【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。当社グループは、前連結会計年度末より、IFRSに準拠した連結財務諸表を開示しており、前第2四半期連結累計期間の数値もIFRSベースに組み替えて比較・分析を行っております。(1)
業績の状況当第2四半期連結累計期間(2023年3月1日から2023年8月31日までの6か月間)におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症に変更されるなどアフターコロナへの移行が進む中で、グループ一丸となって中期経営ビジョン「ローソングループ Challenge 2025」の実現に向けて取り組みました。具体的には、2020年9月に立ち上げたローソングループ大変革実行委員会の各種施策を推進するとともに、グループ全体で持続的な成長に向けた中長期課題の解決、新たな収益機会の獲得及び働きがいの向上に取り組むとともに、多様な人財が活躍する職場環境や体制づくりのため、各種LGBTQ施策を導入しました。また、「地域密着×個客・個店主義」の実現に向けてカンパニー制を全国8エリアに拡大し、よりお客さまに近い現場で顧客価値の創造を徹底追求する体制を強化するために権限及び機能を本部から現場に移行し、各種施策を推進しております。
これらの結果、当第2四半期連結累計期間の連結業績は、営業収益5,454億92百万円(前年同期比11.1%増)、税引前四半期利益479億9百万円(同52.4%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益324億3百万円(同58.3%増)となりました。
また、2023年度内部統制システムの整備の基本方針に基づき、当社グループ全体の内部統制の充実と事業リスクへの対応にも注力してまいりました。今後ともより一層、内部統制の充実を図ってまいります。
セグメントの業績は次のとおりです。
(国内コンビニエンスストア事業)当第2四半期連結累計期間におきましては、人流は総じて増加傾向となる中で、大変革実行委員会で進めてきた店舗改装及び冷凍食品や日用品などの日常使いの商品の拡充を基盤に、各エリアカンパニーで品揃えの「幅」と在庫の「量」にこだわった売場の強化を推進しました。前年に本格導入を開始した「無印良品」の導入店舗数は8月末日現在12,484店舗となりました。また、創立50周年を迎える2025年に向けて、「新・マチのほっとステーション」を実現するためのプロジェクト「ハッピー・ローソン・プロジェクト!(ハピろー!)」を引き続き展開し、すべてのお客さまから支持されるローソンを目指し、「圧倒的な美味しさ」「人への優しさ」「地球(マチ)への優しさ」の3つの約束を実現するための施策を推進しております。ローソンならではのおいしくかつ健康を意識した商品の魅力を一層強化することに加えて、店舗における心のこもった接客を徹底するとともに、食品ロスやプラスチック使用量及びCO2排出量の削減といった地球環境に配慮した取り組みを継続しております。
[店舗運営の状況]店舗運営につきましては、引き続き3つの徹底(①心のこもった接客、②マチのニーズに合った品揃えの徹底、③お店とマチをきれいにする)の強化に努めてまいりました。お客さまの生活と価値観の変化に対応した商品の品揃えを拡充し、売上向上に努めるとともに、店舗オペレーションの効率化や廃棄ロス・水道光熱費の抑制など、加盟店利益の向上に向けた取り組みを継続しております。
[商品及びサービスの状況]人流の増加に伴いカウンターファストフード、ソフトドリンク及び米飯の売上が伸長したほか、店内調理サービス「まちかど厨房」や化粧品などの売上が伸長しました。カウンターファストフードは「からあげクン」の新フレーバーの売上が好調に推移し、米飯はリニューアルした「金しゃりおにぎり」シリーズなどのおにぎりの売上が好調に推移しました。店内調理サービス「まちかど厨房」は定番商品である丼タイプに加えてセパレートタイプの弁当の売上が好調に推移しました。化粧品では導入拡大中の「無印良品」の商品に加えて、人気コスメブランドと共同開発した新ブランドの商品の売上が伸長しました。「Uber Eats(ウーバーイーツ)」を含む4社のフードデリバリーサービスの導入店舗数は8月末日現在で47都道府県の4,178店舗となりました。なお、「Uber Eats」では、一般用医薬品の取り扱いを18都道府県の99店舗で実施しております。
[国内コンビニエンスストア事業の商品群別チェーン全店売上高]
商品群別
前第2四半期連結累計期間(自
2022年3月1日
至
2022年8月31日)
当第2四半期連結累計期間(自
2023年3月1日
至
2023年8月31日)
売上高(百万円)
構成比率(%)
売上高(百万円)
構成比率(%)
加工食品
619,342
53.7
649,632
53.3
ファストフード
256,698
22.3
275,676
22.6
日配食品
178,639
15.5
186,730
15.3
非食品
98,670
8.5
107,102
8.8
合計
1,153,350
100.0
1,219,141
100.0
[店舗開発の状況]出店につきましては、収益性を重視した店舗開発を継続しております。 当第2四半期連結累計期間における「ローソン」「ナチュラルローソン」「ローソンストア100」の国内の出店数は130店舗、閉店数は142店舗となり、8月末日現在の国内総店舗数は14,619店舗となりました*1。 高齢化や健康意識の高まりなどに対応したコンビニエンスストアモデル構築への取り組みとして、調剤薬局、ドラッグストアチェーンとの提携により、一般用医薬品や調剤薬品を取り扱うとともに、通常のローソンよりも化粧品、日用品などの品揃えを増やしたヘルスケア強化型店舗を継続して展開しております。このヘルスケア強化型店舗も含めた一般用医薬品の取扱店舗数は、8月末日現在で308店舗(うち、調剤薬局併設型店舗数は49店舗)となりました。また、介護拠点併設型店舗数は、8月末日現在で19店舗となりました。さらに、病院内コンビニエンスストアとして、コンビニエンスストアの標準的な商品やサービスに加え、医療衛生・介護関連用品などの品揃えを強化した「ホスピタルローソン」の展開は、8月末日現在で340店舗となりました。引き続き、これまで培った病院内コンビニエンスストアのノウハウを生かし、病院に関わるあらゆる人々の生活をサポートしてまいります。
美しく健康で快適なライフスタイルを身近でサポートするお店として、お客さまに支持されている「ナチュラルローソン」は、体に優しい素材を使った食品や環境に配慮した洗剤や化粧品などを厳選し、「ナチュラルローソン」にしかないこだわりと価値のある商品を取り揃えております。また、「ローソンストア100」は鮮度にこだわった安心・安全で良質な野菜や果物と日常生活に密着した商品を取り揃え、「献立応援コンビニ」として、毎日の食生活を応援しており、単身者・主婦を中心に、お子さまからご高齢の方まで幅広いお客さまにご利用いただいております。8月末日現在で「ナチュラルローソン」の店舗数は131店舗、「ローソンストア100」の店舗数は649店舗となりました。
*1 出店数、閉店数、国内総店舗数には、当社の運営する店舗のほか、持分法適用会社である株式会社ローソン高知、株式会社ローソン南九州、株式会社ローソン沖縄の運営する店舗を含めております。
[国内店舗数の推移]
2023年2月28日現在の総店舗数
期中増減
2023年8月31日現在の総店舗数
ローソン
13,839
-
13,839
ナチュラルローソン
131
-
131
ローソンストア100
661
△12
649
合計
14,631
△12
14,619
[国内地域別店舗分布状況(2023年8月31日現在)]
地域
店舗数
地域
店舗数
地域
店舗数
地域
店舗数
北海道
687
茨城県
213
京都府
325
愛媛県
218
青森県
277
東京都
1,662
滋賀県
153
徳島県
135
秋田県
177
神奈川県
1,061
奈良県
134
高知県
138
岩手県
179
静岡県
273
和歌山県
153
福岡県
525
宮城県
259
山梨県
134
大阪府
1,199
佐賀県
77
山形県
108
長野県
167
兵庫県
699
長崎県
122
福島県
168
愛知県
715
岡山県
243
大分県
203
新潟県
223
岐阜県
176
広島県
299
熊本県
164
栃木県
197
三重県
135
山口県
128
宮崎県
111
群馬県
241
石川県
102
鳥取県
137
鹿児島県
200
埼玉県
692
富山県
175
島根県
140
沖縄県
259
千葉県
598
福井県
105
香川県
133
国内合計
14,619
(注)上記表には、当社の運営する店舗のほか、持分法適用会社である株式会社ローソン高知、株式会社ローソン南九州、株式会社ローソン沖縄の運営する店舗を含めております。 これらの結果、国内コンビニエンスストア事業の営業収益は3,772億35百万円(前年同期比8.9%増)、セグメント利益は399億40百万円(同38.7%増)となりました。
(成城石井事業)株式会社成城石井は経営理念「食にこだわり、豊かな社会を創造する。」のもと、こだわりのある独自性の高い食品をお客さまに提供しております。路面、駅ビル、商業施設などに、多様な店舗フォーマットを展開し、高い商品開発力を生かしたオリジナル商品、自家製商品などで「成城石井」ブランドをお客さまにお届けしております。8月末日現在の株式会社成城石井の直営店舗数は178店舗となりました。コロナ禍で売上が伸び悩んでいたオフィス店舗の売上が回復し、商品では日配食品や自社のセントラルキッチンで製造している自家製惣菜の売上が堅調に推移しました。今後も、情報発信型製造小売業として、価値ある商品の持続的な開発や、魅力ある販促・広報活動を推進し、「成城石井」のブランド力の向上に努めてまいります。
これらの結果、成城石井事業の営業収益は542億69百万円(前年同期比1.0%増)、セグメント利益は58億86百万円(同6.1%減)となりました。
(エンタテインメント関連事業)株式会社ローソンエンタテインメントにつきましては、チケット事業におきまして、コンサート、レジャー及び演劇などのジャンルが活況となりました。加えて各ジャンルで案件獲得及び販売強化に注力した結果、チケットの取扱高は前年同期を上回りました。音楽・映像ソフトの専門店「HMV」などの店舗における物販事業は、人流の増加に伴い売上が伸長し、コロナ禍前の水準に戻りつつあります。EC事業におきましてはアーティストグッズが売上を牽引し、引き続きコスメなどの商材領域の拡大にも取り組んでおります。なお、「HMV」を中心に、書籍・CD・DVDなどを販売する複合店「HMV&BOOKS」やレコード専門店「HMV record shop」を含め、8月末日現在の店舗数は53店舗となりました。シネコン事業を行うユナイテッド・シネマ株式会社につきましては、大型連休や夏休みに集客力の高い話題作品が公開されたことや、人気舞台のライブビューイングを実施したことなどにより、動員客数及び売上が前年同期を上回りました。8月末日現在、全国43劇場、398スクリーンを展開しております。
これらの結果、エンタテインメント関連事業の営業収益は420億46百万円(前年同期比15.0%増)、セグメント利益は38億81百万円(同25.1%増)となりました。
(金融関連事業)金融関連事業につきましては、株式会社ローソン銀行のATMネットワークやATMの基盤を活用した新しいサービスの拡充に努めてまいりました。8月末日現在、全国のATM設置台数は13,559台、1日1台当たりのATM平均利用件数は55.6件、提携金融機関数は全国で389金融機関となりました。また、ATMでの現金チャージの提携先は4社、「スマホATM(QR入出金)*2」の提携先は7社、「即時口座決済サービス*3」の提携先は23社(金融機関18行、サービス事業者5社)、海外送金専用カードの提携先は11社となりました。現金の入出金に加え、キャッシュレス決済サービスへのチャージ取引などがATM利用件数の増加に寄与しております。株式会社ローソン銀行が発行するクレジットカード「ローソンPontaプラス」につきましては、ローソンやPonta提携店舗で利用できるメリットを訴求することにより、会員数の拡大と利用の促進に継続して取り組んでおります。*2 スマートフォンのアプリを用いてATMでカードを使わずに入出金、カードローンの借入れ、返済ができるサービスです。
「スマホATM」は株式会社セブン銀行の登録商標です。*3 ATMネットワークを活用して金融機関口座からスマートフォンなどの決済アプリにチャージできるサービスです。
これらの結果、金融関連事業の営業収益は178億92百万円(前年同期比2.7%増)、セグメント利益は16億71百万円(同18.7%減)となりました。
(海外事業)海外事業につきましては、中国、タイ、インドネシア、フィリピン、米国ハワイ州におきまして、各地域の運営会社が「ローソン」店舗を展開しております。中国につきましては、8月に6,000店舗を突破し、8月末日現在の店舗数が6,030店舗と前期末比で410店舗の純増となりました。当社子会社による出店に加え、各都市における地場小売企業とのメガフランチャイズ契約による出店や、パートナー企業が本部機能を持ち指定エリアにおける運営開発全般を担うエリアライセンス契約による出店などを進め、出店エリアと店舗数の拡大を加速させております。前年末から1月初旬にかけての新型コロナウイルス感染症拡大のピークが過ぎ、回復の度合いに地域差はあるものの人流の回復とともに日販が伸長しました。今後も当社の強みである米飯、デザートなど高品質なオリジナル商品を提供し、中国におけるローソンブランドの価値を高めるとともに、デリバリー事業を強化するなど、収益拡大に取り組んでまいります。中国以外の地域につきましては、各国での新型コロナウイルス感染症に関する行動規制の撤廃及び緩和による人流回復などの影響により売上が伸長しました。店舗出店加速の体制も整いつつあり、タイ・インドネシア・フィリピン・米国(ハワイ州)の4か国合計で8月末日現在の店舗数が847店舗と前期末比で307店舗純増し、当地域では過去最大の出店を実現しております。今後もお客さまの暮らしを支える最も身近な店舗として営業し、更なる収益拡大に取り組んでまいります。
[海外地域別ローソンブランド店舗分布状況]
出店地域
2023年2月28日現在の総店舗数
期中増減
2023年8月31日現在の総店舗数
中国
上海市とその周辺地域(上海市、浙江省、江蘇省)
2,483
91
2,574
重慶市とその周辺地域(重慶市、四川省)
798
59
857
遼寧省(瀋陽市、大連市など)
586
90
676
北京市とその周辺地域(北京市、天津市、河北省)
432
49
481
広東省と福建省(深圳市、厦門市など)
174
100
274
湖北省(武漢市など)
617
17
634
安徽省(合肥市など)
231
△15
216
湖南省(長沙市など)
160
3
163
海南省(海口市など)
139
16
155
小計
5,620
410
6,030
タイ
181
2
183
インドネシア
256
294
550
フィリピン
101
11
112
米国
ハワイ州
2
-
2
合計
6,160
717
6,877
これらの結果、海外事業の営業収益は594億63百万円(前年同期比44.5%増)、セグメント利益は16億89百万円(前年同期はセグメント損失38億80百万円)となりました。
(2) 財政状態流動資産は、前連結会計年度末に比べ576億71百万円増加し、7,375億10百万円となりました。これは主に、現金及び現金同等物が339億18百万円増加、営業債権及びその他の債権が200億72百万円増加したことによるものです。非流動資産は、前連結会計年度末に比べ2億48百万円増加し、1兆5,628億30百万円となりました。これは主に、有形固定資産が35億37百万円増加、差入保証金が34億96百万円増加、無形資産が27億24百万円増加、使用権資産が94億31百万円減少したことによるものです。この結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ579億19百万円増加し、2兆3,003億41百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末に比べ403億99百万円増加し、9,456億79百万円となりました。これは主に、営業債務及びその他の債務が332億51百万円増加、その他の金融負債が302億31百万円増加、預り金が115億72百万円減少、借入金が113億13百万円減少したことによるものです。非流動負債は、前連結会計年度末に比べ97億3百万円減少し、1兆735億80百万円となりました。これは主に、リース負債が104億32百万円減少したことによるものです。この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ306億96百万円増加し、2兆192億60百万円となりました。資本は、前連結会計年度末に比べ272億22百万円増加し、2,810億81百万円となりました。これは主に、利益剰余金が248億97百万円増加、その他の資本の構成要素が18億90百万円増加したことによるものです。この結果、自己資本比率は12.0%(前連結会計年度末は11.1%)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ339億18百万円増加し、4,334億42百万円となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、主に預り金の増減額、銀行業におけるコールマネーの純増減、営業債権及びその他の債権の増減額、営業債務及びその他の債務の増減額の増減影響などにより、前第2四半期連結累計期間と比べ123億69百万円増加し、1,774億55百万円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、無形資産の取得による支出の増加、投資の売却、償還による収入の減少、差入保証金の差入による支出の増加などにより、前第2四半期連結累計期間と比べ144億36百万円支出が増加し、△347億74百万円となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入れによる収入の増加、借入金の返済による支出の増加などにより、前第2四半期連結累計期間と比べ344億7百万円支出が減少し、△1,094億87百万円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性は、新規出店、既存店舗の改装及び新規ビジネスの他、配当金の支払等に資金を充当しております。運転資金と投資資金については営業キャッシュ・フローでの充当を基本とし、必要に応じて資金調達を実施しております。