【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度(2022年6月1日~2023年5月31日)におけるわが国経済は、コロナ禍を経て経済活動の再開が進んでおり、個人消費や設備投資など内需が幅広い分野で拡大し、また円安を背景としたインバウンド需要が急回復を示しており、物価高騰が継続しているものの景気動向は緩やかに回復しております。
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)によりますと、首都圏の中古マンション市場は、成約価格が2020年6月から2023年5月の間、36ヶ月連続で前年同月を上回りました。一方、成約件数は当期(2022年6月~2023年5月)において前期比5.3%の減少となりました。また、在庫状況については、登録件数が前年同月を上回って推移しており、2023年5月において前年同月比で23.6%の増加となっております。
主たる事業でありますリノヴェックスマンションの販売は、平均販売価格が前期比13.1%増だったことに加え、販売件数が前期比2.0%増の1,152件となり、売上高は前期比15.5%の増収となりました。加えて、法人及び個人向けリノベーション内装事業も前期比16.6%増となりました。また、コロナ禍後2年ぶりに販売した不動産小口化商品「アセットシェアリング札幌」が完売したことに加え、一棟収益物件の売却、ホテル事業の回復があったことで、ソリューション事業分野の売上高は前期比5.0%増となりました。それらの結果、連結での売上高は前期比14.1%増となりました。
利益面では、リノヴェックスマンション販売が、仕入価格の高騰に加え、築古物件の増加や省エネリノベーション「エコキューブ」の導入に伴うリノベーションコスト増も重なり、売上原価が増加しました。加えて、販売価格が中古マンション市場価格の上昇と購入希望価格の乖離が生じてきており、価格転嫁が十分になされず利益率が低下いたしました。一方、リノベーション内装事業の堅調な推移、さらにホテル事業の黒字転換もあり、連結売上総利益は前期と同水準の0.1%増となりました。また、販売費及び一般管理費においては、物件販売増に伴う販売仲介手数料の増加に加え、省エネリノベーション「エコキューブ」の認知拡大を目指しテレビCMをはじめとする大規模なプロモーションを展開したことにより広告宣伝費が増大し、前期に比べ13.9%増となりました。これらによりまして、営業利益は前期比47.9%減となり、また、営業外費用が融資関連費や支払利息等により増加したことで、経常利益は前期比77.4%減となりました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は、前期比14.1%増の412億36百万円となり、営業利益が前期比47.9%減の7億10百万円、経常利益が前期比77.4%減の2億39百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比84.3%減の1億円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(リノベーション事業分野)
リノベーション事業分野における物件販売の売上高は、リノヴェックスマンションの販売価格の上昇及び販売件数の増加等により前期比16.0%増の303億21百万円となりました。また、同事業分野における賃貸収入の売上高は、前期比2.9%減の1億46百万円となりました。そして、同事業分野におけるその他収入の売上高は、リノベーション内装事業の受注増等を反映し前期比32.3%増の20億32百万円となりました。
これらの結果、当事業分野における売上高は325億円(前期比16.8%増)となり、営業利益は7億50百万円(同43.8%減)となりました。
(ソリューション事業分野)
ソリューション事業分野における物件販売の売上高は、一棟収益物件の売却や不動産小口化商品「アセットシェアリング札幌」が完売したものの、前期に実施したリースバック物件の信託受益権の譲渡を見送ったこともあり、前期比1.2%減の69億99百万円となりました。また、同事業分野における賃貸収入の売上高は、前期比1.2%増の10億13百万円となりました。そして、同事業分野におけるその他収入の売上高は、ホテル事業の稼働率の上昇等により、前期比200.7%増の7億22百万円となりました。
これらの結果、当事業分野における売上高は87億36百万円(同5.0%増)となり、営業利益は9億6百万円(同7.8%増)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における財政状態は、資産が456億29百万円(前連結会計年度末比46億97百万円増)、負債が338億55百万円(同49億1百万円増)、純資産は117億74百万円(同2億4百万円減)となりました。
(資産)
資産の主な増加要因は、前渡金が2億9百万円、有形固定資産が21億55百万円それぞれ減少した一方で、現金及び預金が5億37百万円、販売用不動産が59億81百万円、投資その他の資産が3億円それぞれ増加したこと等によるものであります。
(負債)
負債の主な増加要因は、1年内償還予定の社債が1億10百万円、未払法人税等が1億87百万円、社債が1億円減少した一方で、短期借入金が38億84百万円、1年内返済予定の長期借入金が5億95百万円、長期借入金が4億54百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
(純資産)
純資産の主な減少要因は、親会社株主に帰属する当期純利益として1億円を計上した一方で、利益剰余金の配当により1億91百万円、自己株式の取得に1億99百万円計上したこと等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ5億31百万円増加し、47億34百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、9億30百万円の支出超過(前連結会計年度は38億96百万円の支出超過)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益2億37百万円を計上し、減価償却費2億91百万円、前渡金の増加が2億23百万円、仕入債務の増加が1億46百万円、その他の負債の増加が3億22百万円あった一方で、棚卸資産の増加額14億10百万円、未収消費税等の増加額1億10百万円、法人税等の支払額4億81百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、28億51百万円の支出超過(前連結会計年度は31億83百万円の支出超過)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出1億27百万円、固定資産の取得による支出27億24百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、43億13百万円の収入超過(前連結会計年度は53億円の収入超過)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出77億1百万円、社債の償還2億10百万円、自己株式取得による支出2億1百万円、配当金の支払額1億90百万円があった一方で、短期借入金の純増額38億84百万円、長期借入れによる収入87億51百万円等によるものであります。
④ 仕入及び販売の状況
a.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
区分
当連結会計年度
(自 2022年6月1日
至 2023年5月31日)
セグメントの名称
仕入件数
前期比(%)
仕入高
(千円)
前期比(%)
リノベーション事業分野
1,272
100.2
23,100,140
114.1
ソリューション事業分野
5
29.4
2,209,722
55.7
合計
1,277
99.2
25,309,863
104.6
(注)仕入高は販売用不動産本体価格を表示し、仕入仲介手数料等の付随費用は含まれておりません。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
区分
当連結会計年度
(自 2022年6月1日
至 2023年5月31日)
セグメントの名称
販売件数
前期比(%)
販売高
(千円)
前期比(%)
リノベーション
事業分野
物件販売
1,144
102.4
30,321,421
116.0
賃貸収入
-
-
146,502
97.1
その他収入
-
-
2,032,639
132.3
小計
1,144
102.4
32,500,563
116.8
ソリューション
事業分野
物件販売
38
12.5
6,999,334
98.8
賃貸収入
-
-
1,013,991
101.2
その他収入
-
-
722,925
300.7
小計
38
12.5
8,736,251
105.0
合計
1,182
83.2
41,236,815
114.1
(注)1.当社は引渡基準により売上高を計上しております。
2.当連結会計年度におけるリノベーション事業分野の販売契約実績の内訳は、次のとおりであります。なお、契約残件数は、不動産売買契約を締結したもののうち、引渡しがなされていないものであります。
区分
当連結会計年度
(自 2022年6月1日
至 2023年5月31日)
セグメントの名称
期首契約残件数
期中契約件数
期中引渡件数
期末契約残件数
リノベーション事業分野
64
1,167
1,144
87
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載の通りであります。
② 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高につきましては、前連結会計年度の361億39百万円から50億96百万円増加(前期比14.1%増)し、412億36百万円となりました。
セグメントでみますと、リノベーション事業分野につきましては、当期における物件販売による売上高は、販売価格の上昇及び販売件数の増加により、303億21百万円(同16.0%増)となりました。また、マンションによる賃貸収入売上は、1億46百万円(同2.9%減)となりました。その他収入売上はリノベーション内装事業の受注増を反映し、20億32百万円 (同32.3%増)となりました。これらの結果、当事業部門の売上高は325億円(同16.8%増)となりました。
ソリューション事業分野における物件販売の売上高は、一棟収益物件の売却や不動産小口化商品「アセットシェアリング札幌」が完売したものの、前期に実施したリースバック物件の信託受益権の譲渡を見送ったこともあり、69億99百万円(同1.2%減)となりました。また、賃貸収入売上は10億13百万円(同1.2%増)、その他収入売上は、ホテル事業の稼働率の上昇等により、7億22百万円 (同200.7%増)となりました。これらの結果、当事業部門の売上高は87億36百万円(同5.0%増)となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益につきましては、前連結会計年度の61億9百万円から3百万円増加(前期比0.1%増)し、61億12百万円となりました。また、売上総利益率は前連結会計年度の16.9%から2.1ポイント減少し14.8%となりました。これは、販売用不動産の粗利益率が13.5%と前期に比べ2.6ポイント減少したためであります。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益につきましては、前連結会計年度の13億64百万円から6億53百万円減少(同47.9%減)し、7億10百万円となりました。これは、売上総利益が前期より3百万円増加したものの、販売費及び一般管理費が前期に比べ6億57百万円増加(同13.9%増)したためであります。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益につきましては、前連結会計年度の10億61百万円から8億22百万円減少し、2億39百万円となりました。これは、営業利益が前期に比べ6億53百万円減少したことに加え、営業外費用が1億96百万円増加したためであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度の6億43百万円から5億42百万円減少し1億円となりました。これは、経常利益が前期に比べ8億22百万円減少した一方で、特別損失が52百万円減少したこと及び法人税等合計が前期に比べ2億35百万円減少したためであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の資金需要は、リノベーション事業分野やソリューション事業分野における販売用不動産の仕入資金があります。また、設備資金としては、固定資産の改修工事や賃貸用不動産の取得資金があります。
販売用不動産の仕入資金は、主に物件毎に短期借入金で調達しておりますが、機動的かつ効率的に調達するため、各金融機関と当座貸越やコミットメントラインを活用しております。また、設備資金につきましては、融資条件等を慎重に比較検討のうえ、案件毎に借入先金融機関を決定しております。なお、中長期で保有する目的の不動産購入資金は、原則として長期借入金で調達しております。