【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が段階的に緩和され緩やかな回復が見られたものの、ウクライナ情勢や中国・台湾問題等の地政学リスクや物価の急激な高騰など、先行きが不透明な状態が続いております。
企業がウィズコロナの生活様式で確立されたテレワークやオンラインを活用した経済活動を常態化させる動きと、以前の状態へ戻す動きとに二極化する一方、クラウドサービスの活用、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進など、社会全体としてIT活用の流れが一層増加しており、企業によるIT関連への投資意欲は高く、当社が属する情報サービス業界においては、慢性的にIT人材が不足している状況にあります。
このような環境の中、当社グループでは、人材確保・育成のための先行投資としてITエンジニア育成研修を拡大し、未経験者や新規学卒者を積極的に採用し、育成に注力しております。また、技術力の向上、ワークライフバランスの向上を図ることで、優秀な人材の囲い込みを図っております。加えて子育て世代の両立支援をはじめ、誰もが働きやすい職場づくりの一環として「メディアファイブ保育園薬院」の運営も行っており、地域貢献度の向上にも寄与しております。
主要事業であるSES事業は、ITエンジニアの需要が高まっていることを背景として、新規取引先の獲得及び既存取引先における契約単価交渉を行ってまいりました。
ソリューション事業は、前連結会計年度に引き続き、安定的にシステム開発案件を受注しております。引き続き、中小企業のITを支援する「OFFICE DOCTOR」サービスを軸にワンストップ型ソリューション提案を推し進めております。
工事関連事業は、内装工事等の案件を手掛けております。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高1,747,502千円(前連結会計年度は1,799,188千円)、売上総利益623,350千円(同575,896千円)、営業利益18,347千円(同30,558千円)、経常利益17,064千円(同30,590千円)、親会社株主に帰属する当期純利益8,467千円(同29,960千円)となりました。
セグメント別の状況は次のとおりであります。(各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでおります。)
SES事業
主要事業であるSES事業は、高度IT人材の育成、技術力向上に注力するとともに、取引先への契約単価交渉や戦略的な配置転換を行ってまいりました。その結果、当連結会計年度における売上高は1,533,248千円(前連結会計年度は1,558,050千円)、セグメント利益は349,474千円(同302,588千円)となりました。
ソリューション事業
ソリューション事業は、前連結会計年度に引き続き、中規模・小規模のシステム開発案件の受注、中小企業のITを支援する比較的ライトな「OFFICE DOCTOR」サービスの提供を安定的に行っております。また、今後の業容拡大を目指し営業活動に注力してまいりました。その結果、当連結会計年度における売上高は114,054千円(同74,480千円)、セグメント利益は10,381千円(同4,200千円)となりました。
工事関連事業
工事関連事業は、福岡県の各種テナント・賃貸ビル等の内装工事・外装工事を中心に事業を行っております。当連結会計年度は、既存先への提案型営業を強化してまいりました。その結果、当連結会計年度における売上高は102,367千円(同168,832千円)、セグメント損失は2,088千円(同セグメント利益9,741千円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、364,457千円(前連結会計年度末は414,283千円)となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローとして、24,488千円の資金を使用いたしました。(前連結会計年度は65,804千円の獲得)
投資活動によるキャッシュ・フローとして、17,537千円の資金を使用いたしました。(同5,039千円の使用)
財務活動によるキャッシュ・フローとして、7,800千円の資金を使用いたしました。(同4千円の使用)
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年6月1日
至 2023年5月31日)
前年同期比(%)
SES事業(千円)
985,617
93.7
ソリューション事業(千円)
64,686
143.7
工事関連事業(千円)
73,847
58.4
合計(千円)
1,124,151
91.9
(注)上記の金額は売上原価によっております。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高
前年同期比(%)
受注残高
前年同期比(%)
SES事業(千円)
1,505,060
94.2
496,041
94.6
ソリューション事業(千円)
152,884
223.8
42,353
1,202.0
工事関連事業(千円)
101,721
68.5
-
-
合計(千円)
1,759,666
97.0
538,395
101.9
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年6月1日
至 2023年5月31日)
前年同期比(%)
SES事業(千円)
1,533,248
98.4
ソリューション事業(千円)
112,006
154.9
工事関連事業(千円)
102,247
60.6
合計(千円)
1,747,502
97.1
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりで あります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年6月1日
至 2022年5月31日)
当連結会計年度
(自 2022年6月1日
至 2023年5月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
楽天銀行株式会社
233,103
13.0
263,149
15.1
株式会社インフォメーション・ディベロプメント
186,447
10.4
217,543
12.4
(注) 株式会社インフォメーション・ディベロプメントは、2023年4月1日に、株式会社システムデザインを吸収合併しております。そのため、2023年3月31日以前は株式会社システムデザイン、2023年4月1日以降は株式会社インフォメーション・ディベロプメントとの販売高を記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)財政状態
(資産合計)
資産合計は712,686千円(前連結会計年度末比69,182千円減)となりました。
流動資産については、現金及び預金364,457千円(同49,826千円減)、売掛金185,184千円(同20,756千円減)、未収入金6,123千円(同1,233千円増)等により582,523千円(同72,639千円減)となりました。
固定資産については、有形固定資産7,313千円(同3,171千円増)、無形固定資産10,266千円(同5,874千円増)、敷金及び保証金44,275千円(同144千円増)、繰延税金資産38,193千円(同5,367千円減)、保険積立金17,754千円(同1,775千円増)等により130,162千円(同3,457千円増)となりました。
(負債合計)
負債合計は356,504千円(前連結会計年度末比77,649千円減)となりました。
流動負債については、買掛金7,622千円(同20,203千円減)、短期借入金15,000千円(同増減なし)、未払費用114,701千円(同19,425千円減)、未払消費税等19,583千円(同27,376千円減)、未払法人税等5,387千円(同10,920千円減)、未払金20,230千円(同1,729千円増)、預り金20,538千円(同266千円増)等により233,024千円(同58,929千円減)となりました。
固定負債については、長期借入金123,480千円(同18,720千円減)により123,480千円(同18,720千円減)となりました。
(純資産合計)
純資産合計は356,182千円(前連結会計年度末比8,467千円増)となりました。
2)経営成績
(売上高、売上総利益)
SES事業は、高度IT人材の育成、技術力向上に注力するとともに、取引先への契約単価交渉や戦略的な配置転換を行ってまいりました。
ソリューション事業は、前連結会計年度に引き続き、中規模・小規模のシステム開発案件の受注、中小企業のITを支援する比較的ライトな「OFFICE DOCTOR」サービスの提供を安定的に行っております。また、今後の業容拡大を目指し営業活動に注力してまいりました。
工事関連事業は、福岡県の各種テナント・賃貸ビル等の内装工事・外装工事を中心に事業を行っており、当連結会計年度は、既存先への提案型営業を強化してまいりました。
以上により、売上高は1,747,502千円(前連結会計年度は1,799,188千円)、売上原価は1,124,151千円(同1,223,291千円)、売上総利益は623,350千円(同575,896千円)となりました。
(営業損益)
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に引き続き営業体制及びお客様のサポート体制を強化しております。また、当社独自のITエンジニア育成研修(虎の穴研修)については、形式的には人材育成の投資になりますが、人材不足が叫ばれるITエンジニアの増加施策としての役割は大きいと考えており、今後も市場の動向を見ながら拡大してまいります。
以上により、販売費及び一般管理費は605,002千円(前連結会計年度は545,338千円)となり、営業利益は18,347千円(同30,558千円)となりました。
(経常損益)
営業外収益は、保育事業収益40,058千円等により45,755千円(前連結会計年度は45,444千円)となり、営業外費用は保育事業費用46,461千円等により47,038千円(同45,411千円)となりました。
以上により、経常利益は17,064千円(同30,590千円)となりました。
(税金等調整前当期純損益)
税金等調整前当期純利益は17,064千円(前連結会計年度は30,278千円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
法人税、住民税及び事業税は3,230千円(前連結会計年度は12,410千円)、法人税等調整額は5,367千円(同△12,092千円)となりました。
以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は8,467千円(同29,960千円)となりました。
3)キャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は24,488千円(前連結会計年度は65,804千円の獲得)となりました。これは、税金等調整前当期純利益17,064千円、売上債権の減少額38,690千円、仕入債務の減少額20,203千円、未払費用の減少額19,425千円、未払消費税等の減少額27,376千円、法人税等の支払額16,976千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は17,537千円(前連結会計年度は5,039千円)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出10,706千円、無形固定資産の取得による支出7,399千円、敷金及び保証金の差入による支出2,460千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は7,800千円(前連結会計年度は4千円)となりました。これは、短期借入れによる収入50,000千円、短期借入金の返済による支出50,000千円、長期借入金の返済による支出7,800千円等によるものであります。
(現金及び現金同等物の期末残高)
当連結会計年度末における資金は364,457千円(前連結会計年度末は414,283千円)となりました。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、従業員人件費のほか、営業費用及び法人税等の支払い等によるものであります。投資を目的とした資金需要につきましては、設備投資によるものであります。
資金調達の状況につきましては、事業継続に必要と考える資金は確保していると認識しております。資金調達は、自己資金による充当を基本としており、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分について有利子負債による調達を実施することとしております。また、現時点において重要な資本支出の予定はありません。
4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況
当連結会計年度については、事業の中心となるSES事業及びソリューション事業で売上総利益率33%、稼働率97%を目標としておりました。また、工事関連事業では売上総利益率23%を目標としておりました。
当連結会計年度のSES事業及びソリューション事業においては、取引先への契約単価交渉や戦略的な配置転換を行った結果、稼働率は94%と目標を下回ったものの、売上総利益率は36%と目標を達成いたしました。また、工事関連事業においては、既存先への提案型営業を強化した結果、売上総利益率が28%と目標を達成いたしました。
今後も、優秀な人材の確保、人材の育成及び技術に見合った契約単価交渉に努め、引き続き当該指標の改善に邁進していく所存でございます。
②重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。なお、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
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