【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績当連結会計年度におけるわが国の経済環境は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が徐々に緩和され、経済・社会活動は正常化に向かう動きがみられております。その一方で、原材料・原油価格の高騰、急速な為替相場の変動等に加え、ウクライナ情勢の長期化も含め、依然として先行きに対する不透明な状況が続いております。当社グループは、事業の方向性を明確にし、戦略的投資を促進するため、不動産デベロップメント部門、不動産マネジメント部門及びエネルギーマネジメント部門の3部門からなる「不動産ソリューション事業」と課外活動ソリューション部門と人材ソリューション部門の2部門からなる「学生生活ソリューション事業」の2事業(セグメント)計5部門で事業展開を図っております。当社グループの主要顧客層である大学生マーケットにおきましては、2022年春の大学入学者数は63.5万人、大学生総数293.0万人(文部科学省「学校基本調査」による)といずれも過去最高水準を維持しております。引き続き、少子化時代にあっても安定的に推移する大学生市場においては、さまざまなサービス分野において学生の多様化するライフスタイルとニーズに応える低廉で高品質なサービスが求められていると言えます。当連結会計年度においては、不動産デベロップメント部門において販売用不動産の売却が計画どおり進み、不動産マネジメント部門においても業績は順調に推移しました。課外活動ソリューション部門においては、新型コロナウイルス感染症の影響から回復の兆しがみえつつあり、前期に比べ売上高は大幅に増加しているものの、未だ合宿旅行等の多くが中止となっております。また、人材ソリューション部門においても、連結子会社である株式会社ワークス・ジャパンの業績が概ね計画通り順調に推移しました。その結果、当連結会計年度の売上高は21,248,249千円(前年同期比12.5%増)、営業利益は2,081,614千円(同16.7%増)、経常利益は2,083,280千円(同22.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,381,735千円(同24.9%増)となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は2019年5月期以来過去最高益となりました。① 売上高 当連結会計年度の売上高は21,248,249千円(前年同期比12.5%増)となりました。セグメント別の業績を示すと次のとおりであります。(不動産ソリューション事業)首都圏における学生賃貸住宅市場は、首都圏進学志向と女子大生比率の高まり、セキュリティ意識の浸透などにより、より安全性・快適性が求められており、学生向け賃貸住宅の需要は今後もますます高まるものと予想されます。不動産デベロップメント部門におきましては、この需要の高さを背景に金融機関等との連携によるコンサルティング営業を強化し、個人オーナーのみならず、企業に対してもCRE戦略に応える事業プランを積極的に提案、物件開発に努めました。また、当社が土地を仕入れ学生向け賃貸住宅を建設し、法人又は個人投資家等へ販売した後にサブリースで運営を受託する独自開発にも注力してまいりました。その中でも、特に食事付き寮タイプの学生向け賃貸住宅は、健康志向の高まりに加え学生同士のコミュニケーションや交流の場としてニーズが高く、東京圏のみならず地方物件の開発を積極的に進めております。当連結会計年度における物件開発については、自社保有物件(販売用不動産及び固定資産)においては、4件の開発、3件の売却を行い、管理戸数は20棟1,242戸となりました。サブリース(転貸を目的とした当社による一括借上)物件においては、2件の開発を行い、上記の売却した3件及び2件の解約を含め、管理戸数は194棟9,218戸となりました。その結果、管理受託物件を含め総管理戸数は222棟11,792戸(前年同期末比3.1%増)となりました。
一方、賃貸・管理業務を行う不動産マネジメント部門におきましては、WEB契約等のITサービスの拡充、インターネット情報提供の充実、大学との連携強化等により体制強化を継続し、安定した入居者確保を図ってまいりました。また、エネルギーマネジメント部門において、自然エネルギーによる自社事業に係る電力の自力調達を目的とする自然環境に配慮した取り組みとして運営している5ヵ所の太陽光発電所のうち、2ヵ所においてケーブルの盗難被害により稼働が停止する期間がありましたが、期末日現在は両施設とも復旧しております。その結果、不動産ソリューション事業の売上高は17,742,718千円(前年同期比8.3%増)となりました。また、部門別売上高は、不動産デベロップメント部門は3,732,732千円(同17.3%増)、不動産マネジメント部門は13,699,479千円(同6.5%増)、エネルギーマネジメント部門は310,505千円(同11.3%減)となりました。なお、不動産デベロップメント部門における売上高の増加は、販売用不動産の売却件数が前期の2件から3件と増加したものであり、エネルギーマネジメント部門における売上高の減少は、太陽光発電所のケーブルの盗難被害によるものであります。(学生生活ソリューション事業)学生等を中心顧客とし、合宿・研修関連を主な事業とする課外活動ソリューション部門は、新型コロナウイルス感染症の影響から回復の兆しがみえつつあり、前期に比べ売上高は大幅に増加しているものの、2020年5月期との比較では47.8%減となっており、依然として新型コロナウイルス感染症の大きな影響を受けております。一方、学生生活の「出口」となる就職分野を担う人材ソリューション部門は、連結子会社の株式会社ワークス・ジャパンが提供する、中核商品である企業人事部向け「若年層人材ソリューション」コンサルティング等のサービス提供のうち、新型コロナウイルス感染症の影響下において企業の採用活動方法が大きく変化しサービスが多様化していく中で、企業の旺盛な新卒採用活動に支えられ売上高は増加しました。その結果、学生生活ソリューション事業の売上高は3,505,531千円(前年同期比40.1%増)となりました。また、部門別売上高は、課外活動ソリューション部門は806,964千円(同422.4%増)、人材ソリューション部門は2,698,566千円(同15.0%増)となりました。
② 営業利益当連結会計年度の不動産ソリューション事業の売上総利益は4,202,677千円(前年同期比5.7%増)、セグメント利益(営業利益)は2,699,917千円(同4.9%増)となりました。また、学生生活ソリューション事業の売上総利益は1,798,626千円(同32.4%増)、セグメント利益(営業利益)は298,620千円(同689.1%増)となりました。その結果、各セグメントに配分していない全社費用916,924千円(同10.6%増)を調整し、全社の当連結会計年度の営業利益は2,081,614千円(同16.7%増)となりました。
③ 経常利益当連結会計年度の営業外損益は1,666千円(前年同期はマイナス85,993千円)となり、その結果、当連結会計年度の経常利益は2,083,280千円(前年同期比22.7%増)となりました。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益当連結会計年度の特別利益に受取保険金36,232千円、特別損失に盗難損失32,981千円、固定資産除却損3,989千円、法人税等に676,769千円及び非支配株主に帰属する当期純利益24,038千円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は1,381,735千円(前年同期比24.9%増)となりました。その結果、1株当たり当期純利益は77円01銭となりました。
(2) 財政状態当連結会計年度の資産合計は27,237,508千円となり前連結会計年度に比べ709,675千円増加いたしました。この増加の主な要因は、受取手形及び売掛金が63,427千円の増加、販売用不動産が949,957千円の増加、無形固定資産が129,003千円の増加、流動資産その他が311,856千円の減少及び機械装置及び運搬具が108,444千円減少したことによるものであります。負債合計は16,004,406千円となり前連結会計年度に比べ111,046千円増加いたしました。この増加の主な要因は、支払手形及び買掛金が110,289千円の増加、未払金が72,095千円の増加、賞与引当金が64,000千円の増加、長期借入金(1年内返済予定分を含む)が1,210,904千円の増加、短期借入金が1,300,000千円の減少及びリース債務が50,082千円減少したことによるものであります。また、純資産合計は11,233,102千円となり前連結会計年度に比べ598,628千円増加いたしました。この増加の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益1,381,735千円、前期の剰余金処分による配当金359,998千円、中間配当金143,999千円、自己株式の取得299,996千円、その他有価証券評価差額金△3,150千円及び非支配株主持分24,038千円を計上したことによるものであります。その結果、1株当たり純資産額は625円72銭となり前連結会計年度に比べ45円03銭増加いたしました。また、自己資本比率は前連結会計年度の39.4%から40.5%となりました。
(3) キャッシュ・フロー当連結会計年度末における連結ベースでの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ49,284千円減少し5,860,512千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により得られた資金は1,272,233千円(前年同期は得られた資金は1,626,132千円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益2,082,542千円、非資金項目である減価償却費673,620千円、賞与引当金の増加による収入64,000千円、棚卸資産の増加による支出620,157千円、その他の資産の増加による支出265,964千円及び法人税等の支払による支出683,247千円によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動により使用した資金は378,885千円(前年同期は使用した資金は273,135千円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出86,916千円、無形固定資産の取得による支出339,262千円及び有価証券の売却による収入42,085千円によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動により使用した資金は942,632千円(前年同期は使用した資金は562,922千円)となりました。これは主に短期借入金の純減額による支出1,300,000千円、自己株式の取得による支出299,996千円、配当金の支払による支出503,457千円及び長期借入金の純増額による収入1,210,904千円によるものであります。
(4) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績該当事項はありません。
② 受注実績該当事項はありません。
③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称(部門)
販売高(千円)
前年同期比(%)
不動産ソリューション事業
(不動産デベロップメント部門)
3,732,732
17.3
(不動産マネジメント部門)
13,699,479
6.5
(エネルギーマネジメント部門)
310,505
△11.3
小計
17,742,718
8.3
学生生活ソリューション事業
(課外活動ソリューション部門)
806,964
422.4
(人材ソリューション部門)
2,698,566
15.0
小計
3,505,531
40.1
合計
21,248,249
12.5
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
小田急不動産株式会社
2,278,503
12.1
-
-
上記は不動産デベロップメント部門における販売用不動産の売却によるものであります。2 学生生活ソリューション事業(課外活動ソリューション部門)における売上高の大幅な増加は、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復によるものであります。
(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度の経営成績等は、旅行分野である課外活動ソリューション部門において、新型コロナウイルス感染症から売上高が2020年5月期の約5割程度まで回復し、前年及び計画を大きく上回りました。また不動産マネジメント部門においては、今春オープンしたカレッジコート佐賀以外の物件で満室稼働となるなど主力事業である不動産ソリューション事業が順調に推移し前年及び計画値を上回る結果となりました。② 経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。また、現時点では学生生活ソリューション事業において、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を受けることが見込まれるため、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ②学生生活ソリューション事業」に記載の課題に対応してまいります。また、他のリスクについても引き続き、リスク管理委員会や事業現場等との連携を強化し、それらの状況等が発生しうる可能性がある場合には、即座に対応できる体制を整えてまいります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社は、不動産ソリューション事業における学生向け賃貸住宅開発において、建設用地としての土地の取得及び学生向け賃貸住宅の建設を行っており、資金については主に金融機関からの借入により調達しております。そのため、2017年12月26日付で株式会社みずほ銀行をアレンジャーとする総額100億円のタームアウトオプション付コミットメントライン契約を締結しております。なお、2023年5月31日付でコミットメントライン契約の3年間の延長契約を締結しております。また、2020年3月31日付でサブリース物件オーナー様の物件売却ニーズに応えるための中長期的な資金の確保を目的として、株式会社みずほ銀行をアレンジャーとするシンジケート方式による総額70億円のコミットメントライン契約を締結しております。これらにより安定的かつ長期的な資金が確保できているため、当面の間は経済・金融情勢にとらわれない形で、自社開発物件の開発が可能となっております。また、手元流動性資金(現預金残高)も一定額を保持する方針でありますので、資金の流動性は十分に確保できていると考えております。④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択及び適用を行い、決算日における資産、負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。