【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度末における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概況は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(財政状態の状況)
a.流動資産
当連結会計年度末における流動資産は、7,695,029千円となりました。主な内訳は現金及び預金3,659,281千円、商品2,234,437千円、売掛金781,393千円であります。
b. 固定資産
当連結会計年度末における固定資産は、2,277,179千円となりました。内訳は有形固定資産450,893千円、無形固定資産356,342千円、投資その他の資産1,469,943千円であります。
c. 負債合計
当連結会計年度末における負債合計は、4,038,327千円となりました。主な内訳は未払金1,107,262千円、支払手形及び買掛金988,909千円、受託販売預り金934,501千円であります。
d. 純資産
当連結会計年度末における純資産は、5,933,881千円となりました。主な内訳は資本金50,000千円、資本剰余金3,385,511千円、利益剰余金2,752,434千円であります。
(経営成績の状況)
(参考情報)
(単位:千円)
当連結会計年度
(自 2022年3月1日
至 2023年2月28日)
対前年増減率
前事業年度
(自 2021年3月1日
至 2022年2月28日)
商品取扱高
23,629,586
(100.0%)
-
21,217,663
(100.0%)
売上高(注)3
10,464,483
(44.3%)
-
9,875,834
(46.5%)
売上総利益
8,353,695
(35.4%)
-
7,871,360
(37.1%)
EBITDA(注)1、2
1,169,494
(4.9%)
-
1,037,962
(4.9%)
営業利益
991,248
(4.2%)
-
883,688
(4.2%)
経常利益
963,944
(4.1%)
-
852,539
(4.0%)
親会社株主に帰属する当期純利益
1,258,432
(5.3%)
-
604,516
(2.8%)
(注)1.EBITDA=営業利益+減価償却費+のれんの償却額
2.当社グループでは、2020年2月期よりのれんの償却が発生しておりますが、今後とも事業の成長加速のためM&Aを積極的に検討していく方針であり、のれんの償却が増加する可能性があります。この点を考慮し、EBITDAを参考指標として開示しております。
3.ECモール事業の受託型については販売された商品の手数料を、プラットフォーム事業についてはサービスの手数料を売上高として計上しております。
4.( )内は商品取扱高に対する割合を記載しております。
5.当連結会計年度より、従来記載しておりました出荷件数、平均出荷単価、平均商品単価は 当社のみの数値であるため記載しておりません。
各事業部の業績は以下のとおりであります。
(参考情報) (単位:千円)
前事業年度(自 2021年3月1日 至 2022年2月28日)
ロコンド
RBKJ
相殺消去
連結
商品取扱高
21,217,663
-
-
-
(単位:千円)
当連結会計年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)
ロコンド
RBKJ
相殺消去
連結
商品取扱高
22,939,396
1,458,636
△768,446
23,629,586
当連結会計年度におけるマクロ経済環境は新型コロナウィルス感染症の需要供給面への影響が年度末に向け徐々に解消したものの、消費者物価指数の上昇、各国の金融政策の変更に伴う景気減速懸念、地政学リスクの高まりなど不透明感も増しております。
その一方で、当社グループの主たる事業領域であるファッションEC市場に関しては2021年度は前年比+9%、ファッション市場全体に占めるEC割合、いわゆるEC化率も21%まで増加し(経済産業省調べ)引き続き成長して行く市場であると見込まれています。またECだけでなく店舗や物流などあらゆる領域をデジタル化を通じて効率化していくDX(デジタルトランスフォーメーション)需要も年々増加し、流通小売市場における国内DX投資額は2020年から30年までの10年間で5.6倍と大幅に増えて行く事が見込まれています(富士キメラ総研調べ)。
このような状況下、当社グループはECモール事業、プラットフォーム(DX)事業、ブランド事業という相互補完的かつ各々が競争優位性を有する3つの事業を展開しております。
ECモール事業における主軸のサービス「靴を買うならロコンド」でおなじみのLOCONDO.jpではウェブ広告等を通じた認知度向上とブランド数や品揃えの充実という需要供給両面での向上に引き続き努めて参りました。加えて当社グループは様々な消費者ニーズを捉えるためM&Aを通じた「多モール展開」戦略を実行しておりますが、現在はアパレルメインのFashion Walker、サッカー専門店のSWS、海外バイヤーの販売プラットフォームであるwajaと合計4つのECモールを展開し、これらも同様に需要供給両面での向上を進めて参りました。尚、これらのウェブサイトは全て異なるものの、その裏側であるITインフラや物流インフラは全て一元化されているため、複数のモールを効率的に運営できるのが当社グループの強みになります。
プラットフォーム(DX)事業においては、自社公式EC運営(BOEM)、倉庫受託(e-3PL)、店舗POSレジ(LOCOPOS)、店舗欠品フォロー(LOCOCHOC)など、ファッション業界において必要とされるITインフラと物流インフラを全て有しているため一括受託(ALL-IN-ONE)が可能である事、またe-3PLにおきましては他のEC企業ではどこも対応できていない、百貨店や卸への出荷も全て対応できる事が当社グループの強みになります。当期におきましては主にBOEMの新バージョン(BOEM3.0)への移行とLOCOPOS、LOCOCHOCの機能を増強し、利用企業様の利便性向上の実現に努めて参りました。
ブランド事業においては、2020年以降、様々なインフルエンサーとコラボレーションブランド企画を展開し、売上増とロコンドの認知度向上の2つを実現しながらインフルエンサーマーケティングノウハウを蓄積して参りました。さらに、第3四半期からは伊藤忠商事株式会社との新設子会社であるRBKJ株式会社(出資比率はロコンド66%、伊藤忠商事34%)を通じてグローバルスポーツブランドのReebok国内販売権を獲得し、ReebokのEC、直営店舗、卸事業を展開して参りました。Reebok事業の展開に際しては、弊社のプラットフォーム事業を活用し、PMI(Post Merger Integration: 買収後の統合)を予定通り行うことでスムーズな事業の立ち上げを実現することができました。
これらの結果、当連結会計年度においてはECモール事業、プラットフォーム事業の堅調な成長が支えとなり、また、ブランド事業においてReebok事業を開始したことで、商品取扱高は23,629,586千円(前事業年度は21,217,663千円)と+11.4%で着地致しました。売上高は10,464,483千円(前事業年度は9,875,834千円)と+6.0%となりました。売上総利益は8,353,695千円(前事業年度は7,871,360千円)と+6.1%となりました。当社グループは実質的な成長度合や収益性を評価するため、売上総利益から変動費用を差し引いた「限界利益(= 商品取扱高 × 限界利益率)」という指標を重視しておりますが、限界利益は商品取扱高の増加、および物流フローの効率化やウェブ広告の効率化、各種手数料の引き下げ等の変動費用の抑制、及びReebok事業が順調に開始されたことで4,038,482千円(前事業年度は3,310,255千円)と+22.0%で着地できました。限界利益から「固定費用」を差し引いた数値が各種利益項目になりますが、固定費用面は今後の成長に向けた投資として新倉庫(LOCOPORT Ⅲ)の完全稼働が開始し、また、Reebok事業の開始に伴う賃料の増加によって当連結会計年度累計の地代家賃等は1,416,812千円(前事業年度は931,694千円)と大幅に増加しましたが、LOCOPORT Ⅲに関しましては、完全稼働によっておよそ10万平方メートルの保管面積を確保できたため、少なくとも2025年度までは倉庫家賃は固定化できる見込みです。結果、EBITDAは1,169,494千円(前事業年度は1,037,962千円)、営業利益は991,248千円(前事業年度は883,688千円)、経常利益は963,944千円(前事業年度は852,539千円)と、倉庫家賃増の影響を受けながらも増益で着地できました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は法人税等調整額の影響で1,258,432千円(前事業年度は604,516千円の当期純利益)となりました。
なお、文中の前事業年度の金額は参考情報として記載しております。
各事業別の業績は以下のとおりであります。
事業別
当連結会計年度
(自 2022年3月1日
至 2023年2月28日)
商品取扱高
(千円)
構成比
(%)
売上高
(千円)
構成比
(%)
ECモール事業
17,361,097
73.4
7,307,839
69.8
うち、自社モール
14,967,435
63.3
-
-
うち、他社モール
2,393,662
10.1
-
-
プラットフォーム事業
5,591,762
23.7
2,475,091
23.7
その他事業(店舗・卸等)
676,725
2.9
681,552
6.5
合計
23,629,586
100.0
10,464,483
100.0
(注)1.当社グループの事業セグメントは、靴を中心としたファッション関連商品等の販売、企画、仕入事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載はしておりません。
2.「自社モール」とは、「LOCONDO.jp」「FASHIONWALKER」「SPORTS WEB SHOPPERS」「waja bazar」の取扱高等になります。
3.「他社モール」とは、「楽天市場」及び「Yahoo!ショッピング」など他社モールにて展開する取扱高等になります。
4.ECモール事業の受託型に係る売上高については、販売された商品の手数料を受託販売手数料として計上しております。
5.当連結会計年度より、従来記載しておりました受託型商品取扱高比率は 当社のみの数値であるため記載しておりません。
6.各事業別の状況は以下のとおりであります。なお、前事業年度は財務諸表を作成し、連結財務諸表を作成していないため、各事業別の状況の前連結会計年度との比較分析は行っておりません。
a.ECモール事業
ECモール事業につきましては、複数ブランドをロコンドグループの屋号でもって、通販サイト経由で販売する事業で、販売在庫の中には受託型と買取型の2種類があります。ReZARD等のD2Cブランドは買取型に当たります。商品取扱高は商品の販売価格を基に記載しておりますが、売上高は買取型については商品の販売価格を計上し、受託型については販売された商品の手数料を受託販売手数料として計上しております。「LOCONDO.jp」、「FASHIONWALKER」、「SPORTS WEB SHOPPERS」、「waja bazar」の運営、「楽天市場」、「Yahoo!ショッピング」など他社モールへの出店を行っており、当連結会計年度においては出店ブランド数3,361となり、商品取扱高は17,361,097千円、売上高は7,307,839千円となりました。
b.プラットフォーム事業
プラットフォーム事業につきましては、ブランドの自社公式EC支援(BOEM)、倉庫受託(e-3PL)、店舗の欠品及び品揃え補強(LOCOCHOC)の運営等を行っております。「BOEM」における支援ブランド数は当連結会計年度末時点で34ブランドとなりました。これにより、当連結会計年度の商品取扱高は5,591,762千円、売上高は2,475,091千円となりました。
なお、倉庫受託(e-3PL)に関しては、ユーザーへの販売を伴わない商品補充等の出荷も含まれるため、その出荷額は商品取扱高には含めておりません。
c.その他事業(店舗・卸等)
店舗・卸事業につきましては、主にRBKJにて、リアル店舗での販売及び小売店への販売を行なっております。
当該事業の当連結会計年度の商品取扱高は676,725千円、売上高は681,552千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,611,781千円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動により得られた資金は1,361,450千円となりました。これは主に売上債権が261,571千円、棚卸資産が122,858千円増加した一方で、税金等調整前当期純利益の計上957,833千円、減価償却費の計上132,696千円、仕入債務が929,308千円、受託販売預り金が155,771千円増加したことによるものであります。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動により使用した資金は1,553,792千円となりました。これは主に、Reebok事業譲受による支出1,168,350千円、敷金及び保証金の差入による支出262,125千円によるものであります。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動により得られた資金は533,224千円となりました。これは主に自己株式の取得による支出149,125千円の一方で、長期借入れによる収入646,000千円によるものであります。
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、ECモール事業における買取型及び店舗・卸等事業における商品の仕入費用及び商品を販売するために投下する広告宣伝費、商品を保管する倉庫の賃借料等の販売費、一般管理費があります。また、設備投資資金需要として倉庫の設備増強及びEC基幹システムへの投資等があります。
加えて、当社グループは、競争が激化するファッションEC市場において、既存サービス等との相乗効果が期待できる場合や、新サービスを導入することにより将来的な事業展開につながる可能性があると判断した場合には、事業提携やM&A等について積極的に検討をしていく方針であり、これらの施策のための資金需要があります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
販売実績については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績の状況に関する分析・検討の内容
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
②経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、当社グループは「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、市場の動向等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。