお客様獲得が堅調に推移し、加えてクラウドトーマスの導入に関連したソフトウエアのカスタマイズ売上も堅調に推移したこと等から、当連結会計年度の売上高は10,493,721千円となりました。
(売上原価)
当連結会計年度の売上原価は、9,125,658千円となりました。
これは主に、労務費2,136,004千円、発送運賃及び運送費用2,755,086千円、賃借料2,333,913千円を計上したことによるものです。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、975,914千円となりました。
これは主に、人件費386,330千円、広告宣伝費60,159千円、賃借料65,733千円、租税公課91,211千円、減価償却費72,594千円、支払手数料60,689千円を計上したことによるものです。
(営業外収益)
当連結会計年度の営業外収益は、39,083千円となりました。
これは主に、助成金収入13,976千円、受取営業補填金9,722千円を計上したことによるものです。
(営業外費用)
当連結会計年度の営業外費用は、70,496千円となりました。
これは主に、支払利息51,161千円、新株予約権発行費7,657千円を計上したことによるものです。
(特別利益)
当連結会計年度の特別利益は1,068,001千円となりました。
これは、東大阪主管センターの土地建物の売却等により、固定資産売却益1,068,001千円を計上したことによるものです。
(特別損失)
当連結会計年度の特別損失は507,384千円となりました。
これは主に、固定資産除却損152,833千円、東大阪主管センターの機能移転に見込まれる損失として事業構造改善引当金繰入額341,980千円を計上したことによるものです。
⑤ キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析に関する情報については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における運転資金の主なものは、発送運賃費及び運送費用、賃借料等があります。また、設備投資需要としては、物流センターの新設または増床、ソフトウエア開発及びマテハン機器の導入等があります。
当社グループは、これらの資金需要に機動的に対応するため、内部留保を蓄積すること、資本市場からの資金調達並びに金融機関からの借入を行うことで、流動性を確保することとしております。
⑦ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、ROE(自己資本利益率)を持続的な企業価値増大に関わる中核的な指標と捉え、ROE15%以上を維持し、かつ中長期的に向上させることを目標としております。
最近3事業年度におけるROEの推移は次のとおりです。
指 標
2021年2月期
2022年2月期
2023年2月期
ROE(自己資本利益率)[連結]
-
-
21.0%
ROE(自己資本利益率)[個別]
25.5%
21.5%
-
(注)2023年2月期から連結財務諸表を作成しているため、2023年2月期は連結財務諸表を用いて、それ以前については個別財務諸表を用いて算出しております。
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