【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況当事業年度におけるわが国経済は、2022年3月にまん延防止等重点措置が解除されて以降、第7波及び第8波の到来で人流が増減を繰り返すなどCOVID-19の影響を受けましたが、政府や自治体による営業活動制限措置を伴わない感染防止対策により社会活動の回復が図られ、2023年1月には5類感染症への位置づけ変更など新たな方針が決定されたこと等により、COVID-19が与える経済への影響度合いは弱まりつつあります。一方、ウクライナ情勢や円安進行といったわが国の経済活動に大きな影響を与える事象は長期化しており、依然として先行き不透明な状況が続いております。外食産業におきましては、世界的なエネルギー資源価格の高騰や為替相場の影響により原材料費や光熱費が急激に上昇しており、また最低賃金の上昇や労働力人口の減少による人材不足により採用教育コスト等の人件費も引き続き上昇傾向にあるため、依然として厳しい経営環境が続いております。このような環境の下、当社におきましては、業態集約によるリソースの最適化・段階的な値上げ施策・食材ロスの削減や適切な人員配置のためのKPI設定等により、主要コストのコントロールを徹底してまいりました。また、店舗QSC向上の取り組み強化・「てけてけ」における「ハイボールもサワーもお席で飲みたい放題」や「the 3rd Burger」における「サード飯」など商品開発をフックとした集客施策の実施・グルメサイト掲載やイベント企画など広報マーケティング施策の強化等により、トップラインの底上げを図ってまいりました。これらの取り組みの結果、当事業年度最終月の2023年2月において、2020年対比の既存店売上高は81%まで回復しております。なお、当事業年度は新規出店はなく、11店舗(てけてけ6店舗、the 3rd Burger3店舗、手練れ1店舗、フランチャイズ1店舗)を退店し、当事業年度末における店舗数は88店舗(前年同期比11店舗減)となりました。
以上の結果、売上高は5,349,931千円(前年同期比96.4%増)となり、売上総利益は3,951,966千円(前年同期比101.2%増)、営業損失は1,092,214千円(前年同期は営業損失1,854,108千円)、経常損失は894,213千円(前年同期は経常損失154,414千円)、当期純損失は1,287,953千円(前年同期は当期純損失456,463千円)となりました。なお、当社の報告セグメントは飲食事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。当事業年度末の総資産は4,214,778千円となり、前事業年度末と比較して1,549,446千円の減少となりました。これは主に流動資産が845,540千円、有形固定資産が630,280千円減少したことによるものであります。また、当事業年度末の負債総額は4,958,080千円となり、前事業年度末と比較して429,775千円の減少となりました。これは、主に長期借入金が627,327千円減少した一方、未払消費税等が158,768千円増加したことによるものであります。当事業年度末の純資産は△743,302千円となり、前事業年度末と比較して1,119,670千円の減少となりました。これは、主に新株予約権の行使により166,171千円増加した一方、利益剰余金が当期純損失の計上により1,287,953千円減少したこと等によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の残高は、前事業年度末と比較して736,737千円減少し、1,499,154千円となりました。 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度末における営業活動による資金の減少は172,216千円(前事業年度は441,944千円の減少)となりました。これは、税引前当期純損失1,268,902千円、減損損失486,412千円の計上、助成金358,633千円の受取等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度末における投資活動による資金の減少は89,081千円(前事業年度は515,076千円の減少)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出125,106千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度末における財務活動による資金の減少は475,440千円(前事業年度は922,771千円の増加)となりました。これは長期借入金の返済による支出892,500千円が、長期借入れによる収入251,180千円と新株予約権行使による株式の発行による収入165,880千円を上回ったことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の状況
a 仕入実績当社の事業は提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、「生産実績」に代えて、「仕入実績」を記載いたします。
事業部門の名称
当事業年度(自 2022年3月1日至 2023年2月28日)
前年同期比(%)
居酒屋業態(千円)
1,114,644
196.6
その他業態(千円)
290,738
144.6
合計(千円)
1,405,383
183.0
(注) 金額は、仕入価格の金額によっております。
b 受注実績当社は、一般消費者へ直接販売する飲食事業を行っておりますので、記載しておりません。
c 販売実績当事業年度における販売実績は次のとおりです。
事業部門の名称
当事業年度(自 2022年3月1日至 2023年2月28日)
前年同期比(%)
居酒屋業態(千円)
4,418,575
210.5
その他業態(千円)
931,355
148.8
合計(千円)
5,349,931
196.4
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。ただし、翌事業年度は、2023年5月8日にCOVID-19が5類感染症に位置づけ変更されるなど、経済活動の更なる回復が期待される一方で、ウクライナ情勢やエネルギー資源価格高騰の更なる長期化の懸念に加え、2022年12月には国内消費者物価の前年比上昇率が4%に達するなど、わが国経済では40年ぶりの物価上昇となり、依然として景気先行きの不透明感は更に強まっております。外食産業におきましては、飲食を伴う花見の解禁や訪日外客数の回復など、経済活動が正常化し外食需要が回復に向かう兆しが見られる一方で、原材料費や光熱費といったコストの高止まり・更なる上昇や、人材不足による採用教育コストの増加、さらには物価上昇に伴う賃金上昇気運の高まりによる人件費の上昇など、依然として厳しい経営環境が続いております。当社では財務諸表の作成に当たっては、COVID-19の動向は引き続き懸念され、未だ先行き不透明なまま推移すると予想されますが、今後の見通しにつきましては、2023年5月8日に5類感染症に位置づけ変更される等の要因により、徐々に回復に向かうことが期待されます。当社では、COVID-19による影響は改善すると思われるものの、大人数での宴会自粛やリモートワーク化による都心部の昼間人口の減少等を考慮し、2024年2月期は2020年2月期比の既存店売上高が約85%で着地する仮定とし、固定資産の減損及び繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。なお、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当事業年度の売上高は、2022年3月にまん延防止等重点措置が解除されて以降、通常営業を継続できたことにより5,349,931千円となり、前年同期比96.4%と前事業年度を大きく上回る結果となりました。売上原価については、原材料費の高騰を価格転嫁により吸収し、前年同期に比べて全社に占める居酒屋業態の売上が高くなったことで、原価率が前年同期よりも1.7%下回ったことにより売上総利益は3,951,966千円となり、前年同期比101.2%と大きく上回る結果となりました。販売費及び一般管理費においては、家賃減額交渉や本部コスト削減の取り組み等により固定費を中心に経費削減活動を続けてまいりましたが、売上総利益を上回る5,044,181千円となりました。主な費用の内訳は、給料及び手当1,978,402千円、地代家賃1,217,454千円となっております。これらの結果、営業損失は1,092,214千円(前年同期は営業損失1,854,108千円)と前年同期を大きく上回る結果となったものの、引き続き営業赤字の状態が続いております。経常利益においては、前事業年度に比べ感染拡大防止協力金等の助成金収入が大きく減少したことにより、経常損失894,213千円(前年同期は経常損失154,414千円)と前年同期を大きく下回る結果となりました。当期純利益においては、不採算店を中心に戦略的な退店の意思決定をしたことで減損損失486,412千円を特別損失に計上したことにより、当期純損失1,287,953千円(前年同期は当期純損失456,463千円)と前年同期を大きく下回る結果となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社の資金需要は大きく分けて新規出店に係る有形固定資産の取得のための資金、商品仕入や人件費等の支払に係る資金であります。これらの資金は主に自己資金及び借入金により調達しており、今後も同様の方針で賄う予定であります。また、現状資金が不足するような状況ではございませんが、事業計画に基づく新規出店による資金需要、経済環境等を熟慮した上で調達手段や調達規模を都度判断して参ります。なお、キャッシュ・フローの状況についての分析は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
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