【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、長期に亘った新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が年度後半より収束に向かいはじめ、足元ではコロナ以前の日常生活、経済活動を取り戻しつつあります。一方で、原材料価格をはじめとした物価高騰の影響が継続する等、景気の先行きについては依然見通し難い状況が続いております。葬儀業界におきましては、高齢者人口の増加に伴って潜在需要を示す死亡者人口が2040年まで年々増加すると推計されており、今後の葬儀件数増大が見込まれていますが、一方で核家族化の進展等により簡素な葬儀の需要が高まるなど葬儀単価は中長期的に低下傾向にあります。COVID-19を契機として葬儀の小規模化の流れは一気に加速し、従来の一般葬から家族葬へのシフト、更には直葬や火葬式といったより簡素な葬儀の比率が増加し、業界全体で葬儀単価は大きく低下いたしました。COVID-19収束を受け、短期的には葬儀単価の回復が見込まれるものの、中長期的には葬儀の小規模化の流れは継続するとの見通しです。事業環境の構造的な変化が継続する中、当社グループは従前より「一日一組」の「家族葬」を提供することにより、社会の変化や生活者の変容する葬儀需要に着実に対応してまいりました。当連結会計年度におきましては、積極出店方針のもと、過去最高となる21ホールの新規出店を行い、グループ直営ホール数は130店舗となりました。また、当社独自のオーダーメイド型葬儀である「オリジナルプラン葬儀件数」(注)を業績向上につながる重要業績評価指標(KPI)と位置付け、当該数値を向上させる施策を通じて、葬儀件数の増加及び葬儀単価の向上に取り組んでまいりました。その結果、葬儀件数は12,413件(前年同期比1,661件の増加)、仲介件数も含めた葬儀取扱件数は13,374件(前年同期比1,455件の増加)となりました。うちオリジナルプラン件数は3,101件(前年同期比740件の増加)、葬儀件数に占めるオリジナルプラン件数の比率は25.0%(前年同期は22.0%)となりました。また葬儀単価は年度累計で796千円(前年同期比5千円の低下)となりましたが、各会計期間毎の推移では下記の通り大きく回復いたしました。これは、期初から進めている人員投資が順調に進捗したことに伴い、付加価値の高いオリジナルプランの獲得が好調であったことや、コロナ影響緩和により葬儀規模の回復が徐々に見られたこと等が要因であります。
(葬儀単価の四半期推移)第1四半期会計期間(6~8月):770千円第2四半期会計期間(9~11月):779千円第3四半期会計期間(12~2月):798千円第4四半期会計期間(3~5月):831千円
(売上収益)当期の売上収益は前期比1,264百万円増加し、10,535百万円(前期比13.6%増)となりました。これは主に、前期出店10ホールの通期寄与、当期出店21ホールの寄与に加え、既存店葬儀件数も増加したことが要因であります。(売上原価、売上総利益)当期の売上原価は前期比943百万円増加し、6,568百万円(同16.8%増)となりました。これは主に、増収に伴い売上収益に比例する直接原価が増加したこと、仕入価格や光熱費等が上昇したこと、積極的な出店投資・人員投資に伴い、減価償却費・労務費等が増加したことが要因であります。以上の結果、売上総利益は前期比321百万円増加し、3,966百万円(同8.8%増)となりました。(販売費及び一般管理費、その他の収益、その他の費用、営業利益)当期の販売費及び一般管理費は前期比225百万円増加し、2,783百万円(同8.8%増)となりました。これは主に、業容拡大に伴う人件費の増加や、広告宣伝費の増加が要因であります。以上の結果、営業利益は前期比109百万円増加し、1,181百万円(同10.2%増)となりました。(金融収益、金融費用、税引前当期利益)当期の金融費用は前期比14百万円増加し、190百万円(同8.1%増)となりました。以上の結果、税引前当期利益は前期比95百万円増加し、992百万円(同10.7%増)となりました。(法人所得税費用、当期利益、親会社の所有者に帰属する当期利益)当期の法人所得税費用は前期比6百万円減少し、292百万円(同2.1%減)となりました。人材投資にかかる税制優遇を活用したことにより、増益の一方で法人所得税費用は減少となりました。以上の結果、当期利益及び、親会社の所有者に帰属する当期利益は、いずれも前期比102百万円増加し、700百万円(同17.0%増)となりました。
② 財政状態の状況当連結会計年度末における資産、負債及び資本の状況は次のとおりであります。(資産)流動資産は、前連結会計年度末に比べ151百万円増加し、1,827百万円となりました。これは主に、現金及び現金同等物が92百万円増加したためであります。非流動資産は、前連結会計年度末に比べ4,817百万円増加し、26,414百万円となりました。これは主に、新規出店により有形固定資産が1,066百万円、使用権資産が3,417百万円増加したためであります。その結果、資産は、前連結会計年度末に比べ4,968百万円増加し、28,242百万円となりました。(負債)流動負債は、前連結会計年度末に比べ2,488百万円増加し、5,531百万円となりました。これは主に、一年内返済長期借入金が2,288百万円、リース負債が168百万円増加したためであります。非流動負債は、前連結会計年度末に比べ1,770百万円増加し、17,453百万円となりました。これは主に、長期借入金が1,560百万円減少した一方で、リース負債が3,246百万円増加したためであります。その結果、負債は、前連結会計年度末に比べ4,259百万円増加し、22,985百万円となりました。一年内返済長期借入金が大幅に増加した一方、長期借入金が大幅に減少しておりますが、これは2024年5月末に一括返済期日を迎える借入金が2,000百万円存在することによります。当該借入は、過去のLBO時の借入の一部ですが、定例返済部分と一括返済部分に分かれており、定例返済部分については約定通り返済を継続しております。一括返済部分の2,000百万円については契約当初より、返済期日においてリファイナンス(借換)することを前提としております。(資本)資本は、前連結会計年度末に比べ709百万円増加し、5,256百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況当期末における現金及び現金同等物は、前期比92百万円増加し、1,454百万円となりました。当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動による収入は2,070百万円(前期比9百万円減)となりました。これは主に、税引前当期利益が992百万円(前期比95百万円増)であったことや減価償却費及び償却費1,553百万円(前期比228百万円増)を計上したことによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動による支出は1,657百万円(前期比808百万円増)となりました。これは主に、新規ホール等の有形固定資産の取得による支出1,351百万円(前期比623百万円増)及び、合弁会社への出資88百万円によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動による支出は320百万円(前期比603百万円減)となりました。これは主に、リース負債の返済による支出1,044百万円(前期比180百万円増)及び、長期借入金の返済による支出917百万円(前期比266百万円増)があった一方、長期借入金による収入1,642百万円(前期比1,051百万円増)があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループでは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループでは受注生産を行っていないため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
収益計上区分
売上収益(千円)
前年同期比(%)
葬儀売上
9,878,425
114.8
仲介手数料収入
579,525
97.5
その他のサービス
77,172
113.1
合 計
10,535,122
113.6
(注) 1.売上収益は千円未満切り捨てにより表示しております。2.総販売実績に対する割合が10%を超える相手先はありません。3. 当社グループは、葬儀事業の単一セグメントであるため、収益計上区分別の売上収益(IFRS基準)を記載しております。
d.葬儀請負の状況
当社グループは、葬儀施行業の拠点を以下のとおり設けております。ネット集客業と合わせた各拠点別の取扱件数の内訳は、下記のとおりとなります。
(葬儀取扱の状況)
区分
会社
拠点
展開都道府県
取扱件数
2022年5月期
2023年5月期
増減
葬儀施行業(葬儀件数)
㈱家族葬のファミーユ
北海道支社
北海道
1,492
1,617
125
千葉支社
千葉県
1,733
2,066
333
愛知支社
愛知県
1,276
1,509
233
熊本支社
熊本県
1,335
1,662
327
宮崎支社
宮崎県
1,886
2,174
288
都市総合支社
埼玉県東京都神奈川県
1,458
1,371
△87
㈱花駒
-
京都府大阪府奈良県
1,001
1,195
194
㈱備前屋
-
岡山県
571
819
248
小計
10,752
12,413
1,661
ネット集客業(仲介件数)
㈱家族葬のファミーユ
都市総合支社
27道府県
1,167
961
△206
合計
11,919
13,374
1,455
(注)ネット集客業における仲介件数とは、当社グループのウェブサイトから葬儀の申込を受け、提携葬儀社及び代理店に仲介し、葬儀の施行が完了した件数であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容(経営成績) 当連結会計年度における経営成績は、前連結会計年度対比1,264百万円の増収、営業利益において109百万円、当期利益において102百万円の増益となりました。 増収の主な要因は、葬儀件数が前期比1,661件増加し、12,413件(前期比15.4%増)となったことであります。前期出店ホール(10ホール)の通期寄与396件、当期出店ホール(21ホール)の寄与631件に加え、既存ホールにおいても、家族葬市場の拡大や効率的なマーケティング活動等により743件の増加となりました。その一方で、葬儀単価については前期比5千円低下し、796千円(前期比0.6%減)となったことにより、増収幅がやや抑制される結果となりました。葬儀単価低下の要因は、COVID-19の影響継続に伴い葬儀の簡素化や参列者数の減少傾向が継続したことでありますが、年度後半においてはコロナ影響の緩和やオリジナルプランの増加等により大きく回復しております。 利益に関しては、積極的な新店投資、人員投資を進めたことにより、減価償却費やホール諸経費、労務費・人件費等が増加いたしました。また、インフレによる仕入コストや光熱費上昇等の影響もあったものの、増収によりそれらコストの増加を吸収し、増益着地となりました。当社グループへの葬儀のご依頼は、ウェブサイトでの検索、近隣でのホールの存在、過去の当社顧客による再度の依頼など複数の理由に依りますが、このうち当社の自助努力で葬儀件数や葬儀単価を向上させられる手段として、「来館からのご依頼数」、「ウェブからの事後入電数」、「オリジナルプラン葬儀件数」の3つを重要業績評価指標(KPI)とし、これらの数値を向上させる施策を通じて、葬儀ご依頼件数の増加及び葬儀単価の維持・向上に取り組んでおります。特に、オリジナルプランについては、お客様のお気持ちに耳を傾け、ご家族の故人に対する弔いの心情を理解し、お客様ごとに異なる想いを表現する「ご家族の意向を汲んだ、ご家族のためのご葬儀」を提供しており、高い付加価値を実現しております。市場全体の葬儀単価が低下傾向にあり、当社グループもその影響を受けているなかで、当社グループでは「生活者目線」に立ったご葬儀を行うことで葬儀の付加価値を高め、葬儀単価の維持・向上を図ってまいります。オリジナルプランにて施行した葬儀件数の推移は以下のとおりであります。当期における積極的な人員投資が奏功し、同プランの件数が増加したことに加え、葬儀件数に占める同プランの比率も過去最高となる25.0%となりました。
2020年5月期
2021年5月期
2022年5月期
2023年5月期
オリジナルプラン葬儀件数(件)
1,733
2,009
2,361
3,101
葬儀件数に占めるオリジナルプラン葬儀件数の割合(%)
21.9
22.1
22.0
25.0
(財政状態) 当連結会計年度における財政状態は、自己資本額(親会社の所有者に帰属する持分合計(新株予約権を除く))が主に当期利益の蓄積により前期比709百万円増の5,228百万円となり、自己資本比率(自己資本額÷負債及び資本合計)は18.5%となりました。自己資本比率は同業他社等と比較して十分に高い水準とは言えないものの、将来的なのれんの減損リスクや事業リスクを考慮しても適切な水準を維持しているものと考えております。 借入金は前期比727百万円増の5,276百万円となりました。主に新規出店を目的として新規借入1,642百万円を実施しましたが、営業キャッシュ・フローにより十分返済可能な水準であり、翌年度以降の新規出店における調達余力も十分にあるものと考えております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報(キャッシュ・フロー) キャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
(資本の財源)当社グループの所要資金は、主に新規出店に伴う設備投資資金であります。設備投資資金については、連結の営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とし、多額の設備資金については長期借入金にて調達しております。「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の中期計画における出店ペースの範囲であれば、営業キャッシュ・フロー及び借入金により十分に調達可能であると考えております。また今後、多額の設備投資や既存葬儀社の買収を実施する際には、金融機関からの借入又は株式発行による調達を予定しております。
(資金の流動性) 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,454百万円と、月商の約1.6ヶ月分でありますが、当社グループの平均的な売上債権の回収サイトが約1~2週間である一方、仕入債務の支払サイトが約1ヶ月であるため、多額の手元資金を必要としておりません。また、資金の流動性を確保しておくため、取引金融機関と総額500百万円の当座貸越契約を締結しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表等は、IFRSに基づき作成されております。IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定を行うことが義務付けられております。実際の業績は、これらの見積りとは異なる場合があります。重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記3.重要な会計方針、4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
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