【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの経営成績及び財政状態、キャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の分析
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大抑制に伴う行動制限が緩和されて以降、社会経済活動が徐々に正常化に向かい、景気回復の兆しが見られました一方、世界的な資源価格の高騰や為替の変動による物価高が顕著となりましたことに加え、ロシア・ウクライナ問題等による地政学的リスクの上昇が懸念され、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような状況の下、収益基盤であります生協ルートでの営業力強化を目的といたしまして、企画提案書の見直しを行い、企画力・商品力及び訴求力の向上に努めてまいりました。また、新たな主力商品として位置付けた韓国コスメでは、人気のある「ma:nyo」、「hince」、「KAHI」などの国内総販売代理店等として販売を開始いたしました。TVショッピング「プライムダイレクト」においては、媒体効率を意識した放映に徹するため、放映枠を大幅に縮小してまいりました。
また、当社グループは、2022年12月より持株会社体制へ移行し、当社の商号を「株式会社IKホールディングス」に変更いたしました。更なる経営における意思決定のスピードアップ、柔軟な戦略策定、経営資源の最適配分、監督と執行の機能分離と権限委譲を進め、新規事業や経営人材の創出を進めることで、グループとしての企業価値の最大化を目指してまいります。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高14,179百万円(前年同期比13.2%減)、営業損失224百万円(前年同期は360百万円の営業損失)、経常損失205百万円(前年同期は323百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失463百万円(前年同期は905百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりです。(売上は外部顧客への売上高を記載しております。)
・ダイレクトマーケティング事業
TVショッピングにおいては、収益性に拘り媒体効率を意識した放映方針に転換し、放映枠を絞り込んだ結果、売上高は大幅に減少いたしました。韓国コスメのリアルショップは「SKINFOOD」の不採算店7店舗(直営店)とFC店3店を閉鎖し、「hince」2店舗と韓国化粧品のセレクトショップ1店舗を新設いたしました。これらにより売上高は4,007百万円(前年同期比22.7%減)となり、営業損失は327百万円(前年同期は805百万円の営業損失)となりました。
・セールスマーケティング事業
売上高は、基盤販路の生協ルートにおいて食品企画はほぼ前年並みでありましたものの、雑貨企画及び化粧品企画が前年実績を下回りました。また、通販ルート、店舗ルートも微減いたしましたことから9,651百万円(前年同期比9.8%減)となり、営業利益は355百万円となりました。
なお持株会社体制の移行に伴い、全社費用の区分把握が可能になり、報告セグメントの利益又は損失の測定方法を変更しております。このためセグメント別営業損益の対前期比は記載しておりません。
・ITソリューション事業
売上高は、主力商品であるチャットシステム「M-Talk」の売上が順調に拡大していることから、518百万円(前年同期比15.1%増)となりましたものの、営業利益は為替の影響を受け仕入コストが上昇したことから13百万円(前年同期比55.5%減)となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産合計は6,788百万円となり、前連結会計年度末と比べ589百万円減少いたしました。
当連結会計年度末の負債合計は4,818百万円となり、前連結会計年度末と比べ55百万円減少いたしました。
当連結会計年度末の純資産合計は1,970百万円となり、前連結会計年度末に比べ534百万円減少いたしました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、971百万円(前年同期は1,075百万円)となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動における資金の増加は66百万円(前年同期は769百万円の減少)であります。主な資金の増加要因は、減損損失190百万円、売上債権の減少428百万円、棚卸資産の減少213百万円であります。また主な資金の減少要因は、税金等調整前当期純損失397百万円、仕入債務の減少220百万円、法人税等の支払額190百万円となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動における資金の減少は279百万円(前年同期は319百万円の減少)であります。主な資金の減少要因は、有形固定資産の取得による支出146百万円、無形固定資産の取得による支出118百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動における資金の増加は109百万円(前年同期は1,135百万円の増加)であります。資金の増加要因は、短期借入金の純増額550百万円、長期借入による収入400百万円であります。また資金の減少要因は、長期借入金の返済による支出750百万円、配当金の支払額90百万円であります。
④仕入及び販売の実績
a.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年6月1日
至 2023年5月31日)
前年同期比(%)
ダイレクトマーケティング事業(千円)
1,764,015
57.3%
セールスマーケティング事業(千円)
5,954,322
95.8%
ITソリューション事業(千円)
340,851
121.0%
合計(千円)
8,059,190
84.1%
(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
b.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年6月1日
至 2023年5月31日)
前年同期比(%)
ダイレクトマーケティング事業(千円)
4,007,151
77.3%
セールスマーケティング事業(千円)
9,651,827
90.2%
ITソリューション事業(千円)
518,766
115.1%
調整額(千円)(注2)
1,320
-
合計(千円)
14,179,066
86.8%
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.調整額は非連結子会社からの経営指導料であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①経営成績について
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、14,179百万円(前年同期比13.2%減、2,156百万円減)となりました。これをセグメント毎に分析すると、ダイレクトマーケティング事業の売上高が4,007百万円(前年同期比22.7%減、1,177百万円減)、セールスマーケティング事業の売上高は9,651百万円(前年同期比9.8%減、1,047百万円減)、ITソリューション事業の売上高は518百万円(前年同期比15.1%増、67百万円増)となりました。
(営業費用)
当連結会計年度の売上原価は、売上高の減少に伴い8,228百万円(前年同期比7.9%減、1,449百万円減)となりました。売上原価率は、前期に比べ3.3ポイント上がり58.0%となりました。
販売費及び一般管理費は6,175百万円(前年同期比20.4%減、1,584百万円減)となりました。主に広告宣伝費が減少したことによります。
(営業外損益)
当連結会計年度の営業外損益は19百万円の利益(前年同期は36百万円の利益)となりました。主に協力金収入があったことによります。
(特別損益)
当連結会計年度の特別損益は191百万円の損失(前年同期は392百万円の損失)となりました。前年同期と比較し、減損損失が減少したことによります。
②財政状態について
(資産)
当連結会計年度末の流動資産につきましては前連結会計年度末に比べ825百万円減少しました。主な流動資産の変動は、「現金及び預金」が104百万円、「受取手形及び売掛金」が428百万円、「商品及び製品」が154百万円それぞれ減少したことによります。
当連結会計年度末の固定資産につきましては前連結会計年度末に比べ235百万円増加しました。主な固定資産の変動は、「無形固定資産」が259百万円増加したことによります。
この結果、当連結会計年度末の総資産は6,788百万円となり、前連結会計年度末と比べ589百万円減少しました。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債につきましては前連結会計年度末に比べ246百万円増加しました。主な流動負債の変動は、「短期借入金」が550百万円増加したことと、「買掛金」が220百万円、「未払法人税等」が77百万円それぞれ減少したことによります。
当連結会計年度末の固定負債につきましては前連結会計年度末に比べ301百万円減少しました。主な固定負債の変動は、「長期借入金」が311百万円減少したことによります。
この結果、当連結会計年度末の負債は4,818百万円となり、前連結会計年度末と比べ55百万円減少しました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産につきましては前連結会計年度末に比べ534百万円減少しました。主な純資産の変動は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により「利益剰余金」が555百万円減少したことによります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況について)
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「第2 事業の状況 4 [経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(資本の財源および資金の流動性)
当社グループは、更なる成長を目指すため商品開発、販路開拓への投資を行っており、財務の健全性や資本効率などを追及するとともに、内部留保の充実と株主への利益還元とのバランスを保つことに努めております。
資金の調達源としては、営業キャッシュ・フローに加え、金融機関からの借入金を基本としております。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについて
は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の
とおりであります。
⑤当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑥経営方針・経営戦略、経営上目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、株主資本を効率的に活用し、企業価値の向上を図ることが重要と認識しております。このた
め、ROE(自己資本利益率)を重要指標とし、20%以上を目標としております。
当連結会計年度におけるROE(自己資本利益率)は、△21.1%(前年比9.0ポイントアップ)であり、目標値を
下回っております。引き続き、グループ経営体制の更なる強化を図るとともに、当社グループの収益力の拡大、企
業価値の向上に努めてまいります。