【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(自2023年3月1日 至2023年5月31日)における日本経済は、アフターコロナに向けて経済活動・社会生活が正常化する動きが加速するなかで、1月~3月の実質GDP成長率は個人消費関連を中心に改善されたことにより、前期比0.7%、年率換算2.7%と3四半期ぶりのプラス成長となっています。
緊迫する海外情勢のなか、物価上昇や急激な為替変動など、社会経済情勢の懸念事項は存在するものの、教育、健康、決済、医療、行政などのDX(デジタルトランスフォーメーション)に対する取り組みの本格化が継続しており、今後もDX化に向けた設備投資が拡大していくことが予想されます。また、新型コロナ感染症に対する世界的な規制緩和により、インバウンド需要の急速な回復や、国内における人出の増加による好循環が幅広く波及し、サービス業・小売業などが堅調に推移することが期待されています。
当社グループについては、2021年7月に日本国内で、2022年5月にアジア地域で発売し、爆発的なヒットとなったNintendo Switchソフト「クレヨンしんちゃん『オラと博士の夏休み』」の国内外の販売が一巡したことにより、今期においては、ライフデザイン事業が大きく減収となりました。一方で、同事業に属するヘルスケア、医療介護、FinTech等のBtoBサービスは堅調に拡大しています。AI&クラウド事業においては、AIチャットボットサービスやChatGPTソリューションなどのAI領域での事業拡大に向けて、開発のリソースを大きくシフトするとともに、一般法人向けの受託開発事業を縮小しております。コネクテッド事業においては、ODMが受注・生産ともに順調に拡大してきており、コロナ禍で低迷した前年同期に比べ約2倍の売上高となりました。また、今期においては大幅な円安が進行しましたが、為替予約オペレーションにより前年同期を上回る為替差益を計上しております。自社プロダクトであるaiwaデジタルについては、ラインアップを順次拡大するとともに、法人の認知拡大に向け量販店での展開を本格化しております。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間における当社グループの売上高は1,816,785千円(前年同期比4%減)、営業損失は140,111千円(前年同期は営業損失41,965千円)、経常損失は94,284千円(前年同期は経常利益2,335千円)、純損失は71,099千円(前年同期は純損失14,476千円)となりました。
セグメント別の事業動向については以下の通りです。
<ライフデザイン事業>
当第1四半期連結累計期間におけるライフデザイン事業の売上高は543,435千円(前年同期比43.7%減)、セグメント損失1,644千円(前年同期はセグメント利益150,779千円)となりました。
ライフデザイン事業においては、2021年7月にリリースしたNintendo Switchソフト「クレヨンしんちゃん『オラと博士の夏休み』」の販売が国内外において一巡し、販売数量が落ち着いてきたことにより、減収減益となりました。これに次ぐ新作ソフトの発売を今年度下期に予定しており、現在これに向けて鋭意、開発及び販売準備を推進しています。BtoBサービスの分野では、健康支援サービス「Renobody」とハウスマネー決済サービス「ValueWallet」の2本を展開しており、いずれも順調に推移しています。また、これらに加え、今期は酒販業界における受発注業務等のDX化を行う「スマはっちゅう」事業、さらに、医療介護業界向けのDXを支援する「KarteConnect」のサービスを開始しました。ソリューション事業では、教育コンテンツやヘルスケアサービスなど、当社の自社事業や技術面での強みを活かせる分野にフォーカスしており、それ以外の一般受託開発は縮小傾向にあります。
<AI&クラウド事業>
当第1四半期連結累計期間におけるAI&クラウド事業の売上高は425,311千円(前年同期比17.9%減 )、セグメント損失193千円(前年同期はセグメント利益34,456千円)となりました。
AI&クラウド事業については、OpenAI社が開発した「ChatGPT」の活用に大きくシフトしており、AIチャットボットサービスにおける新規サービス“OfficeBOT powered by ChatGPT API”の展開や、企業、自治体、通信キャリア等におけるChatGPT活用ニーズに対応したソリューション開発の提供など、AI事業拡大に向け多面的な展開を行っています。また、AIチャットボットやクラウドアドレス帳などのSaaS形式でのサービス事業拡大に向けて販売体制の強化とマーケティング活動の拡充も進めています。これにより、一般法人向けの受託開発事業は縮小傾向にあること、加えてAI分野での先行投資が発生していること等の影響があり、当セグメントは昨年度に比べ減収減益となりました。
<コネクテッド事業>
当第1四半期連結累計期間におけるコネクテッド事業の売上高は872,108千円(前年同期比95.1%増)、セグメント損失は60,313千円(前年同期はセグメント損失144,094千円)となりました。
コネクテッド事業については、開発から保守、サポートまで一気通貫で対応できるODM事業がアフターコロナのなか、着実に復調してきており、見守りGPSやモビリティ向けBluetoothインカムマイク、また直近では、ピクシーダストテクノロジーズ株式会社の聞こえにくさのある人の円滑なコミュニケーションを実現するサービス「VUEVO」のデバイスの受託等、新規案件も順調に拡大しており、コロナ禍で低迷していた前年に比べ約2倍の売上高となりました。また、2023年3月より中国製造拠点の拡張移転を行い、新工場における生産を開始しており、生産コストの低減や生産効率や品質の向上とともに増産に耐えうる体制を確保しております。また、依然として為替変動が激しい環境のなか、為替予約オペレーションを継続しており、今期は大幅な円安となった結果、前年以上の為替差益を計上しました。aiwaデジタルについては、新たに電子楽器「aiwa play RX01」やスマートフォン「aiwa phone B-2」などをリリースするとともに、法人向け認知度向上に向け量販店での展開強化に取り組んでいます。
当第1四半期連結会計期間より報告セグメントを変更しており、前年同期比較については、変更後のセグメント区分に基づき作成した数値で比較しております。
また、セグメント別の事業動向に記載の各セグメントの売上高については、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加えた金額を記載しております。詳細は、「注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(2)財政状態の分析
①資産
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は5,522,189千円となり、前連結会計年度末に比べ638,800千円減少いたしました。これは主に受取手形、売掛金及び契約資産が643,442千円減少したことなどによるものです。固定資産につきましては、有形固定資産が23,027千円、無形固定資産が176,613千円、投資その他の資産が54,960千円増加したことにより、前連結会計年度末に比べ254,601千円増加し、2,115,502千円となりました。この結果、総資産は7,637,692千円(前連結会計年度末は8,021,890千円)となり、前連結会計年度末に比べ384,198千円減少いたしました。
②負債
当第1四半期連結会計期間末における負債合計は2,079,291千円(前連結会計年度末は2,427,924千円)となり、前連結会計年度末に比べ348,633千円減少いたしました。これは主に賞与引当金が153,679千円、借入金が総じて98,168千円減少したことなどによるものです。
③純資産
当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は5,558,400千円(前連結会計年度末は5,593,965千円)となり、前連結会計年度末に比べ35,565千円減少いたしました。これは主にその他の包括利益累計額が89,359千円増加したものの、四半期純損失の計上や配当金の支払いなどにより利益剰余金が129,751千円減少したことによるものです。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当社は、新規サービス提供のための開発に継続して取り組んでおります。なお、当第1四半期連結累計期間におきましては、コネクテッド事業において28,260千円の研究開発費を計上しております。
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